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   逆打ち初日
いきなり遍路転がし
 
 
      第八十八番 大窪寺   第八十七番 長尾寺  
令和5年12月30日巡礼   

   

 

    順打ちの結願からはや3年……それは我が部屋の菅笠が、金剛杖が、白衣が、今度はいつ使ってくれるんだ?と訴えかける毎日であった(笑)。そうなんだ、遍路の魅力を知った者が遍路と訣別などできるわけが無い。

 

   行こう、四国へ。
   行こう、逆打ちの旅へ。

 

お遍路さんの貸切電車のような朝の「ことでん」

 

   年末の朝、ことでんに揺られ長尾駅(上写真)に着く。近接する大川バス本社前停留所からの「さぬきコミュニティバス」が公共交通派の遍路には有難い。年末とあって自分以外には地元の乗客が1人だけだったが、運転士さんはなんと3年前に順打ち結願の帰途と同じかたでビックリ。

    そのバスに揺られ30分、懐かしい大窪寺へやってきた。年末とあって遍路の姿は殆どなく、若干の繰上げ初詣客(?)がいるのみである。

大窪寺山門前の道路(右は野田屋)

 

 

    まずは逆打ちスタートとして逆打納経帳」を入手しよう。大窪寺山門前には「野田屋」「八十八庵」の2軒の遍路用品店があり、今回は「野田屋」を利用してみた。逆打ちは御利益の点から”うるう年”に行われるケースが多いが、納経帳自体は年度に関係なく店頭に用意されていて自分のような者には有難い。

納経帳には逆打が明記されている

 

   「第八十八番札所大窪寺(おおくぼじ)」---さて山門をくぐると見覚えのある懐しい境内が迎えてくれ、しばし佇む。本堂付近には殆ど参拝者がおらず寺の方々が掃き掃除をされていた。少し離れた大師堂へ行くと、こちらでは遍路のグループが拍子木に合わせ勤行中。このお遍路さんたちは結願かな?と思いながら少し離れたところで自分もあやからせて頂いた。

大窪寺の境内

 

    さて勤行を終え納経帳に御朱印を頂き、よし歩くぞ~と決意も新た。結願の歌碑「 あなうれし ゆくもかへるも とどまるも われは大師と 二人づれなり 」に見送られてのスタートとなった。

 

境内の石仏が見送ってくれる

 

    さて大窪寺から次の第八十七番長尾寺へは以下の3コースがある。

    ①徳島県境沿いに多和(槇川・助光)の集落を通る古来からの遍路道
   ②女体山経由・多和神社へ抜ける道
   ③女体山経由・来栖神社へ抜ける道

    3年前の順打ちは①だったので、今回は②のコースを採ろう。本来の遍路道ではないが「四国のみち」に指定されており道標は整備されている。しかしこれは早速の険しい隘路、いわゆる遍路転がしだ。順打ちでは切幡寺333段や焼山寺道までは平坦な道を歩くが今回は早くも息切れ寸前、修行の旅を実感する。

むむっ、さっそくの遍路転がし

 

   えっさこらと金剛杖の力を借りて登ること1時間、ようやく山頂(標高774M)にやってきた。見渡すと僅かに残雪も見られる。しばしベンチで休憩ののち、さぁここからが下りだ。

女体山の山頂から

 

    うわっ、なんたる下り、岩肌の手摺が頼みの綱ではないか・・・順打ちのお遍路さんであれば結願前の“最後の修行”と言ったところか。慎重に下ると続いて岩ゴツゴツの道なき道となり、これも修行と割り切る。

    個人的な経験では巡礼道の険しさトップは「三仏寺投入堂」(鳥取県)への道だったが、ここもかなりの凄さであった。

えっこれ下るの?

 

    やがて道は普通の(?)道となり、多和神社に到着。境内にベンチがあるのでしばし休憩する。それにしても年末のせいか順打ちのお遍路さんにも全く会わない道中である。

多和神社で小休止

 

    多和神社から程なく道は県道と合流し、40分ほどで「前山おへんろ交流サロン」に着く。順打ちの際と同じく今回もお茶の接待を受ける。

    なおこのサロンに併設の遍路資料館には遍路に関する各種展示があり、その内容には大変素晴らしいものがある。そこでサロンのかたに「この展示は撮影禁止ですか?」と訊ねると「いえ、撮って良いですよ。」とのこと。よって撮影した展示を1枚だけ右下に掲載し、展示の紹介とさせて頂く。

おへんろ交流サロンにやってきた

 

 

    展示には3年前に無かった内容も増補されており、以前に来訪されているお遍路さんでも再度見学する価値は十分にあると思う。(できれば1時間程度掛けてじっくりと見学したい。)

これは展示のごく一部、見学には時間を掛けたい

 

   資料館の展示を名残惜しく思いながらおへんろ交流サロンを出立する(再々訪したい気持ちでいっぱい)。やや陽光が西に傾いてきたが、本日中になんとか長尾寺まで打ち終えよう。(途中右写真の高地蔵休憩所で小休止、トイレも有った)

どうか見守って下さい

 

    「第八十七番札長尾寺(ながおじ)」---順打ちの時は脇から境内へ入ってしまったが今回はちゃんと山門から境内へ。年末のため境内も駐車場もガランとしており、堂宇には新年の飾りつけが既に施されていた。

    ひとり淡々と勤行に励む。

長尾寺の山門

 

<参考>
琴電長尾駅~大窪寺~前山おへんろ交流サロン~長尾寺~琴電長尾駅
タイムテーブル

  (冬季晴天・軽装・60代レベルの歩行)

  琴電長尾駅 8:25 ~ 8:30 大川バス本社前 8:40 (コミュニティバス) 9:10 大窪寺 9:50 ~ 11:00 女体山山頂 11:05 ~ 12:25 多和神社 12:35 ~ 13:05 前山おへんろ交流サロン 14:05 ~ 14:45 高地蔵 14:50 ~ 15:40 長尾寺 16:05 ~ 16:15 琴電長尾駅

おん あろりきや そわか

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