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十九丁の「お接待」
 
 
      第八十二番  根香寺   第八十一番  白峯寺   第八十番  国分寺  
令和6年1月1日巡礼   

 

 

  明けて令和6(2024)年元旦、昨日の雨天から一転きれいに晴れて空気も澄んだ感じ。本日はJR鬼無駅から山へ分け入る行程で、舗装道と山道(旧道)が混在している。さぁ登るぞ。

 

    まず根香寺への道は概ね舗装道であるが所々は右写真のような旧道になり、道脇の丁石が遍路道であることを教えてくれる。冬の落ち葉をサクッサクッと踏みしめながら道を進める。

丁石の脇で小休止

 

  瀬戸内海の島々を左手に眺めながら進むと県道180号線に合流するが、交通量は極めて少ない。根香寺への小径を入るとやがて下写真にある立派な遍路小屋が現れる。 

    ここは「五色台こどもおもてなし処」で、2014年製の小屋であるが手入れがたいへん行き届いていて新築のような印象、お遍路さんの宿泊にも適している造作だった。

穏やかな瀬戸の島々の情景

へんろ小屋の外観 内部は清掃が行き届いている

 

   「第八十二番札所根香寺(ねごろじ)」---地元のかたと思われる元旦の初詣客が数人、落ち着いた境内にはハクモクレンのつぼみが春を待っている。紅葉の季節が美しいと言われる根香寺だが、冬のこの時期が個人的には気に入っている。

根香寺山門

 

    樹齢1600年を数えた白猴欅(はっこうけやき)は枯れてしまったために現在はその幹のみが保存されている。寺伝では創建の智証大師(円珍)を手伝った猿がこの木を伝ってきたと言われている。

    んっ?智証大師は天台宗の高僧で真言宗ではないはず……そう、根香寺は八十八ヵ所霊場の中でも数少ない天台宗の寺院であり、真言宗寺院だろうとの自らの先入観を恥じることしきり。

保存されている白猴欅(はっこうけやき)

    

  根香寺を出立し、次の白峯寺への道は足尾大明神の先を右折して山道に入る。(行政上も高松市から坂出市になる。)先ず目指すは「十九丁」(三叉路)である。

    「十九丁」とは根香寺から一丁(109m)×19 ≒ 2Kmの距離にあることを意味し、やや広い平地に石仏・案内看板、簡易な休憩設備が設けられている。

左上に「坂出市」

  

  <十九丁打ち戻り>について

     順打ちの場合、七十九番天皇寺~八十番国分寺~八十一番白峯寺~八十二番根香寺と巡るのが普通である。しかし昔は国分寺~白峯寺の現在の道が無く、急坂を避けるため国分寺を根香寺の後に打つ(参拝する)方法がとられていた。そのため根香寺を打ち終えたあとに(逆打ちのように)十九丁まで戻る道順を「十九丁打ち戻り」と呼んだそうである。

    さて休憩、と思いベンチに向かうと3年前の順打ちの際には無かった飲料類の立派なお接待が整備されている。 丁度順打ちのお遍路さんも休んおり、話しかけてこられた。

十九丁打ち戻りの解説板

  

   順打ちお遍路さん:「驚きました。篤志家のかたの接待のようです。」
   逆打ちの自分:「凄いですね、3年前の順打ちの時は無かったです。」

    そう言って振り返ると看板があり、このお接待を創られた理由が接待所の名前と共に記されていた。

    「お遍路さんが元気になる接待所」---- 十九丁を訪れるお遍路さん、しばしここで接待を受けながら、接待所の看板を読んで元気をもらって下さい。(きっともらえますよ)

お接待の飲料とゴミ箱が整えられている

 

   十九丁をあとに道を進める。香川県内は右写真のような看板が多く設けられていて、遍路の歴史はもとより動植物の自然にまつわる案内も多い。  

    この辺は順打ちの時に道を間違えた場所であり、注意して歩く。     

野鳥や植物の解説が充実している

 

    やがて見覚えのある景色(左前方は自衛隊演習場)が現れた。ここから道は下りとなる。坂出市の看板によればイノシシの出没があるらしいが、幸いに遭遇することもなく白峯寺へ。

ここは左折ぜずに直進する

 

   「第八十一番札所白峯寺(しろみねじ)」---近くに高松坂出道路が通じているなどクルマでの参拝が容易であるため、先の根香寺よりも初詣客が多い。境内もたこ焼き・たい焼き・餃子・スイーツ等の露天商が出店しており元旦らしい賑やかな雰囲気である。 

ここも初詣客で賑やか

 

    勤行を終えて納経所で朱印も頂き、さて出立しようとふと見ると面白いものが目に入った。右写真は自販機なのだが、なんと絵馬・線香・ロウソク・寺名入り手拭い等がセットされているではないか。

 後日知ったところによれば、このような自販機は白峯寺に限らず全国的に普及しつつあるらしい。寺院での取扱品が単なる商品の如く扱われているのはやや興醒めな気もするが、窓口が混んでいたり慢性的な人手不足等の理由があればむしろ理に叶ったアイデア手法なのかも知れない。

自販機に陳列されている商品(?)

 

 白峯寺からは単調な尾根道をてくてくと歩くが、国分寺への「一本松の分岐」を見落さぬよう注意したい。その国分寺へは右手を下るが、順打ちの場合だとかなりの登坂隘路で、先述の「十九丁打ち戻り」を改めて思い出させる。

国分寺へは右折して階段を下る

 

   「第八十番札所国分寺(こくぶんじ)」  ここも初詣客で賑わっている。特に納経所・授与所にはお守り・おふだから寺院グッズまで実に多くの授与品が扱われており、参拝の帰途に求めていく人が絶えない。 

 さて16時を過ぎ、高松の宿泊先へ戻るべく電車の時刻をスマホ画面でチェックする。  ・・・えっ?津波警報ってなんだ??・・・

 

    <後記>
     能登の皆様の日常が早期に戻られますよう、お祈り申し上げます。

風格ある国分寺境内

 

 

<参考>
鬼無駅~根香寺~十九丁~白峯寺~一本松~国分寺~国分駅
タイムテーブル

  (冬季晴天・軽装・60代レベルの歩行速度)

    鬼無駅 8:25 ~ 10:35 根香寺 11:05 ~ 11:55 十九丁 12:05 ~ 13:10 白峯寺 13:40 ~ 14:35 一本松 14:35 ~15:50 国分寺 16:25 ~ 16:30 国分駅

誰もが平和であることをのぞむ