桃太郎(3)



ここは桃太郎の村から南に行った場所にある犬の王国。
この犬の王国で最近、困った問題が起こっていました。
「今度はクロの家の子供が攫われたらしいよ」
「この前はハチのところでしょう」
「早く何とかしないと、平和に暮らしていけないよ」
「近々、ポチ様が鬼退治に行くらしいよ」
「え? 近衛隊長の?」
「王様も彼ならきっとやってくれるといっていたらしいわ」
と、まあこんな風に犬の王国でも鬼の問題が深刻化していました。

「では、頼んだぞ」
「はい、必ずや鬼を退治して見せます」
「うむ。鬼が1匹とはいえ、油断する出ないぞ」
「きっと子供たちを取り戻して見せます」
「期待しておる」
ポチは王様に敬礼すると王の間からゆっくりと出て行きました。

町に出ると犬たちがポチの下に寄ってきました。
「ポチ様、どうか息子を助けてください」
「私の妻もお願いします」
「任せてください」
ポチは犬たちにそう言って町を出て行きました。

町を出たポチは鬼が潜んでいるという岩山に向かいました。
犬の王国から岩やままではそう遠くありません。
慎重に見つからないように足音を消して進んでいきます。
しばらくすると岩山が見えてきました。
岩山にゆっくり近づくと、洞穴が見えました。
「あれか……」
洞穴の前には誰もいないが、ポチの鼻には鬼の臭いがしていました。
「どうやって戦うかだが…」
戦略を考えて見たが思いつきません。
とりあえず様子を窺ってみようと、しばらく隠れることにしました。



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