P-Island 外伝 〜秋の行事〜(2)



「さて、部屋に戻ったらレポートを完成させないと」
朝食が終わり妹たちがそれぞれ移動する中、僕もこれからのことを考えながら部屋へと戻っていく。
レポートが終わった後もすることはたくさんある。
今日はみんなに邪魔されずに、自分のことができれば嬉しいんだけど……。
「お兄ちゃん」
そんなことを考えていたら、可憐ちゃんに呼び止められてしまった。
「今日はお天気がいいので、お兄ちゃんのお部屋のお布団を干したいんですけど、いいですか?」
(なんだ。そんなことか……)
用事を頼まれると思った僕は、心の中で安堵する。
そういえば、可憐ちゃんはレポートは終わったのだろうか?
後で聞いてみようかな?
「お兄ちゃん? どうかしましたか?」
「な、なんでもない。お、お布団だったね。いいよ、お願い」
「はい、わかりました」
「にいさま、今日はお天気がいいですから、お布団があったまって寝るときに気持ちいいですのよ」
一緒にいた白雪ちゃんが、嬉しそうにそんなことを言う。
「あ、でも、暖かすぎると布団の中のヌクヌクちゃんが気持ち良くてなかなか出られなくて困りますの」
そう言って困った顔をする白雪ちゃん。
確かにこの時期は、布団からなかなか出られなくなるんだよね。
そんなことを思っていると、突然誰かに飛びつかれた。
「おにーさま♪」
そう言って飛びついてきたのは、咲耶ちゃんだった。
「ねぇ、お兄さま。これからショッピングに行くんだけど、付き合ってくれるかしら」
相変わらず、咲耶ちゃんは唐突だな。
でも、今日はやりたいことがあるから……。
「ごめんね、咲耶ちゃん。レポートの宿題があるから、それを完成させないといけないんだ。
 可憐ちゃんは、もう終わらせたの?」
「可憐もまだ終わってないんです。お布団を干したら、続きをしようと思って……」
そっか、可憐ちゃんもまだだったんだ。
「そういうわけだから、また今度ね」
そう言うと僕は自分の部屋に向かう。可憐ちゃんと白雪ちゃんも僕の部屋に布団を取りに向かう。
「あ〜ん、お兄さまったら」
咲耶ちゃんは、名残惜しそうに呟く。
(ごめんね、咲耶ちゃん)
僕は心の中で、咲耶ちゃんにもう一度謝る。
「でも、絶対にお兄さまに一緒に行ってもらうわ」
そう言うと咲耶ちゃんは、どこからか新体操のリボンを取り出した。
「えい♪」
掛け声とともにリボンが、シュルルと僕の身体に巻きついた。
「ネ○く〜ん……じゃなかった、お兄さま。掴まえた」
咲耶ちゃんがそう言って手首を返すと、僕はリボンに引っ張られ咲耶ちゃんのほうに戻っていった。
「さぁ、お兄さま。ショッピングに行きましょう」
「さ、咲耶ちゃん。いつの間にそんなことが……」
「それは声を当ててる人の別の役の…ゲフンゲフン…な、ナイショよお兄さま」
何かを言いかけて、止めてしまう咲耶ちゃん。
何が言いたかったのかな?
「あ、アニキ。今、テレビで大変なことになってるよ」
慌てて飛び出してきた鈴凛ちゃんが、咲耶ちゃんに掴まっている僕にそう言ってきた。
「大変なことって?」
「いいから、兄チャマ。テレビをチェキ!」
鈴凛ちゃんに続いて、四葉ちゃんが顔を出す。二人はほんとに仲がいいな。
なんて思っている場合じゃないな。テレビでいったい何がやっているんだろう。
僕たちは急いで、テレビのある部屋へと向かった。



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