…11…

「玻璃の花籠・新章〜春霖」

 

 

 一刻以上前に、父・余市の居室(いむろ)を出たというのに。狭霧はまだ宿場の街にたどり着いてはいなかった。

 都の一番南端にあるそこは、南へ向かう街道への唯一の玄関口。通用門の番をしている顔なじみの侍従に、直接聞いたのだから間違いはない。表の侍従長である余市は彼らの一番の長に当たる。その娘である狭霧の顔を知らぬはずはないのだ。ここで札を出して通るのだから、見落とすはずもない。

 他には何も考えず、まっすぐにそこまで来て。春霖はどうしたことかと途方に暮れていた。

 そんな彼を門番は不思議そうに見守る。旅装束も身につけず、街道に出る者などいない。春霖の突飛な行動が理解出来ないのだろう。

 

 …どこに…?

 

 まさか、自分の居室に行ったのかと、慌てて一度戻ってみる。しかしそこは春霖が出た時のまま、引き戸も半分開いた状態であった。もしも狭霧が来たのなら、この取り散らかった表をきちんと片づけるはず。ここに訪れていないのは明らかだった。

 

 どこに行ったのだ、…どこに。

 

 色々な想いが心をよぎる。最悪のことも考えた。だが、どうしても自分の妻とした女子がそんな風になるとは思えない。生涯を誓い合った仲なのだ、それなのに。

 そして、その時。春霖の脳裏に、ひとつの情景がありありと浮かんできた。

 

 …まさか、でも。

 

 ざり、と土を踏んで。自分の足の向く方向に静かに歩き始めた。

 

…*…*…*…*…*…


 どれくらい走っただろう、徐々に薄くなっていく気に胸が苦しい。夏の盛りの昼間だというのに、そこはひんやりとした気に包まれた別世界であった。白いもやをかき分けながら先に進む。しっとりと濡れた草に足を取られ、長袴は膝の辺りまで色が変わっていた。

 ざく、ざく、ざくと。地を踏みしめる音が辺りにこだまする。昨日の朝来たばかりの道、間違えるはずもない。それに一本道だ。なだらかな坂道を上り、やがて森の奥に辿り着く。ぴんと張りつめた透明な糸に導かれるように、何のためらいもなく進んでいった。

 

 ――やはり。

 折り重なるように生えている木々の間から、ちらっと白装束の背が見えた。頭にすげの笠を被っている。跪いているのか、その姿は草に隠れてよく見えないが、一本にまとめられた紅い髪が背を流れているのがはっきりと分かった。

 良かった、間に合った。そう思うのに、声が出てこない。あの背中が愛おしい少女のものであるのは間違いない。でも、喉の奥が焼け付いてヒリヒリと痛くなるばかりだ。

 石の祠に手を合わせ、何かを一心に祈り続ける人。木々の枝をすり抜けて差し込む日差しが、その姿を一筋の金の帯になって照らし出していた。辺り一面の恋花、芳しい匂いがここまで漂ってくる。

 

 やがて、衣を直しながら立ち上がる。そしてこちらを振り向いた時に、彼女は小さく声を上げた。

「…若様…」

 それは夜明け前、我が胸の中で聞いた声とは違っていた。見てはいけないものを見てしまったように、慌てて顔を背ける。細い木々の間を通り抜けるために傘を外し、足早に脇道に分け入っていった。

「狭霧っ…!?」

 はっと、一瞬遅れて。春霖も弾かれるように駆けだしていた。白い衣の消えた場所に身を滑り込ませる。

 体力的には自分の方がずっと秀でている。

 だが、密集した木々の間をすり抜けるのは難しい。それにあちらは身軽な旅装束、こちらはくつろいだ衣装だ。肩から掛けていた重ねはとっくの昔にどこかに落としていたが、それでも小袖の袂と長袴の裾が後ろに取られ、思うように進めない。細い幹の間から、白い背中が見え隠れする。

「霧っ…! 待てっ、待つんだっ…!!」

 目はまっすぐに前だけを捉えて足を進めながら、必死に叫んだ。次の瞬間、大きな樹の根元に足を取られる。騒々しい物音を立てて、我が身が崩れていくのを感じた。

「…ぐぁっ…!」

 地に手をつこう、と思った瞬間に、思い切り顎を前の木にぶつけていた。そのまま倒れ込んだので、ずるずると擦ってしまい、そこが地にひんやりと着く頃にはたぎるほどの熱を持っていた。

 …霧…。

 何故逃げるのだ。分からない、そんなに自分といたくないのか? …そうではないだろう、そんなはずないじゃないか。この腕に残る確かな熱を忘れられるはずもない。

「…うぅっ…」

 全身に痛みを感じながら、どうにか頭を持ち上げた。あの早さで走り去ったのなら、もう視界に映らないほど遠く進んでしまったのかも知れない。そんな絶望感を覚えながら面を上げた春霖は、視界の反転したその瞬間のままの場所に立ちつくしている狭霧を見つけた。

 こちらに振り向いたまま、途方に暮れた目をしている。こんな状況で立ち去ることも出来ず、だが近寄ることも出来ないでいる。不似合いに化粧をした頬の上を一筋の雫がこぼれ落ちた。

「行くなっ…霧、行かないでくれっ…」
 苦痛に耐えながら、立ち上がる。自分ひとりの力ではどうにもならないので、そばの木に手をついて寄りかかって。今の衝撃もすごかったが、その前にも、もうどれくらい体力を消耗してきたか知らない。必死に都の中を駆けめぐった。絶望を振り払うが如く。それもこれも狭霧をもう一度、我が胸に抱きしめる為だった。

「…霧…っ…」

 よろよろと、足を進める。どこを打ったのだろう、今までに感じたことのないほどの痛みが、一歩足を進めるごとに春霖の全身に襲いかかる。

「霧っ…狭霧っ…!」

 こちらが一歩出ると、狭霧も一歩後ずさる。ふたりの距離は先ほどから少しも近づいていない。だが、しばらくそうしているうちに、後ろ向きに進んでいた狭霧の背が、ひときわ高い樹木に当たった。そして彼女はそこで動きを止めた。

「…あ…」
 手にしていた小さな荷物を地に落とす。激しく動いたためにまとめて結った髪は解け、その豊かな輝きが辺りにゆらゆらと広がっていった。

「何故だ、どうしてなんだっ…!? 嘘だと言っておくれ? お前が…俺を捨てて闇に沈むなんて信じられない…」

 狭霧はふっと俯いた。震える小さな輪郭を髪の流れが包み込む。彼女の立ち位置は丁度気流の流れの通り道になるらしい。

「知らぬはずもないだろう…? 分かっているのか、邇桜様の御館に出仕すると言うことがどんなことなのか。和乃に何と言われたのだ、…あんな女子(おなご)の申すことをどうして素直に聞いたりするのだ…?」

 狭霧は春霖の訴えに、静かにかぶりを振った。

「和乃様は…私のために、このお話を譲って下さったのです。感謝しておりますわ…」

 …なっ…!?

 春霖には次の言葉をすぐに発することが出来なかった。狭霧は静かに面を上げると、花のようなやわらかい笑みで彼を見つめていた。


「陽の民」と言われる西南の集落の者たちは皆、褐色の肌に紅い髪…そう、春霖にあっても狭霧にあってもその血は濃く流れている。だが、西南には、誰にも楯突くことの出来ぬ恐ろしい一族が巣くっているのだ。春霖の両親である雷史と秋茜も、かつてはあの御方に翻弄された過去があった。 

 西南の大臣・邇桜(ニオウ)様――その名を聞いて、震え上がらぬ者はこの海底の地の隅々まで探してもいないであろう。

 西南の大臣家は古来より王族との関わりの深い家柄であった。従って、表となり裏となり、その政務に口を出す。西南の血を濃く王族に送り込むために姻戚関係を固くし、その結果、彼は現竜王の実の御父上としての栄華を誇っている。
 竜王・亜樹様は優れた御気性の方で、実家の圧力になど屈したりはなさらない。幼き頃から親元を離れ、御館暮らしをなさっていたと聞いている。あまり家への執着もないのではないのだろうか。実家から送り込まれようとする側女(そばめ)の話も全て断り、正妃様である沙羅様を唯一の妻として、仲睦まじく過ごされている。

 そんな優れた息子に対し、邇桜様の方は目を覆いたくなるような横暴な暮らしを今なお続けている。元より海底の地は一夫多妻制。高貴な身分の御方は正妻の他に幾人かの側女を持つのは当然のこととされていた。そうであっても、邇桜様の場合は尋常じゃない。

 好色であるとは言っても…あの御方のなさることは許される行為なのだろうか。何でも、自分の館に仕える侍女や下女をもののように扱う。あの御館に仕えた女子で御手の付かぬ者などいないのだ。御父上に似て、その息子たちも例外ではない。あまりの扱われように、遊女小屋に行く方がどんなにいいか知れないとまで言われているのだ。

 気に入れば囲われ、飽きればぼろ雑巾のように捨てられる。ただ、それをひとつの女子の生き方として気丈に立ち向かう者も中にはいるのだ。寵を争う陰湿な戦い、渦巻く私利私欲の底なし沼。

 女子のことだけではない。気性の荒い邇桜様の一族は、仕える者の些細な粗相ですら許さない。

 彼の虫の居所の悪い時に、衣にひとしずくの酒をこぼしてしまい、その場でその者は切り捨てられた。だが、それだけでは済まなかった。妻や子は家を追われ、路頭に迷った末、無惨な最後を遂げたと聞く。 

 身の震えるような話であるが、そんなことは日常茶飯事。誰も邇桜様に楯突くことは出来ないのだ。

 一度、あの御館の門をくぐり、侍女となってしまえば、もういつお務めが明けるかは分からない。宿下がりすら簡単に出来るものではないと聞いている。それが分からぬ狭霧ではないはずだ。他の女子たちより遙かに物事をわきまえている。先々のことまで分かり切っているだろう。

 西南の大臣家への出仕は、元はと言えば、和乃の実家が考えたことではないかと思われる。娘の都での浮き名にほとほと困り果て、しっかりとした伴侶も得ずその日暮らしを続けるのであれば、いっそ女子たちの争いの場で激しく生きたらどうかと体のいい三行半だったのかも知れない。それにもしも、邇桜様やその子息たちから寵を得れば実家の誉れにもなる。あの和乃には願ってもない役職なのかも知れない。

 ――だが、彼女はそうしなかった。よりによって狭霧にその役を押しつけてきた。名を書き換えて書状を送り、受理された。春霖の愛が自分に向かないことを狭霧のせいにし、全ての憎しみをどこまでも純粋な少女に向けていたのか。何という事だろう…弱き者に刃を立て、上の者にあげつらう。

 …分かっていたのに、迂闊であった。あの女を見くびっていたのは自分の思慮の浅さだったのだから。


「いいのか、浅ましい男たちの元で慰みものになって身を滅ぼすかも知れぬのだぞ? 他の女たちに毒を盛られるかも知れない…そんな恐ろしい場所に、どうしていくのだ? 俺を捨ててまで、行きたい場所なのかっ…狭霧っ!!」

 もう必死だった。今の春霖にとって、確かに邇桜様の存在は恐ろしい。だが、それよりももっと遠く得難いのが狭霧自身の心であった。

 いつもそばにいてくれると思っていた。まさか見捨てられるなどと考えたことがあっただろうか? 他の男との婚儀が決まってしまっても、自分が頼めば留まってくれるのではないかと甘いことを考えていたのかも知れない。ただの1日会えないだけで、寂しくてたまらなかった。もう狭霧は、とっくに春霖の身体の一部になってしまっていたのだ。

「若様には和乃様がお似合いです。…お里に戻られるのでしたら、気心の知れた女子がいた方が宜しいでしょう? お二人なら、きっとお幸せになれますわ。和乃様も心からそれを望んでいらっしゃいます…私などの前で、お別れするくらいなら儚くなってしまったほうがどんなにいいかと涙を流されました」

「…霧?」

 だが、狭霧の言葉はどこまでも穏やかだった。遠い未来までを眺める表情を春霖は彼女のものだと認識することがどうしても出来ない。

「本気で…そんな風に言うのか? ならば、どうなのか…? お前はそうじゃないのか…!?」

 誰よりも愛おしいのは狭霧だ。今ならはっきりとそう言える。

「俺はっ、嫌だぞ! 和乃も他の女子もいらぬ…! 霧、お前を唯一の妻にすると申したであろう? お前だけをこの先の全ての時間愛し抜こうと、俺は誓った。まさか、その言葉を信じてくれなかったのか…? 口先だけで申したのだと思ったのか…!?」

 声を限りに叫ぶ。どんな言葉で伝えれば分かって貰えるんだ、そう考えるのももどかしい。出来ることなら胸の中から臓器をえぐり出し、目の前にかざしたいほどだ。

「駄目ですわ、若様。私では…若様をお幸せには出来ません。それは…そんなことはもうとっくに承知しておりましたわ…」

 狭霧はそこまで言うと、にわかに顔を歪めた。すっと横を向くと、袂で顔を覆う。

「でもっ…、それでも、お側にいられるだけで十分だと思っておりました。だけど、もう駄目です…もう、私はこの先、若様のお側になどいられるはずもございませんわ…」

「…何故…?」

 

 今、この瞬間にさえ。

 春霖は狭霧の自分への想いを疑ってはいなかった。あの忘れられるはずなどない一夜。必死にすがってくる細い腕に抱きつかれ、確かな重みを感じながら、彼女の中に育っていた確かな心を感じ取っていた。

 それは、春霖にとって長い時間探し求めていたものだった。愛する者に求められる幸せはもう何ものにも代えられるものではない。狭霧なしで、この先を生きていくことなど出来ないのだ。

 夏の日差しが遠いもやの中。その霞の中に熱い想いさえも吸い込まれていく。どうやっても狭霧に伝えられない。もどかしすぎて気が狂いそうだ。

 

 虚ろに視線を泳がせる。その行き着く先、狭霧は揺れる瞳でしっかりこちらを見つめていた。

「…鬼が、おります…」

 押し殺した声が、低く聞こえた。あどけない少女の言葉とは思えない。でも確かに狭霧から発せられたものであった。

「若様もとっくにご存じであったはずです。私は、ただ若様のお側にいたくて、その想いだけで生きてきた女子でありました。若様がたくさんの女子様を愛されるのを知りながら、それでもいつか、もしもお声が掛かる日が訪れるかも知れないとそれだけを夢見て…早く大人になりたかった、そして…若様に愛される存在になりたかった…」

「…霧…」

 そんなこと、今更告げることもないのに。分かっている、狭霧の想いは。そして、自分の中にある深い愛情も知っている。繋がり合った心を大切に、これから新しい生活が始まるところではないか。そうではないのか?

「若様…、若様の腕の中で私は夢を見ているようでした。殿方に愛されることがどんなことなのか、絵巻物の世界でしか知らなかったのに…あんな風に、なるなんて信じられなくて。でも幸せでした、思っていたよりもずっとずっと若様はお優しくて。春の霞の中で、あのまま時間が止まってしまえば良かった…」

 ぽろぽろと押さえきれない雫があとからあとからこぼれ落ちる。何が悲しいのだ、その涙の訳が分からない。どうして、この想いが伝わらないのだ。

「何を言うのだっ、これからだってずっと一緒だろう? 誓い合ったのだ、俺とお前は誠の夫婦(めおと)になる。そして、この命の果てるまで共に過ごすのだ。どうしたのだ? …まさか、一夜限りだと思っていたのではあるまい…。大丈夫だ、案ずるな。これからお前の父・余市の元に正式に申し入れをするつもりだったのだよ? 里の父上や母上にもすぐに書状を送ろう、あちらに新しく住まいをあつらえて貰わないとならないし…」

「そのようなことっ…、無理ですっ! 私には出来ませんっ…!!」

 こちらの必死の訴えに、狭霧は耳を覆って泣き崩れる。どうしてなのだ、どうして分かってくれないのだ…!? 自分にはもう狭霧しかいないのだ、それをこうして伝えているというのに。

「若様のお言葉は有り難くもったいないことだと思っております。でもっ…一時のことですわ。お里に戻られればしかるべき正妻様を娶られて、その方と仲睦まじくお暮らしになるのです…。私など、すぐにお忘れになられます」

 心がすれ違っていく。狭霧は心を閉ざし、自分を拒絶している。

「そんなっ!! どうして、そのように申すっ…! 俺はお前だけだっ、これから先、お前しか…!」

 どうしてなのだ、今までのことを恨んでいるのか…だが、これからは違うのだ。狭霧以外の女子なんて愛さない。神に誓ってそう言える。あれほどの愛おしい存在を抱き留めてしまった今、もうどこにも行けない。

「…出来もしないことを、仰らないでっ!!」

 狭霧は激しかった。今まで春霖に見せたことのない様な感情をぶつけてくる。それが彼女の発する必死の想いだと分かるから、春霖も正面からしっかりと受け止めていた。受け止めはするが…どうにかして、自分の中にある想いもまっすぐに伝えたかった。

 …遊びなどであるものか。一時の気の迷いではないのだ。

「この先…もう、一夜として、若様を他の女子様の元に送り出すことなど出来ません。そんなことをしたら、お相手の方を呪い殺してしまうかも知れない。あんな風に…若様が私になさったように他の女子様になさるなんてっ…そんなことは当たり前だとしても、私には耐えられませんっ…! もう、お側になどいられませんっ、どんなに堪えていたとしてもいつか…私の中で鬼が暴れ出しますっ…!」

「…霧っ…!?」

 

 胸が苦しい、張り裂けそうだ。この痛みは何であろう…自分の心が泣いているのか? それとも狭霧の心が注ぎ込んできているのか…?

 どうしてなのだ、他の女子など愛せるはずもないだろう。狭霧を抱いてようやく気付いた、今までの女たちなど、微塵も愛してはいなかったのだ。一時の快楽のためだけに肌を合わせても虚しいだけだった。高くのぼりつめたそのあとでもしっかりと残る愛おしさを抱いた時、それまでの自分を呪った。これほどの幸せに気付かずに、今までどうしてさすらっていたのかと。

 

「お前だけだと、そう申したであろう? 父上にもはっきり言うぞ、俺の妻はお前だけだ。他の女など娶らぬ。そう誓う…だから、行くなっ、俺の元で生きてくれっ…!!」

 

 ゆっくりと、気の流れが止まる。今までやわらかく流れていた朱の髪が静かに地に戻っていく。王族の方ほどは長く伸ばしてないが、もともとの背が低いため、くるぶしの辺りまで髪が来ている。

 …誰よりも、愛おしい女子。腕を伸ばし合っても届かないほどの距離にあって、駆け寄りたいのにそれが出来ない。

 

「無理…ですわ。私は、若様の妻になどなれません」

 それだけ告げると。狭霧は途方に暮れた春霖の視線の向こうで、静かに足元の荷を拾った。



 

<<戻る   次へ >>


TopNovel玻璃の花籠扉>花の祠・11