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…あとがき…

 

 

 最後までのおつき合い、誠にありがとうございました。もうちょっとコンパクトにまとめるはずが、思いがけずに長くなってしまい、いつものこととは言え呆れられてしまいそうですね(苦笑)。このようなラストでご満足頂けたかどうかは、甚だ疑問ですが、まあそれはおいおいに皆様からの評を頂いて悟ることとして。今は書き上げたあとの自分の心に残ってることをつらつらと書き散らしてみようかと思います。あ、いつものように、ネタバレがありますので、これより先は、きちんとお話を最後まで読んでからにして下さいね。

 お話を一番先に思いついたときは、狼駕は「西南の大臣」である邇桜の息子でした。ようするに亜樹のお兄ちゃんになるわけです。欲に目のくらんだ、女には見境ない男が、ひとりの純粋な娘との出会いで改心していく――と言った流れだったわけですけど……いや、それはいくら何でも無謀だろう、あり得ないと思い直しました。
 それに、また西南の話を書くとなると「褐色の髪に濃緑の瞳」になるわけで、それもちょっとな〜。ただですら「気に入らない正妻」なんて出てくると「玻璃の花籠」と被るのに、いいよもう、これ以上は。たまには趣向を変えてみようと思ったら、自然に舞台は「南峰の集落」で決まりました。

 連載を進めていく中で「狼駕は可哀想すぎ」というご意見がちらほら出ていましたが、要するに元々の設定がこうだったので、痛めつけるだけ痛めつける話になっていたわけです。いやはや、とんでもないとばっちり。彼には苦労を掛けてしまいました。

「南峰の集落」のことはこちらでは「氷華の節」の満鹿、そして「花の祠」では狭霧の結婚相手の候補の男が出身でしたね。あと、「本家」では「君を呼ぶ風」でちょっと出てきます。西南などは都が近いですし、どっちかというと都会っぽいイメージですが、こちらはもうひなびた田舎の風情。感覚もひと世代くらいずれているような気がします。
 今回のお話は都との絡みがなかったため、どれくらいの時代?のことなのかはっきりさせていません。ただ、ある一定以上の身分のある男が妻を何人も娶るというのは健在の様子。そう言う意味でも、ちょっと目新しかったですね。
 狼駕は生い立ちが複雑なせいもあり、普通の豪族の跡目とは少し感覚が違うかも知れません。権力の上にあぐらをかくことがどうしても出来ない性格でしたから、このお話の結末は彼にとって幸せだったと思います。それに、あの調子じゃ、ほどなくして領主の権力も食いつぶされてしまうんじゃないかな? その憂き目を見ることがなかったのも幸いと言えるかも知れません。

 さて。お話が完結したあとは一体どうなっていくのでしょう? 多分、番外編や後日談を期待されている方も多いと思われますが(もはや、お約束になりつつあるし)、まずはしばらく余韻に浸って頂いて、それからにしたいなと思ってます(まあ、そんなにお待たせしないと思いますが)。ラストに濡れ場シーンのサービス(?)を……とも考えたのですが、いや、狼駕は瀕死状態だし。物理的に無理があるので諦めました。
 ふたりが流れ着いた里は、多分「あそこ」です。番外編では、他のお話のキャラも、ちらっと出てくるかも知れませんよ……? 色々と謎が多い場所ですが、今年中にその全容が明らかに出来るといいな。

 では、また新しい作品で皆様にお会いできる日を楽しみに。ふたりの未来に幸多かれと祈りつつ、お話の幕を閉じたいと思います。最後まで本当にありがとうございました。


2004年6月11日
『Powder Moon』管理人・Kara

7/26・ふたりの「その後」を書いてみました。宜しかったら「次へ」からどうぞ。

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