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「玻璃の花籠・新章〜瑞菜」

 

「このたびはわざわざのお招き誠にありがとう存じます。こちらが我が主よりの心ばかりの品となります、どうぞお納めくださいませ」

 優美な織りの衣装に身を包んだ使者は、主の名代として誰よりも先にご隠居様の元に参上した。いや、何も彼が人の群れをかいくぐって我先にと前に出たわけではない。その身なりから全てを察した他の招待客たちが、まるで静かに水が引いていくように彼のために自然と道をあけたのである。
  皆の羨望の眼差しを全身に受けながらも、使者には少しも臆するところがない。まるでそれが当然のことであると言うようにゆったりと歩みを進めていた。

「おお、これはまた……何と素晴らしい! まるで内から光を放っているかのように輝いておるぞ、それに今にも羽ばたいていきそうなこの躍動感はどうであろう。この世にふたつとない見事な仕事ぶり、心を洗われるとはこのことだろうか」

 深青の座の上に置かれた玻璃細工をひと目見た途端、それまでは悠然と今日の宴の主らしく控えていたご隠居殿も思わず腰を浮かせていた。
  あまりにみっともなくはしゃぐその声の響きだけで、繊細な細工を施された水鳥の羽が震えている。つがいになった二体が互いに寄り添うようにひとつの台座に留まり、雄の方は羽を大きく広げ、自分よりもいくらか小柄に造られている雌を周囲から守っているようであった。

 南峰は玻璃の産地として知られている。また、それを加工する職人も数多く抱えていると聞いていた。そのような地を治める大臣家とあらば、その手中にはかなりの品が集まってくるのであろう。急な支度で整えられた様子の品であっても、誰も彼もが目を見張るほどの仕上がりである。

 他にも金糸銀糸を織り込んだ反物や一抱えほどもある花器など、運び込まれた品はすでに数えきれぬほどに山となっていた。これには派手好きのご隠居殿もさすがに度肝を抜かれた様子である。品を改める途中からは言葉少なになり、とうとう終いには頭が痛むと座を退いてしまった。
  変わってその席に着いたのは瑞菜の祖母である奥方殿である。夫人はその口元に抑えても浮かんでしまう笑みを扇で隠しながら、礼を尽くした対応を見事にやってのけた。本来ならばこのような場合には瑞菜の父である今の御館殿が取り仕切るのが普通であろう。だが、またとない晴れの舞台を夫人が見過ごすことはない。

「そして、……こちらは我が主より中の姫さまへのお品にございます」

 最後に恭しく取り出されたのが、両手に余るほどに捧げ持たれた薄い桐箱であった。遠目には何の変哲もないように見えるそれも、間近に寄ってよく見れば細やかな細工が表面にびっしりと施されているのが分かる。
  ゆっくりともったいぶった手つきで開かれたその内側は薄紫色の優美な布張りになっており、柔らかな台座に置かれていたのは長く流れ落ちる趣向の見事なかんざしであった。もちろん髪に挿す部分もしだれ落ちる部分も全てが玻璃細工である。

「まあ……、これはまた」

 しばらくは口もきけぬほどの有様であった夫人ではあるが、ややあって己の立場を思い出したのであろう。だがいくら気負ったところで、溜息混じりにただそれだけを呟くしか出来なかった。

「せっかくのお招きでありますのに列席できないことを、我が主はとても口惜しいと嘆いておりました。普段は大人しい御方なのにまるでお人が変わられたようになられて、周囲の者も何事が起こったのかと呆れかえった次第でございます。しかし……無理もございませぬなあ。このようにお若くお美しい姫君、うかうかしていてはどなたかに先を越されてしまうでしょう」

 言葉は控えめであるが、夫人を見上げるその眼差しには揺るぎない自信がみなぎっている。それは後ろにに控えていた瑞菜からでも感じ取れるほど強いものであった。

「ですから―― こちらは我が主の真の心として受け取って頂けたらと存じます」

 夫人は震える両の手でかろうじてそれを取り落とすことなく受け取ると、静かに後ろを振り返った。

「―― 瑞姫、こちらへ」

 刹那、その場に控えた全ての者の目が自分に向けられた気がした。このたびの春の宴は瑞菜が知る過去のどれよりも盛大なものになった気がする。早朝より集まった客人たちは一時は通用門の外側まで列をなし、今はどれくらいの数になっているのであろう。だが、どのような場であっても恐れをなして逃げ出すことなど有り得ない。自らの務めを立派にこなすことは、心よりも身体が心得ていた。
  傍らの侍女の手を借りてゆっくりと立ち上がると、衣擦れの音も微かにしずしずと歩み出る。まだ夜も明けぬ内から髪をすくって結い上げ色取りどりの飾りを付けていた。見た目こそは美しいが、いくつも挿されてはかなりの重みとなる。まだ数刻しか過ぎていないが、すでに首の後ろがつれて痛くなっていた。しかし今は、それを気にしているときではない。

「本日の花舞には是非、こちらをお付けなさい。このようにもったいないばかりのお心を頂戴したのですから、お前も南峰の大臣家の跡目殿の御許に届くようにとくに心を込めて舞わねばなりませんね」

「はい、お祖母さま」

 このように浮かれた祖母を見るのは初めてのことだと瑞菜は思っていた。だが、それを表に出すことはなく礼を尽くして深々と頭を垂れる。

「このたびは遠路はるばるお越しいただきまして、誠に有り難く存じます。またこのようにたくさんのお品を頂戴致しまして、もったいない限りにございます。どうぞごゆるりと我が館の宴をお楽しみくださいませ。館の皆も御使者さまのお出でを心待ちにしておりました」

 春を告げて啼く山鳥の初々しいさえずりにも似たその声は、控えめにしかし大広間の隅々まで響き渡っていった。
  間近に姫君を見た使者は、ひときわ感慨深い表情を見せる。それはそのまま、最後に残ったひとつの鍵が跡形もなく外れる瞬間となった。

 

◆◆◆


「……お加減は如何にございますか、姫さま」

 先ほどまでつむりの辺りでさざめいていた侍女たちの話し声も途切れ、久方ぶりにゆったりとした心地が戻ってきたような気がしていた。複雑に絡み合っていた緊張の糸もようやくほどけてゆく。喉の奥は未だ鈍い痛みを訴えていたが、それもここ数日の間の辛さに比べればたいしたことではなかった。

「李津、なの?」

 うららかな日和に縁との境の障子戸は全て開け放たれている。外からの気の流れに直に揺れる几帳の向こうに、ゆらりと影が映った。

「はい、左様にございます」

 さすがに姫君の寝所までは入ることが出来ぬと言うのであろう。平素であれば侍女たちの目を盗んで部屋に上がることもある彼であるが、今は上がり口で控えたままだ。
  まあ、それも当然のこと。裳着を終えた良家の姫君は家人によって館奥に押し込められることが常であり、たとえ血を分けた兄弟であっても対面の折りには幾人かの侍女がその場に同席することになっている。これでは気の置けない会話など出来るはずもない。相手が身分の低い者であれば、それは尚更。口をきくことはおろか物陰から覗くことすら御法度とされている。

 頭ではとっくに承知していることであった。だがこのように心細い折には、ふたりを隔てるたった一重の薄い布ですら煩わしく思える。成人の祝いを終えてからのこの一年は、始終がんじがらめに張り巡らされた糸の中を進むような心地であった。祖母の厳しい監視の下、息苦しいばかりの毎日。そんな中で人目を忍びこちらを気遣ってくれる存在がどんなに有り難かったことか。

「今朝方からはだいぶ具合が良いみたい、頭の痛みもなくなってきたわ。あの気付け薬を煎じてくれたのはあなたね? 他の薬はただ苦いばかりなのに、あれはいただくたびに身体が楽になっていくわ」

 昨年の秋から新しく侍女見習いとして対に上がった三佐(みさ)という女子は、李津とは叔父と姪の間柄だ。彼の年の離れた次兄が名のある家の養子になったので、その娘である彼女も今の役職に就くことが出来たのである。生まれや育ちでその行く末が分けられてしまう、いくら新しい時代が訪れたとは言っても古い慣習はまだまだ各地に残っているのであった。
  面差しも幼くたどたどしいばかりのお務めであるが、珍しく歳の近い女子が近くにいることで普通の娘らしさを思い出すことが出来る気がする。年上のしっかりした侍女ばかりに囲まれていると、自分でも気付かぬうちに気が張ってしまう。もしかするとこれも里に下がった爺の心遣いかと思うとさらに穏やかな心地になるのだ。
  李津も自らが手を施せないと悟ると、無理をせずこの素直な姪の助けを借りることにしているようである。幼い頃からしっかりとしつけられてきたのだろう、穏やかに相手の気持ちを察することの出来る心優しい女子であった。決して多くは語らない、それは代々受け継いできた血筋であろう。静寂の中からにじみ出る暖かさが瑞菜にとって何よりの慰めであった。

「こちらの御領地の裏手になる山には貴重な薬草が多く自生しておりますからね。以前父に良く聞いておいたのがとても役に立ちました、そのお言葉を伝えれば父もさぞ喜びますことでしょう。今朝も新しく文が届きましたよ、このたびの宴の噂はたちどころに領地の隅々まで広まっている様子です」

 また爽やかな春の気が表より流れ込んできた。芳しい花の香が部屋奥まで漂っている。表の庭の華々しさが瞼の奥にまで広がってくるようだ。来年の春はもう自分はここにいない。季節はまた巡り再び花の季節が訪れても、遠き地でひとり忍ぶことしか出来ないのだ。

「……そう」

 唇が微かに動くだけの返答、そこに心を映し出すことはない。李津もそれ以上話を進めるつもりはないのだろう。しばらくは静かにその場に控えていた。

 

 すべてがめまぐるしく、想像していた以上に骨の折れる数日間であった。

  あのように大勢の客人の前で振る舞うのは裳着の式典以来のこと。さらにこのたびはめでたく南峰の大臣家に縁付くことになった幸運の姫君を一目見ようと言葉通りに黒山の人だかりとなった。たっぷりと用意した酒も料理もすぐに底をつき、使用人たちは方々を回って必死にかき集めたと聞いている。皆もたいそう疲れたことであろうが、全ての視線に晒される立場もそれに相応するものがあった。
  自分の一挙一動が注目されていると思えば、片時も気の休まることがない。琴や舞の披露だけでもかなりの緊張を伴ったが、それさえ済めばお役放免となるわけではなかった。名代とはいえ主の名を背負ってはるばるやって来た客人をもてなすのは婚約者として当然のこと。日に一度は大勢の侍女を伴って、祖父自慢の庭をご案内した。知らぬうちにかなりの距離を歩いていた気がする。

「このように非の打ち所のない姫君がいらっしゃるとは驚きました。お美しいだけではなく教養も深く全てに秀でておられる。我が主のお相手と決まる前でしたら、誰よりも先にこの私が名乗りを上げたでしょうに。まったく、このように据え膳をされては口惜しいばかりでございます」

 南峰の民は従順で人当たりが柔らかだと言われている。初対面の相手にもすぐにうち解け昔なじみのように接することが出来るのは、彼の中を流れる血のなせる技であろう。供の者も皆、十年来の知り合いのようにうち解け朗らかに相手をしていたが、当の瑞菜だけはどうしてもその場に馴染むことが出来なかった。
  すでに皆は前へ前へと話を進めていく。南峰の気候やそこに暮らす人々のこと、様々な行事や季節の移ろい。話を聞いていると彼の地はまるで全ての夢をかたちにした理想郷のように思えてくる。厳しい野分も冬の冷え込みもなく、そうは言っても夏の照りつけるような日差しからも守られているとはどういうことか。周囲からじわじわと固められていくような違和感を覚えずにはいられなかった。

 ―― だけど、そのようなこと。わたくしが口にしたところでどうなることでもないわ、周囲の皆が困るだけではないの。

 三日三晩も続いた宴。しかし、心待ちにしていた母との対面はほんの一瞬のことであった。花舞を控えて座しているときに、ふわりと後方から懐かしい花の香が漂ってくる。あまり急な出来事であったので、にわかには振り向いてその姿を確認することも出来なかった。

「どうしました、そのように気負うこともないでしょう。普段の稽古通りにすれば、きっと上手くいきますよ」

 少しばかり曲がった後ろの衿を慣れた手つきで正したあと、外れかけたかんざしを挿し直してくれる。そうしながら掛けられた言葉は、すぐ側に控えた供の者にも聞こえぬほどの静かなものであった。

「……母上さま」

 つい先ほどまでは確かに祖父の座する場所のすぐ側、縁者の席に父と共に座していたはずの御方である。本来ならば自分もその席に付くはずであったが、このたびはそうもいかない。祖母が片時も側を離れずにあれこれと用事を言いつけるので、なかなかお近くまで足を運ぶことも出来なかった。

「そのように心細いお顔では、せっかくの御衣装も可哀想ですよ。ほらご覧なさい、表の御庭の見事なこと。本当に……溜息が出るほどうららかな日和でありますね」

 優しい声に促されてそちらを見れば、薄桃色の花々が今が盛りと咲き誇っている。小さな花も大きな花も皆自分の力の限りに、どこまでも伸びやかに「今」を過ごしていた。誰の目があろうとなかろうとそれは少しも変わることはない。宴が終わり、人々が去ったあとも彼らの輝きは決して消えることはないだろう。

「さ、ご隠居様がお呼びですよ。どうぞお行きなさい」

 そっと背中を押されると、まるでその場所に羽が生えたように身が軽くなった。振り向けば、こちらを見守ってくださる優しい瞳。満ちあふれた幸福感がそのお顔に溢れていた。

 

「姫様もさぞお疲れにございましょう、ここは無理をなさらずしっかりと養生なさった方が宜しいですよ。宴での振る舞いは非の打ち所のないほどにご立派なものにございましたが、あまり頑張りすぎるのも考えものです。お輿入れをなされれば、始終あのような日々が続くのですから」

 宴の続いた幾日もの間、どんなに遠目に見渡しても李津の姿を確認することは出来なかった。こういうことは以前にも幾度となくあったことで、寂しいことではあるが仕方ない。きっと客人からは見えぬその場所で彼に任された務めをこなしているのだとばかり思っていた。

「そうね、……今までのように気楽な身の上ではなくなるのだから当然だわ」

 自分の心とは違う場所から、するりと言葉がこぼれ落ちた。幾度となく言い含められてきた戒め、それが己の深い部分にしっかりと根付いている。

 このまま時が止まってしまえばいいのにと願う心があり、またその一方では全てが滞りなく進んでしまえばいいのにと思う心もあった。息を殺して想いを押しとどめていれば全てをやり過ごすことが出来る。我が身に降りかかる火の粉は無理に払わずとも、いつしかわずかばかりのくすぶりを残し消え失せるのだ。

 ―― だがそれでは、この心はどこに辿り着けばよいのだろう。

 このたびの縁談がめでたく成立することで、両家にもたらされる恩恵はあまりに大きい。
  南峰の大臣家という格上の家柄と繋がりが出来れば、瑞菜の実家は周囲の他の領地に対してさらに大きな影響力を得ることが出来るであろう。もしも将来瑞菜の産んだ子が跡目に据えられることとなれば、その権力はさらに確実なものとなる。
  大臣家にしてみても、ただ与えるだけでは終わらない腹づもりがあるに違いない。瑞菜の家は表向きには西南の大臣家の重臣という家柄であるが、都の竜王家とも深い交流がある。身分を越えた強い心の絆は必ずや後々の助けとなろう。

 若き姫君の細い肩先に負わされるものはあまりに大きい。しかしそれを厭う理由も思いつかないまま―― 気付かぬうちに、自分も周囲もその日に向かって確実に歩み続けている。

「お祖母さまがご実家から戻られるのは明後日、それまでにどうにか普段通りに振る舞えるようにならなくては。その後は……きっと今まで以上に息つく暇もないほどの毎日が待っているのでしょうね」

 祖母のこのたびの宿下がりは表向きは大きな行事を滞りなく終えたあとの息抜きである。誰もがそれを疑わなかったし、祖母もあえて否定しようとはしなかった。
  だがそこにあるもうひとつの真実を瑞菜ははっきりと承知している。祖母は間近に控えた南峰の大臣家との婚儀のことをあれこれ相談に行ったに違いない。家を継いだ長兄は方々に顔が広く、その名を借りることで様々な面倒ごとが容易に運ぶことになると考えたのだろう。

 このたびの縁談ではあちらの方が格段に身分が上であるから、日程の調整などもあちらに言われるがままに従わなくてはならない。当初予想していたよりも、慌ただしく全てが取り決められていく。祖母が戻る頃には正式な日取りまで確定しそうな勢いだ。

「そのようにご無理をなさらずとも。初めから背伸びをしていては、いつか必ず立ち行かなくなる日が参りましょう。やはり物事は取りかかりが肝心です、父もよくそう申しておりましたでしょう……?」

 薄布を隔てた場所でゆっくりとかぶりを振る。この姿があちらにいる李津に届いているかは分からない。だが、それも構わないのだ。この想いは誰にも伝えることがあってはならない。

「大丈夫よ、本当に……このたびは少し疲れただけなのだから。わたくしは必ずやお祖母さまや周囲の皆の期待に立派に応えてみせるわ。そうでなかったら、今まで頑張ってきた甲斐がないじゃないの」

 ゆっくりと、自分に言い聞かせるかの如く言葉を辿る。与えられた役割をきちんとこなすことで、皆が幸せになれるならそれでいいではないか。祖父母は言うに及ばず、家が栄えれば両親も喜んでくれるに違いない。何もかもが上手くいけば祖母の母に対するわだかまりもいくらか解けて、この家には今よりも平穏な日々が訪れることになるだろう。
  家族の皆が幸せに暮らしてくれるなら、とても喜ばしいことだ。もしもそのとき自分がこの地にいられなくても、風の噂にでも是非伝え聞きたいものである。

 ―― それに、……母上のように生きていけば、きっといつか己の手にも大きな幸せが舞い降りることになるのだわ。

 西南の大臣様に言われるがままにあちらこちらに流され続けた母、しかし今は父の愛に包まれ穏やかな春の心地でお過ごしになっている。自分もあのお姿をお手本に、この先どんなことがあろうとも耐えて行かなくてはならない。

「しかし、それでは――」

 何かを言いかけて、李津はすぐに言葉を切った。

 慌てて一礼をした後、そのまま足早に場を退く。そして、あっという間にこちらからは姿を見つけることの出来ない植え込みの影に遠のいてしまった。

 

 程なくして、休憩を終えた部屋付きの侍女たちが賑やかに対に戻ってくる。耳をそばだてても聞き取れぬほどのひそひそ話を無理に追いかけることはせずに、瑞菜はまたとろとろと眠りの淵に落ちていった。

 

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