さかなの箱・あとがき

　こんにちは、広瀬です。とうとうここまで来てしまった皆様。本当にお疲れ様でした。

　…いやはや。ようやく辿り着きました、完結編です。本当に長いおつき合いをありがとうございました。単なる読み切りのつもりで書いた作品が、思いがけずシリーズ化して。途中に中断はありましたが、どうにか書きたいお話を全て消化致しました。ここまでの道のり。読者の皆様も長かったと思いますが、書いてる私の方にとっても長かったです。

　お話を書きながら、言いたいことは全て消化してしまいますので、あまり「あとがき」は残っていないのですが…ほんのちょっとだけ、思いついたことなどを話してみたいと思います。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ *** ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

　どうしてか、分からないのですが。私は「水の中」が好きらしいです。それと同じように、水族館とか、もっと手軽だとペットショップの観賞魚売り場とか…そういうのを眺めるのも好きで。あと、とても不思議なんですが…「本屋さん」に入るとね、何故か自分が魚になった気がするんです。すごく気持ちが良くて、ああ、解放されたなと思うんですよね。本棚の間を泳ぎながら、ぼーっとする時間が好きです。「やっと、呼吸出来た」って気持ちになる。水を得た魚だ、と感じてます（でも、これを妹に言ったら、同じく活字大好きの彼女は「本屋は森」と言いました。人それぞれらしいですね～）。

「さかなの憂鬱」…どうして、こんなタイトルなんですか？　とたくさん聞かれました。多分、聞かないまでも「なんじゃ、こりゃ？」と思った方はほとんどじゃないかな…。「さかな」と「かなみ」を引っかけた、と言うのもあります。２作目の「さかなの国」で、こうちゃんが花菜美に話した言葉もかかっている気がする。

　でも、一番これが近いかな？　と思うのは…やはり先ほども言った「水を得た魚」という感覚じゃないかな？

　恋愛というのは相手のことがとても好きで、完ぺきな人が存在して、それで進んでいくのかなと思ってました。あ、そう言う人もいるかも知れない。人それぞれだし。消化出来ないくらいものすごく愛されている人、とかもいるんだろうな…。だけど、少なくとも私の経験した恋愛は、そんな簡単なモノじゃなくて。びっくりしたり、むっと来たり、必死で我慢したりすることもたくさんあって、それでも「大好き」の比重の方が重いから、だから続けているって感じです。ただ…「諦める」というのとは違う。その根底には確かに「好き」があるから、しがみついていられる。

　花菜美が作中で何度も言ってますが、本当にこうちゃんは彼女にとって、「特別」だったのですよね。

　こうちゃんみたいなキャラは、昔の私の作品には出てきませんでした。何を考えてるか分からない人間なんて、面倒だし分かりにくいし嫌だなあと思ったのですよね。かゆいところに手が届くような、心の奥底まで理解してくれるような人が一番いいと思ってました。
　それが、「さかな」を書いてみて。「こうちゃんって、いいね」と言われて。「あらやだ、私以外にもこうちゃんがいいと思う人がいるのねっ！？」とちょっと、どぎまぎ。やだな、やばいわ。こうちゃんの良さを理解してるのは私だけのつもりだったのに～と、ちょっとジェラシーかも知れません（笑）。

　こうちゃんは、私にとって、誰よりも何よりも大切な人がモデルになってます。だから、私はこうちゃんの素敵なところだったら、たくさんたくさん思いつくと思います。ふふ。

　そして、花菜美の思考回路はほとんどが私と同じ。ただ、考えて文章を綴っていると言うよりは、無意識の中から取りだして行くような執筆でした。ピアノを暗譜で弾くときに、脳と指が直結して知らないウチに指が動くでしょう？　それと同じように、キーを叩いてると花菜美の気持ちが見えてくる。あらやだ、こんなことを考えていたのねっ！？　とか恥ずかしくなることも多かったです。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ *** ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

　こうちゃん兄弟と親戚との確執（という程のものでもないが）、実はシスコンの花菜美のお兄ちゃん…あと、強烈な割に影が薄かったゴンちゃん…花菜美のママも結構、書いたら楽しそうだし…。取りこぼしはいくつもありますが、それらが今後、番外編で出てくるか否かは…ちょっと不明です。

　今まで、本当にありがとうございました。そして、ここまで来てくださった皆様。もしも宜しかったら…BBSでもメールでも何でも構いませんので、ひとこと仰ってくださったら嬉しいです。

　ひとつ山を越えたので、また、新しい登山を開始です。次の山も結構難関。さてさて。うっすらと見える山頂目指して頑張ります。もしも…お気に召しましたら、また、新しいお話もお楽しみ下さいませ。

２００３年３月３１日
『夏色図鑑（旧・おひさま☆パフェ）』管理人・広瀬もりの

<<BACK

Novel index＞さかなシリーズ扉＞さかなの箱・あとがき