TopNovel「11番目の夢」・扉>11番目の夢・5



…5…



 二人の周りに立ちはだかる林のようなもの。それが日々迫ってきている気がした。自分の隣りにいる人は気にも留めていない感じだ。それだけ忙しいとも言える。秘書として見ていても、惣哉は忙しすぎた。学園での仕事に加えて、出張もある。その合間をぬって、今回の業務拡大に関しての課題がある。

 彼は頻繁に様々な機関の人間と接触していた。それは今までに馴染みのなかった医療関係や介護関係の人々で。そう言う立場にある人に会うときには惣哉は前もって下準備を忘れない。ある程度の情報を持って臨んだ方が話し合いがスムーズであると知っているのだ。相手も自分のことを良く知っていてくれる人間だと分かると好感を持ってくれる。人当たりのいい人間だと思っていたが、その奥にはたくさんの努力があったのだ。

 千雪もそんな惣哉の傍で、自分に出来る限りの手助けをしていた。大学を出たばかりの素人ではそれほどの助力にもならないかも知れない。でも、役に立ちたかった。学園内の権力分布の実体も必死で把握しようとしている。職員、役員…保護者会。出入りの業者。無数に張り巡らされた交流の糸をたぐり寄せる。惣哉の行動がわずかばかりでもスムーズに運ぶことを願っていた。
 そして電話の応対や接客の世話をしながら、何となく役員の中にある様々な思惑に気付いてきた。

(…やはり、橋崎同窓会長様が一番の柱でいらっしゃるんだろうな… )

 同窓会長の物腰はどこまでも穏やかだ。外見の堂々とした風格を考えなければ、表向きの空気は惣哉とたいして変わらない気がする。

(でも、それだけであるわけはない…)

 眉間にきりきりと痛むものを感じだ。疲れているのだろうか。

 

「肩、凝ってるでしょ?」
 急に背後から声がして、ハッとした。閉じていた瞼を開ける。

「あ、ごめん。もしかして、私…寝てた?」

「…ちょっとね」
 くすくすとユニセックスな声色が笑う。細かいウェーブの赤茶の髪の男性が鏡越しに千雪に微笑みかけた。

「どうしたの? やっぱり大きなお屋敷は気を遣う? 例の御曹司とは上手く行っているんじゃないの?」
 こんこんと軽く両手を使った肩たたき。筋肉をほぐしてくれる。じんわりとそこが暖かくなっていく。

「ちゆがそんなご大層な家で小さくなっているのは可哀想だなあ…だから言っただろ? 俺を選べって…」

「タクミ君!!」
 千雪は鏡越しにキッと睨んだ。赤毛の男が首をすくめる。

「もう、すぐにそう言うことを言うんだから…」
 ふくれて睨み付けるとますます幼く見えるなあと確認しつつ、意思表示する。

「仕方ないわよお〜〜」
 右手の方から鏡の中に入ってきたショートカットの女性が口を挟む。

「仲間うちの男子は皆、ちゆ狙いだったんだから。今更、怒る気にもならないわ…」
 そう言いながら、コーヒーのカップを差し出すこの人は実はタクミの奥さんだったりする。

 千雪は仕事を早めに引き上げて、定期的に訪れている美容院に来ていた。高校生の頃の同級生が親戚の家のお店を譲り受けたもの。千雪は今、肩を叩いてくれているタクミが修行中の頃からカットモデルにされていた。今も新しい整髪料やらトリートメントやらを試すときに呼ばれる。

「ちゆのふわふわの髪は扱いにくいから。そう言うので試しておくと、他のお客様のときに楽なんだ」
 彼はそう言う。まあ、千雪としても忙しい日常からちょっと離れてここに来る時間が嬉しかった。微妙なイントネーションのお国言葉。柔らかい空気。東京暮らしに慣れたからといって、時々は息が詰まることもある。

「もお〜、瑞穂ちゃんは余裕でいいわね…」

「だって、妻ですもの〜〜〜」
 ショートカットの女性、この瑞穂も同郷の仲間だ。小さな田舎で小学校からの顔なじみ。タクミが高校在籍中に単身で上京してしまったときに、後を追っていってしまったのだからなかなかの情熱家だ。二人とも高校は中退している。
 千雪は中学の頃、タクミに告白されたことがある。もうびっくりして、返事をすることもなくそれっきりになってしまった。そう言う対象で見てなかったから、そんなこと言われてもどうしていいのか分からなかった感じだ。それでもこうして今でも友達として付き合ってくれる。それがとても有り難かった。

「ああっ、ちゆだ〜〜〜」
 ばたばたと裏の方から、足音がした。小さい男の子と女の子が走り寄る。

「駄目だよ、ちゆは今日はパパのお客さんなんだから」
 タクミが慌てて、千雪の座っている椅子を回す。そこに子供達がしがみつく。

「じゃあ、お客さんするのが終わったら遊ぼ!! 約束だよ〜〜〜」

「ほらほら、あんた達!! ビデオはどうしたの?」

「飽きた〜〜〜〜」
 瑞穂が苦笑いしながら、裏に子供達を押し込んでいく。

「…まああったく。うるさいばっかだわ、仕事の邪魔ばっかして」
 タクミは千雪の頭のタオルを取りながら言った。でもその顔は全然、嫌がってない。千雪はおかしくて仕方なかった。

「でも、可愛いわ…」

「ちゆだって、すぐに出来るでしょ?」
 櫛を入れながら、さり気なく声を掛けられる。

「…え?」

「何だよ、その意外そうな顔。だって、結婚するんだろ? その御曹司と。そうすりゃ…」
 千雪のきょとんとした表情があまりにもおかしかったんだろう、タクミが声を上げて笑う。明るい、邪心のない笑顔。この人に会うのは楽しい。心が解放された気がする。

 …じゃあ? いつもの私って…どうなってるの?

「…ま、金持ちは色々難しいんだろうからな。俺と瑞穂なんか『結婚しましょう、そうしましょう』って、すぐに決まりが付いたけど。ちゆたちはそう言うわけには行かないんだろうからなあ…」
 口は動きながら、ちょきちょきとはさみが入る。タクミは今ではこの道の若手の中ではなかなかの腕前であるという。色々なコンクールで入賞するし、留学の話すら来るそうだ。店を切り盛りしながら、グラビア撮影などの出張の仕事も受けている。最初は彼の名前が小さく記された雑誌を買ったり立ち読みしたりしたが、この頃ではあまりに数が多くて追いつかない。

「でもさ」
 後ろから覆い被さるように身体を密着させて、頬を寄せる。千雪の右と左の髪を鏡で確認して、ひとつ頷いて。

「ちゆは…幸せになった方がいいよ?」
 さり気なく身体が離れた。

 千雪はその時のタクミの瞳に何かを感じて、たまらない気持ちになった。

 そうなのだ、昔からの友達はみんな知ってる。千雪の父親の病気のことも、それが元で別れた恋人のことも。人前では気丈にしていたが、仲間うちでだけは本音で付き合えた。そう言う場は千雪にとってこの仲間の前しかなかった。

「王子様にはっきり言わなくちゃ駄目だよ、千雪がこんなに疲れているのは珍しいよ。肌も荒れているしね…きっと食欲とかも落ちているでしょう?」

「う〜ん…」
 千雪は困ったように首をすくめた。

「自分では分からないわ、本当に良くして頂いてるから…」

「…それはそれは…ごちそうさま」
 タクミのそんな言葉に千雪の胸がちくりと痛んだ。

 惣哉の屋敷で世話になっていることは話していた。でもその先のことはどうしても言えないでいた。惣哉に10年来の付き合いの恋人がいたこと、そして今も婚約者と称する女性が自分の他にいること。このまま、話の流れようによっては、彼女が惣哉の妻として収まるかも知れないこと…。

 実際、橋崎同窓会長が自分の方を見るたびに、身の縮まる思いでいた。知っていないわけではない、自分と惣哉がただならない関係であること。そして、今回のディケア施設の話も千雪がいなかったら起こるはずもなかった話であることを。
 何も行動を起こさない、だからこそ怖い。いっそ、村越夫人のように罵ってくれた方がどんなにいいだろう。

 …どういうつもりなんだろう?

 惣哉に相談できることではなかった。彼は同窓会長の娘との縁談は白紙撤回したと思っているし、何より忙しすぎる。とても千雪自身の悩みなど相談できる感じではなかった。心配掛けたくなかった。

「ちゆ、ひとりで頑張りすぎだよ。俺達はみんな、ちゆのこと大好きだけど…もうちょっと頼って欲しいなと寂しく思うこともあるよ」

「うん…」
 軽く瞼を閉じて視界を遮る。眉間の辺りが重い。この頃、ずっとそうだった。

「ちゆ、いつかのおまじない、覚えてる…?」
 タクミが整髪料を髪に馴染ませながら、柔らかい口調で言った。

「ほら、ちゆが…ドレスアップした日の奴。…それを、思い出してよ?」

 千雪は一度目を開けたが、もう一度ぎゅっと閉じた。ゆっくりと思い出す、あの日のこと。

 

◇◇◇


 あの日、千雪は別の女友達から特別に安く借りることが出来たドレスを持って、ここを訪れていた。綺麗にして貰うために。一度だけ、彼に、惣哉にぴったり似合うような素敵な淑女にして貰うために。

 何をしても、どういう訳か上手く行かない。それが育ちの違いと言うものだろう。彼は学園の副理事長で、自分はその秘書で。そんな間柄でありながら、お互いがお互いに何となくしっくり行かなかった。
 誕生日に抱えきれないほどの大きな花束を貰って、どうしていいのか分からなかった。こんな大きなもの、持って帰れない。持って帰ったところで一人暮らしの小さなアパートで、自分以外見る人もいない。気温の高い陽気で、あっと言う間に枯れてしまうだろう。そんなの可哀想だ。
 だからたくさんの人に見て貰いたいと、学園内に飾ろうと思った。なのに、あの時の惣哉のがっかりした顔。胸が締め付けられた。もしも、自分が家族のいる家から通っている娘だったら、大きなお屋敷でたくさんの人間が出入りするような家の人間だったら…どんなに嬉しく受け取っただろう。きっと今まで惣哉が接してきた人間達はそんな人々だったのだ。…悲しかった。

 ほんのりと憧れていた人。少しでも近づきたいと思った。でも必死で寄り添おうとしても息切れしてしまう。たとえば彼の往年の恋人の一籐木のお嬢様、咲夜のように。そして婚約者である橋崎同窓会長の娘、朱美様のように。あんな風な女性だったら良かった。全てが違いすぎた。

「一緒に行かない?」

 優しい瞳でそう誘われたとき、それがただの御礼だと分かっていても嬉しかった。気の置けないアンサンブルのディナーショー。一度でいいから、素敵なヒロインになりたかった。ホンモノの、恋人同士みたいに。

「どうしたの? 浮かない顔をしていたら、駄目じゃない?」
 あの日もひょうひょうとした口調でタクミは言った。耳元でくすくす笑いが聞こえる。

「俺の腕は完璧なんだよ? 今のちゆは世界中で一番綺麗だよ…でも、そんなに悲しそうな顔をしていたらせっかくのドレスもメイクも…全然良くない」

 そうは言われても。鏡に映る人形のように飾られた自分が果たして惣哉に似合うほどの娘になれているか分からなかった。彼がいつも接している上流階級の淑女達に較べたら、情けないだけじゃないだろうか。がっかりされたら、どうしよう。せっかく誘ってくれたのに…。

「ちゆ」
 タクミが千雪の肩に手を置いた。そして呪文のようにゆっくりと言う。

「これから、私の一番大好きな人に会いに行く。一番大好きな人が、自分を待っていてくれる。…そう呟いてごらん?」

「…一番…大好きな、人?」
 鏡の中の自分がためらいがちに唇を動かした。

「そうだよ、会いたくて会いたくてたまらない人が、ちゆのこと待っててくれるんだ。ちゆのことだけを待っていてくれるんだよ。それで、いいじゃない。ちゆの心がホンモノなら。それが一番大切なんだよ?」

「うん…」

「その人のことで、心をいっぱいにして、余計なことは考えちゃ駄目だよ。この世にはちゆと王子様と二人しかいないんだ」

 

◇◇◇


「忘れちゃ駄目だよ、一番大切なこと。難しく考えないで…」
 ゆっくりと地肌のマッサージ。身体の凝りをほぐしながら、心の凝りがほぐれていくみたいだ。

 一瞬だけ、ふっと気が楽になった。

「さて、出来た。どう…?」
 そういいつつ、タクミ本人はいたく満足している様子だ。得意になっているときの彼のクセで顎から頬を手でさすりながら、何度もうんうんと頷いている。

「あらあ、完了ね?」
 そこに仕事着を着替えた瑞穂が再びやってきた。千雪の前にあったカップを片づけながら言う。

「これからチビどもと買い出しに出るんだけど? 学園の方を通るから、送ろうか? うっさいのは一緒だけど…タクミはスタジオなんだよね?」
 今日はもう店じまいらしい。千雪が来たときには表の看板を下ろしていた。夕方からはTV局に入ることも多いようだ。結構名の知れた芸能人のヘアメイクも手がけると言う。

 さりげない目配せで、ちょっと肩に置いた手でコミニケーションをする2人を千雪はまぶしそうに見つめていた。それから誰にも聞こえないようにひとつため息を付いて、静かに言う。

「ううん、今日はまだ寄っていくところがあるの。ありがとう」


 回転椅子からぴょんと飛び降りると、小さなバッグを受け取った。丸いカッティングの可愛い形のショルダーはさり気ないライトブラウンでどんな服装にもよく似合った。千雪は1年のほとんど、そのバッグで過ごしている。傷ひとつない革の表面をなでると肩から下げた。大した重さもなくしっくりと収まる。

 

 駅への歩道を歩きながら、ショルダーの揺れを肩で感じる。このバッグは千雪が東京の大学への進学が決まった春に、父親から手渡されたものだった。

 何の言葉もなく、無言で手渡された。ラッピングも何もないバッグ。丁寧な仕事で作られていたが手にした感じでそれが手作りであることに気付いた。趣味でその道に精通した人が時間を掛けて作ったものに違いなかった。
 このバッグが誰からの贈り物で、どういう経緯で千雪にもたらされたのか…それを聞くことはとうとうなかった。あの時、何となく聞けないままになってしまい、次に実家に帰省したときにはもう父親の痴呆が始まっていたのだ。それでも小柄な千雪のことをきちんと考えられて作られたそれを手放すことは出来なかった。いつもいつも一緒にいた。

 時計を見る…4時半。大丈夫、時間は間に合う。そう思って空を仰いだ。薄ピンクにそまった天井から西の方角にだんだん赤へのグラデーションが続いていた。それを横切るように鳥の一団が流れていく。高いところを飛んでいるので種類は分からない。ねぐらに帰るのか、それとも南に渡るのか。


 千雪は足を止めた。ショルダーの紐を握りしめる。細くて頼りない肩ひも。それが今の自分の立場みたいだった。

 

◇◇◇


 …また。

 次の日、学園を定時で上がってまっすぐに引き上げてきた千雪は、東城の屋敷の前でふううっとため息を付いた。シルバーの車が仰々しく横付けされている。存在を大きく誇示するように。
 昨日と変わらず、ショルダーを肩から下げて仕事着でいた。ひとつ深呼吸すると、一歩踏み出そうする。その途端に、ばたんと目の前の大きな扉が乱暴に開いた。

「…まあ!!」
 屋敷の外まで響き渡るような大声が響く。それが自分に向けられたものだと言うことに、数秒後気付いた。

「村越様…」
 千雪はひとつふたつ瞬きしながら、ようやく受け答えした。とたんにキッと睨み付けられる。

「ああ、お目にかかりたくもない人に会っちゃったわ!! なあに!? あなた、まだここをうろうろしてたの? いい加減にしなさいよね!!」
 さらに畳みかける。

 呆然としながらも、千雪は彼女がかなり立腹していることを察した。ぴりぴりとした空気が痛いほど伝わってくる。
 村越夫人は千雪の頭のてっぺんから足の先までをとげとげしい視線で舐めるように何度も往復してから、やがて口元を上向きに持ち上げた。好意的なものではない、蔑んだそれだった。

「まるで、安っぽいおもちゃのようね。まあ、子供は誰でも一度は見てくれのいいだけの安物に心を奪われるものだわ。惣哉も今まさにそんな気分なんでしょうよ」
 勝ち誇ったような笑みを浮かべる。自分を上にして、千雪を見下した視線。

「あなた…卑しい身分だからって、やって良いことと悪いことがあると思いますけど? ご自分のなさっていることをお分かりなのかしら?」
 つやつやと光る紅い場所が形を変えながら、次々と千雪の心をえぐる。答えられなかった。それに満足したように夫人はさらに続ける。

「惣哉に取り入っていい気になっていらっしゃるのね? …それで上手く行くと思ったら大間違いですわよ? あなたと橋崎様とはまったく立場が違うでしょう? 分かっていらっしゃるんでしょうね…東城の家には橋崎様のような素晴らしい御家がお似合いなの。一人前のオトナだったら、それくらいのことはとっくにご存じでしょうね!!」

「あ、あのっ…」
 何か、言わなくてはと思った。でも言葉が続かない。

「…朱美様から伺ったわ、あなた惣哉を電話口に出さないんですってね? 意地の悪いこと!!」

 黙ったまま、目の前の人を見つめた。もう何も言葉を発する気にもならなかった。

「所詮は安物のおもちゃよ。どんなに張り合って見たところで、ホンモノのすばらしさには敵うわけもないの…惣哉だって、今に目が覚めるわ。その時にご自分が辛い思いをしないように。さっさと本来あるべき場所にお戻りなさい…東城はあなたなどがいる場所ではないのよ。不釣り合いにもほどがあるわ」

 チャリンと、キーを鳴らして。ヒールの音も高らかに千雪の横を通り過ぎていく。千雪はそこから一歩も動けなかった。まるで根っこが生えてしまった如く。

 肩先をかすめて脇を通る瞬間に、吐き捨てるように夫人は言った。

「…覚悟しなさい、今にここにはいられないようにして差し上げるから!!」

 さらさらと夕風が吹いて、頭上の小枝を奏でた。昨日整えたばかりの髪がふんわりと揺れる。でも千雪の心はカラカラに渇いていた。

 

 どれくらい、時間が過ぎたのだろう…?

「…ちゆ先生?」
 背後から、ためらいがちに声が掛けられた。

「…あ」
 ふらふらと向き直る。何をしたわけでもないのに、体中の力が抜けていた。

「どうしたの? 今の村越ババだろ…相変わらずスゲー運転だよな。アレで本当に大病院の院長の奥さんなのかよ…ちゆ先生?」
 夏服と冬服の間に着る中間服を着込んだ朔也が心配そうに千雪の顔を覗き込む。180センチは固い朔也に自己申告150センチの千雪。

「また、あのババはちゆ先生に何か言ったんだろ? 本当にあったまくるんだよな〜いつまでもここを牛耳っていて気に入らないの」
 朔也はしゃあしゃあと言ってのける。そう言う彼だって、東城の家の居候なのだが。

 千雪がようやく青白くなった顔を上げたとき、朔也の背後に隠れていた人がすっと姿を現した。

続く(020628)

 

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