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 【更新履歴】 サイトをリニューアルしました。過去のHPもリンクを残しておきますからね。

  


■ 劇場版のエヴァンゲリオン、「破」 2009年 7月 10日 (金)

パチスロ「緑ドン」に対峙し、結構な枚数の福沢諭吉のプロマイドを消費して得たコインがぺロりと飲まれた時、ふと本日が7月の10日であることを思い出した。

毎月10日は近所のシネコンで1,000円で映画が観れる日。レイトショーであれば通常でも1,200円で観れるのであるが、そういうイベントを効率よく利用しないと、日々会社とホールと自宅を行き来する、全く文化的でない人生を送ることになるので、結構な割合で10日という日は映画を観るのである。

そういえば会社の女の子が、今やってるエヴァンゲリオンが面白いと言っていたのを思い出し、「もおう、本当に卒倒ですよ、卒倒!」とまで評価していたので、今日はエヴァでも観てみようかな?と思い、財布を覗くと野口氏のプロマイドが数枚。「緑ドン」を続けるにはあまりにも心元ないが、映画を観るには十分すぎる枚数。これも何かのご縁、ということで、門前仲町のホールを後にして、ひと駅先の自宅最寄りの駅のシネコンに足を運んだ次第である。

私もスロッターのはしくれ。まごころ、約束とパチスロ「エヴァンゲリオン」では小役カウンター片手にベルだのスイカだのをカウントしていた男。液晶に映し出されるキャラは一通り認知している。テレビアニメは当然、前作も観ていないが大丈夫だろう。

まあ、ガンダムみたいなもんだろ?バッチこい、である。



映画マニアを気取ってはいるが、本当に私はアニメ映画を見ない。
ガンダムだって、まともに見たことがないのである。
宮崎アニメなんて最たるもので、ポ〜ニョポニョポニョなどと、私のお腹周りの効果音のようなテーマソングのアニメなんて誰が見るのか?と本気で首を傾げているぐらいで、ルパン3世以外は見たこともないし、これからも見る気もない。

アニメを映画館で見るのは「東映まんがまつり」以来、十有余年ぶりだったのだが

…甘かった。本当に甘かった。



いつも10人いれば大入り満礼の地元のシネコンが、なんと9割ぐらいの入り。

シネコンというのは座席指定である。いつも端から2席目3席目あたりを陣取り、左に荷物、右に食物という布陣で映画に臨むのが常なのだが、左隣りに非常に残念な感じのカップル2名。右側にはアキバ系を絵に描いたような男連中6人組(6人で映画に来るなよっつ!)。つまり私の列は満席。新幹線のぞみ号で3人掛けの真ん中B席のような状態で拘束されることを余議なくされた。

右隣りは妙にガタイがよく、期待を裏切らない展開であるところの汗臭い男が座り、左隣りは残念なカップルの女のほうが座っているのだが、本当に残念なことに、その女はワキガであった…

さて、そんな過酷な環境下で映画が始まるのだが、
汗とワキガのニオイがミックスされたアウシュビッツの毒ガス室のような環境を忘れるほど、秀逸な出来栄えに驚く。いやいや、凄い迫力。凄い表現力。

残念ながらさっぱり意味がわからないのだが、
意味がわからないのに興奮できるというのは、考えてみれば凄いことである。

藤子不二雄アニメで止まっている私の認識からすると、しずかちゃんやパー子的ポジションだと思い込んでいた登場人物のおっぱいぷるんぷるん、おしりプリンプリンな感じがどうも苦手であるが、新鮮な驚きである。

バトルが始まればボガーンとか、ドガシャーンとか、凄い迫力である。

常に
だから何?
とか

アンタ誰?
とか

頭の中から?マークが離れることがないのだが、親切なばかりが映画ではない。
最近のハリウッド映画の「伏線の回収」「盛り上げるところで盛り上げる」的な、決まり切った展開に飽きてきた身としては、純粋に楽しめたよ。

つまりアレだ。
実際のパニックというのは、わけがわからない、ということなんだろうね。

何が何のために攻めて来ている、とか、何の目的で戦っている、とか、当事者はわからないままパニックに対峙している、と、そういうことなんでしょ?

好きだ嫌いだ、とか、女の子とかおっぱいとかにドキドキしながら、わけのわからないまま変なのと戦ってる、というのは、多感な少年に限らず、男ならなんとなくわかるよねえ。

アドレナリンが出すぎると、自我がなくなっちゃうよね?俺にもあるもの。覚醒っていうの?俺の場合は大抵パチスロで突っ込んじゃうだけだけど、後で我に返って、なんかスゲーパワー出てたなあ、って。

さて、そんな風に、わかったふりして宇多田ヒカルのテーマに乗せてエンディングロールを迎えたあたりで、隣のワキガ女の彼氏への一言。


「私、泣いちゃった…」


ど、どこで?

■ ipodの思い出 2009年 7月 5日 (土)

時に7月。
昨年4月に正社員化されてから2年目、3回目のボーナスが支給されたのが先月の末のことである。しがない時給生活からの転身ゆえ、さほどの金額が支給されるはずもなく、諸々の支払いやら、滞納しているものを整理している内に、ややもすると貰ったことすら忘れるぐらいの残高しか残っていないことになるのであるが、ここはやはり半年頑張った自分へのご褒美、と、むりやりデジタルなデバイスなどにでも投資してみようと、やれプリンタやら周辺器具に思いを馳せているところに、K君が「ミュージック・プレイヤー」を物色しているという連絡を受けたのである。

「そうね、ソニーからも気合いの入ったプレイヤー(NW-X1000)が出てるし…」

話をしている内に、自分もそろそろ新しい携帯プレイヤーでも物色しようか、という気分になって来ているのであるが、まずは彼に中立かつ的確なアドバイスができるように、と、頭の中で色々な機種を思い浮かべていると

ipodに興味があるんだけどもね」とのことである。

(ああ、こりゃ中立なアドバイスはできないなあ)と反射的に思った次第。

K君からすると「なんのことやら?」って感じだったと思うが、実は私、ipodが生理的にキラいなのである。チャームナップを使ってもバファリンを飲んでも、こりゃどうにもならないことなのである。生理的?いやいや思い返せば私のipod嫌いに加速をかけた出来事が、そういえば数年前にあった、と、ふと思い出した。

もう2年か3年か前の話になるだろうか?

とある友人が結婚する、という話になり、新郎も新婦とも付き合いのある私が二次会の出し物の企画を手伝って欲しい、という依頼を受けたわけである。そこは気心の知れた共通の友人数名か、もしくはバリバリに仕事のできる私一人が淡々とこなした方が効率よく手配ができるのに違いないのだが、自分達ばかり幸せになって申し訳ない、という気持ちの新郎新婦が、各々の男の友人と女の友人数人にお願いしようと、(余計な)気を利かせてきたことに、端を発したのがこの話。

まあ私は一応新郎の友人ということで名を連ねたのであるが、その打ち合わせを渋谷でしよう、と、指定された日時、貴重な土曜日の夕方に、こじゃれた渋谷の飲み屋のようなところで待ち合わせ。私にとっては面識のない男4人と女性5名とご対面である。

「すいません、仕事帰りなもので。」と休日なのにバッチリ、スーツに身を包んだ奴がいたり、帽子にダボダボな洋服に身を包んだ、見るからになんちゃってラッパーのような男がいたり、と、二次会の打ち合わせだというのにヤル気満々の面子構成が初っ端から私を疲れさせたものである。合コンと違って、チームプレイというか、連帯感が期待できない状況で、自分を良く見せようと前に出てくる奴らの相手をしなければいけないという状況がありありと目に浮かんだからである。

「へ〜。お仕事は何をされているんですか?」
「●●関係の仕事を。部下が使い物にならないので休日出勤ですよ」

合コンであれば構わないが、まあ、こういう場合でも自己紹介程度で済ませてくれれば構わないが、そういう不毛なやり取りが30分も1時間も続きそうな雰囲気である。

そんなこんなで前に出てきたのが、先のなんちゃってラッパーである。

「自分、週末はサラ回してますんで、音楽関係のことは任せて下さい」

海老一一門の門下生かなんかですか?という私のボケに笑うでも怒るでもなく、華麗にスルーしながら取り出したのが件のipodである。

「今日はこれに色々とオト入れて来たんで。後で音合わせしようよ」ときた。

で、ソイツはようやく話が出し物の内容の打ち合わせになってもイヤホンで音楽を聴きながら、妙なリズムで肩をアップダウンさせ、奇妙なタイミングで「Yo!Yo!」とか呟きだすのである。

「ねえ?聞こえてます?」と問いかけるも、
「・・・は?ああ、ちゃんと聞こえてますよ」とか素っ頓狂な声を出すのである。



はっきりいって、合コンの席であればこういう奴、俺は大好きである。

しかしながら友人の結婚式の二次会、失礼だがボランティアで拘束されているような状況で、良く言えば「いい二次会にしてやりたい」という気持ちと、悪く言えば「とっとと帰りたい」という気持ちの中で時間を割いているのだ。自分演出はそろそろ終わりにしてほしいと切に願っているのである。

女性はというと、こちらも似たりよったりである。
なんかいい企画はありますか?と聞くと、「私たちは何でもいいです」とか言ってる割には、なんか企画を出すと「なんかあ、ありふれてるというか、ふざけすぎな気がする」とか言って、文句ばっかりなのだ。
(だからオメーらは友達に先越されるんだよ!一生二次会の企画やってろ!)と言う言葉をぐっと飲み込んで、淡々と話を先に進めようとしたものである。

で、どうにかこうにか一発目の出し物は「クイズ」ということになり、
(我ながらツマラナイが、私の中でイライラの花が咲いて、どうでも良くなったのだろう)
その効果音ってことで、皆の眼がなんちゃってラッパーの方に集中。

「あ、いいオトありますよ。エアロスミスの…

いやいやいやいや、クイズの効果音だから!披露宴のエンドテロップじゃないから!

「いや、あのですね。クイズに正解したときとか、そういう効果音ですから、ミリオネアのみのもんたの沈黙している時の音楽とか、100人に聞きましたの♪デーデーデーデーデーみたいな効果音をね…」

「いやあ、凡作さんて面白い人だなあ」



何が面白いんだよ馬鹿野郎!いつも松浦亜弥とかAKB48とか聞いてそうな顔しやがって、今日に限ってこじゃれた洋楽入れてきて誰も見ちゃいねーのに気取ってるテメーの方が100倍面白れーんだよっつ!

あんまり役に立ちそうもないので、思わず彼に聞いてみた。

「ねえ、なんでソレ持ってきたの?」
「え?俺、オトにはこだわるほうだからね。」

…ダメだ。会話になってない。



そんな思い出があり、ipodを持ってたり、有難がる人種に対して、反射的に身構えるようになってしまったのである。

ということでゴメン、K君。まともなアドバイスもできなかったのはそういう理由。
あ。でもこの間ipodタッチをいじりたおす機会があって、これはいいねえ。
長らくPDA冬の時代が続いていたけど、すごく気合いが入っているね。
東芝も1GのCPUのスマートフォンとか出してきてすごく楽しみだけど、間違えなくipodタッチはその分野のパイオニアだろうからね、タッチパネルも思いっきりつくり込んで…



K君 「もうipodナノ、買っちゃったよ」


そう…、買っちゃったの。ipodナノなの…

■ 『ヤッターマン』 2009年 4月 10日 (金)

大阪に出張となり新幹線車中の人となったのであるが、今回悩ましく思うことがあった。

3人掛けのB席に陣取ることは体型的に私的にも、A席C席の隣人的にも許されることではなく、窓際好きとしてはA席を取ることは当然の選択。さらにヘビーと言わないまでもかなりのスモーカーであるからして、いつも喫煙車両を選択する。熱海を左目に見ながら一服。名古屋を過ぎるまで爆睡して京都から新大阪まで一服二服三服、と、そういうリズムでいつも大阪出張に臨んでいるのであり、喫煙車両のA席は私にとって到着時間よりも優先されるべき条件なのであり、そこまではっきり条件があるのであれば、何も悩ましいことなどないのであるが、今回からは実は、そうとも言えない状況となっている。

ご存じの方も多いかも知れないが、ここもと新幹線「のぞみ」の一部の車両には無線LAN設備が敷設されたとのことで、自前のノートパソコンでWebサーフィンが可能となったのである。しかし無線LAN設備がある「のぞみ」は現在のところ完全禁煙の車両(N700系)のみであり、例えば業務時間内にカリビアンコムでの無修正の動画を楽しみながらの至極の一服というのは無理なので「ネット」か「喫煙」の選択を迫られるのである。

結局行きは「喫煙A席」、帰りは「電源・無線LAN付きA席」という折衷案を採用。新大阪まではバッテリ駆動でメディアプレイヤーで安全地帯の曲を聴き、涙目になりながらタバコを吹かすという、なんとも至極なひと時を過ごしたのであるが、残念ながら帰りの車中では電源の心配もなく、せっかくのネット環境もあるというのに、隣の大杉蓮似のナイスミドルが私のパソコンをチラチラ覗き込んできやがるので、ブックマークしていたアダルトチューブ(youtubeのアダルト版)のタブを閉じ、無難なサイトに飛ぶことを余儀なくされた。

東京到着は20:00。
「ぱちんこ北斗の拳」を打つにはいささか遅い時間だし、かと言ってエロを妨げられて悶々としたまま家路に着くのは忍びないと、ネットで最寄駅のシネコンの上映時間を調べてみると、お目当ての『ヤッターマン』のレイトショー開始が20:25開場で、しかも毎月10日は1,000円とのこと。おお、やっぱりネットは便利だなあと悦に浸りながら『ヤッターマン』を観て帰ろうと心に決めた次第である。

『ヤッターマン』 …巷の話題は深田恭子のドロンジョに集中しているようだが、私の興味もまさにその一点。私も30代のはしくれ。リアルタイムで放映されていたヤッターマンシリーズの大まかな概要は把握しているし、ハリウッドで続々映画化されている「バットマン」やら「スパイダーマン」やらのヒーローもの、何故に日本ではピンと来ないものばかりなのかと思っていたことも少しはあるが、そんなことよりも深田恭子のボンテージ姿で、火照った劣情を静めることが先決と思った次第である。

で、結論から言うと、いい意味で深田恭子のドロンジョは私の想像を超えており、彼女が出てくる度に、初恋の女性が演劇会で、体育館の舞台でハツラツとセリフをしゃべっているのを眺めるような、そんな忘れかけた甘酸っぱい心の経絡秘孔をビシビシ突かれているような錯覚に襲われた。

冒頭のアクションシーンで、舐めるようなカメラアングルで登場するシーン。アイマスク越しの美しい眼。ドロンジョとは思えない甘ったるいセリフ回し。途中でヤッターマン1号(櫻井翔)に恋するシーン。すいません、何で俺、こんなにドキドキしてるんですか?

ドロンジョは世間一般のイメージでいうと、色っぽい悪女である。少年少女の代表であるヤッターマン1号2号からすると、色っぽい年上の悪女、というイメージである。が、しかしヤッターマン2号を演じている福田沙紀というのが目鼻立ちのハッキリとした強烈な美人さん。1号2号は恋人どうしという設定であるからして、二人は炎のように激しいファックをしばしば繰り広げているに違いないのだが、あんな格好をしているドロンジョは、実はヤッターマン1号が初恋の人なのである。最後の対決で恋敵であるヤッターマン2号に嫉妬という理由で攻撃を繰り出すのだが、ヤッターマン1号は2号を助け、そのドロンジョの眼前で2号と関ヶ原のように激しいKissをし、ドロンジョに見せつけるのである。

このボンテージのドロンジョの心の葛藤と、本来ならパーマンで言うところのパー子であるヤッターマン2号との立場のあやふやさというか、倒錯的な表現がこの映画の魅力であり… って、これってヤッターマンかあ?

ボヤッキーの生瀬勝久もさすがに芸達者だし、ケンドーコバヤシもがっちり役にハマっている。特撮、というか、ロボの動きも映画の技術の進化を感じさせるし、音響も大迫力。

しかしながら監督はこの『ヤッターマン』をバカ映画にしたいようで、その意図は節々に感じとることができるのだが …この映画、どのような層をターゲットにしようとしているかさっぱりわからない。子供を安心して連れて行ける映画ではないし、真面目な人やヤッターマンのファンが見たら怒り出すに違いない。無駄な部分が多いが男前、という感じの櫻井翔の魅力はこの映画ではほとんど発揮されていないのでジャニーズファンからすれば微妙なところだろうし、福田沙紀好きの若者からすると、エンドクレジットの後の「ノドチ●コ」発言以外では衝撃はないだろう。結局のところ、私のようなヒクくれたエロ中年予備軍という非常に狭い層をターゲットにしているようにしか思えず、それ以外の方々は嵐の新曲に乗ってカッコよく流れる、最後の5分程度のエンドクレジットのダイジェストを見れば十分、という、わけのわからない映画なのである。

バカ映画、というものは、一生懸命作って、結果バカ映画になるから尊いのであって、作ろうとして作ったバカ映画は、単なる駄作だと思う。昨年の『ダークナイト』はバットマンというモチーフを用い、人間と人間、善と悪が織りなす光と影が、状況によってコインの裏表のように変化するドラマを表現して見せた(言い過ぎか?)。いっそのことこの映画もヤッターマンというモチーフを用いても、思いっきり倒錯方面に振って、江戸川乱歩のような世界感を表現すれば良かったと、個人的には思う。

ということでこの映画は、このサイトを喜んで見てくれるような人種の方にはオススメ。


俺はたぶん、ブルーレイディスクで発売されたら、発売日に買っちゃうと思います。



ということで、深田恭子のドロンジョさま。

細くてくびれてて、という世間一般に言うスタイルの良さ、って言うんじゃなくて、なんというか、ムチムチっていう質感の、いい意味での隙の多さっていうか魅力的なダラしなさ、っていうか… ま、女にはわからない女の魅力ってヤツですね。

こんな人が実際にいたら、なりたい職業のNo.1は間違いなく「ボヤッキー」だと、私は思います。



■ トイレに思う 2009年 4月 3日 (金)

今日家に帰ってすぐさまトイレに駆け込むと、なんやら違和感を感じて(なんだこりゃ)と尻の下に意識をやると、どうやら便座が変わっているのである。

そういやここ数日、ウォシュレットがブッ壊れていて、家人がブツクサ言っていた気がするが、私の衝動買いの癖は血の為せる業なのであろう。水道回りを見なおすという選択肢を取らず、長男の知らぬ間に新品ご購入、というわけである。

おもむろに立ち上がり、洗浄し終わった便器の中を腕を組んでしげしげと眺めていると、その中身が便座の裏から照射されている淡いグリーンの光によって、なんというかトイレと言うよりは、なんだか癒しの空間のように思えてくるのが不思議である。



私の父という人は変わった人で、振り返っても思い返しても父親らしいところは皆無に等しい男であったが、私が小学生であった頃の日曜日、♪ダイナミック、ダイクマ〜あたりで調達してきたベニヤ板数枚と格闘していた、そんな珍しい光景が目に浮かぶ。

私を作成した時ぐらいのやっつけ仕事加減で作成したものは、便所に備え付ける本棚。

彼の言うには「男には、一人で思いに耽る時間が必要だ!」ということで、日々週刊プレイボーイやら月刊エロトピアあたりのエロ雑誌を持ち帰ってはアーカイブに格納し、私の母親に邪魔されない”癒しの空間”を楽しんでいたようである。

考えてみれば今の私の少し上の歳ぐらいの頃だろう。仮に今の私に「数年以内にエロマンガの購読をやめろ」と言われても、些か肯けない相談であるから、その行為自体はあまり責められるものではない。しかし残念なことに、私の母親に邪魔されないのは彼だけでなく、この私も、である。10歳に満たない私が、何びとにも邪魔されずに女体の神秘に触れることができたおかげか、できたせいかで、今では立派な変態である。

しかし思い返せば、かくもトイレというものは私にとって魅惑のスペースではあったものだが、やはり冷え冷えとしていて、殺風景で、しかもクサかった。10分も20分も入っているものではないし、少なくとも当時の私にとって、心から安らげる空間ではなかった。



先日、ネットのニュースかなんかで、トイレを癒しの空間として独占する若者が問題になっている、という記事を目にした。問題となっているのは男性なのか女性なのかはわからないが、多分、両方だろう。ハッハッハ、んな馬鹿な!と数年前なら一笑に付すところなのだが、実のところ最近はなんとなくその気持ちもわかるのである。

ちょっと前に気づいた事なのであるが、私が通う会社の男性トイレは、ある一定の時間帯は常に満員御礼。朝の時間帯と、食後の時間帯は空いている事の方が少ない。
 重役が痔主か何かということで、重役室のフロア以外にもカムフラージュのつもりか何かで全フロアにウォシュレットが導入されたのはもはや数年前なのであるが、その辺から満員傾向が強くなってきていたと思う。

先日、通勤途中ずっと、情熱的な和太鼓のリズムで私の肛門をノックし続けていたウンコ野郎と決別するために、トイレに駆け込むも、満席。1階上がってトイレに駆け込むも、満席。私の勤務する私の4階のフロアから順々に、8階のトイレに駆け込んでもなお満席状態であることをを確認した時、女子トイレに駆け込んで会社を辞めるか、その場で漏らして社会人を辞めるか、真剣に悩み始めたあたりで、水を流しもしないでカチャっと目の前のドアが空き、事なきを得た。

で、前の奴は何をやっていたのであろう、と、危機を脱して冷静になった私は考えた。
…寝てたか読書をしていたかなどして、個人の時間を満喫していたに違いないのだ。
ズボンも下ろさず、水も流す必要もないのは、単に腰かけて瞑想していたか何かに違いないのだ。まったくふざけんじゃないよ、と、その時は思ったものだが、ああ、そんな使い方もあるんだなあ、と、感慨深く思ったのも事実である。

そしてその数日後、会社に出社したのはいいが、どうも眠くて仕方がない。電車の中で運良くドア側のポジションを獲得し、身体を預けて立ちながらも睡眠をとる、という特技を披露したのが悪かったのだろう。業務を開始しても眠くて眠くて仕方がない。

(あ、そういえば)と、上司にも電話にも邪魔されないスペースがあるのを思い出し、そそくさと席を立ち、一直線にトイレに向かったのである。

運良く一つの個室が空いているのを確認し、フラフラになりながら入室。
ズボンも脱がずに腰をかけ、そのまま背中を倒して仰け反って睡眠の態勢をとる。
ああ、なんか首が疲れるな、と、目についたトイレットペーパーのロールを頭の後ろにやると、中々具合がいい。そうか、何故かいつも後ろの段になっているところに不自然にトイレットペーパーが放置されているなあと思っていたが、こういうことかあ…と、そんなことを考えながら、驚くべきことにそのまま眠りについてしまったようだ。

最近のトイレは忌むべきスペースではなく、むしろ疲れた現代人や眠さの極限状態にある人間にとっては癒しのスペースとなり得る。事実、その時の私も、とあるきっかけで目を覚ますまでに要した時間は約20分。まさか自分がトイレで20分も熟睡してしまうとは思わなかった。

その直前まで、私は夢見心地であった。
青空の下、花畑のようなところで、四つ葉のクローバーを探している私。
次の瞬間、爆音が聞こえ、振り返ると軍用のヘリが爆音を立てて私に近づいてくる。
(夢なんて、大抵そんな展開なものだ) 眠りながらも意外に冷静である。

夢の中の私は、そのヘリを遠く見上げている。
ブババババ〜っつ!ブババババ〜っと轟音を立てて近づいてくるヘリ。
おいおい…ただ事じゃないぞ、と、背中を向け、逃げる。走って逃げる。

うわあああっと、夢の中で走りながら逃げる、というところで目が覚めるのも、これも夢のよくある展開なのだが、まどろみながらも意識が戻りつつ私が確認する事には、目が覚めた私の耳に今なお響く「ブババババ〜」。…隣の個室からの爆音であった。

オイッつ!アンタ!こんなところで何やってるんだよっつ!と、
罵詈雑言を吐くのはお門違い。隣の御仁は当たり前の行為におよんでいるだけであり、トイレで惰眠を貪っている私の方が全面的におかしいのである。

それ以来、隣からの爆撃が怖くてトイレでの睡眠はしていないが、なんというか、心身ともに疲れた人がトイレに安らぎを求めるというのも、わからなくもないというのは、こういうことなのでありんす。



淡いグリーンにライトアップされたトイレ空間から出て、居間で寝っ転がってるウチの婆さまに「ウォシュレット、いくらで買ったのか?」と尋ねると、地元の電気屋で6万円チョイとのこと。「よくそんな金あったな」と言うと、婆さまの言うのには、そのお金は私が払うとのことなのである。

便所だけにクソババアと、罵りの声をあげずに素直に明日、地元の電気屋に向かおうとクレジットカードの残高を確認している理由を考えてみると、多分、前のウォシュレットの故障の原因の一端に、私の日々長時間に渡る深夜のアナルプレイがあるのではないかという、自分自身の引け目がそうさせているのに違いない。

それに加えて、そう、試しに先ほど、最大水圧でトライしたら中々のものだったので、
そもそもご機嫌なのである。私は。




ヨドバシドットコムで検索したところ価格は24,000円〜120,000円といったところ。何をもってこの価格差かはさっぱりわからないが、早いところ違いの分かるアナルになれるよう、日々精進したいと思う。
■ 不景気2008 2008年 12月 28日 (日)

2008年も残すところ後3日。
皆さまにおかれましては、どのような一年だったでしょうか?

今年と言えば、なんといっても世界的な金融不安による不景気の影響が大きかった・・・と言いたいところですが、もともとの資産がないので、巷のお金持ちの方ほど、影響は少なかったようですな。人間立って半畳、寝て一畳。なんて申しますが、もともと慎ましい生活を余儀無くされておりますので、金融資産1億円以上の方々のダメージに比べれば屁でもないさ、と強がっております。

唐突ですが、ここで私の「不景気2008」ワースト5!

@ パチンコ屋がシブい

残念ながら、不景気を受けてパチンコ屋の出玉が急激にシブくなった。
行きつけのホールのパチスロの設定状況が目に見えて酷くなってきた。パチンコ屋は不景気に強い、というのは今は昔。ホールの経営者も不動産やら多角経営をしてるだろうから、ツラいのはわかるが、パチンコやスロットを打つ客というのは金の卵を産む鶏のはず。今日も「8の付く日は●●デー」ということで、最近お気に入りのハードボイルドを打ってきたのだが、メールでは「2分の1でHIモード」とのことだったのに、10台あるハードボイルドのうち、たぶん良くて5台ぐらいが設定2の印象。目先の金に釣られて、どうやらキング・オブ・チキン(俺のこと)を絞め殺してしまったようだ。
…改心するまで、もう行かねーぞ!!


A 年金のつもりの投資信託

数年前から毎月コツコツと投信を積み立てており、数年前の口数の少ない時点で基準価格(投信の値段)があがっており、かなり高いところで毎月買わされていたのはまだ良いとして、今年の暴落で総残高も激減。なんとピーク時より50%も値下がりしてしまった(毎月買い増しているのにもかかわらず!)。
 まあ、黙ってみてたが、下手過ぎるぞファンドマネージャー!自分でやってる株は、3万円〜5万円程度の株が中心だが、3パーセントしか下がってないというのに。投資信託は、買い付け時に手数料、加えて信託財産に対して年間一定の報酬を運用会社に支払うわけで。ファンドマネージャーと呼ばれる人たちに年収1,000万円以下の人はいませんね。リスクを抱えるのはいつだってお客さんだってことはわかってるけど…死ね!死んで家族に相続税を納めさせろ!


B 江東区役所

江東区役所から請求書の・ようなもの、が届いていたのは知ってはいたが、別に妙齢の女性を自宅にデリバリしてもらったこともないし、別に金を借りたこともなく、つまり江東区役所には何もしてもらってないので気にしないでいたところ、滞納している特別区民税を払え、と所員が私のいない間にヨネスケのようにアポなしで我が家の食卓に突撃してきたというので、半ば怒り狂ってって区役所に乗り込んだところ、未納の区民税が50万円弱ほどあるとのことである。納税が国民の義務だってことは薄っすら覚えてはいるが、年金をワザと抹消するようなお上のヤツらに(江東区役所じゃないけど)に、権利を認められている気が、私は到底起こらないのである。覚えとけ!権利と義務は等価交換であることを!


C 年収33パーセント、オフ!

おかげさまで今年の4月に見習いの契約社員として、10月に正社員として採用になれた年。しかも同じ職場で同じ仕事で働けていて、勤続年数プレミアム、というのか、仕事って人間関係とか経験によるところも多いと思うので、この点は非常にありがたく、感謝しているのであるが、こと賃金についてはこれまでの勤続年数は考慮されず、配属時点の給料から仕切りなおしの33パーセントオフ。「いい〜んだよ〜♪」ってビールのコマーシャルじゃねーぞコノヤロー!

んまあ、これは入社前から言われていたことだし、昨今の社会の人員整理の流れから見て、珍しく先見の明が働いたってことで、いいことかも知れないが、犠牲になったのは毎週買っていたヤングマガジンと少年マガジンとモーニング等のマンガ雑誌と、エロゲーエロDVD。ファイナンシャル・プランナーの立場から言わせてもらうと、切り詰めるところはエロからよ、ってことで。


D 歯医者

今年の春、どうにも歯が痛くて駆け込んだ歯医者に、今なお通っている。当初、痛みの理由は奥歯の根の奥にあり、
「根の治療が必要です。根だけに根気よく頑張ってください」と
サングラスを外した井上陽水のような歯科医がそう言っていた。

痛みに強いドMだと思い込んでいた私だったが、それは勘違いだったと気づくことには、この世の痛みとは思えない激痛が治療中に走る走る。あまりの痛さにコンタクトが外れ、思わず両手で陽水を押しのけ、「いったい何をしてるんですか?」と尋ねると「根までの深さを測っている」とのこと。「麻酔かけてくださいよ〜」と懇願するも、すでに結構な麻酔をかけているが、私の歯の骨密度(っていうの?)が高過ぎて、麻酔が浸透しないってことで、しばらくは激痛を味わいにその歯医者に通っていたものである。

で、夏が過ぎる頃にはその歯の治療も終わり、ほっと安心ひと安心…ってことにはならず、他の虫歯に着手され、虫歯による痛みはないのにガリガリ削られ、術後数日はそれがきっかけで歯が痛い、というわけのわからない日々が続いた。

…で、今も通っているのである。

陽水が言うには私の歯は歯石が溜まりやすいらしく、月に一回歯石を取らないと、また虫歯が再発するとのことである。虫歯の治療を終えたとの声を聞いた9月以降、律儀に月1でその歯医者に通っているが、歯石を取る程度であれば、痛気持ちいいぐらいの刺激で、別に苦もなく通っているのである。

「ということで、今でも歯医者に通っているんですよ」と、
職場の女性と話していたところ、「私も定期的に歯石をとりに行きますよ」との返事。

「やってる時は痛気持ちいいし、終わった後もすっきりしますよね」「そうですね」
「ただ、毎月2,500円近い出費はデカいですけどね」と私が言った後、

「え?私の行っている歯医者って、200円ぐらいですけど・・・」

・・・よくよく考えるとその歯医者、毎月毎月行くたんびに、歯茎とかに鉄の棒みたいのを当てて「なんとかなんとか・・・C」だの「なんとかなんとか・・・バツ」だのやってるけど、毎回検診をやって、その分の費用を取っていることに気づいたのである。

昔、池袋のイメクラで「本番を超えた超・性感プレイ」と銘打たれたオプションに1万円払って、蓋を開けてみたらオナホールで手コキされた思い出が脳裏に浮かんだ。つまり、ボラれている、ということだ。

それでも来月も行ってしまうんだろうけどねえ。そこは痛みには弱いけど、M体質だからね。その歯医者、予定をキャンセルしたり、遅刻したりすると思いっきり痛くされるのよ。
「歯医者、変えればいいじゃん」って、でも、変えられないんだよねえ。オラオラ系のホストクラブに通う女性の気持ち、なんだかわかっちゃったなあ。

ホストクラブって言えば、その歯医者も相手見ながらボッタくってるんだろうね。この間、上品な老婆が自分の前に会計してたんだけど、受付の女の子が何の屈託もなく
「今回は9万円になりま〜す」とか言ってて、
婆さん「へ?」って素っ頓狂な声を出してたよ。

まあ、歯医者も不景気、っていうことで。

■ さらば、ゴールド! 2008年 12月 21日 (日)

早いもので2008年も、もうすぐ終わり。世間ではクリスマスの賑わいである。

今年は私にとって都合の良いカレンダーであり(つまり世間のカップルにとっては良くない)、クリスマスイブはド平日、飛び石連休明けの水曜日である。

気合の入ったおバカさんであれば、雇用という地盤が緩んだ昨今であっても、水曜日と木曜日に有給を取得し、横浜あたりのホテルでシャンメリーをグラスに注いで悦に至るのだろうが、普通の人間なら、20日21日の土日で、なんちゃってクリスマス大会を開催するぐらいが関の山であろう。

つまりは私の使命であるアンチ・クリスマス・死ね死ねツアーもこのタイミングで実施することが好ましく、例年通り”全くクリスマスらしくなく、できるだけ楽しく過ごす”というコンセプトのもと、向かった先は栃木県は日光市なわけである。

まずは何故か栃木と群馬とその近県の一部でしか展開されてない「爆弾ハンバーグ」を名物とするフライングガーデンというファミレスでビッグサイズの爆弾ハンバーグを注文。

「爆弾ハンバーグ」とは、とびっきり良くも悪くもない赤みの挽肉を丸め、表面を良く焼いて、丸い状態のまま鉄板ごと運ばれてくるハンバーグのこと。頬の赤い栃木っ娘か、熟れた身体を持て余したパートと思しき熟女が、目の前で真ん中から切り分け、まだ火の通っていない赤い部分を鉄板の上でジュージューとナイフで押し付けているのを濡れた眼でとらえた後、ちょっとレアなまま頂くのが美味。

最近はパチスロが絶不調につき、日光東照宮に向かってパワースポットの恩恵にあやかろうとするが、その場所に入るために拝観料が1,300円。たて看板から丁寧に座標を割り出し、パワースポットとされる位置からちょうど真南に位置する壁の外のところで両手を広げてクルクル回っていると、おそらくはカナダあたりから来られた外人の老夫婦に怪訝な顔をされる。

その後は車中で嵐のメドレーを熱唱しながら、いろは坂へ。
中禅寺湖を超え、戦場ヶ原でゴッドファーザーPARTUのアル・パチーノの真似をしながら冬枯れた景色の中を練り歩いた後は、中禅寺湖まで戻って、客の一人もいない定食屋を探して、そこで、そば定食(湯葉入り)を注文。

2分ほどで食いあげた後はレジに向かって、そこにいるオバサンに「旨い蕎麦っていうのは、つまり水、って事なんですかね?」としたり顔で問いかけ、返答に困っているオバサンに何のフォローも入れないまま会計を済ませて外に出て、中禅寺湖の畔に立つ。

しばし昔の金曜ロードショーのテーマを口ずさみながら煙草を吸い、車中に戻ったあたりでふと気づくことは、この時期の日光、カップルどころか家族連れ、いや、人の気配が猛烈に少ないのである。

先だって会社のマアジャン大会ということで、鬼怒川温泉のホテルに投宿したのだが、浴衣姿で宴会、忘年会というのは今は昔。古き良き昭和の文化なのだろう。今は岩盤浴やらエステやら、オシャレなデザイナーズホテルやらでないと、若い女性も、それ目当ての男も集まらない、と言ったところか。鬼怒川の温泉の泉質が良いか悪いかは、そんなことは若者には関係ないだろうし、私に関して言えばマアジャンに熱中して、一っ風呂も浴びないまま鬼怒川を後にしたのだから、わかるはずもない。

でも、そんな枯れた雰囲気が好きなのである。

不景気なのか、不人気なのかは知らないが、同じ枯れた雰囲気とは言え、伊豆あたりは温暖な気候が起因する陽気な雰囲気もあるように感じるのだが、鬼怒川・日光にはそれが全くない。しかし、訛りを含んだ人々の雰囲気を、なんとなく暖かく感じていた。

・・・のは、その直後まで。

事前に調べておいたスーパー銭湯に向かうため、車の殆ど通っていない下りのいろは坂を爆走し、くねくね道を終え、ようやく信号や合流車線が見えてきたあたり。目的地方面に左に曲がる車線に車を移し、いくら人気がないとは言え、リアカーを引いたババアでも引いたら大変だ、と、右側の安全を確認して左折を行うと、左側から「パオーン」。

栃木県警、日光警察署の方々である。

派手にサイレンをかき鳴らし、停車した私の車にパトカーを寄せ、つかつかと歩み寄って来て「はい。お宅、ちゃんと右側は確認してましたけど、あそこ、一時停止しなければいけない場所なんですよね〜♪」

やっぱりそうきましたか・・・と。

何せ私は以前、埼玉県は野火止にてネズミ捕りにひっかかった際にも、頭をフル回転してサインをせずにその場を逃れ、検察庁まで行って起訴猶予にまで持ち込んで、ゴールド免許を取得した男である。私の車の他には、一台も車が走っていない状態なので、やや無理があるかも知れないが、できるだけ切符を切られない可能性を残しておく必要がある・・・って、そんなに車通りの少ないところで取り締まりが必要なんだよっつ!

「そうみたいですね。で?」

一時停止しなきゃいけないところだけど、車がいないから行っちまえ、というのは刑法で言うところの故意なのである。一時停止しなければいけないことを気づかなかったら過失なのである。故意だろうが過失だろうが、やったのは事実だから勘弁して、というのが違反切符にサインする行為である。ここは何で自分が止められたのかわからないという態度がベストだろう。コイツ、頭にウジが沸いてるなと思われても何でも、私に違反している意識がないとなれば、それを証明しなければいけないのは警察側である。

「そんな見えにくいところに表札を立てておくんじゃねーよ!」とかの罵詈雑言を良く聞くが、これは逆効果だと思う。これは過失を認める行為だからだ。また「俺はちゃんと止まったぞ」というのは、これは偽証になると思う。
つまり一時停止の表札がどこにあったかは忘れたけど、あったのであればちゃんと従ったはずだし、違反の意識もないのに違反を認めろと強要されるようであれば、それは問題があるんじゃないか、と、そこまで吠える準備をしていたのである。

ところがその警官、栃木スマイルを浮かべて、こう続けるのである。

「んまあ、我々も事故が多いから注意させてもらおうと思って止めさせてもらったんだけどね。でも、今日は車も少ないし、お宅もちゃんと安全確認をしていたようだし、東京から来たんでしょ?ダメだよ、安全運転で帰らなきゃ、ね。今度から気をつけてね。」

なんだよ、いい警官じゃないか、さすが栃木だね。と思ったのが油断というものである。

こちらも笑顔を浮かべて「そうですね、以後気をつけます」と言った直後である。
「じゃ、切符の手続きをするから」。

しまったああああ〜。認めちまった〜。

これが東京のど真ん中で、新興宗教やリーマンブラザーズの人間に話かけられたのなら爪の先まで疑ってかかって「何のことですか?」と惚けることができたのだが、栃木スマイルだもんなあ。というか、書いてみれば、本当に常套手段だよなあ、警官の。

この時点で、自分的に負け、と判断して、素直に切符を切られたのである。

往々にしてこのような取締りは、表札が見難く、違反をしやすく、取締りをし易い警察にとってのスイートスポットで行われるはずである。そしてそれは、地元の人間であれば大抵把握しているものである。つまり、外部の人間、この地であれば観光客を狙っているに違いないのである。そんな心がけじゃあ、廃れても仕方がないよ。

この日は冬至。立ち寄った銭湯ではゆずが数個、網の袋に入って浮いていた。
しばらくは人の良さそうなおじいさんが、手に持つなり肌に擦り付けるなりしていたが、私と目があって「せっかく来たんだからお兄ちゃんも、ほれ。」と、その袋を投げてよこした。

後でお金を請求されるかも知れないと思った。これは本当に寂しいことである。

勝手に来て、勝手に切符切られて、勝手に寂しがってるんだから、栃木県の方々には、まあ申し訳ないのであるが、ちょっと私は、田舎に幻想を抱いていたのかもしれない。

日本全国津々浦々、警察はどこの地域でも警察だし、誰もが、人に喜んでもらうために生きているわけではない。証券マンが全員、詐欺師の顔をしていないのと同様(全員詐欺師だが)、穏やかな表情を浮かべて人を陥れようとする田舎者がいて然りなのだと思う。我ながら壮絶な被害妄想だが、そこはそれ。文句は栃木県警に言ってほしい。

帰りに佐野のラーメンを食べて、そそくさと岐路についた。

帰り際、車のテレビの中でM1グランプリを聞いていた。
U字工事の栃木弁を聞いて、ちょっとブルーになった。

私の免許の色も、ゴールドからブルーになることが確定した日だった。
ゴールドよ、さらば。


これが私のクリスマス・・・って、何やっとんじゃあ俺はああああ!

■ 『容疑者Xの献身』 2008年 10月 24日 (金)

オフィスでの一コマである。目の前で課長と女子社員が話をしている。


「容疑者Xの献身の映画版、もう観た?」
「まだ観てないですけど、原作は読みましたよ」
「湯川の役って、原作では佐野史郎をイメージしてたらしいよ」
「ええ〜。じゃあ福山で良かったじゃないですかあ」


『容疑者Xの献身』は大学准教授である、天才にして変人、ガリレオこと湯川学が探偵役を務める東野圭吾の小説。ガリレオと言えば最近までテレビの月9枠で福山雅治と柴崎コウのキャストでドラマ化されていたから、記憶に新しい。確かに佐野史郎の主演では同じ言い回しでもイヤミに感じるだろうし、そもそもテレビ東京の特番あたりが関の山であっただろうと思う。


「原作版は湯川と草薙刑事のコンビだったけど、今回は柴崎コウだからなあ」
「映画版で、無理やりロマンスかなんかがあったら、ヤですねえ」


「容疑者Xの献身」は紛れもない傑作だと自信を持ってお勧めできる小説だが、それ以上でもそれ以下でもない。職場や仕事で出会った男女が恋に落ちることも往々にしてあるだろうから、それがあったら即、品格を欠くわけではない。物語に直接的なり間接的に意味を持つのであれば、原作にないアレンジを加えても問題ないように思う。しかし同じ月9枠の「HERO」の映画版が、とってつけたような木村拓哉と松たか子のロマンスで我々を辟易させたことを考えると、私も彼らの意見に賛成である。


「でもさあ、石神役の堤真一はないだろ、堤真一は」
「そうですねえ、石神の役に堤真一はないですよねえ」


天才物理学者にして名探偵のガリレオこと湯川学と今回対峙するのは、彼にして「唯一の天才」と評される同窓生の数学者の石神。同じアパートの隣に住む母娘が、しつこく付きまとっていた元のダンナを過失で殺害してしまったのを、強烈な洞察力でこれを察知し、壮絶な論理的思考力で事件を隠蔽しようと、母娘に協力するのである。
通常であれば自首を勧めるのが普通のオトナだが、ここでタイトルの「献身」に至るわけである。美しい隣人に密かな想いを寄せる石神が、事件に加担するのである。その役を堤真一が演じている。


「堤真一じゃ、男前過ぎるだろ?」
「モテそうだから、一人の女性に献身する必要ないですもんね」
「じゃあ、どんな人がこの役に似合うと思う?」


ブサイクだから女性に献身する、という、ごく一般的な固定観念で話が進んでいるようだが、映画を観た感想としては堤真一で良かったと思う。冒頭の実験での爆発シーンや原作にない雪山のシーン、随所に挿入される空撮など、与えられた制作費を無理無理消化するような場面は年末の道路工事を連想させるのだが、それがなければ単なる秀逸な2時間サスペンスどまり。この映画を映画たらしめているのは、やはり役柄を理解している堤真一の演技だったと思う。

そもそもブサイクだから隣人に献身した、という設定ではない。小説は冒頭から綿密な複線を散りばめ、物語を進める中で巧妙に読者をミスリードし、驚愕のラストに向けて複線を回収しているのであるが、文体自体は極々あっさりしている。巷の酔っ払っちゃてるような文章で本人が酔っ払っちゃってる文筆業の方々、いわんや私なぞが及ぶべくもない文才により書き上げられた作品の動機が「ブサイクだから」なわけがない。

頭が良い故にバカになって世の中を渡っていけず、本質を理解しているが故に要領よく生きていくことができず、自分に自信があるからこそ理解してくれない世間に絶望を感じ、必要ないからこそ自分を飾りてることもせず、それがどのように見えているかを知っているからこそ恋愛には臆病なのである。そして愛とは自分の欲望を満たすものではなく、相手が幸せになることを望むことであり、それが癒しの場合もあれば金銭的援助の場合もあるだろうが、彼の場合は身を呈した”献身”であった、と。

だから私は、ハゲ散らかした性格俳優より、肥満気味な芸人然とした俳優よりも、才能に溢れるが故に外見には気にしない男前、っていう雰囲気の男が似合いそうな気がする。そういえばそんな男が身近にいるじゃないか。


「なあ、凡作君はどう思う?」
「まあ、強いて言えば、っすかねえ」



「ああ役に合うかも!あとドランクドラゴンの塚地とか!」

…お嬢ちゃん、アンタ何にもわかってない。


■ お役所仕事 2008年 10月 20日 (月)

「お役所仕事」というのはほとんど一つの単語として特定の意味を持つものとなっていると思うのであるが、実際に目の当たりにすると、なんだかもおう、漫画に出てくるような出来事で思わずニヤけてしまうものだなあ、と、今日しみじみ感じたものだ。

今日の出来事に関しては、まあ自分が悪いことであるからして、別に腹に据えかねるわけでも何でもないのだが、まず事の顛末はこうである。今日はちょっとオフィシャル気味な飲み会が設定されており、勤務の終了は18:00、飲み会の開催が18:30と、普通に考えたらギリギリの時間設定だった。

で、会場が東京都庁にあるレストラン…というか、都職員の食堂を夜に開放しているような施設。「遅刻厳禁。遅れる時は連絡お願い致します。」と、必要以上に丁寧な案内があり、どうやらギリギリになりそうだ、ということを幹事に連絡を入れていたので事なきを得たのであるが、実は、その丁寧な案内には理由があった。

18:45になると、絶対に入れない、ということらしいのである。
んなまさか!パチンコ屋の開店じゃあるまいし、特に飲み会のために開放していのだから、入館が厳しいとは言え「通用口から入ってください」程度だろう。と、タカをくくっていたのが甘かった。

時に18:45。入り口付近にて、どう考えても素人然としたオバサンが出たり入ったりしてたむろしているのを見て、どうやら間に合った、と中に入ろうとしたところ

「もしもし。どちらへ御用ですか?」と警備員。

「●●階の●●というところで会食があるので」と答えると、
「職員の知り合いはいらっしゃいますか?」と警備員。

「???」 私が状況を飲み込めないでいると、彼が言うにはこの時間から、都庁の職員のアテンドがないと入館できないそうである。別にライス長官じゃあるまいし、飲み会の会場に行くのに都の職員にアテンドさせるヤツがどこにいるんだよっつ!

同じような内容のことを、グッと耳障り良く翻訳しながら必死に警備員に説く私から、彼は視点を腕時計に落とし、「今・・・47分ですかあ。残念ですけど、お通しできません」。

オメーとの不毛なやり取りが、その2分だよっつ!と。

素人然としたオバサンがその出入り口で行ったり来たりしている間で、また、見る限り職員と関係なさそうな一般人がまだ中でたむろしている状況を横目で見ながらのやりとりである。曰く「出るのは大丈夫ですが、入ることはできません」と、お前はケツの穴かっ!この括約筋ヤロー!と、そんな罵詈雑言をグッと飲み込んだのは、彼らは単に職務に忠実であり、それが彼らのルールであると思ったからである。

しかしながら、ルールというのは内に厳しく、外に柔軟であるべきである。

行政機関というものは、決済の通った職員用のマッサージチェアーは堂々と購入し、消してしまった年金データについては対応することができない機関であるということを、ほとんどの国民が認識しているのである。

困っている人のためにルールを柔軟に解釈し、別に誰も困らないであろう飲み会参加者の入館には「今回だけですよ♪」とウィンクを送れるような、懐の深い対応をこれからの行政に期待したい。うん。サイトをリニューアルしてから実にいい事を言う。俺。


■ アウトレットって! 2008年 10月 18日 (土)

今日は学生時代の友人と、バーベキューとシャレこんだわけである。

栃木県は佐野市、蓬山ログビレッジというところで、アスレチックの設備や宿泊も可能なログハウス、テニスコートに釣堀と、アウトドア気分満載の施設に加えて、水道・ガス・屋根付きのバーベキューの設備がある。携帯がまったく通じないというのもアウトドア気分に拍車をかけ、おいてけぼりを食らって現地集合と相成った私が果たして無事合流できるか、というちょっとした不安を、秋の心地よい風が和らげてくれた。


「蓬山ログビレッジ」 気軽に来れていい感じ。


無事友人と合流し、誰が誰ともなく役割分担が完了。各々の役割を遂行しながらバーベキューの設営に入れるところは、さすがに長年の付き合いの友人である。とはいえ今月5日に34歳の誕生日を迎えた私の同級生であるから、2歳と0歳の子供を連れて参加の友人夫妻や、2児の父が一時家族サービスを忘れて参加するなど、置かれる立場はまちまちである。

食事も一巡し、やれ最近の金融不安や住宅事情の話に華が咲いている中、どうやら私の精神年齢的には2歳と0歳の女性の参加者のほうが話が合いそうだ、と彼女らに目を向けたのだが、残念ながら先方はまだ言語を操れず、仕方なしに、ただ肉を食い、アスレチックに興じているうちに日が落ちて、いい頃合になったのである。


いい大人が久しぶりに集まり、このまま解散するのもどうか、という流れで、帰りがけに佐野藤岡インターの近くにあるアウトレットに寄ろう、ということになった。で、薄々感じてはいたのだが、このアウトレットにみんなで立ち寄ったところで、どうやら私はある種の病気なんだと、気づくことになるのである。

「佐野プレミアム・アウトレット」というのが正式名称だそうだが、つまり、様々なブランドのショップが軒を並べており、私は極度のおしゃれコンプレックスだ、と、そういうことなのである。今までは男の分際でブランド物などと!と硬派を気取っていたつもりだが、実のところ、あのショップの雰囲気が耐えられないだけなのである。

車で合流した友人と待ち合わせをする際に、ちょっとだけ立ち寄ったショップで
「とっとと帰れ、この酢豚野郎!」的なショップの店員の視線をビシビシ感じ、場違い感による居心地の悪さからそそくさと店を出てしまうのである。

たぶん被害妄想に違いないのだが、そう感じるものは仕方がない。

そもそもがモデルが着てモデルが映えるためにデザインされているブランド品を、ちゃんこ屋で同業者の偵察と間違えられるような体型の私が見て回るなど、おこがましいの一言なはずであり、もし、そんなつもりがないとショップが言うのなら、純日本人が本当に似合うデザインのものを供給するべきなのである。

友人と合流し、では1時間後に同じ場所で待ち合わせしよう、と、個別行動の段となって敷地内の案内を一瞥。ブランド名は何処にアクセントを置いて発音していいかわからないものばかりだし、興味のあるのはワコール、需要があるのはとんかつ和幸トイレぐらいなものなので、ああ、いっそのこと、と、そのまま駐車場に帰ってカーステレオで徳永英明を聴いて、ちょっと泣きながら仮眠をとった。

その一時間後、ちょろりと買い物をした各々と合流し、名物である佐野ラーメンを食べたあたりで気分が晴れたものだが、最初と最後がよければそれで良し。今日一日は楽しい一日だった。にしても集合場所に向かう時、駐車場ですれ違った造形的に有り得ないほどの不細工なカップルが、幸せそうな顔をしながら車に買い物袋を積んでいるのを見て、
(ああ。もうちょっと男前かもうちょっとブサイクに生まれてれば、オシャレにも興味が持てたかもなあ)と考えながら、東京に向かって車をぶっ放していた。


■ 漢と書いてオトコのP 2008年 10月 17日 (金)

「漢と書いてオトコのHP」というサイトが開設されて、しばらくの月日が流れた。
今年に入って更新がブッツリ途切れてからも、しばらくの月日が流れた。

このホームページを作成していた男、松田凡作という男自体は、過ぎ去った年月の中でそれほど大きな変容はないのであるが、ネットを取り巻く環境は大きくその姿を変えたように思う。ブログやmixyなど、パーソナリティ溢れる日々の出来事を、広く発信する媒体のようなものになっており、一部の変態の皆さまに己の恥を晒すだけのスタイルは果たして如何なものか、と、常々考えてはいたのである。

終わったか終わってないかハッキリしないまま、皆さまをやきもきさせてしまったことに対してのケジメ、そもそもそのような状態で放置した自分へのケジメとして、本日、サイトをリニューアルすることをお伝えしたいと思う。

新しいサイト名は「漢と書いてオトコのP」

従来のサイトから”エッチ”な部分を抜いた、万人に受け入れやすい内容を目指して、このようなサイト名にしてみたので、炭酸の抜けた炭酸飲料を味わう感じで接して頂ければ幸いである。「P」は放送禁止用語を指すわけでも、いわんやオトコの右足と左足の間のシンボルの頭文字でもないことをここに付言したいと思う。

…初っ端から下ネタを使ってしまったが、ブログ風のサイトを目指すと宣言した以上、
下ネタはこれで最後である。そう、今日のところは。


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