第4章に戻る おわりにへ進む 勉強部屋に戻る ホームに戻る


  第5章 重度障害者の在宅就労の問題

 以上、障害者の一般就労における問題点を挙げ、問題解決の方法として情報通信機器を使った在宅就労について述べてきた。そして重度障害者の在宅就労についての現状をみてきたが、在宅就労に向けて努力しても、重度障害者であるがゆえの問題があることが明確になった。

 1.日常生活用具としてのパソコン・自助具の給付認定へ

 1つめはパソコンや自助具の購入である。パソコンはまだ障害者日常生活用具給付の対象とはなっていない。障害者年金や生活保護で生活している人々にはまだ高値の華である。しかし仕事に使うかは別にして、重度障害者にとってパソコンは文章や絵などの表現手段の道具としてだけでなく、家にいながらにして他の人との対話に近いコミュニケーションをとることを可能とする道具である。マウス代替機器や入力補助装置を含めて日常生活用具として給付の対象にする必要がある。

 2.パソコン・ボランティアの育成

 2つめはパソコン・ボランティア(以下「パソボラ」と記載する)の育成である。障害によって自助具が必要でもどんな自助具が自分に合うかわからない、あるいはパソコンに別な機器をつけたい、という重度障害者のニーズに応えるのがパソボラである。何かあればすぐかけつける必要もあり、地域毎の育成が理想である。また自助具の相談は同じような障害をもつ人がきいたほうがいいので障害者もピアボランティアとして活動していくべきだろう。

 3.高度な在宅職業教育の機会の提供

 3つめはパソコン技術やビジネス・コミュニケーションの展開のし方、職業意識を含めた高度な在宅職業教育の機会の提供である。民間団体の教育の担い手がボランティアであるのが現状であり、高度な技術習得には限界である。また重度障害者の中には障害によって資格をとることも困難な人もいて、レベルが客観的にわからない。全国共通の講習や行政主導での職業リハビリテーションが必要である。

 4.SOHO支援のエージェント機能の確立

 4つめはSOHO支援のエージェント機能の確立である。SOHOは個々にビジネス・コミュニケーション、特に営業能力をみにつけなければならないが、言語障害などで難しい場合もある。また体力的に無理ができない人もいて、個々の得意分野で業務の内容とコーディネートしていくとともに、弱点を補填し合いながら業務を分配していくエージェント機能が不可欠となる。SOHO1人1人の状況を詳しく把握するには、顔がみえる距離的範囲・人数で1つの団体をつくることである。それが課題となるだろう。

5.在宅勤務としての雇用の見直し・情報提供

(1) 雇用の見直し

 最後に在宅勤務としての雇用の見直しである。それにはビジネス・コミュニケーションだけでなく仕事以外のコミュニケーションも必要であり、雇用される障害者も企業も努力が必要であるが、障害者の能力・性格や労働への考え方・生き方によって、雇用されるという選択肢を増やすのも必要である。それを国や企業がどう提供するかが今後の課題であろう。

(2) 公共職業安定所による在宅勤務促進・情報提供

 障害者が企業に就職したい時、障害者雇用を考える企業の情報を提供している公共職業安定所(以下、「職安」と略す)に行く、あるいは職安主催の就職面接会に参加することが多い。しかし職安における在宅勤務を前提とした求人が少ない上に、その支援体制が職安にもないのが現状である。
 そんな中で、インターネットのもつホームページ等の情報提供機能を利用して、在宅就労希望者と企業との間を仲介する活動が見られる。Challenged Working Forum(以下、「CWF」と略す)である。CWFでは現在、@ジョブマッチング情報広場、A障害者就労についてのコンサルティング、B障害者就労の事例とノウハウ、の3つの情報提供を行っている。
しかし本来、これは職安等公的機関が行う業務ではなかろうか。CWFでは職業紹介・斡旋はできない上に、知名度も低い。いくらその筋に詳しい人々がスタッフとしていても、限界があるのではないか。日本障害者雇用促進協会で『在宅勤務障害者雇用管理マニュアル』を作成しても、職安が指導しないことには雇用率は上がらないのである。

第4章に戻る おわりにへ進む 勉強部屋に戻る ホームに戻る