さて、解消法ですが、まず足もみからです。
直接関係する55腰椎、56仙骨などの反射区は慢性腰痛症でとても硬くなっていてこのような場合はすぐには解れません。まず足の反射区を一通り揉みます。次に@の太腿・下腿を揉んでいきます。その後、うつ伏せになってもらいお尻からA脊柱起立筋、B腰背腱膜、C僧帽筋、D広背筋などを解していく、のが今回の解決法の手順です。
ぎっくり腰の人の身体は全身の筋肉・スジが棒のようにカチカチに硬く固まっています。このように筋肉やスジ全体が固まっている場合、私は「EEめのう道具」を重宝しています。愛心棒、櫛、神仙棒を場所に応じて使い分けています。
大腿・下腿は愛心棒を主に使います。右手の平に愛心棒の丸い部分をあてがい左手は反対側に添えて筋肉全体を揺するようにして揉んでいきます。すると見事に素早く筋肉が解れていき、硬いスジだけが残ります。そのスジを一本一本丁寧に解していきます。〔2007年12月号第(51号)の「日本式足健法」参照〕。膝裏の内側の鵞足や外側の大腿直筋などのスジは大変ですが、神仙棒で根気良く解します。
大腿・下腿が解れても、まだ椅子から立ち上がるまでにはなりません。
次に、お尻から背中全体の筋肉の緊張を和らげます。まずお尻の筋肉の緊張を取ります。その次に腰から首までの筋肉の緊張をとります。このような広い範囲の筋肉の緊張を短時間で取るためには「EEめのう櫛」がとても役立っています。櫛の背の部位で軽く背を使って擦っていくのです。ほとんどの部位は「背」でいいのですが、B腰背腱膜の部位は特に固まっていますので、櫛の「丸」の部位を筋肉に当てて相手の呼吸に合わせてあてがいます。息を吸った時に筋肉に押し込むようにして1・2・3とゆっくり数えるくらいのリズムで押し込みます。息を吸っている時は力を抜きます。このようにして背骨の近くから少しずつお腹の方にずらしていきます。もう一箇所この「丸」を使う部位があります。僧帽筋の首から肩甲骨にかけてのところです。首がカーブしている部位ですので筋肉にピッタリ当たってうまく解せます。
櫛のお尻の二つの山「大山」「小山」の出っ張った方も使いますが、ある程度筋肉が緩んでから使うといいでしょう。最初から使うと当たりが強すぎて痛みがでますので注意してください。また呼吸を合わせることも忘れないでください。
このあたりまでは筋肉を解した場合の効果を予想していましたが、想定外だったのは肩・首・肩甲骨を解したときの驚くほどの効果です。ぎっくり腰になると椅子に座った状態から立つことが非常につらいことです。背中が強張っていて前に曲げられないのです。ちなみに健康な人でも、椅子から立つ時に頭を真っ直ぐにしたままでは立ち上がれません。お尻が持ち上がらないままに立てと言う方が無理なのです。首が曲がるようになって、さらに顎を引いて頭が膝より前に出せるようになると自然と身体の重心が前に移動して、腰・お尻の筋肉が働きだし腰が持ち上がります。ぎっくり腰の時はこの簡単な首・頭の動きができなくなるのですね。「それができるようにしてあげると良いのだ!」というのが今回の報告のポイントです。何だ!と思うような意外な結論ですが、このポイントを外すとぎっくり腰の人は立ち上がれません。
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