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『ゴムのような脚に奮闘・努力』
折田 充
2ヶ月前からある22才の男性の足もみをしています。最初の2回は通常の時間の足もみでしたが、手ごたえが普通の人とは異常に違うので、ご本人に相談して3回目からは2時間のダブルでやるようにしました。私は週1回ベースでダブルでのつもりで相談したのですが、本人から週2回でダブルで続けたいとの希望でしたので頑張っています。
回を追うごとにその異常さに驚かされました。10回目を過ぎた頃には、あまりにも揉んだ手ごたえを感じないので、徒労感をほんの少しですが感じてきました。私にとっては徒労感を感じるなどは初めてのケースです。まるでゴムで覆われた足を揉んでいるようでした。足裏の反射区のすべてが「のっぺらぼう」で反射区の実体がありません。押しても反撥して押し戻されるのです。足もみの教材でポリビニールでできた足型モデルがありますが、ちょうどそれを触っているような感覚です。
しかし、14回目の日に左足の拇趾と第3趾、第4趾の間の付け根に皮剥けがありました。聞くと「そこだけ皮が白くなっていたので軽石で剥いた」とのことでした。私はそれを見て一気にやる気がチャージされて自信が戻ってきました。これは古い皮膚組織が剥がれて、中に押し込められていた本来の、現在の皮膚の表皮がようやく表に出てきたことを示しています。剥けたところを見ると、「こんなにも古い皮膚が分厚く残っているのか」と驚くばかりです。これでは皮膚がゴムみたいに感じて当然です。
血行が悪いと新陳代謝が起こらず古い皮膚がいつまでも剥がれずに残っているのです。古い皮膚が剥がれだしたということは、皮膚の組織に新陳代謝が行なわれだしたことを示しています。東洋医学では五行の配当表にあるように肺は皮膚と密接に関係します。肺は胸膜という粘膜で内部が覆われていますが、皮膚と粘膜とは同じ組織でつながっていますので、皮膚に変化が起きてきたことは肺の組織にも変化を起こしだしていることが容易に想像できます。初回の問診で、喘息とアトピー性皮膚炎を小さい頃から持病としてもっているとのことでしたので、肺が一番鍵を握る反射区になるものと思っていました。写真で見ても、肺の反射区は凹んだり、盛り上がったりしていますので正常な機能ではないことが窺われますね。心臓の反射区の上部の縁が盛り上がっていますが実の状態であることを示しているのではないでしょうか。
昨今は筋肉・関節系統のバランス異常で問題を抱えている人が多かったのですが、久しぶりに内臓関係のバランスの異常の問題ですので東洋医学の理論に基づいて解決していこうと思っています。
心が実になって肺を剋する力が強すぎるのではないかと思います。(心と肺の相剋関係)。この場合は、「実すれば子を瀉せ」という公式通りに心の子である脾を按の手法で揉んで
刺激します。そうすることによって心の勢いを抑えることになり、衰えた肺の機能を正常に戻します。
どうしてそうなるのかですが、左の図を見ながら良く考えてください。
1.まず、心(火)の子の脾(土)を按の手法で突くと脾(土)の勢いが
  弱ります。
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2.脾(土)の勢いが弱まると、脾の腎(水)を抑える(剋する)力が
  弱くなる訳ですので、腎(水)の勢いは強くなります(土剋水)。
3.腎(水)の勢いが強くなると、腎(水)の心(火)を剋する力が強く
  なり、その結果心(火)を押さえて弱くしてくれます(水剋火)。
4.心(火)の力が弱まると、肺(金)は抑えられる力が弱まるわけ
ですので(火剋金)、肺(金)は自然に強くなってくるのです。
このような手順を経て肺を強くするのが東洋医学の方法です。とてもまわりくどい方法に感じますが、この方法は勝覆といって「子をして我を剋するものを剋させる」という方法で、最高の方法とされています。漢方の調合もこの方法でなされます。肝心脾肺腎という5つの臓の中で3つの臓を調整すると、残った2つも自然と調整に従うものという考えです。ですので、単純に心が実の状態を示して強すぎた場合、心を按の手法で刺激して抑えるよりも効果が高いわけです。
もし、今の反対で、心が虚している場合は「虚すれば母を補え」という公式に従って心臓の反射区を摩で揉むのが最高にいい手技です。つまり心の母の肝(木)を摩(ゆっくり流すように擦る)で揉むことになります。