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『だんだん』
足健ぷらざ鳥取 河ア真弓
「ほんになあ、いつの間にやら痛みがのうなって、だんだんねえ」
「だんだん」とは「ありがとう」という意味の方言で、今年出会った88歳の多(いさお)おばあちゃんからいただいた言葉です。多おばあちゃんの主病は糖尿病、変形性腰椎症で、身体を二つ折りにして老人車を引いて歩いていらっしゃいます。5年前に神経痛が悪化し、整形外科を受診。多おばあちゃんにとって度々の通院は困難であり、ここ2〜3年症状が少し落ち着いたこともあって、現在は内科のみ通院されています。時折生じる腰の奥からの痛みと肩こりを抱えた状態で今年1月に初めてお会いしました。
両下腿は棒のように硬く、両足裏はバリバリの状態で、もみ始めた頃はささくれ立った足を揉んでいるようでした。初めの2〜3ヶ月は月に2回、その後は月3回位のペースで全身をめのうでほぐし、膝裏から足裏まで揉んでいくという接し方でした。 そうした中で今年の9月始めに冒頭の言葉があったのです。足もみに出会って本当に良かったと思う感謝のときでもあり、もっと研鑽しなければと思うときでもありました。
私自身は先天性股関節症という持病を持っています。乳児期はギプス治療もしたのですが、現在は股関節症の末期症状で跛行があります。病院では人工股関節手術を勧められますが、何とか温存療法で維持できないかと水泳、整体、鍼灸と試してきました。4年ほど前に友人の紹介で「足もみ健康法」に出会い、早速上京して「ホームリフレクソロジー初級コース」を受講しました。その内容は私に温存療法の可能性を導き出してくれるものであり、自分の体に正面から向き合うきっかけを与えてくれました。
そして、平成18年の「上級コース」受講後から仕事として携わるようになりました。当初は何人かのスタッフの一人としてお手伝いをし、一人二人と足を揉ませてもらうと精根尽き果てたという感じで、足と格闘をしているようでした。また、年齢も職種も異なる人たちと接し、足を通して生き方を学ばせて頂いているようでした。友達のような振る舞いで賑やかに足もみを好まれるお客様がいれば、一対一でじっくりとした足もみを好まれるお客様もいらっしゃいます。お客様の性格、健康・心理状態に合わせて施術方法を変化させることが重要だと感じました。人の心と体は複雑に絡み合って一人の人間を作り、同じ人でも心と体は日々異なります。自分の体に向き合うように人の体にも向き合っていきたいと思っています。
昨年の6月タイミングよく場所を提供してくださる知人が現れ、独立することにしました。
独立してよりお客様と深く関わることができるようになり、心と体のつながりを痛感しています。月2回いらっしゃる腰痛持ちの80歳の女性は、「撫でつさすりつ、こんなに足をかわいがってもらうなんてもったいない」といつも口にされています。また昨年の6月から月3〜4回来られている不安神経症、腰椎ヘルニアの61歳の男性がいます。この男性は精神科の入退院を繰り返していますが、日々の心の状態の変容で体の硬さも異なり、心の作用が足の硬さに大きく影響しているようです。
自身の病状を改善させるために始めた足もみが、私に様々な方々との出会いを提供してくれました。人の心と体は十人十色、出会う方一人ひとりが私の先生で、多くのことを日々教えて頂いています。課題は山積みですが、出会いに感謝してこれからも励んでいきたいと思います。お客様からの「だんだん」という言葉が一つでも増えるように。
『自分の足を揉むときの姿勢が役に立つ』
自分で足を揉むことは反射区刺激で自分の健康を保つ効果がありますが、そのほかにも
自分で足を揉むときの姿勢が思いのほか股関節や膝関節の柔軟性を保つことに役立っています。胡坐をかく姿勢でするか、椅子に座って片膝に足を置く姿勢かだと思いますがこの姿勢を毎日一定時間とることがいいのです。
この股関節を大きく開く姿勢は、しゃがむ姿勢と同様今の生活の中で案外とらない姿勢です。このような姿勢をとらないでもすむ楽な生活を続けていると、膝の関節は歩く時の前後運動だけが出来て外に曲げたり、内に曲げたりが出来なくなります。膝裏のスジが固まって前後にしか伸び縮みしなくなり、太腿の表側の大腿四頭筋も広がらなくなって膝関節を固定してしまいます。そうなると、連動して腰も曲がり背も丸くなってきます。ちょっとしたことで転びやすく歩く歩幅が短くなりちょっと急ぎ足になると躓きます。
自分で足もみを毎日すると、その姿勢が自然に背筋を真っ直ぐに保つことをしてくれます。また、女座り(足首を外に広げてその間にお尻を置いて正座する)をして足の外側の反射区を揉むことも股関節や膝関節の柔軟性を取り戻すいい姿勢なのです。この姿勢が取れない方はまずこの姿勢の練習を少しずつしてください。とりたてて運動をするよりも、このように毎日の足もみを行なうことが自然に運動をすることも兼ねてくれて一石二鳥です。