1997年秋 初めての北京-9
トラブル5・トラべラーズチェツク
鍼灸学会は11月1〜3日だったが、4日と5日「特別講演会」が「
中日友好医院臨床医学研究所」で開催された。
講演はAからDまでの4ユニットから成り、
1ユニットの受講料はUS$40である。
私達は、北京到着後にA・B2ユニット2人分$160を
トラベラ-ズチエックで支払い、申し込んだ。
特別講演会は著名な老中医が講師なので、
とても楽しみにしていた。 テーマは「鍼によるガン治療」、
「鍼による脳血管障害の治療」等々。
張り切って出かけたら、これがひどい講演で中身が全く無い。
会場がざわつき、中国人参加者から非難の声が上がった。
ブーイングの嵐である。
さすがに主催者側は困惑、ようやく具体的な治療法を説明し
始めた。 講師は、スライドをきちんと用意して来たが、
何も言われなければ、適当に終わるつもりだったに違いない。
「要求しないと教えない」という典型的な例である。
このトラブルのおかげで、特別講演会は有意義なものとなった。
左 中日友好医学研究所入口
右 脳卒中に対する鍼灸治療法を開発した、石学敏教授
ところで、昼休みに会場のトイレに入った。
この中日友好医院は、日中国交回復を記念して日本の協力で
建設された。 日本の大学のような建物で、
トイレも日本と全く変わり無い。
しかし、入って驚くのは、「大」の方に入っている人が
「ドアを開けたままやっている」のだ。
女性用も同様だそうだ。
私達が残念に思ったことは、街の中にある「公共厠所」
(公衆トイレ)に1度も入らなかったことである。
宿舎のトイレ以外には、空港、駅、会議中心、列車内等
でトイレに入ったが、他では行く機会が無かった。
北京は空気が極端に乾燥していて、尿意を催さないのである。
(乾燥が強いだけにお茶がおいしい)
路地を歩いていると、一定間隔に公衆トイレがあり、
中で数人が声高に議論しているのが聞こえる。
噂に聞く「仕切りの無いトイレ」をこの目で確かめることが
出来なかったことが非常に残念である !
多分、仕切りが無いからこそ議論の場、社交の場となっている
のだろうと想像できるし、研究所のトイレのドアを
閉めないことも説明できる。
「用」が無くても入ってみるべきであった!
さて、特別講演会出席者に「参加証」をくれるというので、
貰いに行くが、簡単にはくれない。 「30分待ってください」
と言う。 また何か「事情」があるのだろうと想像していると、
私だけ「事務所に釆てほしい」という。
事務所に行くと、担当者が汗だくになって、まさに今、
参加証を作っている。 1人がパソコンで、
名前や国籍を入力してプリント、別の人がラミネート加工。
請求された分だけ作っているわけだ。
これでは30分位かかるだろう。
しかし、呼ばれた理由は他にあった。
机の上にトラベラーズチェック(以下T/C)がある。
どこかで見たT/Cだと思ったら、私が特別講演会参加料として
支払ったものだった。 どうしたというのだろうか?
理由はこうである。 T/Cには、2箇所にサインが必要だが、
カウンターサインの筆跡が違うというので、
中国銀行が換金を拒否したらしい。 サインはパスポー卜と
同様に漢字で「加藤均」と記入してある。
特別講演会の受付が混雑していたので、
不自然な姿勢で急いでサインした。
それで、筆跡が違ってしまった。
中国人のサインを見ると、コピーかと思うようなサインをする。
今回は、T/Cの裏面にサインし直すことで解決。
同一筆跡でサインするよう丁寧に書いた。
そうこうしているうちに、参加証も出来上がり、
T/C担当の美人の文麗さんともお近づきになることが出来た。
メデタシ、メデタシ。
左 中日友好医院前にある露店 お見舞い用果物などを売っている
右 和平里商店街夕方の賑わい
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大成鍼灸院 2001年11月
Ly-Zh-9709