俺に関する噂




今回の文章のタイトルと同名の書があるが、今回は別に書評という訳でもないし、内容的にもたいして関係ない。


人の噂話を聞いてしまうこと、それも自分の噂話を気付かれずに聞いてしまったりすることが、時々あるのではなかろうか(え、ないって?)。今回は私のそんな経験を二つほど書いてみよう。



一つ目は高校生の時。私はとある住宅地に住んでおり、そこから自転車で通学していた。基本的に私の使っていた道は、私と同じ住宅地に住んでいる者の多くが高校への通学路としており、朝には住宅地から通学する高校生の自転車が頻繁に見られた。


ただ、私はその道を基本としつつも、途中から道を外れやや狭い道へ入ることで、独自の(ほぼ私しか使っていない)近道を使用していた。いつも遅刻スレスレの私はその道を危険な速度で突き進むのである。


そんなある日、自転車で走る私の遙か後方に、私の走る道を追っているらしい自転車があった。よく確認してみるとそれは同じクラスの女性。いつも私しか使っていない道に何故?どうやら、いつも他の人々が使っている道から外れていく私の通る道が不思議だったのだろう。高速で走る私に(多分)気がつかれないように距離を空けて追ってくる。まぁ、気がついていないことにして学校に到着、いつもの様に時間は流れていく。


が、この日のとある休み時間、机に顔を伏せて眠りかけている私の耳が、妙な会話を捉えた。どうやら朝に私を追っていた人の会話だ。


追っていた人「朝ね、T-KS君の後に着いていってみたの。あの人、いつも違う所に行くんだよね」
その友人「そうなんだ、それで?」
追っていた人「あの人、凄い道を通ってるし、滅茶苦茶とばしてる。やっぱあの人、本物だわ」


なんだそれは!?


会話している人は私が聞こえる場所に居ることに気がついていないし、私もそこに割ってはいるような根性もないので(全く話したこともない人だし)、そのまま顔を伏したままにしていたが…私は本物のなんなんだ?



で、二つ目、これは大学に入ってから。これまた女性(会話したこともない)の私に関する噂。ウチの大学には一応、クラスというものがある。まぁ、1年の時だけで、週に3コマある語学の講義をそのクラスで受けることになっている。といってもクラスでどうこうというのはあまりなくて、結束の強いクラスや人々は飲み会なんかをしているらしいが、私はあまりよろしくない性分なので(笑)、同じクラスの人々との繋がりはほとんど無い(ただし、入学した直後は学祭やら合宿やらでそれなりの関わりはあったが)


大学も2年目になって半年以上が過ぎ、クラスのことなど記憶の端にしかない秋のある日、私は構内のベンチに座って買ってきた弁当を食べていた。と、近くのベンチに見覚えのある3人組が私とは逆を向いて座った。それは1年の時に同じクラスだった人が2名、高校の時に同じクラスだった人が1名(唯一の同じ高校の出身者だが関わりは特になし)。私と逆の向きに座ったことで、私は向こうに気がついたが、向こうは私に気がつくことが出来なかったようだ。


で、聞き耳を立てていたわけではないが(読書中だったので)、どうやら大学で同じクラスだった2名が、その同じクラスにいた人について話しているようだ。名前を次々と挙げては覚えている、覚えてないと話している。この辺で自分でも予想が付いていたが…会話は以下のような展開をみせる。


大学で同じクラスA「○○君とかいなかった?」
大学で同じクラスB「あぁ、いたいた、なんか~~な感じの人でしょ?」
高校で同じクラスC「ねぇ、T-KS君って人は同じクラスにいなかった?」
A「う~ん、居たような」
B「居たよ。あのね、眼鏡かけた人」
A「思い出した!なんかオタクっぽい人でしょ」


大正解!!


すげぇ!話したこともなく、こっちはそっちの名前すら思い出せないのに…凄い洞察力だ。それにしても何で分かったのだろうか。風呂も毎日入っているし、極端に太っているわけでも痩せている訳でもない(太ってはいるが…)。服装には全くもって無頓着だが、見苦しいこの服装はヲタというよりもむしろ浮浪者の方が近い。顔か?顔がいけないのか?



これが「俺に関する噂」。本当はもっと色々言われているのだろうが、自分が聴けた中で覚えているのはこの二つぐらいだろう。


それにしてもロクなもんじゃないな…



(2003/03)



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