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母について晒してみる。


何日に帰省する、というメールを母の携帯に送った。しばらくして、返信がきた。


「らじゃりました」


…ラジャダムナン(ムエタイの聖地)?モンコン着けて、神へ捧げるダンスして、ローキックでウェーイ、ウェーイ?ティーカウコーン、サムチャイ・トムヤンクン。


大変なことが起こっている、と私は思った。深夜2時に蕎麦屋のバイク(配達用)が2台並んで爆走しているのを見かけたことなんて、もはやどうでもよかった。







世界遺産と3D




帰省した際、高校の時の部活仲間と飲み会。正確に言うと、これに呼ばれたから帰省したので、この飲み会が今回の帰省の主目的だった。


高校の時からそうだったのだが…相変わらず面白い。部活のミーティングが終わったあともずっと教室でダラダラ話していたのを思い出す。


しかし、メンバーの一人が失敗に終わった合コンの体験談をしていたのだが、その失敗の主原因は「君は世界遺産みたいだね」と誰かが言ったからだ、というのは強力過ぎる。


すげぇ。何を思ってその人は相手に「君は世界遺産みたいだね」と言ったのだろう。言い換えると「君はマチュ・ピチュみたいだね」とか「君は恐竜州立公園みたいだね」ということになる。素敵だな、おい。


あと、「最近、ドラえもんを見てない」(私もだけど)と言った人に対して、誰かが「声優が変わってからものすごく変わったんだぜ、ドラえもん。なんと、のび太とドラえもんに必殺技が出来た。ドラエモン・デス・ドロップ、通称3D」と教え込もうとするのも素敵すぎる。敵をテーブルに叩きつけるぜドラえもん。


(3Dについては、「ダッドリー デス ドロップ」で検索のこと)










さて、帰省から戻ってくる道中のことについても書いておこう。今回の帰省期間がお盆ということもあって、駅では家族連れが一杯。帰りの電車の中でも、私の近くの座席にある家族連れが座っていた。夫婦と幼い子どもが2人。 座席の都合で、父親(らしき人)だけが、他の家族とは少し離れて座っていた。


並んで座って戯れている母親と幼い兄弟。離れて座っている父親は少し疲れた顔。すると、兄弟のウチの一人がトコトコと父親の座っている前に歩いてきた。「あぁ、お父さんが寂しそうに見えたのかな。微笑ましいなぁ」なんて思いながら様子を眺める私。


…突然の惨劇。座っている父親の前に来た子ども…無言のまま父親の金的に向かって正拳突き一閃。子どもの拳は獲物を最短距離で捉えていた。


「ぐむっ…」といううめき声をあげて動かなくなった父親。狩りの成果に喜んでいる子ども。私はそこに、父親という存在に固着して離れない哀しみを見た。



(2005/08)



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