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11月24日 将来利息の控除

 本日の朝日新聞の夕刊の記事に、交通事故の損害賠償のうち、逸失利益の算定で、将来得られるはずの収入から差し引く「中間利息」の金利を何%にするかという問題が取り上げられていました。

 裁判上の損害賠償では、将来に得られるはずの収入を先払いするため、将来利息を差し引くことになるわけです。具体的な計算式はホフマン法とかライプニッツ法とかの計算式があって、複雑なのでここでは触れませんが、その元となる金利は通常5%で計算されています。簡単に言うと、1年後に100万円の収入が得られる見込みがある場合、これを逸失利益として今支払う場合には5%を差し引いた95万円を支払えばいいと言うことです。差し引いた将来利息の分は、受け取った側が1年間運用して増やせばいいという考え方です。

 問題は5%という利率の根拠。民法で定められた法定利率が5%なのがその根拠です。

 この低金利のご時世、この5%という高金利は確かに非現実的でしょう。そこで最近、控除利率を4%以下にする判決もちらほらでてきたが、まだ主流とはなっていません。

 しかしながら、逸失利益の計算は数10年先までのことを考えるため、そこまで低金利が続く保証がないのが困るところです。逆に損害賠償の将来利息だけ金利を下げておいて、例えば売掛金の利息は当然に5%でいいのか(約定がない場合)、という問題もあります。

 朝日新聞は被害者救済の観点から、将来利息の基準金利を下げるべき、と主張したいようですが、つまるところ、これは金利水準の変動があることを考慮せずに民法が単純に法定金利を5%に設定していることが最初の問題点ではないかと思います。私としては、どちらかというと立法で解決すべきではないかと思いますね。

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