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1月2日 弁護士と公益活動

 弁護士という者は、弁護士法1条において、「人権擁護を使命」とされていることから、単なる商売としての業務にとどまらず、「公益活動」を行うことが使命として求められていると考えられています。

 この「公益活動」が何を指すか、人によって考え方は違いますが、弁護士会の委員会等の「会務活動」から始まり、刑事国選弁護や当番弁護士等の担当、果てはクレサラ事件や消費者事件等の受任等の担当まで含まれるようです。弁護士会によっては、会則で会員に、こうした公益活動を義務づけている会すらあります。

 ま、会務活動は、直接お金にはならない点では公益的であるとは言えましょう。しかし、私自身は、弁護士会の会務活動は基本的には自治会としての活動や学校のクラブ活動と次元としては大差ないと思っています。「公益」と大上段に振りかぶった言い方がふさわしいかどうかは議論があるところでしょう。

 では、刑事国選弁護、当番弁護、クレサラ事件、消費者事件等はどうでしょうか。これらは確かに採算ベースに乗りにくい事件が多い一方で、依頼者は社会的弱者が多い傾向がありますから、一種公益活動的ではあるとは思います。しかし、本来から言えば、これらの事件が採算に乗らない仕組みこそが問題であって、社会全体がこれらの事件の経費を負担する仕組み(法律扶助等)を充実していくことの方が必要でしょう。

 これらの内容を「公益活動」と呼ばねばならない事情はむしろ弁護士会内部にあって、会員に犠牲を強いて「公益活動」を継続していかなければならないからです。

 全然「公益活動」には目もくれない弁護士もいます。特に東京ではかなりの数に上ります。東京は弁護士が多いように見えますが、これら「公益活動」を担う弁護士は特定の者に偏っているのが実情です。

 さて、私自身と言えば、自己紹介のページをご覧になっていただければ分かるように、「多重会務者」(弁護士会では、多数の委員会に入っている弁護士を「多重債務者」をもじってこう自嘲的に呼ぶ)の一員です。そこで、次回からは私の「多重会務者」に至る経緯をご紹介するとしましょう。

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