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7月11日 弁護士費用の敗訴者負担の是非

 司法改革の議論の中で、弁護士の意見と社会一般の意見の主流が合わない事項は結構多いのですが、その中でも問題だと思われるのが、訴訟の敗訴者に弁護士費用を負担させる「敗訴者負担制度」の導入です。

 「負けた側が勝った側の弁護士費用を支払う」−あるいは当然のことであると思われるかも知れませんが、実際にこれを全ての訴訟に適用するとかなり問題が起こります。

 例えば、現行の行政訴訟や医療過誤訴訟では、原告の勝訴率は相当低いと言わざるを得ません。

 これは、別に濫訴が起こされているわけではなく、行政訴訟制度の使い勝手が悪かったり、患者側の証拠収集・立証方法が非常に制約されている事情によるものです。

 行政訴訟の被告は国や地方公共団体ですから、負けても経済的なダメージはそれほどでもありませんし、医療過誤訴訟の被告の医療機関や医師は、たいてい保険に入っていますから、やはりリスクは回避可能です。

 しかし、原告の方は、もし敗訴すれば相手方の弁護士費用というダブルパンチが降ってくるとなると、経済的な観点から訴訟提起自体をあきらめてしまう人も出るかも知れません。

 消費者事件などはもっと典型的です。消費者訴訟は、勝ち目が薄そうでも社会的な反響を求め、世論の盛り上がりに賭けて政策的に訴訟を提起していかなければならない場合があります。これも、敗訴した場合の二重の経済的ダメージを考えると思いとどまってしまう人が増えるでしょう。

 つまり、いきなり敗訴者負担制度を採用してしまうと、社会的弱者が訴訟に訴えることを抑制することになりかねません。権利保障の最後の砦である、司法までが、経済力に左右されることにはしたくないという気がします。みなさんはどうお考えでしょうか。

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