再演『モーツアルト!』2005

2005年7月〜8月帝国劇場

ミュージカル『モーツアルト!』は日本で2002年に初演されて以来、2年半ぶりに日本で再演されている。
2005年6月は大阪梅田芸術劇場で、7月、8月は東京帝国劇場で、10月は名古屋中日劇場、11月は博多座と予定されている。

主役モーツアルトに井上芳雄と中川晃教のダブルキャスト
その妻コンスタンツェは松たか子が抜けて、西田ひかるに加えて木村佳乃が初挑戦、名古屋と九州は大塚ちひろが決まっている。
また、男爵夫人には久世星佳に加えて今年から香寿たつき、名古屋と博多が一路真輝で、その他の主要キャストは初演と変わりなし。

では、私が拝見した帝国劇場再演の感想を述べたいと思います。

井上芳雄モーツアルトについて。
その成長振りは素晴らしいもので、しきりに汗を飛ばして、全身から水を絞り出しているかのような熱演振りだ!全身全霊成りきり度100パーセント、いや、120パーセント位の感じで頑張っている。
あれだけ、持てる力を惜しげもなくお客さんにサービスすると、元気を沢山貰って帰れる気がする。本人はサービスと言うよりも自分自身に挑戦しているのだとも思う。
最初は力み過ぎかも?あんまり、頑張り過ぎて喉を痛めやしないかなぁ〜と思ったけど、後半になって、もう1度観ると、全然大丈夫!動きや表情など、役者としての力も立派についてきたし、大したものだ!
今回の長い髪型も似合い、外見的にもいい。モーツアルトの天才的な部分はアマディウスの子役によって表現されているが、普通の若者としての純粋な面、天才が故に内面的な葛藤や苦痛などを井上君は上手く表わしていた。
結局、中川モーツアルトは観なかったので、あしからず…。

モーツアルトの成長の妨げとなるコロレド大司教さまには、ビッグな俳優山口祐一郎さん
歌が素晴らしいのは言うまでも無い。初演に感じたコロレド司教に対する憎々しさが抜けて、貫禄と立派な歌いっぷりに加え、ユーモアと親しみさえ感じられた。トイレの場面は観客を笑わせてくれる。

レオポルト・モーツアルトの市村正親も演技や歌が安定して上手く、頑固で哀れな父親役をしっかりと演じていた。

コンスタンツェ役の西田ひかるは、すっかり慣れて、その落ち着きと上手さに感心させられた。『ダンスはやめられない』のなめらかな歌いっぷりが大変良かった!初演の松たか子も押し出しが強くて良かったけれど、雰囲気的に似ている木村佳乃のコンスタンツェは歌が弱い。けれど、インパクトを強くして歌い込めばきっと良くなるかもしれない。外見的には知的な美人で衣装もよく似合い、可愛らしさや賢さなども出ていたし、役者としては上手いと思う。井上モーツアルトとも良く似合っていた。

男爵夫人の香寿たつきは、元宝塚男役から大変身しており、美しさに目を見張るようだった。元々歌には定評があるので、難なくこなしていたが、気高さと言うよりも、青や黄色の華麗なドレスとアクセサリーが宝塚的でつい見入ってしまった。一方、初演からの久世星加は安定した危なげの無い歌いっぷりと貫禄があった。

姉のネンネール・モーツアルトは初演から高橋由美子さん。歌が良くなり、人の良い姉と言うか弟思いで、薄幸な人の雰囲気が板についてきた。

満員の帝劇カーテンコールでは、鳴り止まない拍手に応えて、井上君が子役のアマデウスを背負いカーテン前を行ったり来たりと、さらなるお辞儀の大サービス。明るい好青年で爽やかな笑顔が良かった!
期待が持てるので、是非ともよりビッグなミュージカル俳優になって欲しいものだ。

2005年9月6日yuko記

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