2007年3月31日 柳原照弘さんと建築あそび記録  home 

 3月31日 ・   ・  M ・  ・ XL ・ ワイワイ1 ・ ワイワイ2  

   


柳原: 次というのは

どういことをするかと言うと プロダクト家具作ること。ここから普通のことになってくるんですけど。これが無印良品というのが、今年 初めて国際コンペをやりまして、それで入選させてもらった花瓶なんですけど。

無印良品というのは多量にいろんなものを生産しどんどん作り続けて、すごい貢献してるメーカーなんですけど。それに対して「また新しいものを作る」と言うのはコンペの主旨として「ちょっと違うところを狙おう」と思いまして。

「レディーメードの力を借りることで成立する」というのは、「あまり物を作らないで新しいものを提案できればいいな〜」と思い作ったアイディアなんですけど。
           (写真家 太田拓美さん提供→)

普通 みな使われるコップありますよね。コップというのは毎日365日使うと思うのですけど。 フラワーベース・花瓶というのはたぶんお花をもらったときとか、特別な時。 たぶん年間に数回しか使わないものだと思うのですけど、それをコップという毎日使うものの力を借りることで、花瓶になるという。

こういう形で普通のコップにネット状のものをかぶすんですけど、これで花瓶の形になりまして 、結局こいう形の花瓶になりまして。

s:なるほど。ネットを加えることで花瓶ね。webで最初の絵だけ見たんですけど なんだかわかんなかった

柳原:そうです。プラスティクのネット。これもネットを作ったわけじゃなくって、イタリアに行った時に帰りに「おみやげ買おう」と思ってワインを買ったら、この保護カバーで空港の人が切って被してくれたんですよ。これが被しているときに面白くって。

s:なるほど既製品と既成品を合成し新しいものを つくる

柳原:そうなんですよ。既製品と既成品を組み合わせても新しい提案ができるという提案をしてくって。で あの〜なぜか通ってしまいまして。

k:これいいよね〜

柳原:で物質量というのと使用量を一緒にして。たまに使い物は最小限の構造で、よく使う物の力を借りて成立するプロダクトというのでこれを考えました。

s:評価されるね



● 附箋

柳原:次同じコンペで実は入選しなかったんですが。

  会場 笑い。

これも結構自分では気に入っていいるんですけど。付箋紙というのはよく使うもんですけど、なにかに意識を向けさせるものですけど.本の中でそのページを強調するもので「これを違う使い方にしたいな〜」と思いまして。

こいうものをまず作ったんですよ。これはまず円盤が2つ有るだけで。この時点では何も機能してないし何かよくわからないものですけど、そのレディーメードのポストイットを貼ることで、こいう形で貼るんですけど実は時計になると
 
       (写真家 太田拓美さん提供→)

k;なるほど

今10時35分なんですけど。この付箋紙を貼ることで初めて円盤が回転してるということに気づくんですけど

s:あぁそうか、内と外別々に貼ってて回るのか

柳原:そうなんです。 ポストイットを貼ることで初めてそのポストイットが回っているという事実に気づくんですけど。これもはがすことで時間というのが無くなるんですけど。

 どう思ったかというと時間というのは記憶の中では回っているというのは判るんですけど、コップとか物みたいに視覚で 実はないもので、意識の中でしか成立してないものっていう、ものをこのプロダクトで 現したくって

はがすと自分の前から消えてしまって。ポストイットを貼ると時間が成立するという。

s:中が60分に一回転・・

柳原:これは。も一個貼ると

s:どうなっちゃうんだ〜

柳原:実はミラノの時間。同じ時計で

s:あそうか

   会場 わらい 

柳原:黄色はまだ2時半だなとか判る。そいう時計をつくりまいた。これは入選しなかったんですけど

s:おもしろいな〜 


傾いていること

柳原:次 傾いていること。僕のなかで一貫していることは最小限のコントロールでおもしろい物語ができたらいいな〜という。

形はシンプルなんですけど、そういうストーリーを大事にしまして、これは傾いていること。 というのは、これはコップなんですけど普通のコップというのはシンメトリーで。 構造上一番形作りやすいと。 使い易いというのは 左右対称の物で、みんながコップと思う。 だいたいの人は同じコップの形状を思い出すと思うんですが。これって、毎日使っているんです。そこの「ちょっとした変化をあえたいな〜」と思い。それで傾いている・・

  会場 笑い 

僕は この普通のイメージするのを傾けただけなんですけど。 これでどいういう物語が生まれてくるかと言いますと、同じ使う物なんですけど、傾いていることでこのシンメトリーに向きというのが生まれてくるんです。

それで日常にどう関わるかというと、触感というのが どこを触っても同じ物がないので、毎日使う同じコップなんだけど、触ったとこによって違う。 何通りにもなるという・・なんていうんですかね。そういう気持ちをいろんなストーリーを作りたくって。

あとは、傾いているところで いろんな向きで、 こいう形になるのですけど。 

普通にコップを満タンに注ぐと、あふれてしまい口を持って行かないといけない行為なんですけど。 ちょっと傾ていると どんだけ満タンに注いでも持ったときは絶対にクリアランスが生まれるのでこぼれなくって済む。

会場 ふんふん

傾いていたら、酔っぱらってこぼすかもしないんですけど。そういうちょっとした操作でいろんな物語できる。プロダクトが作れたらいいな〜と。いうのを一貫してやっています。

:これ売っているの

柳原:まだ製品化なっていないんですけど、今進行中。

s:コップ捜していたところだったから丁度イイね。これ買おう。

  A;笑う 


欠けていること

「欠けていること」というのは。これなんですけど。これは実は時計で。よくみると円形で左側か欠けている。これはどれぐらい欠けさしたかというと13夜の月の形をしています。

ちょうど欠けている部分というのはちょっとした 工夫の時計のなかで 時計の短針長針というのが円盤後ろを回っているんですけど。欠けている部分を回る時に、短針と長針が強調されるんです。でそれはどいう風に考えたかといいますと。

           (写真家 太田拓美さん提供→)

短針と長針が強調されているということは時間が自分のなかで意識が高くなる。一番強調されるところなので、それが夜の部分のところで

佐藤わらう

どういうことが言いたかったかといいますと。 たとえば都会だと、夜すごい良い時間なんですけど、みんなテレビ見たりとかして結構もったいない使い方をするんですけど。 こいうふうに時計で強調されるともうすこし大事に時間を使うというか。「ゆっくりした時間を過ごしてください」というメッセージをこめて作りました。

s:昼は短くなるのか〜

柳原:そう。 夜の部分だけ強調される。時計って仕事している人は一番多く見るのは夜のときなので充実した時間を過ごしましょうというメッセージを込めています。


●薄いこと

これはすごいシンプルなんですけど、「家具の構造が薄くなると面白くなるな〜」と思い作りました。厚みが4ミリです。「最小限の構造で家具を作るとどうなるか」というので

s:足も

柳原:はい。4oです。カーボンというのは飛行機で使われるんですけど。この構造にすると・・みんなの意識のなかで、「これ座れるのか・・」どうか判らないという意識になるので、みんな最初に座るときに恐る恐る座るんですけど・・・。

  会場 笑う 

座ってみたら初めて「この構造でも座ることができる」という事実が判る。これも同じような白い椅子なんです。

これ写真とったのがストックフォルムなんです。初めてストックホルムの家具見本市というのがありまして、そこで発表したんです。結構好評でワールドツアーというこかたちでミラノ東京で展示をしてくれることになりまして・・・。

s:鉄板より軽いんでしょう?!

柳原;はい軽いですね。鉄板の8倍の引っ張り力に耐える。

s:鉄板で作ると どうなるの

柳原:リブの部分で壊れてしまいました。


●薄く見えること

柳原:リブはちょっと補強は入れているのですけど。さっきのは「薄いこと」ということで家具を作りましたが、今度はもうちょっと進展させて「薄く見えること」の意識で家具をつくりました

これはどういうものかと言うと、実際の厚みというのは普通の素材で作ると どうしても必要な厚みがあるんです。みんなそこの厚みを意識してつくると、結局同じ様な家具になるんです。実際に厚みはあるんですが、「視覚的に薄く見えるような家具をつくりたいな~」と思いました。これはどういう構造にしたかというと真ん中がスリット状に欠いているんです。

弐枚の板をサンドして隙間が開くような構造になっているんです。これによって何が出てくるかという、物とものとの間に影が出てくるので必要なデイティールというのが影で消されてしまうんです

s:家具の下に

柳原:これで実際の構造というのは厚みがあるんですけど 影で消すことで薄く見えるという家具を作りました。これも木の家具なんですけど。実際 見ていただくと 本当に薄く見えるので。 本来の構造よりも薄く見えると。これもただ影を足すだけなんですけど、それだけで効果がある家具です。


● 汚せること

汚せることというのはソファーとかテーブルとかってずーっ使うので汚れてはいけない素材を最初使うのですけど、逆に「汚せるなら汚したほうがいいな~」と思いまして。

これが そのソファーなんですけど。一見 黒いキャンバスのソファーなんですけど。これが手で擦ると白く・・傷がいくんですね。 傷がいくことで経年変化というか、逆に汚してしまう。

汚すことで その平凡だった素材がだんだんと個性が出てくる。あとは使っているうちに勝手に皺が出て来て また違うテクスチャーになったり。 あとは子供が落書きして怒られるのが 実はもう「書いていいよ」みたいな感じで。怒られない家具なんです。これはアイロンで消す ことができます。

s:アイロンの熱 あたえ〜?!

柳原 :アイロン当てるとすごい消えます。

s:魔法だね。

柳原:そうですね。たとえば急に電話かかってきて、メモらなければいけないときに

 会場 ははんは〜 なるほど

鉛筆とノート 探すのたいへんなんですけど〜(会場笑い)。ここに書いておけばいい、あとは夜遅く帰ってきたときに、「冷蔵庫にご飯あるよ〜

s:彼女の電話番号メモって消すの忘れたらどうなる〜

柳原:それはあの〜・・会場笑い 個人の(笑)問題で、そういうことも可能です。そういうソファーです。


● 外にあるもの

s:汚れるイスはカバーだけのデザインなんですね

柳原:そうです カバーだけ、一見普通の家具ですけれど どこにでもあるものにカバ〜する。

これは外に在るもの・・どういうことかというと

s:ネットでみても全然 今の話へ至れないな〜 説明を聞かないと〜わからん。

柳原:そうです。写真を載せてるだけだと何も分かんないです。これは外にあるものでみんな見たら判ると思うのですけど。 フォークリフトのパレット。なんですけど、フォークリフトのパレットてすごくよく出来ていて。 効率よくできていて。すごく僕 魅力が元々とあたんですよ〜。これを、「外にあるアイコンを室内に持ち込むことで、まったく違う家具ができるな〜」と思って、一見パレットに見える家具をつくりました。

これでどういうことができるかと言うと積み重ねることで本棚になったり、こういうカタチで本棚として使ったりですね〜。 あとベットの台に使ったり、テーブルにしたり、使う人によっていろいろ効率よく使うことができるな〜と。

これはベンチなんですけど、構造用針葉樹合板ですね。そのときに一番 手に入れ易い日本にある素材で、できるだけ安く作るというコンセプトで作りました。

これすごい気に入っているんです。こういうカタチでローテーブルとして並べることもできますし、上に寝ることも可能です。


● へこんでいること

次はへこんでいること。これはあの無垢でつくったテーブルなんですけど。これも一見シンプルなんですけど。外の部分だけちょっとへこんでいる。

s:外ってどこですか

柳原:ここの、ここに段差があるっていう。普通デザインして無垢の木で綺麗に作るとどうしても、まつすぐ 作りたくなるんですけど、あえてそこをへこますことで機能的に。外に出るときに足が引っかからなくなるっていう。このちょっとした操作で使い勝手があがる

s:つま先や膝が引っかかりにくくなる

柳原: そうなんです。これもなにげないんですけど。すごいこだわって作りました。こういうカタチで並べるときに横にでるときに足がひっかかりにくという家具です。

 
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