第48号 2007年6月      
 しゃがむような膝を深く曲げる動作が私たちの日常生活から無くなって膝裏やふくらはぎが硬くなって、脚の血流を悪くしているということを、もう何度も繰り返していますが、足裏に手が届かないまたは届きにくいという方も増えてきました。自分の足を自分で揉むのがこの健康法の特徴ですが、自分で揉めないという訳です。困ったことです。
 膝の内側と坐骨を繋いで膝関節を深く曲げる働きをする半腱様筋という筋肉がありますが、この筋肉が固まると延び縮みできなくなり、膝が深く曲げられなくなります。また、この半腱様筋が坐骨に付く部位には仙骨と骨盤を繋ぎとめる仙結節靭帯があります。庭の草取りを暫くぶりにして立ち上がろうとした時、腰が曲がって延びないことがありますが、それはこの仙結節靭帯が固まってすぐには延びないせいです。足もみをして立ち上がろうとした時にも同じ現象が起こります。
 「毎日足もみをしましょう」という原則は、足の反射区を柔らかく保つためということ以外に、現代の椅子の生活を中心とした日頃使わないこのような筋肉や靭帯を動かすことにもなるのです。自分の足もみはぜひ面倒でもソファーや椅子に座っての足もみではなくタタミやフローリングに座ってしてください。
 先ほどの筋肉や靭帯が硬くなっている人に最適の運動があります。「三点四股」と言いますが最後のページの症状別反射区解説の「足のだるさ」の解説に載せましたので行なってください。一回の回数は2・3回でも、無理せず出来る回数でいいのですが、朝昼夜と繰り返して行なうと大変効果的です。東京大学整形外科医の渡會公治先生が考案しご自身でも続けられている方法です。私も今まで沢山の運動をした中で一番よく効く運動だと思っています。
                 第46号 2007年2月     
 ヒトは二足歩行の動物として他の動物とは区別されます。4本足の猿から進化したようですが、骨格のどの部分で歩くかを比較してみると進化の痕跡がたどれて面白いです。我々が歩くときに地面に着けている部分は他の動物と大きく違います。左図を参照してください。
下肢の大腿骨、脛骨、かかと、中足骨、がどこに当たるかをヒト、ウマ、ウシ、イヌ・ネコで示しています。私たちヒトが歩く時に地面につけて体重を支えて歩いている部分はウマやウシやイヌ・ネコとはだいぶ違うことが分かります。
ヒトの指の骨に相当するところを使ってウシ、ウマ、イヌ・ネコは歩いています。ウマやウシはその指骨の先端の末節骨だけを地面に着けています。正確には爪が大きくなって変形したヒズメで歩いているのです。イヌ・ネコはヒトの指の部分で歩いています。柔らかい肉球はヒトの掌にあたります。
我々が爪先立ちして脚の指だけで歩いたらすぐに疲れてしまいます。特に靴の生活に慣れて足指を動かすことがなくなった現代人は足指で立つことすらおぼつかない人が多いのではないでしょうか。

ばあさんは腰が九の字に曲がって杖をついているイメージがありますが、それは日常労働が今より厳しく食料事情も悪くてカルシウムが少なかったなどの理由も考えられます。
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『足の裏に手が届かない』
『人の足と動物の足ー私の初夢』
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ウマなどのように早く走るためには爪先で立って、体重を4本の足に分散して走ったほうが都合がいいでしょう。ヒトのように二本の足だけで体重を支えて動くとするとウシ、ウマよりもっと多くの骨と広い面積が必要になりますのでかかとまで使う必要があるのでしょう。しかし100m競争のようにスピードを競う競技では、他の動物と同じように足指を如何に使うかも結果に大きく左右するようです。歩く速度の早い人も足指でしっかり地面を蹴るようにして歩いています。さらに図を見て気づくことは、ヒトは膝が真っ直ぐになっていることです。ウマ、ウシ、イヌ・ネコは膝が曲がっていますし、脚全体が湾曲しています。この湾曲は体重の重みを分散し脚力を強くするために必要で曲がっているわけです。ヒトは脊柱がS字状に湾曲していますが、これも体重を支えるための生理的湾曲です。こうして何百万年の長い年月に、動物それぞれの形態に一番都合がいいように進化して現在の体型の形になってきました。
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