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★ミ 【その15】 ・・・つくる パネル

いやぁ〜もう「イベビル」の連載を始めて1年近くになってしまうのですね。(汗)
んーーやっと15話 きゃっ たすけてぇ〜(笑)
今回から新しいコーナーをスタートします。これもまた長くなりそう。(汗)

【つくる(1)】
このコーナーではイベント(展示会)のブースに使う、
いろいろなモノの作り方を紹介します。
まずはじめにσ(^○^)が制作をするにあたり、心がけているている事。

イベント(展示会)ブースの制作のポイントは
1分割点
2簡単な作り
3無駄の無い作り
4納まりの良い作り
5時間に間に合う作り

1分割点
イベント(展示会)ブースは大きいので、分割して制作します。
分割方法は、材料の大きさ、作りやすい大きさ、持ち運びやすい大きさ、
車に積める大きさ、等々。
分割する場所によっては、すごく簡単に出来たり、難しくなったりします。
簡単に制作出来る分割点を見つける事が重要です。

2簡単な作り
同じ物を作るにしても、制作方法は様々です。
その中で、いかに簡単な作り方をするかが重要です。
簡単な作り=材料を使わない=手間が掛からない。 

3無駄の無い作り
無駄と言えば、材料の無駄、時間(労力)の無駄になりますが、
大きいのはやはり時間(労力)の無駄ですね。
そこで一番重要な事は、間違えない事、失敗しない事の2点だと思います。
やり直しをする事が一番無駄になります。

間違えない事については、σ(^○^)がこの仕事を始めたばかりの頃、
オヤジに毎日しつこく言われまして・・・。
「職人は間違えても良いが、見習いは間違えてはいけない」
始めの半年くらい、毎日のように言われ続けた言葉です。
・・なんでやねん 全然筋が通ってないやんかぁ〜・・
と、その当時はブツブツと言っていたのですが、最近になってやっとその言葉の意味、
そしてしつこく言われた事が解ってきました。
なんだかんだとσ(^○^)も今年の7月で、この仕事をはじめて15年目に
入ってしまいますからねぇ。(汗)
「大汗かいてやり直すのだったら、いっぷくでもしてやった方が良い」
これも始めの頃、とにかく早く作ろうと焦っていたσ(^○^)は・・・、
一度組んだ物をばらし、切ってまた組む。そんな事をよくやっていました。
すると、余裕のいっぷくをかましながらこの言葉です。
いやもう返す言葉もなく、
・・くっそぉ〜絶対に間違えてやるものかぁ〜〜・・
と、思ったものでした。(笑)
とーー言っても間違え無い事は難しいです。常に確認するしかないですね。
失敗は成功のもと とも言います。挑戦的な失敗は大いにやって良いと思います。
しかし、ここぞ という時にはピシリと決めましょう。

4納まりの良い作り
現場で手間の掛からない制作をする。
現場で何とかなるさぁ〜と言う考えはいけません。
現場での作業は工場の何倍も手間が掛かってしまいます。
想像を働かせ、現場での取付順序等を考え、制作します。
始めに制作の設計をしっかりとやるって事ですかね。

5時間に間に合う作り
とにかくこれが一番大事です。
どんなに凝って旨く作っても、時間に間に合わなかったらゴミですからね。
イベント(展示会)は見せかけのテクニックだと思います。
見える所、目立つ所はピシリと押さえ、見えない所はどぉ〜でもええねぇ〜ん(笑)
ちょっと言い過ぎました。(汗)
手間を掛ける所と、サラリとやる所、その見極めが重要です。

いやぁ〜最近のσ(^○^)の仕事というと、ほとんど制作設計になってしまって(汗)
いかに正確に、いかに簡単に、いかに早く、作れるようにするか・・・
んんーー頭からけむりがぁ〜〜(笑)

それからσ(^○^)はいつも、簡単に出来そうな所から手を掛けるようにしています。
簡単なヤツをパパッと片づけ、はずみをつけて段々と難しいヤツに(笑)
始めに難しいヤツに掛かり、それに引っかかってしまうと・・・
簡単なヤツもなかなか出来なくなりますからね。

んーーなんかものすごく偉そうに語ってしまいましたが、(汗)
イベント(展示会)ブース制作のポイントはこんなところですかね。

ではでは、簡単なところからはじめたいと思います。

「パネル(1)」
イベント(展示会)ブース制作の基本です。
パネルはバックパネル・バックとも呼びます。
内装のパネル 什器 建具(フラッシュ)では大きめに作って切り回わし
が基本なのですが、イベント(展示会)のパネルはベニヤでかねを合わせます。

*かねー直角のこと

それではまず一番多く使うH:2700W:900のパネルを作ります。
1枚だけ作るという事は少ないので10枚まとめて作ります。

材料ー小割 たる木 防炎の並ベニヤ
       
*H:2700までは 桟ー小割 べニヤー防炎の並ベニヤ
  それ以上は 桟ーたる木 ベニヤー防炎の4ミリベニヤ
  小割、たる木ともにロシア産アカマツが多い
 小割は30*20角 1束ー20本
  たる木は40*30角 1束ー12本
  関西では小割ー30*30 たる木ー40*20 のようです

木工機械ー昇降盤 横切り盤 コンプレッサー
電動工具ードリル
手道具ー玄翁(なぐり) 差し金 墨壺 鉛筆 ガンタッカー サンドペーパー
治具ー横切り固定定規 ベニヤ打ち用直角定規

作業の流れ
1縦桟を切る
2横桟を切る
3縦桟を並べる
4縦桟に墨を付ける
5縦桟の端に穴を開ける
6縦桟に釘を立てる
7骨組みを作る
8ベニヤを切る
9ベニヤを貼る

1縦桟を切る
材料(小割)を横切り盤のスライドレールに掛けて寝かせます。
束のまま寝かせ、重ねて置きます。
横切り盤に2700の固定定規をセットします。
イベント(展示会)ブースで使うパネルの高さは大体決まっていますので、
その長さに切れる定規が作って有ります。

* 固定定規の作り方
 横切りのスライド定盤の手前側2ヶ所に6〜8パイの穴を開けます。
 たる木又は三つ割りを少し先端が切れる位置に置き、スライド定盤の穴に向かって
 釘を2、3本打ち付けます。
 鋸の刃を回し先端を切ります。
 鋸の回転を止めます。
 先端からスケールを当て、切りたい寸法に墨を付けます。
 墨より後ろにたる木を打ち付けます。(たる木の長さは150くらい)
 幅100長さ300くらいのベニヤを、打ち付けたたる木の下側に打ちます。
 スライド定盤から一度定規を抜き、たる木よりも後ろ側を切り落とします。 
 定規の2ヶ所に打った釘が、スライド定盤の穴にスッと入り、
 前後に動かない事を確認します。これで完成です。

2700の定規はたる木(40*30)で、
4000の定規は三つ割り(105*30くらい)で作ります。
4000の定規は止めのたる木を2本重ねて打ち付けます。
この2種類の定規を使って、他の寸法に切りたい時は、
その位置にクランプでたる木をとめます。

パネルを10枚作るので縦桟を20本切ります。
小割は2本づつ切ります。
2本を背に並べ、後ろ側を定規よりも少し後ろに突き出して前を切ります。
小割を回転させて、平に2本重ねます。
定規にピタリと当て、前を切ります。
こうすることで端切り(はなぎり)をします。

*背ー寸法の違う角材の幅の狭い方を 背 と呼びます。
     幅の広い方を 平 と呼びます。
     小割は20*30角です。
     20側を 背 30側を 平 と呼びます。

*端ー(はな)材料の先端。

*端切り(はなぎり)ー材料は立てて保存している事が多いので、
           先端は地面に着き、砂をくっています。
           刃物を痛めるので、先端を切り落とします。
 
縦桟を切る時は、定規の真ん中辺に立ち、体は定規と平行にします。
指は絶対に生えかわったりしません。回転している鋸にはさわらないように。
小割の長さは4000なので、2700を切ると約1300が鋸刃の反対側の
定盤に残ります。
定盤に材料が沢山溜まると、スライド定盤が重くなり切れなくなります。
適度に定盤の材料を下ろします。

2横桟を切る
パネルは450間隔で桟を入れます。
ですから 0 450 900 1350 1800 2250 2700
このうち 0 1800 2700 の位置にはたる木を使います。
パネルの上下 0 と 2700 の位置はパネル同士を繋ぐ時に裏打ちを流すので、
幅が広い方が釘が打ちやすいためです。
1800 の位置はベニヤのつなぎ目です
2700のパネルでは 小割を4本 たる木を3本使います。
パネル10枚ですと小割40本 たる木30本ですね。

固定定規を外します。
スライド定盤の定規を900の位置にセットします。
縦桟の切り落としの小割を2本短く切ります。
その小割2本を定規に背で並べて当てます。
はじめに切る横桟は、背で並べた小割に当てて切ります。
切った小割を鋸刃に当てた状態で動かない様に手でおさえます。
定規を緩め、間に挟んだ小割2本を外します。
定規をずらし、切った小割に当てます。
この定規で横桟を切れば、組んだ時にピッタリ900になります。

パネルは背で組むので、横桟の長さは、900−(20*2)=860
なのですが、材料の乾燥状態によって分(ぶ)が違ってきますので、
今使う材料を2本分引いて切ります。
横桟の長さはピッタリか若干短めにします。
短い場合は桟を叩き戻し、寸法を合わせる事が出来ます。
長い場合には、削らなくてならなくなりますので、長くならない様に気を付けます。

*分(ぶ)ー尺貫法の長さの単位
      寸の10分の1 1分=約3.03ミリ
      ほんの少しの違いの事を 分が違う とか 分が合わないと 言います。

                                      ではまたσ(^○^)くん


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