大室佑介さんに聞く 2010年3月8日ダメハウス home その01 02 03 04 05 06 その02 大室:これは一冊にまとめてゲルニカの方に送りました。70周年のときに 佐藤:どうでしたか 大室:まったく何も返ってこない かいじょうがややがや 15:05 佐藤:理解できなかったのかな。プレゼンに行かないとだめか〜 大室:スペイン語も通じない所ですからねバスク地方ってのは。だからひょっとしたら分からないまま捨てられたのかもしれないですけど。 佐藤:最初のモンタージュは大室さんが自分で作られたんでしょうけど、これはどういう意味が込められているんですか 大室:フォトコラージュです 佐藤:何と何と何を合成しているんですか 大室:元地がゲルニカの町ですね。廃墟の写真が残っていて。 これがサンタクララ教会、残されたものの一つなんです。この鐘がまだ 佐藤:塔も残っているわけですね。 大室:この鐘楼も残っていて、町中にここの鐘が鳴り響いて。それも設計の題材にしていたんですけど。それとピカソのゲルニカを誘致した姿を、 佐藤:ゲルニカを入れ込んだと 大室:あとゲルニカの象徴の樫の木ですね 佐藤:樫の木はジュウタン爆撃されても残って生きたですか 大室:残ってます。何度か燃えたりとかしてるんですけど、それが神殿みたいなところに納められているんですね。初代は枯れちゃっていて、今二代目とか3代目とかまだ議事堂の近くにあるんですけど。それとドイツのミスターシュミットですね。 佐藤:こんなに沢山爆撃機をコラージュしてくれて、一機でもよさそうなのに 大室:でも機数としてはこれよりももっと多い、数はイメージですイメージコラージュですから。 (プレンゼンを体験して会場の感想) 佐藤:何か皆さん質問ないですか?ゲルニカまで事前調査しに行ったってのは凄いな〜 浅野:仙台日本一展見たあとに今の発表を聞くと圧倒的に違うなと 佐藤:昨日のステージは何だったんだと 加藤:そう思います本当に 大室:う〜ん。 佐藤:大室さん静かな熱無き語りだけど 気合が伝わってしまうかな 加藤:そうですね、当時の原稿そのまま読み上げたっていうので、今当時よりは 割と印象薄れているんでしょうけど。 佐藤:画面が消えましたね、 加藤:よいしょと 佐藤:あ 投影 絵が来ましたね 加藤:文章も結構練られていて、読んだだけって言ったら失礼ですけど。凄い説得力が有って。うん。審査員を没入させたというか巻き込んで、その世界に浸らせたっていう。 佐藤:仕込みが多種多用だしね。詩人の言葉柱。光を採り入れてそこの床に詩が書いてあるんでしょう。読むために屈み込む姿が祈る姿に通じていくと。詩も20幾つ有ると、本当は幾つなんですか 大室:22ですね、特にその詩の内容というのは 佐藤:作り話ではないのね 大室:著名人22人の詩をここで。 その著名人の 佐藤:現実に詩はあるんですね 大室:現実に詩はあります。詩だけではなくって革命家のロドリスエバルリという政治家の詩。やつらを通すなっていうキャッチフレーズだとか。ガルシアルルカの詩だったりとか。そういうものを 佐藤:22の詩は説明できちゃうわけね 大室:はい、そのなかのノーマンロステンの詩ですね 佐藤:気分やイメージではない。事実を積み重ねることによって構築され、テロの記憶というか人間の暴力的な行為の記録を作り 記憶を残すしかないんだという。それがプレゼンにおける大室さんのメッセージであると。記憶をつくるための建築としての装置ですよね。 大室:そうです (死者の魂が 卒制を起動させた) 佐藤:入り口廻りの柱がやたらに突き刺さっているのは。エントランスプロムナードはジュウタン爆撃の砲弾の軌跡のたとえですか 大室:はい、一番最初に既存の博物館が在るんですけども。 これが実は戦争以前の史料館なんですね。 日本で言うと江戸博物館のようなもので、エルスケル博物館って言うですけど。これと戦争以降の記念館。 佐藤:エルスケル博物館がゲートになっているわけですね 大室:ゲートですね。この既存と。もう一個既存が在るんです。戦争の記憶を展示している博物館が在るんですけど。それの距離がすごい離れているんですね。そこに記憶の断絶っていうものを感じて。 だったら この歴史から爆撃の歴史まではゲルニカのわけだから。ここに一直線に続けていこうと。ここゲート部で戦争以前の歴史が展示してあって、裏に出て行くと爆撃の歴史が起きている。そこにゲルニカの絵が飾ってあったというふうに、一応時系列に沿っている。一直線にはなっています。 佐藤:歴史好きというか、物語好きというのは?急に卒業設計をやるからって、出て来るわけでなないと思うのですけど。大室さんの中に根源的な何かあると思うのですが、何なのでしょうかね、そこに至る動機の源泉は 大室:そうですね〜このときはでも、あまり 佐藤:テロについて考えたら向こうから寄って来たっていうことですか 大室:そうではないですね。その、施主みたいなものを想定してたんですけど。それみんな死人を施主にしているというか。死んだ人が施主だ と。 佐藤:俺たちを殺した歴史を思い出せと死人が言って命じているんだと 大室:自分としてはいつでも施主に監視されているような感じで設計をしてたんです 佐藤:身近の萌えキャラじゃなくって、死んだ魂に萌えたというか命じられてね 大室:うふふう。 佐藤:なるほど 大室:そうですね、でもストーリー立てて、時系列に沿って設計していくのが一番分かりやすいかな〜と思ってますけど。 佐藤:そうは言うけれど、深刻そうではないですよね。重苦しい感じはないですよね、死者から発注された割には。詩的ですよね 大室:まちづくりも兼ねてますから。博物館と図書館と 佐藤:古い建物と新しい建物を織り込んで、新たな一枚の布を織るかのような感じの町の構成ではありますよね。 (卒制制作過程など) 佐藤:プレゼン関係はこんな感じでいいかな皆さん?何か聞くことはありませんか?無いので俺が続けます。制作時間はどのぐらい掛かりましたか?相当掛かる感じですが。 大室:時間は、現地を見に行ったのが7月で、9月の頭に大体大まかな形が出来て、模型でスタディーが出来てました。で、多摩美って卒制の提出が早いんですね。12月の中ばなんです。 かいじょう へーええ〜え 大室:で、完成したのが模型の完成が11月一杯で、模型が出来ていてほぼ。で12月の1週目で図面をもっと細かく手を入れて。で、締め切りの3日前には上がってました。 かいじょう う〜ん 大室:その間に一回 日雇いのバイトとをずーっとやっているときに手の指をザックリと切って、神経と筋と動脈を切って入院して。しばらく片手で模型を作っていたんですね。 佐藤:死者から依頼されているから止めるわけにはいかないんだ。 かいじょう パッションだ がやがやがやがや 佐藤:模型制作などは一人で仕上げたんですか?図面も 大室:図面はほぼ一人ですけど。模型はかなり後輩を使いました、僕の大学だと後輩に手伝ってもらうっていうシステムがあまり無かったんですけど。このときは後輩捕まえるために、僕は廊下で作って、待ち構えて、手の空いている奴を見付けて、お前何時間出来る?って言って かいじょう ふふふははは〜 ががやがや うわー 大室:あと30分 空いてますと。じゃーコレ出来るねと。 佐藤:立ってる者だれでも使うような感じでね。みんな大室先輩の前に姿見せるのやめようぜって言われたんだな 大室:う ふふふ ふうふふ 佐藤:何かユダヤ博物館てきなきもするんですけど、彼を好きだったんですか 大室:そうですね僕も意識していました。はい。作品は意識してましたけども、この作品をやっていてユダヤっぽいって言う人も居るし。ボイドの処を見てアンドウさんの空間みたいっていう人も居るし。柱みてエンリクミラージェス思い出す人もいるし。色々なものが混じり合ってですね 佐藤:色々勝手に俺の作品を読んでくれと。俺は学生だと、色んな要素に萌えてるから それみんな使ったぜと 大室:ふふふふふ、そうです。 佐藤:アンドウ的萌えキャラここだと、なるほど 大室:おのおの建築で。使っている処は違う処で使っているのですから。 佐藤:意味を剥奪して面白さを拝借して作り上げて、全体の物語は大室が作った。物語が新しければいいだろうということで設計したんですね 大室:そうですね。このエレベーターなんか新宿のサザンテラスのエレベーターで 佐藤:はははははは、元ネタ今ばらしてくれましたね 大室:ふふふふふふふ 佐藤:それで古い既存建物と自分が構想した建物とを。都市的な感じもしますよね。それをもって鎮魂するというか。テロで爆撃され死者の魂を鎮めるという、鎮魂都市というのかな。そんな感じもするし。別にそのような読み方解説しなくっても構成があるので良いと思うんですけど。地下に埋めたことで、死んだという喩えの表現なんですか 大室:そうですね。 佐藤:地上でもよかったと思うんですけど、 大室:あと裏が広い公園になっていたので、地上にボリュームを出すよりも。地上にはこれだけしか出てないですね。この慰霊碑。慰霊碑もボリュームがボンと置いてあるんですけど。これだけ地表に墓標のようなかたちで転がっていると。 佐藤:なるほど (卒制 何が評価されたの?) 会場:仙台以外には何かに出したんですか 大室:卒制、仙台以外は出してないかな〜。あと多摩美の方で、学校推薦で一個出すのがあって。それで出したぐらいなんですけど。 佐藤:多摩美での評価はどうだったんですか? 大室:多摩美ではトップですね かいじょうわいわいわい 佐藤:トップだったと 大室:はい。 佐藤:どのような評価だったんですか、何が評価されたんですか 大室:多摩美では、う〜ん。何が評価されたのか。設計的にやったとは言われましたね。設計をしている感じに。美大でこれぐらい図面を描くと設計するように見える。まわりがあまり図面描かなかったりするので。 佐藤:日本一展で評価されたのはどういう点だったですか 大室:これは、 佐藤:やはり昨日のようにパッションですかふふふふ 大室:これも相手が居た。日本二位の、女の子だったんですけど。その子のがメルヘンじゃないですけど。何て言うのかな〜都市の原風景って言って。ガンダムみたいなビルが遠くにポコポコ建っているみたいな。それがリアリティーが無いんですけど。そのドローイングがもの凄い綺麗で。それを青木さんとか、宮本さんとか、竹内さんとか押していて。 佐藤:ユダヤ博物館あるし〜いまさらってことでね 大室:言うんですね。ユダヤ博物館どう思うとか。 佐藤:わざとね。聞いてくるわけね。ふふふ 大室:石山さんが押してくれまして。途中、審査員5人の内4人がそっちの都市の原風景に行って一人だけ石山さんで。で石山さんがちょっと待ってとか言って。凄い押してくれて。本江さんが来てくれて。2対3になって。最後竹内さんが逆転の手を挙げてくれたと。 もう講評やっている最中不機嫌になってしまって。ふふふふ、何を言っているんだ この人達は〜って。 佐藤:ふざけてるなって言い放ってやればいいじゃないか 大室:その時に槻橋さんが、何か言いたそうなので、マイクをって言ってくれて。マイク渡してくれたんです。 佐藤:気配りの槻橋さんがね。そこで言ったですか 大室:言いました、かなり包んで。僕はこれは建築だみたいなことを一応言った 佐藤:相手のは建築じゃないぞと遠回しに言ったとふふぉふふふなるほど。ということでいいですかこの卒制の件に関してはいいですか。 じゃ次にいきます その03へ (参照)竹内先生に呟きコメントを頂きましたので掲載します ●2010/03/17 17:24:31
おもしろいですね。あれは、青木さんに日本一決定戦をジャックされたようなものです。そこから、建築のことをかんがえているところに戻ってきたという感じ。ただ、ぼくには当初ゲルニカのもっているリアリティみたいなものが伝わってきていなくて ●2010/03/17 17:18:30
なんかゲームをやっているようにしか見えなかった。それが ちゃんと考えられていることがわかって、票をいれかえたんです。ポエティック対建築の戦いでしたね
●2010/0317 17:24:31
それにしても、いろいろな人をインタビューしてアーカイブしているのはすごいですね。ちょっと感動。 また、かれにもがんばるようお伝えください。
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