大室佑介さんに聞く 2010年3月8日ダメハウス   home 

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 その04

大室:彼なんかも、演じ終わった後にやっぱり柱の中に居るのと外では演じ方が変わるって言ってましたね。 
佐藤:建築の原形といったらいいのかな 何て言えば良いのか難しね。音楽はどうしたですか
大室:音楽は無しです

佐藤:みなさんじーっと見ているわけだね
大室:静かにやってました
佐藤:野鳥が鳴いたり風が吹いたりと 日中に行ったんですね
大室日中です

佐藤:まあ雑音が飛び込んでくるからね、身体表現ですね。

大室
:それとあともう一個 これも大学院の時に、多摩美の中の教授の部屋を一箇所改装してギャラリーにするっていう計画があって。それをお手伝いしたご褒美にオープニング展をやらしてもらったんですね。そのときに地鎮祭代わりに。地鎮という名前にしたんですけど。

佐藤:
自分を鎮める?
大室いや地を鎮める。これも四つ角に竹をバーナーで焦がしたものを上から吊して。改装前にここで展示されていた物のポートフォリオを燃やしと、とおで固めたものを
佐藤:ポートフォリオ燃やし塩で固めた、凄いね
大室:ほかの人の作品を燃やすわけにいかない。でお酒を振りまいて。お酒の臭いがする中で地鎮祭の様な展示を

佐藤:写真に写っているのは竹の影ですか
大室:影が
佐藤:どこに照明があるんですか
大室:上から一灯だけですね。
佐藤:だから四方に影がでているわけだね、焦がした竹を四方に吊るし真ん中にポートフォリオ燃やした灰が固まっていると。なるほど(ボイスを思いだした)大室さん大学生ですよ。
大室:うふふふふ
佐藤:勉強だけやってませんよ!みなさん ふふふふ

大室:大学院のときに。でちょっと修士設計の前にここで、
佐藤:その間に修士設計もやってしまうわけだね
大室:そうですね 修士設計を


   
  磯崎アトリエでも作家活動 

佐藤
:いやいやまだまだ。作品紹介をしてください、今日は時間は一杯ありますから
大室:ふふふ。卒業して、修士設計をして。卒業をして磯崎アトリエにその年の4月から入って。で、2007年に磯崎アトリエに入って。

佐藤:またどうして磯崎アトリエには
大室:4月の時点でどこの事務所にも行かないで、一人でやろうと思っていたんですけど。ちょっと空きがある。声を掛けてもらったりしたので、丁度行くタイミングが合って。で、磯崎さんがもう、今会っておかないともうなかなか会えない人だな〜と思って。

佐藤:磯崎さんはアート好きだしね
大室そうですね一番
佐藤:若いときからアートの人と交流してたからね
大室:唯一建築とアートを一番つないだのが磯崎さんだと思うネオダダ当たりで。、今みたいに無理矢理結び付けようという。真ん中にキューレターみたいなのが居て、建築側とアーテストが直になっていたという時代ですね
佐藤:赤瀬川源平さんと篠原さんとか あの辺の人々とグルッテいたと書いてますものね。へーえ、大室好みの良い事務所に行ったんだ。

大室そうですね、ただ、2年弱で辞めてしまいましたけど。磯崎アトリエへ行きながら作っていたのがこの作品ですね。これ秋山画廊と言ってGAギャラリー分かりますか。GAギャラリーの裏に秋山画廊という所が在って。高山のぼるさんもいつも作品を展示している。

佐藤:磯崎アトリエにつとめながら表現者としても活動もしていたと。
大室:これは年末年始で作りましたね。コンクリートを。
佐藤:この作品は何と言うんですか

大室:これはそうき アドルフロースへの手紙というタイトルで。
佐藤:そうきというのは
大室:想起は思い起こすですね。プラトンの想起ですね。ロースの装飾と罪悪これは原版ですね。友達が持っていたのを借りて。

佐藤:本の台は
大室:台は村岡三郎さん、彫刻家の。戦後の村岡三郎さんが作った椅子をそのまま使わせてもらって。画廊にあったんですけど。

それを使ってやりました。で、ロースの中でも森の中を歩いていて、3フィート×6フィートのピラミット型に盛られた山があると。そこに誰かが眠っているのではないかと。それが建築だって。その言葉を元にして、3,6のコンクリートのピラミットではないんですけど。ちょっっと窪みのようなものに、これもコンクリートを自分の手で

佐藤:どこが3,6になっているんですか
大室中です
佐藤:日本の3、6にしたんですか
大室:3フィート6フィートに合わせてやってます、で上にまた同じ様にコンクリトの固まりが浮かんでいるという作品です。
佐藤:この黒い布が掛かっているのは

大室:これは棺桶にかけるようなビロードのものなんですけど
佐藤:ここに棺桶があるけど見えない(不在)なのね
大室:そうですね
佐藤:下は灰ですか
大室:下もコンクリートです、これは手で打ったコンクリートです、手でもって、練って手で打つっていうやりかたで

佐藤:なるほど。この作品はどのぐらいの期間展示されていたんですか
大室:この時は2週間ですね。だいたい2週間で。これも見えないものを見るというか。向こう側をどう想像するか。お墓の形があって、その中っていうのを想像するていうことをやっていたんですね。

佐藤:ロースの言葉に反応して起動してますよね
大室:そうですね。
ロースは僕の師匠ですね
佐藤:会った事もないのに!自分でそう思っているわけですね
大室:尊敬する人がみんな死んじゃっているんですふふふふふ

佐藤:残された文字でだけ交流しているわけだよね
大室:そうですね
佐藤:会ったことはないだろうしね。文字から
大室:文字と建築ですね

佐藤:実態よりかなり抽象化された文字、そのロースのイメージから、リアルな場に自分に戻してくる作品、そういう操作は卒業設計のときと一緒ですよね

大室:
そうですね。表現もそうですけど、見えないものというか、見えない部分、見えにくくなっているものをどうやったら見えるか?っていうことをずーっとテーマにしていると思うんですね。
佐藤:そうだね

大室:で。建築の人って未来を見ようとするんです。発見をしよう、発明をしようというのがあるんですけど。過去と現在、でも見えないものとか、見えにくくなっているものをどう
佐藤:現在建築を批判しているわけだね
大室:そうですそうですって言っちゃいました
佐藤:ふふふふ
大室:ふふふふふ

佐藤:建築を批評するかのような作品
大室:はい
佐藤:なるほど。
大室:こういう表現って 建築でやりとしたら、なかなか出来ないので。こういう処でアウトプットしないと

佐藤:言葉で言っちゃっても面白くないしね〜
大室そうですね
佐藤:現代(現在)建築を批評してますで終わってしまう
大室:ふふふふ、アンチ現代建築とか

佐藤:磯崎アトリエでこういう活動、作家性を発揮していたと。勤めながらやていても問題はないんですか。
大室:まあ陰でやって、
佐藤:陰でね、俺はやるしかないんだと

大室:ただまあ理解はありますね。人によって。特に年配の人、自分の上司なんかはかなり理解があって
佐藤:どんどんやれと。
大室:そうですね。もう今 若いのが建築の話しも出来ないし、こういう自分で作品作るものしないで、現場ももちろん知らないから、やっても良いんじゃないって言って。まあサボっても一寸は、
佐藤:お金のサポートは無いけど時間のサポートは有ったと。大目に見てくれていたと。
大室:仕事抜け出してギャラーに見に行ったりとかもしていましたし。連れて行ったりもしましたからね
佐藤:首になってもいいやと思ってやっていたんでしょう
大室ふふふふふ
佐藤:ふふふふふ、そんなことは当然だと、当たり前のようにね
大室:ふふふふふ
佐藤:なるほど、凄い気合ですね

大室:で秋山画廊とかここで今また先週まで、昨日(2010年3月7日)解体したんです、一昨日ぐらいまで作品をやってました。
佐藤:その作品の写真は無いんですか
大室:まだ写真出来てないですね。高山さんも見に来てくれたという。

  かいじょうへえ〜


    初めての建築 

大室:
ちょうどいいタイミングでしたね
佐藤:最新作品もテーマは見えないものを見るということですか
大室:最新作は、見えないものというかパースペクティブを、今まで自分が見ているパースペクティブをどうやったら変転できるかというか常識的にあるホワイトキューブのパースペクティブをどうしたら解体できるかな〜というのをテーマにして。楕円形の形を空間として作って。でもう一人作家さんがその中で展示するっていう。僕の空間作品ですね。

佐藤:建築的に移行して来たと。
大室:今回は建築だと思います。初めて建築を

佐藤:自分の作品を混乱させると言うか顕在化させるというか。なるほど。今度の作品は一層他者を介在させて、作品の意味が変わったり、補強されたりするっていうことを確かめてみようと。そいう欲望ですか

大室
そうですね、その時は隔てる物の向こう側を見るとかではなくって、今回は隔てる物になって、向こう側とこちら側を観るという関係作家が作っている姿も、客観的に見える

佐藤:なるほどね、自分も見えてしまうしね、他者の作品によってね。
大室:これがアートワークとして今やっているものですね。





加藤
:自主的に全部やっているんですよね
佐藤:そんなの当たり前やろ〜!作家だもの

大室:
ギャラリー代も制作費も全部ですよね

佐藤:作家だからそれをしないと生きていられない、死んじゃうんだよ。頼まれてやるようなものでもない、表現というのは止まらない。
大室:やっても食えない喰って死んじゃうんですよね、これだとふふふふ、やればやるほど。
佐藤:それは本当に死んじゃう分けはない身体は強いから、死なないように行動してしまうでしょう。
大室ふふふふ
佐藤:そんなの、腹へったら飯喰うために何かするから。死ぬほど活動していいと思うんだけど。買い上げてもらったり、自分の表現活動がお金に交換できない、還元されて来ないっていう話でしょう、それは
大室:そうです、具体的には還ってこないですね。

佐藤:だからお金が無いので、食材買えないということでね。なるほど貧乏者の俺にもよく分かるけど。あとは社会が理解出来るかどうかの問題でもある 
大室ふふふふ
佐藤:大室さんの議題設定はちゃんと出来ているわけですからね
大室:そうですね

佐藤:理解してもらうための何かはしているのですか
大室:最近
佐藤:今日の講演もそうだと思いますけど。
大室:やっと建築を建てたく成ってきている感じがして

佐藤:遠回りしたけど 建築に戻って来つつあると、なるほど
大室:ちゃんと建築を建てたら
佐藤:それは最新作品を作ってより そう思ったということですか
大室:今回のを作って一つけりが付いたというか。でも建築を作るにしてもただ、こうやって御施主さん待っていてもしょうがないんで。
佐藤:自分で作ってしまったらどうですか

大室:自分で作るのもいいですね僕のアトリエは手作り
石井:ああ行きましたからね、今もあそこでやっぱり
佐藤:この中には自分のアトリエの絵は無いんですか
大室:無いです。お見せ出来るものではないですね

石井:ははははは、セルフビルドでやったと
大室:内装だけですよね、実家を改装しているんですけど。4月になったら改築するのでまた、アトリエ増築するので。そのときにいらしていただけたら。
石井:どこへ増築するですか
大室:隣の部屋が倉庫だった所を空けて。規模だけ拡大。

佐藤:私勝手に進行を仕切てますがいいですか。磯崎アトリエを辞めてしまった理由はなんですか、
大室:辞めた理由はそうですね、やっぱり現場が見れないのが一つ
佐藤:磯崎アトリエで設計した現場ということですか

大室:そうです。磯崎アトリエ、国内の仕事が無い頃は、ほとんど現場っていうのは自分たちで見れるわけでないですね。とくに大きい所だと。海外事務所とかも何人か常駐の人が居るので現場そっちに振っちゃったりとか。あと現場も向こうのゼネコンみたいな所に任せたりとかするので。なかなか国内で現場を見る機会が無いのが一つと。

あと当時やっていた物件が建つまでにあと20年か30年ぐらい掛かる、。こりゃ拙いな〜と思って。
佐藤:都市計画とかですか
大室:大学ですね。学校施設を
佐藤:20、30年というと人生捧げる感じだな

  かいじょうが やがやがや

佐藤:現場で作ってる、その場に居たいていう思いも強い訳だね
大室そうですね。日本国内の現場、観たいですよねやっぱり。磯崎アトリエとかにずーっと居るよりも小さい事務所で住宅一軒担当したほうがよっぽど経験にはなると思いますし。だから
佐藤:いきなり辞めたと
大室:一応、そのときに僕今多摩美術大学の芸術人類学研究所という所で特別研究員をやっているんですけど。
佐藤:給料はそこから貰えるんだ

大室:お給料もらえないです
佐藤:研究費だけね
大室:
研究費は無いねすけど多少仕事が発生いしたりとかして。そこで今やっているのがフィールドミュージアムネットと言って。それを建築的であれば僕の方に振っていただけるので。この前7月に三重県の鳥羽に伊良子清白という詩人の家の記念館が竣工して。その時に一つ仕事をもらったと。

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