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 南泰裕さんと 建築あそび 5−5

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   一寸キザというか難しい言い方をするならば「空間をどうやってつなげていくか」ということを考えていったんですね。

例えば近代建築とか近代の都市計画というものの大きな特徴の一つは切断していく、或いは分断していくていうことが一つあって。

例えばゾーニングという手法はそうであったわけですねー。用途地域を切り分けて、工業地域であるとか、住居地域というモノ 非常に集約して、それを新しいインフラストラクチャーでつなぐというふうなことを・・近代の都市計画はいろいろやって来たわけですけれども。

それと同じように空間を例えばリビングはリビング 、ダイニングはダイニングというカタチで分節して、それを計画していくということがあって。

空間は連続させていくというふうな事は一方でそれを分節する手だてが無くなってしまうということと隣り合わせでもありますから・・空間を分節すると同時に結びつけて行くのはどうしたらいいのかなっていうことを結構考えていたわけです。コンティニューティ・モデル・・つまり「連続性を空間の中にどう体現していくか」ということを思っていたんですね。「オープンな空間」ということも課題としてあったので。

☆スライド53

             

これはギャラリーの方向から、子供スペースであるとかロフトを見たところですね。いろいろ考えているんですけど、この前エスクアイアーという雑誌の取材が終わって来週新建築の「住宅特集」の撮影入るんですけども。それで一寸「なに書こうかな」と僕は思っていて・・こないだ考えてたんですけど。

コルビュジェという建築家が近代建築の5原則ということをかって言ったわけですね。その5原則を具体化した住宅が・・サボア邸と言われているもので、パリの郊外に建ってるんです。

 その近代の建築の5原則というのはなにかというと、「自由な平面と自由な立面と、それから水平連続窓とピロティーと屋上庭園」と言われているものですね。

これは建築をやっている人間にとって凄く有名なんですけど、この5原則というのは概念としては、なんていうか「濁りを帯びてる」っていうか、「不純だなー」と思ってたんですね。

つまり、本来そうではないのに、概念が離散的に虚構として成立しているわけです。

つまりなんていうのか、例えば自由な立面・立面というのは建物を正面から見た図のことですけども。自由な立面と水平連続窓という概念は、濁っているわけですね

 水平連続窓というのは正面から見たときに窓が連続して流れているわけですですけれども、この二つは実は、完全に実は離散的な概念ではない。本来離散的とは言えない概念を虚構として離散的に成立させている部分がある

本来二つに分けれないモノを無理に二つに分けているような感じがある。

でなんていうか概念そのものをもう少し連続化して、例えば自由な平面とか自由な立面というようなカタチで概念を切り分けるのではなしに、それをこう繋いで連続していくような、ことはなにか考えれないかなーという風に思ったんです・・空間の直喩的な連続というよりも、概念の連続化を考えたんですね。
・・

これはグルーット回って3段上がって630ミリ上がってここから上に上がって行く。この上はロフトなんですが。

この子供部屋の天井高さ2200、ロフトの天井高は・・申請上は2階ということで・・・役所の人も認めてくれたので問題なく出来たわけです。

☆スライド54

              

ここは書斎スペースで、ここに水回りがあって。主人が使うスペース。。とにかく「作れる分には関しては収納を作って欲しい」と言うことで、いろんな所で細かく収納スペースを確保しておいて・・
作りつけの家具工事というのはどうしても単価が上がって来ますから、何処まで作り込むかというのは難しいところなんですけども、一方で住む人の立場に立てば、「収納ができるだけ欲しい」という気持ちもすごくよく分かるので、何とか作れる分は作ってあげたいんですね。


☆スライド53

               

この所は・・土なんですけど。この頃に佐藤さんに来て頂いたんですけども、屋上庭園ですね。さっきのギャラリースペースから西側方向を見た屋上庭園で、ここにデッキが有って、その先が全部屋上庭園ですね。ここは、立ち上がってる部分。一番最初の土間玄関のスペースのトップライトですね。

この辺が将来的には都市計画道路の予定地になっていまして、この前の建物は将来的には取り壊されて、道路幅員が18mの道路が出来ますから、前に大きなモノが建たないですね。現在もここは平屋ですし。この南側のセットバックした一部二階建ての建物になってますから。

この周りの空間が非常に開けている。将来的にもこの部分が大きく建て込まれる予定はいまのところ無いっていうことが、10年20年単位ぐらいで・・ある程度調べた結果が解りましたんで、ここを屋上庭園にするっていうふうことは妥当であるだろう・・全て緑化しようと。

普通は2世帯に住宅というと1階に親世帯が住んで、2階に子世帯が入るっていうようになりがち、・・というかならざるを得ないんですけども。この場合はたまたま敷地が広かったんで、親世帯・子世帯とも1階部分は設置して、なおかつ緑地を出来るだけ増やしていきたいという風な要望でして、応えてですね・・建物の大半を平屋にして、その上部を全面的に緑化しました。

全体の基本形を平屋にすることになったのは、建て主と話をしてるときにルドルフ・シンドラーとい建築家の、平屋の自邸の話題が出て、それで「これはなかなかいい!」と二人で盛り上がったのが、きっかけのひとつです。それで、一階の庭と屋上庭園を斜面緑地化でつないだわけですね

1階部分の庭と2階部分のその屋上緑化をぐるりと回って斜面緑化を繋いで、全てを庭化してしまおうと。

ここは人工軽量土壌が15センチ入ってまして、その上に野芝を敷いて。その下には透水通気シートがあって。その下に保護モルタル30ミリでその下にアスファルト防水です。そう言う風なカタチになっていて。このあたりは注意して作ったので防水は問題がないですね。結構植物の方が吸収するんですね、水を。

それと何度か確認にいったんですけども、断熱性が非常に高いんですね。普通の断熱材を入れるよりも屋上緑化をしたほうが断熱効果が非常にいいということは実感できました。

それから、いざ設計を終えてみると、たまたま、ル・コルビュジエという建築家の「母の家」という住宅とプロポーションがかなり似ていたのに気付いて、我ながらちょっと驚いたりもしました

☆スライド54

             

これは階段のトップライトです。網入りペアですね

☆スライド55

           

これはロフトですね。ここにトップライトがあって、ロフトがあって、腰壁が900立ち上がってますけど。フローリングの色を微妙に変えているんですけども、1階2階ロフトで。いわば 上に行くにしたがってモノの存在感とか色彩とかが希釈されて行くような、薄くなって行くようカタチで、フローリングを変えていく。

☆スライド56

           

これもロフトのところですね。ロフトから西側の窓をみたんです

☆スライド57

            

これは1階の所に戻りまして、ダイニングからキッチンとか水回りの方向を見たと部分ですね

☆スライド58

             

これはロフトから・・この辺が階段室なんです。階段と吹き抜けを介してこのあたりのキッチンのスペースを見た写真ですね。

ここにギャラリーが見えていて、この向こう側がデッキがあって屋上庭園。

ここは敷地が東西方向の長さが25mぐらいあって非常に長いですね。とにかく「与えられてた敷地をいかに効果的に使うか」ということを考えるわですけれども、この長さを充分に活かして出来るだけ「建て主の希望を最大限に満たすような空間を作ってあげたいなー」というのがありまして。

最大見通し距離」という概念があるんですけども、とにかく有る視線が何処まで到達するのかという、その距離をですね・・できるだか確保するというのは空間の気持ちよさを獲得する上でとても重要で、例えばそんなに広くなくても、広く感じるとかですね・・

或いは人が常に密着しているのではなしに、場合によっては離散的にポツン、ぽつんと離れて居ることができると。その可能性を確保していくことが、その空間の気持ち良さとか自由度に繋がって行きますから、・・

 例えばこのロフトに上がった時に、ほぼ実質的に3階なんですが3階から1階のキッチンまで完全に視線が通るとか。或いはさっきの土間玄関から見たときに隣の庭の借景を通して全て・・視線が抜けて行く。

その距離を住宅の中にどうやって織り込んでいくかっていう。とにかく与えられた敷地のなかでそれを最大限に活かせるような、尚かつコストバランスということも勿論あるわけですけれども、これを考えてですね・・

1階部分に関しては左右が平屋ですから、水平方向に視線が抜けて。このあたりに来たときにですね、いわば空間が解けるというか・・垂直方向に一気に視線が抜けるような・・場所を「一カ所でも確保して置こう」と思ったですね

☆スライド59

             

これはロフトに上がるところの階段ですね。ここは施主が持って来た屋久杉の木材の一部を階段に転用してます。ここに窓がありますがこれもなんていうか、僕自身がこういうデザインをしようということはないというか・・周りのコンテキストをオートマティックに読解していくと、ここにつけるのが一番良いだろうと

☆スライド60

             

これが2階のギャラリーと洗面カウンター。ここにトイレ。ここは隣地。この辺は周りがその割と閑静な住宅街で、近く電車が通っていたり。或いは幹線道路が通っていたりして、交通の便もいい所なんですけれど。

戸建て住宅としては述べ床面積が62坪ぐらいで、・・戸建て住宅としてはかなり大きかったんで、なにかいろいろと・・このあたりで・・周りで注目されて、いろんな人が来るんですね。警察も来るしヤクザも来るし、色んな人間を撃退したんですけども、なかなか現場はたいへんなことがありますね。

☆スライド61

             

吹き抜けの上のところですね。さっきのブリッチから下を見下ろしたところです

☆スライド62

            

これは今のを別の角度から見たんですね。これがテーブルで、キッチンが有って・・
ダイニングはこちら側に収納扉があってですね、結構使い勝手がいいのでは、と思います。天井と壁はビニールクロス。それからキッチンの上の所にハイサイドライトを取りまして、その向こう側に少し見えてますけれど、ここに隣地の樹木が有ったので「これも利用できるなー」と思って、実際やってみるとわりにいい感じですね

・・
・・つぎおねがいします・・あ・・終わりですね・・ということでこれで一端 私の話は終わります

      拍手パチパチパチパリ・・

s じゃここを片づけて、テーブル出して。

      



再び宴会が再開され 延々とワイワイガヤガヤワイワイガヤガヤと・・夜中まで続くのでありました。
    

    

    
   

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