呟き 本文へジャンプ


07年度選手別評価


野手陣 赤字はリーグ最高

※OPS=「長打率」+「出塁率」
試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 打点 盗塁 四死球 三振 打率 得点圏 OPS
65点 1 福留 孝介
81 269 79 22 0 13 48 5 75 66 .294 .318 .964
【4/29】ホームラン二発
(A)(B)(C)


【5/30】
(A)(B)(C)
これで奴への評価が最後やと思うと、やっぱり感慨深いものがありますなぁ。
超一流の素材を持ちながら、技術的な欠点がなかなか解消されずにいた01年まで。
ついに技術的な欠点を克服し、松井秀に打ち勝って獲得した首位打者。
そして06年のMVP。
奴の見せたサクセス・ストーリーこそ、明日のミスター・ドラゴンズを夢見させるものやった…はずなんやけどね(苦笑)。
せめてフルシーズン、もう一度、夢を見させてもらいたかったと思うのは、ファンの我がままなんやろか。

今季の奴は、決してそのポテンシャルを十分発揮したとは言えまへんな。
シーズンをリタイヤするまでの成績も、打率.300を切るなど奴らしいものではありまへんでした。
それでも、OPSが.950を超えてたわけやから、「福留」の名前は物凄い看板なんやろね。
今季の奴の不調については、左の写真で一目瞭然ですな。
4/29では、(A)(B)で右脇の白いラインが見えるほど右肩・右腰の開きが抑えられていますが、5/30ではラインが殆ど見えまへん。
つまり明らかに右半身のカベが崩れとるわけですわ。
このため5/30(C)では、上体が突っ込むため、4/29に比べて回転軸が明らかに投手側に傾斜しているのが分かります。
軸足にパワーがない状態でスイングしているわけやから、タイミングの変化にはついていけないのも道理ですわ。
背骨近辺を故障してたらしいので、4/29のように身体をグリっと捻ってスイングすることが、できなくなったんやろね。
無理してプレーしていたことが、これでよく分かります。
これで打率.300近くをキープしてたわけやから、正直言うて化け物ですな。

…正式な別れもないまま、奴は行ってしまいました。
夢の続きはシカゴで見せてくれるらしいですが、私の興味はこれまでの何分の一になるやろか。
日本プロ野球、そしてドラ野球の水準を、MLBから安く見られんように頑張ってもらいたいとは思うけど、それはホンマに私の見たいものとは違いますからね。
70点 2 荒木 雅博
113 457 120 15 0 1 25 31 22 55 .263 .309 .598
(A)(B)(C)(D)(E)
シーズンの評価は60点なんやけど、奴だけ日本シリーズでの活躍をボーナスとして上乗せしました。
個人的には日本シリーズMVPは、走攻守の全てで大活躍を見せた奴やと思うてますので。
奴が爆発するとこれほどドラが強いのかと、今更ながら驚いたもんでした。
それだけに、精彩を欠いたレギュラーシーズンが惜しまれるんやけどね。

しかし私は、次の欠点のために奴の打撃技術は買ってまへん。
(C) 両ワキを締め過ぎており、スイングの際にヒジの伸縮をうまく使えないほか、回転軸を折っているためバットのヘッドが下がりやすい。
(D) この写真は低めを打ったものやからマシなんやけど、スイング中の両ヒザが揃ってしまいがちであり、体重移動がうまく使えていないために強いスイングができない。
(E) フィニッシュでは、この状態からダッシュするために踏ん張るため、左足をもう一度後方へステップする必要がある。他選手よりワンアクション多いため、走り出すのが遅く内野安打が少ない。
まぁ、基本を外しても打てる選手はいますから、こうした指摘が絶対ではないと思いますが、打撃で満足な結果を残したことはないと個人的には思うてますんで、やはり強く指摘しておきたい。
とにかくトップを打つなら、出塁率.350以上は絶対条件として頑張ってもらいたいですわ。

一方で守備面は、故障やビビリ癖がでなければ、日本一のセカンドと言うて差し支えないでしょう。
五輪予選でのTSUYOSHIのプレーを見ましたが、前に出るスピード、勇気ともに荒木の方が一枚上手でした。
グラブトスの精度も高く、マトモにプレーしたら他の選手の追随は許さん存在ですわ。
ポテンシャルの高さは抜群なだけに、さらに高い水準の成績を挙げて欲しいですな。
試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 打点 盗塁 四死球 三振 打率 得点圏 OPS
60点 3 立浪 和義
101 109 30 2 1 2 31 0 17 14 .275 .352 .731
ご存知ミスタードラゴンズ。
今季は交流戦でのDHを除き、ほぼ代打屋として起用が固定されました。
ほとんどがチャンスでの起用ではありますが、一発勝負の代打で31打点は申し分ない数字やと思います。
ただ打つだけやなく、状況に応じて進塁打、外野フライと最低限の仕事をしてくれるのも頼もしいですな。
(犠飛3は李と同数)
やはり球界有数のテクニックは、まだ錆付いてはいないようです。

問題はフィジカルやね。
今季もDHで起用された際に故障したようですし、小さな身体の痛みは激しく、どこまでその華麗な打撃を見せ続けてくれるかは不安なところ。
来季も是非、頑張って欲しいですな。
90点 6 井端 弘和
144 588 174 34 4 5 45 23 68 74 .296 .317 .761
(A)(B)(C)(D)(E)
福留なき後、実は次期ミスタードラゴンズ候補ナンバーワンは奴やと言うたら、どれだけの方に賛同していただけるやろか?
精神的、戦力的に、今のチームの柱は奴やと思うてますんで、あながち的外れではないと思うんやけどね。
何しろフル出場は立派であり、また出塁率.368はウッズに次いでチーム二位。
走攻守に高いレベルの数字を維持し、また簡単に相手にアウトをやらず、走者との連携で二番打者として相手バッテリーに圧力をかけるなど、数字以外のところも能力は申し分ないと思いますわ。

守備は肩が強いと言えない以外は、ほぼパーフェクト。
身体の捌きの早さ、一歩目の判断、ボールへの寄せのスピード、どんな体勢からでも投げられるバランス、送球の精度、どれも非常に高レベルやね。
最近はゴールデングラブ賞を独占し続けているのも、当然のことやと思います。

打撃の特徴は、ミートポイントが身体に非常に近いこと。
さらに体重移動した後に軸足を背中側にズラし、もう一度軸足に重心を戻してスイングするのも特徴。
やや差し込まれやすいけど、もともとバットの振り出しがコンパクトでミートポイントが近いため、それほどマイナスにはなっておらず、むしろ身体が右方向を向くことで開きが抑えられます。
ファールを打つにはもってこいのフォームやと思いますわ。

奴の場合、大切なことはゲームに出続けること。
それができれば、数字は勝手についてくるのと違うかな。
60点 7 李 炳圭
132 478 125 23 1 9 46 0 24 108 .262 .244 .665
(A)(B)(C)(D)
一番、気に入らんのはその野球に取り組む姿勢ですわ。
オープン戦で奴を始めて見た時、センターで捕球したボールを、井端に対してことごとく山なり、しかもワンバウンドで返球していたのを見て、故障でもしているのかと思いましたわ。
通常のプレイでも、守備時の動作が緩慢、また凡打で一塁に全力疾走しないなど、「手抜き」が少なからず見られたことが腹立たしくて仕方ありまへん。
ヘタなのは仕方ないとしても、周囲に分かるような手抜きをする選手を、私は絶対にリスペクトできんわ。

盗塁「0」が示すように走力はなく、グラブ捌きも打球勘も悪く、肩も弱いため守備力もない。
打撃も、OPSが打撃30傑の底辺に位置する谷繁の後塵を拝するなど、正直言うてこれが年俸1億5千万円の選手かと思わされるレベルですな。

打撃フォームについては、バットを内側から出そうとしているのはええけど、(B)でトップを作った際に右足の踏み込みが甘いため、下半身に力がないように見えますわ。
また(C)では右ヒザが伸びており、下半身の柔軟性がないため、タイミングの変化に対して右足がつっかえて対応できまへん。
もう少し両ヒザの伸縮をを意識して、スイングする方がええと思うんやけどね。

あれこれ腐したけど、ポストシーズンでは効果的なヒットも出ており、あれが来季のレギュラーシーズンでも出ることを「一応」期待しております。
試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 打点 盗塁 四死球 三振 打率 得点圏 OPS
50点 9 井上 一樹
71 178 52 7 4 3 28 1 17 41 .292 .320 .779
李に出場機会を奪われたかたちになりましたな。
しかし奴自身にも、状態が上がらず開幕メンバーから外れ、後半にも二軍落ちするなど、衰え?によってコンディションの維持が難しくなってきた側面もありました。
特に守備機会が減ったためか、終盤では守備でバタバタする姿も目立ち、ベンチ待機が多くなったことも頷けましたわ。
来季の奴は、プロ野球人生の岐路に立ちそうですな。
外野は新鋭の藤井、堂上兄をはじめ、平田に新井もコンバートされそうです。
奴はナイスガイやけど、精神的にモロいところがあるだけ、何があっても腐らずに頑張ってもらいたいわ。
45点 22 藤井 淳志
76 64 13 3 0 1 5 7 2 19 .203 .154 .521
(A)(B)(C)
06年は期待されながら全く戦力になれなかったものが、少なくとも07年はベンチに不可欠な戦力にはなっていたと思います。
昨季で奴の価値を感じたのは、チーム状態が07年では最悪であった、5連敗で迎えたGWでの巨人戦で、故障のウッズに代わって出場して併殺崩しのスライディングを成功させた時でしたわ。
試合は結局負けましたが、私はこのプレーで「連敗ストップにはスピードあるプレー」の思いを強くし、連敗が止まるのも近いと実感したものです。
(実はこのゲームから李に代えて英智が先発しており、次の試合で巨人に逆転勝ちしました)
代走で起用され、警戒されつつも初球から盗塁を決めたり、相手チームのサヨナラを阻止する捕殺(バックホームアウト)を決めたり、限られた出場機会の中でも輝く場面がいくつかあったと思いますわ。

打撃フォームは…、(C)なんか見てるとそっくり返って振ってますわな。
回転軸が完全に後ろに倒れており、軸足のヒザが落ち気味です。
こうなると右肩が下がって、バットは下から出ますので、速い球には対応できまへんし、当然ミートの精度は上がりまへん。
軸をきっちり直立させ、レベルに振れるようになれば、若手外野手では一番手の存在やね。
80点 27 谷繁 元信
134 382 90 15 0 6 44 0 68 85 .236 .216 .669
(A)(B)(C)(D)
打つ方は最近の数年間、数字が全然変わってまへんな(苦笑)。
せめて打率で.250は欲しい(長打も少ないしなぁ)ところやけど、まぁ、晩年の捕手の打撃はこんなもんと達観してますわ。
中村武志もそうやったしねぇ(苦笑)。

それより個人的に、リード面では奴の入団以来で一番リードに違和感のないシーズンでした。
最もそれを感じたのは中田に対する配球で、07年も序盤はピンチで変化球に頼っていたものが、中盤にはストレートでグイグイ押しまくるスタイルに変わっていきましたな。
中田のストレートは球界トップクラスの威力があるだけに、それを狙われることで打たれることはあっても(福岡で小久保に満塁ホームランを打たれたように)、変化球に頼って不安定さを晒すより、そのリスクははるかに小さいはずですわ。
またクライマックスシリーズでは、憲伸にレギュラーシーズンとは違う配球を要求するなど、ベテランらしい引き出しの多さを見せてくれたと思います。

盗塁阻止率でもその右肩が健在であることを示し、08年も正捕手であることをアピールしましたな。
いよいよ後継者の田中との争いが始まるのかどうか、08年は楽しみです。
試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 打点 盗塁 四死球 三振 打率 得点圏 OPS
95点 31 森野 将彦
142 530 156 29 2 18 97 1 63 93 .294 .301 .824
(A)(B)(C)(D)
07年度チームMVP。
あれだけポジションを変えつつ、打撃の調子を落とさなかったのは驚異の一言。
特にセンターやショートといった慣れない要職も、主力の故障欠場で突然起用されたにもかかわらず、破綻なくこなして見せたのは大したものですわ。
次々に離脱する主力の穴を最小限のものとしたのは、間違いなく奴の功績であったと思います。

打つ方も100打点近くをマークするなど、クリーンアップとして十分以上の活躍を見せてくれましたな。
非常に遅咲きながらもジワジワと成績を伸ばし、レギュラー二年目の今季は過去最高の数字を残したほか、さらに巨人戦では.333-6本-24打点と強さを見せてくれました。
上の(C)では、上体がやや突込み気味(恐らく変化球対応)かつ、身体の割れが足りないように見えるんですが、それでも軸はブレずに維持されてます。
この身体の割れの不足により、低めの変化球には弱さを見せますが、それ以外はストレートにも変化球にも良い対応を見せますわ。
もう少し身体が割れて、上下半身のバランスが良くなれば、さらなる飛躍も期待できるんやけどね。

08年は福留が抜けただけに、完全な一本立ちと、チームリーダー的な働きが求められます。
もう一段階、上のステージに上っていくのかどうか、注目したいところですな。
85点 44 T.ウッズ
139 466 126 16 0 35 102 3 122 153 .270 .418 .948
(A)(B)(C)(D)
正直言うて、奴の入団の経緯には気に入らんものがありました。
あまりにも高額な年俸もあり、出稼ぎ外国人をカネで引き抜いたというイメージが拭えなかったからです。
このため入団当初は、出稼ぎ根性でドラを引っ掻き回されたらたまらんと思うてたんですが、今では歴代でも大好きな外国人選手の一人になりましたわ。
例の、クライマックスシリーズでの巨人・李に対する威嚇には痺れました。
あれは味方の投手はオレが守る!という、チームの柱としての自覚による行為やったからね。
私はこういう、チームへの忠誠心の強い選手が大好きなんですわ。

それでも07年は、腰痛と福留不在に悩まされましたな。
シーズンの滑り出しは絶好調であり、5月までの52試合で打率.318-20本-52打点と、一体どこまで打つのかと逆にビックリしてたくらいでしたが、6月に入って腰痛で欠場したあたりから数字は急降下してしまいました。
6月以降の87試合では、何と打率.241-15本-50打点と大幅に数字を落とし、それがチームが波に乗れない要因の一つになったと思います。
腰痛でスイングが鈍くなったこと、そして福留が離脱してからは相手チームによる四球やむなしの配球により、長打を欲しがってボールを打ちに行って凡打するケースが増えたことにより、奴の打撃はおかしくなってしまいましたわ。

とは言え、クライマックスシリーズで見せた爆発力は、ドラには不可欠のものやね。
長打力に乏しいドラの打線では、相手チームを威嚇して前後の打者を生かせるのは奴だけです。
福留の退団で、ますます奴一人にマークは集中するするでしょうし、立浪と同じという年齢も気になりますが、08年もその6億円のバットが爆発することを期待しております。
試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 打点 盗塁 四死球 三振 打率 得点圏 OPS
60点 57 英智
99 198 55 8 1 4 19 8 13 33 .278 .260 .710
規定打席に満たないながら、打率.278は落合体制の四年間では最高。
スピードも判断力も備えた走力も健在であり、また07年は勝負どころでの打力にも見せ場がありましたな。
代打の役割も確保し、外野のスーパーサブとして確固たる地位を築いた…はずやったのにねぇ。
レギュラーシーズン終盤の奴のリタイアは、奴自身は元より、チームにとってもホンマに非常に痛かった。
特に最後の東京ドーム決戦、井上の代わりに奴が出ていたら…と、ついつい考えざるを得まへんでしたわ。

さて08年についてやけど、奴とキャラクターが同一な、藤井との競争が激しくなりそうな気がします。
体幹が強化されて打撃は良くなったものの、奴も30才を越えて故障癖が出てきたとしたら、その立場を失うのも早いかも知れまへんな。
(実は奴の死球数はチーム一、出塁意欲は分かるけど、そろそろ故障欠場の心配もせんとな)
まぁ、まだまだ奴の方が走攻守とも、藤井より上回ってると思いますし、経験もあるだけにシーズン当初は奴がメインと考えられるでしょうけど。

シーズン最後に至って、奴の立場がどうなっているかも注目していきたいと思いますわ。
35点 63 堂上 剛裕
37 77 22 2 1 2 11 0 5 14 .286 .333 .745
(A)(B)(C)(D)(E)
「次代のスター」を感じさせたのは、奴と平田でしたな。
特に固め打ちや決勝ホームランなど、インパクトのある活躍をした奴は、一気にスター候補生筆頭に躍り出た感がありますわ。
堂上直がドラフト一位で入団して注目されていた頃、兄貴としての立場はどうなのかと心配してたんやけど、それは全くの杞憂と分かり嬉しくなったもんでした。

奴の打撃の特徴は、あまり下半身を使っていないところやね。
バットを振り下ろす(D)の段階では、普通は身体を回転させるために下半身を強く捻りますが、そのためには軸足の左ヒザを折って足の内側へ絞り込む必要があります(上記の李、森野の写真を参照)。
しかし奴の場合はそのヒザが伸びており、(E)でのインパクトの瞬間を見ても、軸足から力が抜けてるために、上半身に頼ったスイングになっているのがはっきり分かりますな。

下半身が使えないと、普通は強く振ろうとして脇が空いてアゴが上がり、身体が開いてしまうものなんやけど、奴の場合はよほど上半身が強いのか、右半身のカベはそれほど崩れまへん。
このため、単純なタイミングの変化で打撃を崩されることはなく、ウエスタンでは打率.404という出色の好成績を残しました。
広角に打つ技術、速い打球に、実力に裏打ちされた煌きを感じさせてくれたものです。

課題は、初球から打っていくスタイルに拘り過ぎ、ストライク臭い球なら何でも振ってしまうことと、下半身を使えないことでボールに差し込まれ気味になり、速いボールへの対応が難しいことでしょうな。
一軍昇格直後は、相手が奴という選手を知らないため、無難に外角でかわそうとしたところを叩いてましたが、こうした短所が知られてくると、初球からボールになる変化球を振らせてストレート勝負とか、その逆の配球が増えてきました。
これに対応できずに、奴の成績は急降下していったわけやけど、他の若手連中(藤井、森岡、柳田、中村公など)が最初の段階である手探りの配球にすら対応できなかったわけで、奴が連中より上のレベルにいるのは間違いありまへん。
打撃の方は、ホンマに楽しみですわ。

奴は08年の楽しみの一つです。
頑張ってもらいたいですな。
試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 打点 盗塁 四死球 三振 打率 得点圏 OPS
80点 99 中村 紀洋
130 457 134 24 0 20 79 2 51 87 .293 .279 .836
(A)(B)(C)(D)(E)
よくぞ蘇ったもんやね。
奴は手首や腰の故障、慢心による練習不足から、最近の数年は満足な成績を残せずにおりました。
正直言うて獲得が決まった際、私は「終わった選手」をわざわざ獲るのかと、正直言うてかなり不安を感じたんですがね…。
開幕戦こそヒーローになったものの、前半戦はイージーエラーやゲッツーの連発で満足な働きはできまへんでしたな。
特に、最も反復練習が効果的な正面の打球でミスをが出ていたのは、練習不足の証拠やと思います。

しかし試合前後でも奴は猛練習を続けていたようで、そうした努力の結果が表れてきたのか、後半には見事に立ち直り、プレーには安定感が出てきました。
特にポイントになったのは打撃スタイルの変更やったと思うてます。
本塁打王を獲った、ミートポイントを身体の近くに置いて強い手首のパワーで打ち返すスイングやなく、少しミートポイントを身体から遠ざけ、手首や身体の負担を減らすスタイルに変えたと私は見ています。
ミートポイントを変えるというのは、打者としては大掛かりなフォーム改造であり、それがモノになってきたのが後半戦やったということやないかな。

さて08年やけど、なんと言うても気になるのは腰痛やね。
07年も奴は中盤に長期リタイアしたわけやけど、その症状は小便もできないほどやと聞いています。
それは野球選手として、致命的な故障のはずなんやけど…。
とにかく奴の場合は、いかにフルシーズンを戦うかが大事なんやと思います。
頑張れ!




投手陣 赤字はリーグ最高

試合  勝  敗 S 防御率 投球回 被安打 本塁打 三振 四死球 自責点 被打率
85点  11 川上 憲伸
26 12 8 0  3.55 167-1/3 175 18 145 29 66 .268
 (A)(B)(C)(D)(E)(F)
(G)(H)(I)(J)
数字的には05年に次いで悪いものとなりましたな。
チームを「勝たせる」と言うよりは、「勝たせてもらう」投球が多かったというのは、否定できないところです。
年俸を考えれば最低15勝、これくらいは義務やと周囲は思うでしょうし、私も奴はそういう立場やと思うてただけに、今季は歯痒いゲームの連続でした。

これは、昨季の大車輪の活躍の疲労が抜けなかったことが、明らかに原因やと思われます。
1月に自主トレのために渡米する際、既に奴は「腰にハリが残っている」とコメントしており、それを紙面で読んだ瞬間、私は今季の奴の苦闘を予感したものでした。
春季キャンプではこの腰の違和感のために、じっくり投げ込むことができず、キャンプ期間中の投球数は例年の半分以下しかなかったとのこと。
強いボールを投げるための筋力、制球力、スタミナ、全てが熟成されないまま、ぶっつけでシーズン開幕を迎えることになってしまったわけで、案の定、奴のボールは前途多難を思わせるものでしたな。

しかし、さすがエースと言うべきか、オールスター前には奴らしい球威やキレ、制球が戻ってきました。
前半は被打率が.300を超えてきたものが、見る見る下がってきたのがそれを証明してますわ。
やっとこれでエースらしい投球が戻ってくる…と思うてたんですが、それでもピンチ一つで簡単に失点するケースが目立つなど、結局はシーズン終盤まで低空飛行が続いてしまいましたが。
ピンチで「ここは攻めるべきか慎重になるべきか分からない」と言うてましたが、これは前半に散々打たれた間に自らの投球スタイルを見失ったということでしょうな。
結局、奴が「大エース」の姿を見せるには、クライマックスシリーズまで待たなければなりまへんでした。

こうして今季は、周囲からの評価は低いシーズンになったと思われますが、終わってみれば、奴にとって自らの立場の意味を示し、新たな投球術の引き出しを増やしたシーズンになったのと違うかな。
ベストな投球を見せるためには、奴は開幕メンバーから外れるべきやった。
巨人の上原は、開幕から調整に2ヶ月間を費やした後でクローザーとして復帰、その後は奴らしく精度の高い制球力で、巨人のリーグ優勝の原動力となりました。
そして憲伸も同じ調整法を採ることもできましたが、敢えてそれをしなかった。
ドラは、若手二人(長峰、佐藤亮)をローテーションに組み入れなければならない苦境にあり、エースを欠いた開幕だけは避けなければならなかったわけです。
この時の奴の役割としては、ローテーション投手としてイニングを稼ぐ以上に、開幕から選手達の士気を維持したまま戦力整備を進めるための、チームのシンボルであることが求められたのと違うかな。
そのためには、調子は二の次としても、奴は開幕から投げなければならなかった。
その立場が休養を許してくれなかったわけです。
その苦境の中で奴は投げ続け、ゲームで投げることを投げ込み代わりにしたり(?)、セットポジションでボディバランスを重視するなど、シーズン終盤には何とか「らしい」投球を取り戻しました。
これは奴にとって、一つの財産になることでしょう。

さて問題は、来季はタイトル奪取できるだけの投球を取り戻せるか、そしてFAがどうなるか、でしょうな。
奴は現在、五輪予選のために日本代表チームに選抜されてます。
昨季の疲労が今季に影響しただけに、今季の疲労は完全に取ってしまいたいところやったのにね。
これが来季の奴の成績に、また大きく影響しそうな気がします。

FAは…。
奴は次期エースの育成にも力を注いでおり、退団を前提に考えていると思われます。
来季オフは、また私の心がかき乱されるんでしょうなぁ…。
試合  勝  敗 S 防御率 投球回 被安打 本塁打 三振 四死球 自責点 被打率
80点 12 岡本 真也
62 5 2 0 2.89 56 43 3 44 22 18 .223
昨季の不安定な投球を払拭すべく、今季は制球重視の投球スタイルに変更してきたようですな。
これにより、シーズン中盤までは昨季の汚名を晴らすような、安定した投球を見せてくれたように思います。
しかし疲労が蓄積されたシーズン後半からは、恐らくヒジの具合が悪くなったんでしょうが、制球力、球威とも格段に落ちてしまいました。
やはりフルシーズンの間、奴を主戦として考えるのは、そろそろ限界なのかも知れまへん。
ただし今季については、巨人、阪神に強く、62試合に登板した働きは評価されるべきでしょうな。
95点 13 岩瀬 仁紀
61 2 4 43 2.44 59 53 3 50 9 16 .244
(A)(B)(C)(D)(E)(F)(G)
前半はリリースが一定せず、外角は抜ける、内角は叩きつけると、ボール先行の苦しい投球が多く、昨季までは見られなかったような炎上シーンを度々演じる始末。
ひょっとしたら、今季はクローザー・岩瀬の最後の年かと思わせましたが、8月以降は見事に立て直してポストシーズンでの鬼神の活躍に繋がりました。
特にクライマックスシリーズでの、連日のイニングを跨いだ起用に見事に応え、完璧な結果を出してくれたのは、「さすが」の一言でしたわ。
フルシーズンではきっちり帳尻を合わせて、61試合で43セーブしたのは、今季も投手陣で一・二位を争う貢献度やったと思います。
来季も残留してくれるということで、引退までドラのファイアマンを頼んまっせ!
90点 14 朝倉 健太
29 12 7 0 3.355 171-2/3 173 9 105 54 64 .270
(A)(B)(C)(D)(E)(F)
次期エースへの足掛かりを作ったシーズンでしたな。
ドラの投手陣において、最もイニングを稼いだのは十分評価されるべきであり、さらにシーズン中盤でライバル・阪神を抑え込むなど、要所で素晴らしい投球を見せてくれました。
昨季、習得した沈むシュートの威力は抜群で、走者一塁の場面では併殺の山を築くとともに、内角を意識する打者の心理を逆手にとって外角を引っ掛けさせるなど、制球力の向上とともに投球スタイルも確実にレベルアップしてますわ。
さらにストレートがツーシーム系なのか、バックスピンで浮き上がるのではなく、これも沈む系統の球種のため、長打を食らう確率が非常に低い。
規定投球回数に達した投手の中で、被本塁打が唯一ヒトケタであったのも、その球質によるものでした。

技術的な特徴は、(D)のテークバックで右腕をグッと背面に回すことにあり、これによって身体の回転より右腕が遅れて出てくるため、打者は微妙にタイミングを外されることになります。
これは肩の稼動域が広くないと故障しかねないため、奴独特のフォームやと言えます。

問題は今季終盤に、突然の不調に陥ったところやろか。
原因が全く分からず、日本シリーズでも勝ったとは言え本来の調子やなかったところを見ると、来季が少々不安になるんやけどね。
とにかくフルシーズン、安定した投球を続けて欲しいところですわ。
試合  勝  敗 S 防御率 投球回 被安打 本塁打 三振 四死球 自責点 被打率
90点 20 中田 賢一
28 14 8 0 3.59 170-1/3 158 14 177 87 68 .249
(A)(B)(C)(D)
           (E)(F)(G)(H)
初めて二桁勝利を達成し、飛躍の年になりましたな。
特にポストシーズンでの活躍は見事であり、クライマックスシリーズ第二ステージ、そして日本シリーズでの快投は「こういう中田が見たかった!」という素晴らしい投球やったと思います。

もともと、リーグではトップクラスの球威を持つだけに、これに頼った投球をすれば結果はもっと早く出ていたはずなんやけど、シーズン中盤までは走者を出しては変化球でかわす投球。
奴の変化球ならコースを間違うと打たれるため、コーナーを狙って慎重に投げるものの、ご存知の通り、奴にそんな制球力があるはずもなく、これでカウントを悪くしては甘いボールを打たれるという、イライラするようなゲームが続いたもんでした。
それが終盤になって、相手がストレートを待っていてもストレートをこれでもか!と投げ込む、力づくの投球スタイルに変貌し、これで劇的に投球内容が安定するとともに、その凄みを増すことになりましたわ。
先に述べたように奴のストレートは、相手が待っていてもところに投げ込んでも、一発でドンピシャのタイミングに合わされることは滅多にありまへん。
それに奴の制球力も、今季こそ一ゲームあたりの与四死球率は4.60やけど、05年は3.74、05年は3.04と、イメージほど壊滅的に悪いわけではなく、あまり制球を気にかけず思い切って腕を振るようになって、逆に四球も減ったように思います。

スタミナは十分、球威も抜群とくれば、次代のエース候補としてナンバーワンやと思います。
あとは一番プレッシャーがかかるゲームで、相手を圧倒して勝つような投球ができれば文句なし。
その意味では、この日本シリーズでの好投は、その足掛かりになったはずです。
来季はタイトルを獲るつもりで頑張ってや!
60点 23 鈴木 義広
30 1 1 0 3.52 30-2/3 19 3 31 16 12 .188
一言で言うて、情けないわ。
入団三年目にもなって、奴はまだフルシーズン働いたことがありまへん。
今季も開幕を二軍で迎え、一軍昇格後の登板数、投球回数も、入団後の最低の数字に終わりました。
また今季は武器であるはずの、スライダーの曲がりが大き過ぎて制球を乱すことも多く、セットアッパーとして起用可能になったのは、殆どシーズンも終盤やったと思います。
一シーズンの間、ロクに投げてないのに、球速を抑えて?投げているのも気に入らんな。
疲労もそれほどなかったはずであり、もっと荒々しい投球が見たかったわ。
とにかく、来季はフルシーズン一軍で投げることを目標にして欲しいもんです。
試合  勝  敗 S 防御率 投球回 被安打 本塁打 三振 四死球 自責点 被打率
65点 29 山井 大介
14 6 4 0 3.36 83 75 6 56 33 31 .240
日本シリーズでの快投は、記憶に新しいですな。
ドロップとも称したくなる、魔球・スライダーを武器に、日本ハムの打者をなで斬りにしたのは、昨年のシリーズを知っているだけに快感でしたわ。
(あれはホンマにスライダーなんやろか?鋭いカーブというべき球筋なんやけどな)

一方で、奴は打者が一廻りした頃から本領発揮するんやけど、やはり立ち上がりの不安定さは一軍昇格後も、ずっと変わりまへんでしたな。
登板前の調整方法を工夫するなり、この辺は改善を期待したい。
そして一番の課題は、フルシーズン投げられるフィジカルの構築。
今季も投げられるようになった頃には開幕を過ぎており、一軍昇格はシーズン中盤、そしてクライマックスシリーズでは投球不能となるなど、右肩の状態維持を来季は強く期待しとります。
35点 30 石井 裕也
16 2 2 0 2.95 18-1/3 13 1 14 11 6 .213
奴のスライダーも、往年のG野口の球筋を思わせる、威力のあるボールやと思います。
問題は、奴も与四死球の多い投手やということなんやけど、それは技術的な問題やなく、ハートに起因したもののように思います。
走者を出すとストライクゾーンに投げる勇気がなくなり、カウントを悪くしては、魅入られたような絶好球を投げることも何度かありました。
シーズン終盤には、こうした傾向もかなり改善されて、戦力化されてきたようですが。
ボールの威力そのものから考えれば、十分にセットアッパーが務まる投手であり、来季のブレークを期待しております。
65点 33 平井 正史
45 4 2 0 3.29 41 35 5 30 11 15 .233
シーズン当初の出遅れもあり、登板数、投球回数ともに、落合体制の四年間で最低に終わりました。
それでも復帰からしばらくは、セットアッパーに相応しい投球を見せてくれたんやけど、中盤には早くもガス欠の症状が目に付くようになりましたな。
元々奴のボールはシュート回転する傾向があり、ここ一番の制球に微妙なところがありましたが、今季はボールが高めに浮き、そして何より球速が140kmそこそこに落ちてしもうた。
ボールが高く、球威のないボールでは、相手を抑えることはできまへん。
もし奴の球威が回復しないのてあれば、来季はセットアッパーの配置換えは必須になるでしょうな。
試合  勝  敗 S 防御率 投球回 被安打 本塁打 三振 四死球 自責点 被打率
30点 34 山本 昌
19 2 10 0 5.07 108-1/3 124 13 71 31 61 .292
正直言うて、今季は殆ど戦力になりまへんでしたな。
一時期、先発投手が不足した時期があっただけに、そこでイニング・イーターとして機能したのは事実やけど、それ以外は監督の温情も過ぎたという印象ですわ。
天下分け目、9月最後の東京ドーム三連戦に負け越したのは、監督が奴を先発に起用したからだと、私は未だに思うてます。

今季はボールのキレがなくなりました。
球速自体はそれほど代わらんのですが、昨季までは球離れが遅く、スピンのかかったボールを投げていたんやけど、今季はヒジが下がり気味になったためか、特に右打者の内角へのクロスファイヤーが威力を失いましたな。
実は奴の投球の軸はストレートであり、これで打者を脅かすことができなくなった以上、スライダーもスクリューも、有効な武器ではなくなりました。
このまま奴を投げさせても、決して好結果は出ないでしょうな。

私は奴の200勝を是非見たい。
ドラの投手は概して短命であり、200勝を達成したのは杉下氏だけやからね。
日本で三番目の歴史ある球団やのに、これは寂しすぎる。
それだけに奴への期待は大きいんやけど…、来季の復活はあるんやろか?
45点 41 浅尾 拓也
19 4 1 0 3.53 51 51 5 40 20 20 .254
(A)(B)(C)(D)(E)
野球界ではマイナーな、日本福祉大から表れた150km右腕。
デビューした甲子園でいきなり152kmをマークし、その豊かな潜在能力の片鱗を見せてくれましたな。
ローテーションに穴が開いた時には先発も勤めるなど、ドラフト下位指名の新人としては出色の働きを見せてくれたと思います。
ただし我流で身に付けたそのフォームは、(C)で左腕のグローブが遊んでいるように、右腕に頼ったものであり、結果としてその右肩を故障してしまいました。
このように課題は、下半身や左腕をバランス良く使ったフォームを身に付け、フルシーズン働けるフィジカルを作ることでしょうな。
そのマスクも含めてスターの資格は十分なだけに、来季の活躍に期待しております。
75点 43 小笠原 孝
21 6 6 0 2.99 120-1/3 110 10 97 37 40 .248
(A)(B)(C)(D)(E)(F)
今季ブレークした投手のなかで、最もインパクトがあったのは奴でしょうな。
昨季までも、ローテーションの谷間を埋める役割は果たしてきましたが、今季はそのまま昌に代わる先発左腕として、十分その力を発揮してくれたと思います。
一番良くなったのは、やはりストレートでしょうな。
ストレートの球威が増したことで、特に右打者の内角へのクロスファイヤーを効果的に使えるようになり、対左打者への被打率.263に対し、対右打者.243と、抑え込むことに成功したわけです。
また内外角への制球力も奴の武器であり、今季の好成績を下支えしました。
来季は、さらに投球回数を伸ばしてくれることを期待しとります。
試合  勝  敗 S 防御率 投球回 被安打 本塁打 三振 四死球 自責点 被打率
60点 61 久本 祐一
36 2 1 0 3.38 45-1/3 37 2 31 23 17 .223
連投、ロングイニングを任せられる使い勝手の良さは、奴の最も評価されるべき点であり、かつ一時期は被打率が悪かった左打者を抑えるようになったのも◎。
しかし奴もフルシーズン投げたことのない投手やね。
もうチームの戦力に定着しとるわけで、ええ加減に調整法を覚えて欲しいところ。
またクロスゲームに起用するには、与四死球率4.57は高過ぎるだけに、もう少し制球力の安定を求めたいですわ。
40点 67 高橋 聡文
25 1 0 0 4.23 27-2/3 29 4 27 13 13 .271
(A)(B)(C)(D)
        (E)(F)(G)
絶好調時のストレートは、相手打者のバットにかすりもしない迫力がありましたな。
シーズン中盤、大阪ドームで無死満塁を切り抜けた場面があったかと思いますが、あの頃が奴の調子のピークやったと思います。
奴は上の写真の(D)のように上げた右足を降ろす際、上体を捕手に向かって動かす前に、軸足を折って身体のバネを目一杯使おうとします(元広島の大野氏のように)。
しかし疲労が蓄積してくると、軸足が十分折れずバネが効かなくなり、球離れが早くなるように見えます。
好調時が長く続かないというのは、そういう側面が大きいのと違うやろか。
来季に向けては、まずフィジカルの強化が第一やろね。
「あの」ストレートを長期間、投げられるように頑張って欲しいもんです。
試合  勝  敗 S 防御率 投球回 被安打 本塁打 三振 四死球 自責点 被打率