家族全員の協力


 10人で10人の老人を介護することはできても、
1人で1人の老人を介護することはできません。

 認知症がキリの段階に至ると、たとえ同居の家族が
居るとしても、在宅で暮らすことは無理となります。
 
ご家族は、施設に入ってもらうことを後ろめたく
思う必要はありません。


 早めに入所又は入居サービスの利用を検討し、
ご本人にもそれなりに納得してもらっておくことです。

 終日長期の介護施設には、入所型(介護施設)と
入居型(老人住宅)があります。
 「老人ご本人様へ」参照。
  


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1  
「ご本人のそれなりの納得」を得ることは、実は大仕事です。
  認知症者といってもわかることはわかりますから、その話を切り
  出されると「家族から見放される」と思う人が多いのです。

   「そうではなくて、このままでは共倒れになるのだ」と訴え、
  
入所又は入居を「お願いする」姿勢で臨むしかないでしょう。
   場合によっては、工事や旅行を口実にして「一時的だ」とする
  方便を使う必要もあります。

2  介護施設は、「老後の楽園」とはいえませんが、「この世の地獄」
  でもありません。罪悪感に苛まれることはありません。
   多くの方は大体1〜3ケ月程度で馴染んでしまわれます。



3  入所期間は、入所時の年齢に関わりなくおおむね10年を予定
  してください。
   食べ物をのみ込むこと(嚥下)ができなくなって、強制的に栄養補給
  (医療措置)する場合は、さらにその後の入院期間が加わります。

4 10年間の利用料総額は、医療費を除いて、相部屋型特養で
 600〜1,200万、それ以外の施設なら2,000〜n千万単位
の額
 となります。別に、一時金が超高額のところもあります。
  これらは、おそらく子どもの教育費をはるかに上回るものです。


5 この負担をめぐって家族間で争いとなることがあります。
  遠くの家族(嫁入りした娘、離れて住む息子など)が口だけ挟んで
 お金は負担しないことがあるからです。
  争いを避けるには、向こう10年間の分担とその後の相続について

 あらかじめご家族の間で十分に協議
しておく必要があります。


6 入所(居)施設のうち、特別養護老人ホーム(以下、特養)の利用料は、
 他の施設の料金体系とは異なって、ご本人の属する
世帯の収入合計と
 ご本人名義の預貯金
の多寡によって決められます。

  世帯全員の収入を合計すると多くなりますから、ご本人を世帯主にして
 住民登録をする、つまり一人世帯にするという便法があります。
  ただし、世帯主は税金の老人扶養控除を受けられなくなります。
   

7 特養には大きく分けて
個室ユニット型と相部屋型の2種類があります。
   個室ユニット型は利用料が相部屋型の倍くらいにつきます。
   どちらの方が適切なのか議論が盛んですが、介護保険の発足以来、
  国や自治体の多くは個室ユニット型を推奨していて、京都ではこの型しか
  新規建設が認められていません。

8  支払いに不安がある場合は、相部屋型特養へ入所できるまでの間、
  暫定措置として個室ユニット型特養、老人グループホーム、介護付有料ホーム
  などの入
施設、
   或いは住宅型有料ホーム、サービス付高齢者住宅などの入
施設を
  利用する方法があります。