初夏のニュージーランド8日間
2003年11月14日 その1
しかし、今朝はすごくきれいな朝焼けが見えたらしい。 目が覚めたら、ちょうどとーさんがベランダから部屋に入ってきて、「すごくきれいな朝焼けだったんだぞー。見れなくて残念だったね〜。」と嬉しそうに言った。 それなら一声かけてくれりゃいいものを・・・。 今日はいよいよ1回目のトレッキングだ 。でも、とーさんと私はかなり心配になっていた。 ツアーの皆さんともいろいろお話する機会があったのだが、聞いてみると、皆さん、山のベテランばかり。 「夏には、スイスでトレッキングを楽しんできたの」とか、「昨年はネパールで8日間のトレッキングツアーに参加した」とか、「日本では2000メートル級の山に登っている」とか、「学生時代はワンダーフォーゲル部だった」とか、「日本の山はほとんど登った。」という方々ばかりなんだもん。 トレッキングは初めてなの〜なんて、お気楽なことを言っているのは、どうやら私だけみたい。(汗) 「とーさん、どーするよっ?大丈夫かなぁ」と私。とーさんも「ま、マイペースで行くしかないだろう。」とかなりビビっている様子。 私なんて今回のためにトレッキングシューズを購入したのだが、足慣らしのために30分履いただけという状態。それも、家の近所を歩いただけという有様なのだ。 宿からバスに乗り、昨日も通ったミルフォード・ロードを通る。走ること約1時間半でディバイド(Divide)に到着だ。 今日は、キーサミット(Key Summit)という山に登る。 ここは、あの世界遺産にもなっているトレイル「ルートバーン・トラック」のテ・アナウ側の出発地点でもある。 このルートバーントラックを途中まで歩き、途中から分岐してキーサミットの山頂を目指すというものだ。 ディバイドの駐車場のすぐ脇には、このような看板があり、ルートバーントラックがここから始まるのである。 今回の山のガイドは、ヨシエさんとクリスという2人の女性がついてくれた。ピクニックランチをザックにいれ、いよいよトレッキングの始まりである。「初心者の方は、前の方に来てください」という言葉に従い、とーさんと私は前方グループに。 最初の30分ほどは、こんな鬱蒼としたブナの森が続く。 ゆるやかな上り坂だが、それほど急ではないので歩きやすい。先頭を歩いているヨシエさんは、途中、何度か立ち止まり、いろいろな植物の説明や、周囲の景色の説明をしてくれる。 このお話がとてもとてもおもしろかった。きっと、自分ひとりで黙々と歩いているだけでは絶対気づかない小さな花や草にまで、目をむけてくれていろいろなことを教えてくれた。 もちろん、私たち初心者のペースもきちんと見てくれている。おかげで、さほど山道も辛くなかったし、本当に楽しく歩くことが出来たのである。 このブナの林を抜けると、道が急になってつづら折の坂道が続く。 トラックはきちんと整備されているので歩きやすいけど、ちょっとだけ登りがきつくなる。汗をかくので、フリースを脱いだ。途中、流れる清水で喉を潤しながら、歩いていくと、だんだんと視界が開け、周りの山々が見えてくる。 キーサミットの周囲は、2000m級の山々が連なっているので、天気さえ良ければ、すばらしい眺望が楽しめるのだ。 この看板のところから、メインのトラックを離れ、キーサミットに向かう。 ここを過ぎたくらいから、森林限界で高い木々が姿を消す。そしてそれと共に、風が強くなり、体感気温がずいぶん低くなってくる。 もう少しすると、一面にマウンテンデイジーが咲き乱れるところがあったんだけど、今回は花にはまだ早かった。お花のシーズンは12月にはいってからだということだ。 頂上付近は、湿地帯となっていて木道が整備されている。 説明をききながらゆっくり歩いて、ディバイドから2時間ちょっとくらいで頂上に到着だ。 雲が少しかかっていたけど、頂上は360度の大パノラマ状態。高い山々が、ぐるりと私たちを取り囲んでいる様子は圧巻である。 |
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ピクニックランチには、バゲットサンド、チーズ、チョコチップクッキー、りんご、キャンディ、フルーツジュースが入っていた。 頂上は気温も低く、風も冷たくて、かなり寒く感じる。 そんな時に、ガイドさんが暖かいコーヒーをサービスしてくれた。 2人のガイドさんは、20人分ものお湯をポットに入れて、背負って持ってきていたのだ。 寒い中、暖かなコーヒーはとてもおいしかった。
レイク・マリアンがきれいに見えるというポイントに案内してもらったが、この頃から雲が広がりだしてきて、あんまりきれいに見えなかったのが残念。(→) 空が曇ってきているし、気温もかなり下がっていることで、早めに下山することになった。 通ってきたのと同じ道を戻る。帰り道では、多くの鳥の姿を見ることが出来た。 ニュージーランドの鳥たちは、日本ではお目にかかれない種類がとても多い。 美しい声で囀る「ベルバード」や、 尾っぽのない「ライフルマン」など初めて見る鳥ばかりだった。 |
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初めてのトレッキングが、このガイドウォークでよかったなと本当に思った。 正直なところ、このキーサミットで道に迷ったりすることはまずないだろう。自分たちだけでも安全に歩けるトレイルであることは間違いない。 でも、こうしていろいろなものに目を向けながら、そして景色を楽しみながら、ゆっくりとしたペースで歩くことによって、今までの「山登りはつらい」というイメージが払拭されて、歩くことってこんなに楽しいんだって心から思えたのである。 また、ツアーの山のベテランのみなさんもとても良くしてくれて、ストレッチの方法や、歩き方などを初心者の私にアドバイスしてくださった。 ほんとにみなさんどうもありがとう。この場でお礼を言わせていただきます。 |
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今日の予定はこれで終わり。 あとはホテルに戻るだけだったんだけど、バスの中で「今日は、早く終了したので、よろしければワイルドライフセンターに行きませんか?」とヨシエさんからご提案があった。 ワイルド・ライフセンターでは、ニュージーランドのいろいろな鳥が飼育されている。 中でも、絶滅したと思われていたタカヘがここで見れるのである。 |
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タカヘはキーウィ同様、飛ぶことの出来ない鳥である。 20世紀初頭までに絶滅したと思われていたが、1948年に発見された。しかし、保護されているものと野生のものを合わせても200羽足らずしかおらず、絶滅の危機に瀕した種であることには違いない。 ここワイルドライフ・センターには数羽のタカヘがいるのだが、檻が広い上に、草むらが深く、隠れてしまうとなかなか姿をあらわしてくれなかった。 ここには、他にもたくさんの鳥が飼育されている。 写真は、放し飼い状態だったパラダイス・ダック。カモの一種である。 ここは国営施設なので、入場料はかからない。お気持ちのある方は、寄付の箱にいくらかいれてくるとよいだろう。 |
■一口メモ キーサミットは、標高912メートル。それほど高い山ではなく、気軽な一日トレッキングが楽しめます。 ただ、山の下と上では気温差がずいぶんあるので、重ね着で対応することが必要となってきます。必ず防寒具(セーター、フリース)と、雨具は持っていきましょう。お天気が良い日でも、風をとおさないウィンドブレーカーは重宝します。 また、この日は写真のとおり、雲が出ていてそれほど日差しが強いとは思えない日でしたが、ホテルに帰ってみると、日焼け止めを塗ったにもかかわらず頬骨のあたりがかなり赤くなっていました。 ニュージーランドの紫外線は、日本の約7倍あるといわれます。さほど日差しが強くないと思っても、かなりの紫外線を浴びていますので、外に出るときには日焼け止めとサングラス、帽子は必須アイテムです。 |
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