イエローストーン&グランドティートン国立公園 7日間



2004年7月19日その1

朝起きると、雨はあがっていたけど、雲がかかった灰色の空。気温も低く、肌寒い朝だった。8時過ぎに宿を出発。
今日は、グランドティートン国立公園を観光しながら、イエローストーンへ戻り、夕方にはボーズマンへと向かう。明日は、日本へ帰国するので、今日がここで過ごす最後の日となるのだ。

空は相変わらず、濃い雲が広がっていて、昨日はあんなにきれいに見えた山々が、今日は全く見えないのだ。
「全米で一番美しい国立公園」の景色もなーーーんにも見えない。(泣)

グランドティートン国立公園に入り、まずはトランスフィギュレーション礼拝堂へ。
ここは、有名な観光スポットなのだけど、私たちの他には誰もいなかった。天気が悪いせいなのかな?
トランスフィギュレーションとは「変貌」という意味。この雄大な自然の中では、人はだれでも自然体に「変貌」するのかもしれません。

丸太でつくられたこの礼拝堂には、木の枝で作られた十字架が飾られているだけである。
しかし、十字架の向こうには、青空にグランドティートン山の姿が雄雄しく聳え立っている・・はずである。
(天気が悪くて、なーんにも見えなかったのよ)


礼拝堂の内部はこんな感じ。素朴で心なごむ礼拝堂です。 本当なら、この後ろにグランドティートン山が見えるはずなんだけど・・

野鳥の姿が多く見られました。これはスズメかな?


普通なら、この礼拝堂を見ると、そのまま次のポイントへ行ってしまうのだけど、ヘルガのすすめで少しこの辺を歩いてみることにした。
この天気なら、ビューポイントへ急いで行ったって、すばらしい風景には出会えそうもないし。このあたりをお散歩してみるのもいいかもね。

礼拝堂前の駐車場から先へは、遊歩道が続いており、いいお散歩コースになっている。
このあたりは、野鳥も多く、バードウォッチングも楽しめそうだ。朝のひんやりとした空気の中、鳥のさえずる声を聞きながら、林の中をお散歩するなんて、なんて気持ちのよい時間なんだろう。


礼拝堂から数分歩くと、小さな小屋が見えてくる。
これは、記念館になっていて、西部開拓時代のいろいろな記録が残っている。
写真や、当時使われていた道具などが展示されていて、なかなかおもしろかった。
写真などで当時の生活を偲ぶことができる 当時のステージコーチ(幌馬車)も残っていた


そして、ヘルガは小さな白い建物へ連れて行ってくれた。
何かのお店のようだ。玄関脇には「OPEN」って看板も出ているし・・・。でも、お店にしては中が真っ暗だ。
本当にオープンしているのかな??と、思いながら、中に入ってみる。
すると、ここはやっぱりギフトショップだった。しかし、普通のギフトショップと違うのは、この建物も中の調度品も100年以上経っているということ。
つまり、西部開拓時代の建物をそのままギフトショップとして使用しているのだ。
商品が並ぶ棚も当時のものを使用している。

ここは、当時は一般の民家だったのだそうだ。中には、その当時そのままのオーブンやストーブ、エルクの角と皮で作られた椅子やベッドもそのまま残されているのだ。私が、中が暗いなーと思ったのは、まだ電気がない頃の建物だったから。そして、今でも電気は通っていない。
薄暗い小さな部屋で、いろいろな生活品を見ると、その当時の生活が偲ばれるようだ。建物の中は暗くて、寒かったけど、人々の心の中は、オーブンの中で燃えている火のように暖かかったんだろうな。
ここで売られている品物は、そんなに珍しいものもないのだけど、ここのギフトショップはオススメです。
ベテランガイドのヘルガもここに来たのは初めてだったんだって。ガイド仲間から教えてもらって、来てみたそうだ。
ちなみに、このショップ、どのガイドブックにも載っていないそうです。

ヘルガの携帯電話が鳴った。
ガイド仲間から、通行止めの情報が入ったのだけど、イエローストーンでは昨晩、何と雪が降り、なだれでキャンプをしていた人が流されたというのだ!
イエローストーン国立公園内では、通行止めのところも出ているらしい。特に、西門が閉鎖されたため、ウェストイエローストーンに滞在していた人たちは、北門までまわって園内に入らなければならなくなっているそうだ。
7月だというのに、恐るべし・・・。グランドティートンでは、ひどい雨模様だったが、イエローストーンではそれが雪になっていたんだね。一日ずれていたら大変なことになっていただろうな。
そう考えれば、私たちってラッキーだったのかも。
後から聞いたのだけど、キャンプをしていて流されたのは16人だったらしいが、皆、車の中にいたそうで(イエローストーンではテントでのキャンプは一部を除いて禁止されているため)、怪我人はなかったそうだ。


本来なら、ジェニーレイクやシグナルマウンテンなど、グランドティートン国立公園のビューポイントに立ち寄るはずだったんだけど、空はまだ真っ白で、山の姿も見えやしない。
気の毒に思ったのかヘルガは、ビジターセンターに行ってみようと言う。

そうだね、昨日はジャクソンの街でおみやげを買うつもりでいたんだけど、雨で外に出れなかったから何にも買ってないんだ。
ビジターセンターの売店によるのもいいかもね。
立ち寄ったコルターベイのビジターセンターには、売店のほかにも先住民のインディアンに関する展示コーナーが充実していた。
以前、アラスカに行って以来、先住民のイヌイットに興味を持った私は、ここの展示コーナーもとても興味深く見ることができた。
グリズリーの爪で作られたネックレス、鷲の羽根の髪飾り、オオカミの毛皮や武器など、インディアンたちが実際に使っていた品々が展示されていた。
アメリカ人にとっての西部開拓は、ひとつのロマンであったかもしれないが、インディアンたちにしてみれば、悲しい歴史であるだろう。
現在、先住民の子孫たちは制定されたインディアン保護区に住んでいる。今のアメリカでは人種差別もなくなってきているとはいうが、彼らをとりまく状況はまだまだ厳しいものがあるようだ。

展示コーナーを見学した後は、売店でお買い物。
グランドティートン国立公園の写真集を見て、「ああ、晴れていればこんなに美しい景色が見れたんだねー」と、今日の天気を残念に思う。

お買い物がすんだ後は、イエローストーンに戻ることにした。

● ひとくちメモ
トランスフィギュレーション礼拝堂に行ったら、是非、その奥まで足を伸ばしてみてください。
西部開拓の記念館があったり、川には当時の渡し舟の様子が記されていたりして、なかなかおもしろいです。
そして、100年以上前の建物を利用したギフトショップはオススメです。当時の住居がそのまま残されていて、昔の生活を偲ぶことができるんです。

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