あざらしの赤ちゃんに会いに
カナダ マドレーヌ島とナイアガラ7日間
2002年3月7日(木) あざらしウォッチングは14:00に出発だ。 私は初めての参加なので、45分前に集合場所へ行き、ムスタングスーツのサイズあわせをして、ウォッチング時の注意を聞く。 このムスタングスーツは、防寒効果はもちろんだが、浮力があり万一海に落ちた時でも大丈夫ということだ。 時間になり、いよいよヘリコプターに乗り込む。ヘリはツアー参加者5名が1台に乗る。 前の席には、パイロットとツアーに同行するアイスガイドが搭乗する。 ホテルを出発し、凍てついた海の上を飛ぶ。思っていたより揺れもない。凍った海を見るのは初めてなのでこちらも感激してしまった。 そして、30分ほど飛ぶと、眼下にあざらしの姿が見えるようになってきた。あそこにも、ここにも・・・。たくさんのあざらしが見えてきた。 ヘリを降りると、いるわいるわ・・・。お母さんあざらしの大きな姿が目に飛び込んでくる。そしてその傍らには真っ白な赤ちゃんが・・・。 はやる気持ちを押さえながらヘリを降りる。地面に足がついたとたんにつるっと滑ってしまった。そうだ!ここは氷の上なんだ。 アイスガイドの方から、滑り止めの金具がついた布を、靴につけてもらう。これを靴につけると、それほど滑らずに歩くことが出来る。氷が安全かどうかを確かめるためのストックを1本づつ渡された。 氷上には、動物写真家の小原さんがいらしていて、いろいろなアドバイスをしてくださった。 もとはといえば小原さんの写真集を見て、この島のことを知り、どうしても訪れたくなった私である。その小原さんと話をしながらこの場所にいられるとは何という幸せなんだろう。 ハープシール(たてごとあざらし)は、2月末にここセントローレンス湾の氷の上で出産し、氷上で子育てをする。 生まれたばかりの赤ちゃんは、黄色い色をしている。これは母親の羊水の色が残っているからだ。このちょっと黄色い赤ちゃんはイエローコートと呼ばれる。 そして3日もすると、太陽の光で黄色い色が抜け、真っ白な毛皮に覆われる。これはホワイトコートという。 赤ちゃんは約10キロで生まれ、お母さんのおっぱいで1日2キロづつ大きくなる。そして約2週間ほどで泳げるようになり、真っ白な毛はお母さんと同じようにグレーに変わってくる。そしてあざらしの子育ては終わるのである。 そう、このかわいい姿を見れる時期は本当に短いのだ。 |
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私が出会った赤ちゃんたち
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氷上は寒いので、お母さんあざらしはずっと氷上にいることができない。暖かい水の中で過ごし、授乳のために氷の上にあがってくる。そして、しばらく赤ちゃんと過ごすとまた海の中へ戻っていく。この繰り返しだ。 その間も、わが子が気になるのだろう。氷に開けた穴からしょっちゅう顔を出し、子供の様子を伺っている。 1匹のあざらしが、お昼寝から覚めると、写真をとっている私のほうに向かってやってきた。 どうやらお母さんと間違えたらしい。そっと差し出した手の匂いを嗅ぐと、おかあさんでないことがわかったらしい。 即座に踵を返して(?)戻っていった。 赤ちゃんも、人間が怖いのか、最初はキーキーと威嚇したりしているが、こちらが何もしなければそのうち慣れるのか、私たちのすぐ目の前でかわいい寝顔を見せてくれた。 氷の上には約2時間くらいいることができる。赤ちゃんはとても表情豊かで、いくら見ていても飽きないのだ。 あっという間にフィルムがなくなっていく。 そして、2時間後私たちは氷の上を出発した。 かわいいあざらしに会えて、それはそれは感激だった。しかし、ヘリに乗ったとたんものすごい疲労感に襲われた。 慣れない氷の上を歩いたせいか、あるいは自分の願いが叶った安堵感からなのだろうか? 夜はホテルで、写真家 小原玲さんのスライドショーが開催された。ホテルでは毎晩、カメラマンや生物学者のレクチャーが行われているので、参加してみるのもよいだろう。 参加者は、外国人が殆どだった。小原さんは英語と日本語で、いろいろな説明をしてくれた。あざらしのこと、写真の撮り方、そしてご自分のこと・・・。スライドが替わるたびに場内からは感嘆の声が洩れる。 彼の撮るあざらしは、本当に活き活きとしている。また、見る人をも幸せな気分にしてくれる。私もこんな写真が撮れるようになりたいものだ。 スライドショーは大きな拍手で終了した。 |