ケニヤ撮影旅行13日間




2004年4月29日(その2)


チータの食事を堪能した私たちは、今日のゲームサファリはちょっと早めに切り上げて、マサイの村に行くことにした。

マサイ村の前で、車を降りると、さっそく子ウシのお出迎えである。
この時間、大人のウシは放牧に出ているので、村に残っているのはまだ子供のウシだけだ。マサイのウシは、大人も子供もみんなガリガリに痩せている。日本で見るウシとは大違いだ。

マサイのオバサンが出てきて、いぶかしそうに私たちを見る。添乗員さんとドライバが値段の交渉をしている。
私たちは1人US$10ということになった。お金を受け取ったとたん、オバサンは急に愛想がよくなってニコニコしだした。まさしく商売スマイル!そして、今からはこの村のどんな写真を撮ってもいいと言い出す。おいおい、マサイは写真嫌いじゃなかったのかよ〜。まったくゲンキンだこと・・・。
歓迎の準備があるからしばらく待てと、村の入り口で待たされる。案内は、英語を話せるマサイの青年が務めてくれた。
マサイは、小枝で歯を磨く? お金を払ったらいきなり愛想がよくなったオバサン

村の中から歌声が聞こえてきた。
マサイの女たちが、歓迎の歌を歌ってくれているのだ。こういうのは、やっぱりビデオカメラがいいよねと思い、ビデオを撮りながら入り口に向かった。
すると、足元がずるっと滑った。あ、泥に入っちゃったかな・・と一瞬思ったが、そうではないことは臭いで気がついた。

うぎゃ〜! ウシのウンコ、踏んじゃったよーーー

マサイ村には何百頭ものウシがいる。当然、落し物はたくさんあるわけだ。ビデオに気を取られて、下を見ないで歩いていたお馬鹿な私・・(涙)
パニックになった私は、とりあえず靴の底を土に擦り付けて、ウンコを落とそうとした。心なしか、私の周りにいたツアーの皆さん、そそくさと私の元を離れていくような気が・・・。
すると、英語を話すマサイのお兄ちゃんが近づいてきて、真顔で言った、「汚くないよ。私たちの家はウシのウンコで作られているんだから。汚くないよ。」
確かに、あなたたちの文化ではそうかもしれないけど、やっぱり私にとっては歓迎できるものではないんだけどねえ。


入り口の両脇には、マサイの女性たちが並んで、歓迎の歌を歌ってくれる。
着ているものは、「晴れ着」だそうで、こうして観光客が来ると着飾って出迎えてくれるようだ。彼ら独特のビーズのアクセサリーもじゃらじゃらとつけている。
しかし、マサイの人たちって年齢がわかんないね。みんないくつ位なんだろう。
マサイの男の人は、みんなすらりとしているのに、女の人たちは体格がいい人が多かったな。





子供たちもみんなで歌を歌ってくれる。でも、喜んでやっているというよりは、大人に言われて歌っているだけって感じ。ま、そんなものだろうけど。
しかし、すごい子供の数だった。100人くらいはいたんじゃないかと思う。この小さな村に、こんなに小さな子供がたくさんいるんだろうか。隣村からも借りてきたんじゃないのってくらいのすごい人数だった。
でも、この子達、学校って行かないの?「教育」ってマサイにはないんだろうか?みんな泥だらけの洋服を着て、足は裸足。ハエがぶんぶん周りを飛び回っている。

日本の子供とあまりにも違う姿に、思わず涙がウルウルとでてきてしまった私。この子たちのことが、なんだかすごくかわいそうに思えた。
でも、彼らにとってはこれが普通の生活なんだ。彼らは彼ら自身の文化の中で生きているんだから、よそ者の私が哀れむことではないんだよね。
ちょうど、今日のサファリにはキャンディを持ってきていたので、子供たちにあげようと思って、バッグの中に入れてきたのだが、この人数では全員にいきわたるほどの数がない。
この中で、もらえる子ともらえない子がでてくるっていうのはやっぱりまずいでしょう。もらえなかった子供のことを考えると、バッグの中からキャンディを出すことはできなかった。



マサイの男たちは、歌いながらジャンプを披露してくれる。
マサイの男の人って、みんなすらりと背が高くて、細いのよね。
これは以前、日本のドリンク剤のCMにもつかわれていたからおなじみだと思うんだけど、彼らのジャンプは本当にすごい。
実際に目にしてみると、その跳躍力にオドロキだ。高く飛ぶことこそ、男の誇りなのだそうだ。
ロッジなどで見る「観光客用マサイ」はみんな赤一色のコスチュームだったけど、ここでは柄物が一般的のようだった。
日中は、男たちは放牧に出るため、この時も圧倒的に女が多くて、男性の姿はあんまり見られなかった。ここに残っている男たちは観光客の相手が仕事なのかしら?

→ マサイの家はこんな感じ。
マサイの家の前で

木の枝や、葉を組んだものに、ウシの糞を塗ってできている。しっかり、乾燥しているからか、思ったほど臭くはない。男たちは日中は放牧に出るため、家を作ったり修繕するのは女の仕事なのだそうだ。

この家の中にも案内してもらった。
窓がないため、中は真っ暗。炊事のために火をたく場所があり、小さな換気口がひとつあいているだけだ。家の中にはいった瞬間は、むっとした暑さに具合が悪くなりそうだった。
マサイの常食は、ウシの乳と血。ウシの頚動脈を傷つけ、出た血を乳に混ぜる。(ウシを殺すわけではなく、ちょっと出血させるだけらしい)この血入りミルクを朝6時と夕方6時に飲む。これで一日の食事おしまい。特別な日には、肉も食べるということだ。


「帰りにマーケットを見ていってほしい」と案内役の青年が言う。
帰り道に、女たちが店を広げていた。マーケットって行っても、要するに自分たちで作ったビーズのアクセサリーや木彫りの置物など、おみやげものを売っているのだ。
子供たちのためになるなら、何か買ってあげようか・・・とも思ったのだけど、どれもべらぼうに高い。ロッジの売店で売られているもののほうが、品物もいいし、値段も安い。
とても、ここで買う気になれず、そのまま車に戻ってしまった。


ウシを守るためには、ライオンとも勇敢に戦う誇り高きマサイの戦士。マサイ族は、そんな部族だと聞いていた。
でも、実際は、こうして観光客を村に入れ、踊りや歌のパフォーマンスを見せてお金を取る。みやげものを買えとしつこいくらいのセールスをする。村の外では、写真を撮るなら金をよこせと手を出してくる。
貨幣経済が進み、生活様式も変わってくると、昔ながらの生活を保っていくことはとても難しいことなのだと思う。観光客を相手に、お金を得るということも彼らの大きな収入源なのかもしれない。
でも、部族の誇りまで売り渡しているようで、なんだか悲しく思えてしかたなかった。




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