ケニヤ撮影旅行13日間
***このページには、ハイエナ、チータの食事風景を載せています。生々しいものもありますので、苦手な方はご注意ください*** | ||||||||||||
2004年5月1日(その1) 最後のゲームドライブに出発する。 今日は朝からあいにくの雨。車の屋根も開けられないくらいひどい降りだ。 夜明けのサバンナは言いようのない緊張感に包まれていた。チータのハンティングである。 チータはライオンと違って、単独で狩りをする。体も大きくないし、顎の力も強くないため、バッファローやキリンなど大きな動物は狩ることができない。 狙うのは、ガゼルやインパラなどの比較的小さな動物。それも子供を狙うことが多いようだ。 ヌーの子供も狩りの獲物になる。 ヌーの群れだって、そう簡単に子供を餌食にはさせない。 子供のヌーは群れの後ろの方に下げさせ、大人のヌーが集団で、こうしてチータを威嚇する。 → 見ている私たちでも、ドキドキしてしまうような緊張感がサバンナを包む。このサバンナの雰囲気を、きっと私は忘れることができないだろう。 ヌーのまた後ろには、トムソンガゼルの群れがいた。 みんな、心配そうにじっとチータを見つめている。 草食動物は、安全な距離を保ちながら、チータの動きを観察しているのだ。 ナフタリが首を振りながら「難しいな」と言った。 チータの存在も動きも、みんなに気づかれている。この状態でのハンティングは無理だろうと言うのだ。 私たちは誰も一言も発することなく、じっとこの光景を見つめていた。 雰囲気を感じ取ったのか、たくさんのハイエナたちも集まってきた。チータのおこぼれに預かろうと言うことなのだろう。 しばらくすると、無線で情報が入った。ライオンがヌーを狩ったというのだ。 そういえば、集まっていたハイエナたちが、少しづつどこかへ行ってしまっている。ライオンの方に行ったのだろうか。 ナフタリが私たちに聞いてきた。「ライオンの方へ行く?それともここでチータのハンティングを待ってみる?」 結局、6台のサファリカーうち、私たちの車を含む4台がライオンの方へ移動した。2台は残って、チータのハンティングを待つことにしたようだ。 動くことを決めたら、行動は早い。雨でぬかるんだサバンナを猛スピードでライオンのいるところに向かう。 しかし、そこにはライオンはいなかった。目に入ってきたのは、多くのハイエナが、ヌーにむさぼりついている光景だった。 どうやら、数で勝負のハイエナに、ライオンは獲物をあきらめたらしい。百獣の王のライオンでも、この数のハイエナにはかなわないようだ。 このハイエナの食事光景はすごかった。 まさに「凄まじい」という表現がぴったりだろう。「ガウガウ」と声をたてながら、肉を引きちぎり、骨を噛み砕く。 胴体にむさぼりついているグループがあれば、切断された足を加えて走っていくものもいる。 あっという間に、ヌーの体はバラバラになっていく。 ハイエナの数は、どんどんと増していき、何頭いるのかすら数えられないほどになった。
この凄まじい光景を目の前で見て、しばし呆然としてしまった私。時折、どこからか聞こえるライオンの鳴き声がまたまた臨場感を盛り上げてくれる。 まさしく「野生の王国 実写版」である。最後のゲームドライブで、こんなすごい光景を見ることができて本当にラッキーだった。 ハイエナの食事が一段落したので、またチータの元へと戻ってみた。 すると、チータもお食事中だった。 野うさぎを捕ったのだそうだ。ライオンの方へいかずに、ここに残った車の人たちは、しっかりハンティングが見れたという。後で見せていただいた写真には、野うさぎをくわえるチータの姿が写っていた。 「もう一度、ハンティングをするよ」とナフタリが言った。 小さな野うさぎでは、4匹のチータを満腹にすることはできないからだ。 しかし、チータは一度全速力で走ると、ものすごく体力を消耗するそうで、続けて走ることはできないという。 次のハンティングまでには、少し時間があるだろう。 その間に、私たちも朝ごはんを取ることにした。 荷物の積み下ろしなどがあるので、安全な場所まで車を移動させる。チータのそばでは車を降りることができないからだ。 今日の朝ごはんは、雨が強いため、外で食べることは無理である。それぞれの車の中で取ることになった。それでも、雨の中、ドライバーたちはずぶぬれになりながら、暖かいコーヒーを配ってまわってくれる。
はるかかなたに、チータの姿が見えるところで食事をしていると、「走った!」とナフタリが叫んだ。 食事中だった私たちだが、いそいでカップのコーヒーを飲み干し、チータのもとへと向かう。 チータは、ガゼルの子供を狩っていた。 ガゼルの赤ちゃんは、大人のように早く走ることができない。 とっさの時には、草の中に座り込む。小さな体を丸め、草むらに隠れることだけが、唯一身を守れる方法で、本能的にそうしてしまうのだそうだ。 確かに、それが有効な場合もあるだろうが、最初から子供に目をつけていたチータにとっては、逆に楽に狩れてしまうことにもなる。 激しい雨の中、チータはガゼルを食べていた。彼らの顔は、血で真っ赤にそまっている。 図らずも、私たちもお食事中のチータのすぐそばで、朝ごはんの続きと相成った。 生肉を食べているチータの脇で、カリカリベーコンに喰らいつく私たち人間。(笑) チータは食事がおわると、お互いに相手の顔を舐めあって、血でよごれた顔をきれいにする。 すごい場面に遭遇して、最後のゲームドライブは終了した。 |
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