夢惑う世界 雑記帳 随想録<澪標> 気ままにひと言
夢惑う世界4.1.2.8−10 気ままにひと言

2005年4月14日  森みつぐ

 私は、海外へ旅行に行くとき、必ず百円ライターを持ってゆく。タバコを吸う訳ではない。私が行く場所の殆どが、熱帯・亜熱帯地域なので、蚊から身を守るために蚊取り線香が必須となってくる。従って、火が必要となってくる。私はタバコを吸わないので、最初の頃は、マッチを携帯して行ったのだが、粗品などで貰ったライターを手にしてからは、ライターをバッグに仕舞い込んでいる。ライターは、好きではないのだが蚊には勝てない。
 最近、米国の航空会社がライターの持ち込みを禁止したみたいである。常々、私もライターの安全性には疑問を抱いていたので、それはそれで問題はないのだが、一つだけ困ってしまう。
 それは、私が行く地方都市は、そう簡単に百円ライターみたいな物が手に入らないところが多いのである。マッチでもいいが、そんな物を売っている店も少ない。蚊取り線香を持っていても、火がなければ蚊も止まるただの薫りいい渦巻き線香である。
 今年も、米国経由で中南米へ行く。ホッカイロみたいな蚊取り線香があれば助かるのだけれど。


2005年5月7日  森みつぐ

 中南米を旅行するとき、好き嫌いは別としてトランジットだけでも、アメリカに入国しなければならない。一年前は、まだ何もなかったのだが、今回は、行きと帰りの2度も、左右人差し指の指紋と顔写真を採られてしまった。どうも私の場合は、指紋の彫りが浅いみたいで何回もやり直しさせられた。
 指紋採取に関しては、好き嫌いからすると嫌いなのだが、犯罪の抑止力を考えると、やむを得ないだろうと思っている。それよりも乗り継ぎ客としては、処理の遅れによる混雑を心配していたのだが、単なる偶然か、日本からニューヨークに到着したときも、ドミニカからマイアミに到着したときも、混雑は全くなかった。いつもなら中南米からマイアミに戻ってくると、入国審査に並ぶ人で、非常に混雑していた。乗り継ぎ時間が短いときには、時計と睨めっこ状態であったのだが、今回は設備そのものを新しく造って、混雑の緩和を図っていたみたいであった。
 それにしても、人間は、人間同士で殺し合うのが好きな動物であることか。


2005年5月15日  森みつぐ

 ドミニカの採集も、今日で終わりである。低山地のサン・ホセ・デ・オコアで、いい場所が見つからず近くの山の中腹で採集していた。
 キジマドクチョウがときおり、通り過ぎてゆく。また、一匹やってきた。・・・“あれ!ちょっと色が明るすぎない!”・・・“翅もちょっと違うよ!”・・・“アゲハだよ!”・・・掴まえようとしたのだが、逃げられてしまった。“多分、初めて見るアゲハだよ!”
 午前が過ぎ、そして、そろそろ帰る時間が近付いてきた。“あのアゲハ、口惜しいな!”と思っていたところ、背後からレモンイエローのチョウが現れた。“これだ!!”
 網の中に入ったチョウを見て、“えっ!ここドミニカだよ!”入っていたのは、東洋区、オセアニア区に生息するオナシアゲハ(Papilio demoleus)であった。ここは、新熱帯区カリブ海の島である。自然の状態ではあり得ない。
 日本でも、様々な昆虫が人為的に入り込んでいるみたいである。人のグローバル化?とともに、植物のグローバル化が加速された。そして、今度は動物のグローバル化が進んでいる。意図的であるかどうかは別として、確実に進んでいる。・・・それにしても、ドミニカでオナシアゲハを掴まえるとは、思ってもいなかったのだが・・・!!・・・


2005年5月21日  森みつぐ

 カリブ海の島々に生息するカリブジャノメ(Calisto)は、ジャマイカ、プエルト・リコ、そしてキューバで、これまでに各1種ずつ採集した。そして、今回行ったドミニカには、数多くのカリブジャノメがいることが分かっていたので楽しみにしていた。
 高地の採集で3種を掴まえた。“まあ、こんなもんかな!”と思いながら、帰国した。標本の展翅を終えて、名前を調べていたら、1種と思っていた種が、実は、3種であることが分かった。似たような模様なので、採集しているときには、全く気付かなかった。それ故、しっかり採集できなかった種もある。もしかしたら、他にもいたかも知れないが、今更、どうにもならないことである。
 いつも、そうなのだが、手当たり次第に採集したりしないので、後で反省。と言いながら、“まあ、これも人生!”なんて片付けてしまう。今回も、いろいろあった。だから、旅は、楽しい。


2005年6月14日  森みつぐ

 11年振りに訪れた石垣島は、やはり変わっているように思えた。私の住む沼津市の11年前を考えてみると、石垣市の方が変貌している。観光の島らしく真新しいホテルが数棟建っていたし、建設中のホテルもあった。石垣市は、人口も増えているという。内地から移り住む人たちが増えているのである。
 11年前、既に、離島の人たちの交通手段だった南西航空は、日本トランスオーシャン航空に変わっていたと思うが、今回は、石垣空港には、全日空も乗り入れていて建物も新しくなっていた。そして空港前には、バスが乗り入れていた。
 街中を歩いてみたが、新しくコンビニエンス・ストアが店を開いていた。最初、入ってはみたが、やはり以前からある店の方が親しみを感じて、そちらを利用した。私には、どうもコンビニエンス・ストアは性に合わないみたいだ。郷土料理店が増え、八重山の地酒を銘打った居酒屋が増えていた。観光客相手の店が増えている。私が利用している食堂は、以前からある大衆食堂である。
 もう少しのんびり歩いて、また立ち止まってみて石垣島を堪能してみたいといつも思っているのだが、駆け足で通り抜けてしまう。


2005年6月27日  森みつぐ

 自動車を運転しない私だが、ときどき自転車には乗る。もう、12年前に買った買い物かご付きの自転車は、週に1回乗ればよい方という程度にしか利用していない。先日、本屋に行くのに使った。一度、盗難にあったことがあるが、防犯登録をしていたお陰で、一週間後には、無事戻ってきた。パンクは、この12年間で一度しかなかった。そして錠は、盗人に悪戯されて、少し開けづらくなっていたが、それでも何とか走っていた。本屋に着いて、“あれっ!”何か変である。良く見てみると部品が落ちている。錆び付いた部品が細くなって折れていた。とうとう寿命が来たみたいである。
 メンテナンスを殆どしていないのに、よくぞここまで持ってくれた。錆びだらけの自転車は、廃棄処分するまでの間、新しく買った自転車の横に置かれている。やっぱり長い間使っているとどんな物でも愛着が湧いてくるものだろう。
 今日は、資源ごみの日である。これから、資源ごみをかごに入れて、一緒に捨てに行って来る。これが、最後の仕事である。
 さて、次の自転車は、どれくらい持つだろうか。今度は、もう少し大事に使わないといけないと思いつつ・・・??


2005年7月21日  森みつぐ

 夕方、ウラジオストック空港で値切るのが難しいと言われるロシアのタクシーを値切って、今回滞在するウラジオストックのホテルに向かった。ホテルに着くと、ロビーは人で溢れていた。中国人観光客みたいである。中国からは、ここまでバスで来ることができるのである。
 次の日、朝食を済ませて、早速、ロシア・ルーブルを得るために銀行に行った。1時間は待たされるかなと思っていたのだが、個室に入ってパスポートを渡したら、あっという間に両替をしてくれた。
 次に、ウラジオストックの地図を手に入れるため、ガイドブックの地図を頼りに、10分位歩いていると、丁度店前のテーブルに本を並べている最中の本屋に差し掛かった。足を止めて目の前に無造作に置いてあった地図を見つけて、65P(1ルーブル≒4円)の地図を買った。そして、もう一つ昆虫採集に行く前に、しなくてはいけないことがある。
 帰りの飛行機のリカンファームをしなければならない。多分、この通りだと思うのだが、何処まで行けばいいのかが分からない。通りがかった若者に住所を見せると、まだまだ先みたいである。街路に掲げてある住所を見ていると、やっと意味が分かった。私の行くところは、もっともっと先みたいである。“これじゃ、昆虫採集に行けなくなる”と思い、一旦、ホテルに戻って、昆虫採集の支度をしてから今度は、タクシーを捕まえて航空会社のオフィスに向かった。ここでは、すぐに終わると思っていたのだが、お客への応対がのんびりしていて、私の前の3人だけで1時間が過ぎてしまった。
 既に、午後の2時前である。やっと、ここで先ほど買ったウラジオストックの地図が役に立つ。近くのタクシースタンドに行って地図を広げて、ここと指さして示す。これで、やっと昆虫採集が始められる。


2005年8月19日  森みつぐ

 私は旅行へ行くと、いつも帰りの飛行機便のリカンファーム(予約の再確認)が、悩みの種となっている。短い旅行なので、時間も取られたくないが帰れないのも困る。地方へ行くと、まともに電話がかけられるかどうかも保証されていない国への旅行が多いからである。
 と言うことで、まずは入国すると、航空会社のオフィスやチケットカウンタを探す。今回利用した南アフリカ航空のオフィスがダカール国際空港内にあったのでリカンファームをしようとしたら、運悪く(いつもなのかも知れないが)コンピュータがダウンしていてリカンファームができなかった。職員の彼は、メモ用紙に電話番号を書いて電話をするようにと言う。明日が日曜、明後日が月曜、そして出発の72時間前までにリカンファームをする必要があるから、リカンファームする日は、月曜日だけである。
 目的地に移動して採集をし、月曜日を迎えた。セネガルでは、街中を歩いていると、「TELE CENTRE」と書いた看板を見かける。以前日本にも店内に電話が置いてあったものだが、セネガルでは携帯電話も普及しているようだが、まだまだ固定電話が設置されている。お店に入って電話をかけるのだが、どうしてもかからない。2〜3件はしごして電話をしたが、やはり駄目である。“電話番号が違う?”大分時間が経ってから店の人が、今日は、セネガルの祭日だと言う。8月15日。私も、全く気付かなかった。72時間以内になってしまうが、明日もう一度電話するほかない。
 明朝、また別の町から電話をしたら、すぐにつながった。72時間以内だけども、リカンフォームも問題なく終えた。“ああ、でも、もう終わりだ。”11日間のうち7日も移動していたら、休みなんて、あっと言うまである。さて、あと2日、歩き回るか。

Copyright (C) 2005 森みつぐ    /// 更新:2005年9月11日 ///