夢惑う世界 雑記帳 随想録<澪標> 気ままにひと言 |
4.1.2.8−23 気ままにひと言 |
2009年7月10日 森みつぐ 先日、ラジオを聴いていたら、「ワシントン条約で商取引が禁じられているアレクサンドラトリバネアゲハの標本販売で、昆虫商が逮捕された」というニュースが流れていた。私の趣味も昆虫採集なので、少しは気になって耳をそばだててしまった。2006年発行の「日本産蝶類標準図鑑(学研)」には、迷チョウで、波照間島で採集されたキシタアゲハが載っている。初めて、この図鑑を見たとき、キシタアゲハはワシントン条約で商取引が禁止されているはずなのに、"日本国内での採集だからいいのだろうか?"と思ったものである。
ただ昆虫採集をしている人は、ワシントン条約に抵触する昆虫でなくても採集してはいけない昆虫の一匹や二匹持っている人も、少なくないのではないだろうか。斯くいう私も、採集旅行に出かけるようになった頃、そう言う経験をしている。私の採集は、"これを掴まえよう!"と決めて旅行するのではなくて、その地域・国の自然を味わいたくて行き、そこに偶然現われた昆虫を捕まえるだけである。最初、沖縄に行ったときには、県指定の保護チョウであるコノハチョウが普通に翔んでいたので、"少しだけ!"と思い掴まえたことを覚えている。このとき、偶然に目の前に翔んできたぼろぼろのフタオチョウも採った。
問題行動(●)は、20年以上前のことだが、私の訳あり標本は、以下の通りである。
●沖縄県産のコノハチョウ、フタオチョウ ← 採集禁止は知っていた。
●小笠原諸島の昆虫 ← 禁止区域外で採集しようとして行ったのだが、全域採集禁止?だったようである。"これで小笠原も最後!"と思い、天然記念物も採集してしまった。
○スリランカの昆虫 ← スリランカが、昆虫採集禁止であることを知らなかった。
○ネパールの昆虫 ← ネパールが、昆虫採集禁止になったことを知らなかった。
○タイ北部、インドネシア・イリアンジャヤ、キューバ、南アフリカ南部の一部保護区域の昆虫 ← 保護区域とは知らないで採集していて、監視員に注意され、すぐに網を片付け立ち去った。
○韓国の昆虫 ← 韓国は、採集禁止?持ち出し禁止?なので、採集道具を持参しなかったが、山歩きで見つけた僅かな昆虫を持ち帰った。
これ以外にも、気付かないまま昆虫採集をしていた可能性はある。
私は、採集が趣味なので、昆虫標本を買うことはなく今回の事件のようなことに関わることはないし、今は分かっているなら採集禁止区域での採集や保護されている昆虫の採集はしない。今は何処の国でも、自然が減り続けてゆく中、昆虫採集をしようとすると、知らず知らずに保護区へと近付いてしまうことは避けられないことであるが、もし保護区内に入ってしまったことが分かったときには、すぐに立ち去ることが大事である。私の訳あり標本も、このまま標本箱の中に埋もれさせてはいけないので、除々にではありますが、ホームページ上に掲載してゆくことにします。
2009年7月23日 森みつぐ 解散直前になって、またもや自民党内で小泉改革路線派の議員たちが自らの危うい立場を払拭しようと必死になって、どたばた騒ぎを起こしていた。明らかに、自民党の終焉にふさわしい内紛であった。もはや自民党の勝利は、望めそうにもない崖っぷちの選挙となりそうである。
一方。民主党は、現実味を帯びてきた政権に対して、早くも一部政策を軌道修正し始めた。与党と野党とでは、当然その政策の現実性に違いが出てくることは、当然のことだろう。ただ国民にとっては、その軌道修正が大きな選択肢の一つになるかも知れない。
国民は、どの党だろうと、マニフェストを100%認めて選択する訳ではない。どうしても譲れない政策以外は、ある程度眼を瞑る他ない。ただ、今度の選挙は、政権交代をして、民主党に自民党に変わる政権党としての力をつけてもらわなくては、日本として損失と思うから、今回、私は民主党を選択する。
2009年7月29日 森みつぐ 企業トップにいた首相だけあって、考えることがやはり庶民的とは思えない発言が、またあった。『「日本は65歳以上の人たちが元気だ。介護を必要としない人たちは8割を超えている」とした上で、「この人たちは働くしか才能がない。働くということに絶対の能力がある。80(歳)過ぎで遊びを覚えるのは遅い」と語った。』(読売新聞より抜粋)
多くの高齢者の方は、「うるせえ!大きなお世話だ!・・・・・・でも、そうなんだよな!」と思ったに違いない。でも私が思ったことは、少し違っている。「働くことしか才能がない」人間にしたのは、誰なんだ。企業は、死ぬまで働けと労働者の権利である有給休暇も満足に取得させず、過労死も厭わない長時間労働を労働者に強要し、人間としての研鑽の場や時間を奪い取ってきた。その結果が定年退職しても働くことしか能のない濡れ落ち葉を作り上げてきたのである。
花を咲かせ実を熟させるのは、退職後、自分自身の意思決定で人生を歩めるようになってからである。今からでも遅くない。十分に時間はある。退職後、どう生きるかを考えて、企業に身を委ねるのでなく自分自身の生き方を貫くことが大切であろう。
2009年8月7日 森みつぐ 先月の新聞に、「2007年海外から輸入された動物の個体数は、6528万匹」と載っていた。ペットや展示、実験用であると言うが、驚くべき数字である。そのうち98%が昆虫類だとしている。多分受粉用のハナバチが、大多数を占めているのだと思うのだが、昆虫類以外でも82万匹とは、恐ろしい数字である。
毎年、このような数の動物が輸入されているとしたら、皆何処へ消えてしまったのだろうか。中には、飼育するのに手に余って、野外に放してしまう心無い人たちも多くいることだろう。国内では存在しない動物たちが、いろんな場所に散在するのを報道で見聞きして、嘆かわしく思ってしまう。時には、身勝手に、自分の住む周辺で見たいとして、外来種を放したりする人もいる。日本本来の生態系への脅威は、ますます大きくなっている。
動物の世界は、昨今、このように大変な状況になっているが、転じて、植物の世界を覗くと、その脅威は現実的なものになっている。日本本来の在来植物しか見ることができない場所は、日本には、もう殆んど残されていないと思われる。人為的に海外から持ち込まれた草花が、人が歩き回るところなら山奥深くまで自生しているのが現実である。何故、こんな驚くべき数の動物が、輸入許可されるのかが不思議でならない。
2009年8月13日 森みつぐ 朝6時半頃テレビを点けてみると、地震のニュースが流れていた。台風のニュースが流れていると思っていたのだが、震度が2程度の地震ニュースである。"なんか変なの!?"と思いながら見ていると、余震とのことである。5時過ぎに、駿河湾を震源とする震度6弱の地震があったみたいである。
私は、2年数ヶ月前まで沼津市に住んでいたので、震度が気になって見ていると、震度が5弱とのことである。沼津に30年近く住んでいたが、地震は最大でも震度3位だったと思われる。"いつかは、東海大地震が来るのだろうが、そのときは、なるようにしかならない"と思っていた。震度5弱だと、私の標本箱は、どうなっていただろうか。震度4では、全く問題ないと確信しているのだが、震度5になると、棚から飛び出してくる際どい状況のように思える。
とは言うものの、今は札幌に住んでいる。今、住んでいるところは、多分、最大でも震度4程度の影響しかないだろうと私なりに考えていた。でも今回の地震でちょっと甘い見通しのように思えたので、震度5に備えた対策を考えておく必要性を感じたのである。
2009年9月1日 森みつぐ 圧倒的多数を持って民主党が衆議院選挙を勝ち抜いた。民意が選挙に反映しやすくなったのは、小選挙区制によるところが大きいだろう。前回の衆議院選挙、参議院選挙と大きく一党が勝利する結果をもたらしている。
今回の結果は、長く続いた自民党政治の閉塞感打破と小泉構造改革のもたらした格差拡大による低所得層の増大への不満を、国民が一気に吐き出したものであろう。失政が続けば政権交代が起きると言うことが、現実になったのである。この政権交代と言うものを、これからは、確かなものにしていかなければならない。自民党がダメなら民主党へ、民主党がダメなら自民党へ政権交代が可能な緊張した政治を望みたいものである。
ただ、今回も心配したのだが一党独裁の危険性を孕む3分の2議席は、どうしても譲るべきではない。前回の衆議院選挙同様、日本人は、揺れ戻しが大きいので少し怖い国民性である。ともかく日本は、新しい国造りへの第一歩を踏み出した。
2009年9月10日 森みつぐ 北海道大雪山系の黒岳では、昨日、初雪が降った。同じ日、私は、天気が良くなることを期待して、定山渓の山野を歩いていた。秋の花、オオアワダチソウやエゾゴマナもすっかり瑞々しさを失って、吸蜜に訪れるチョウ、ハチやアブもめっきり少なくなってきている。
多雨、冷夏の影響なのか、例年だと開けた草地で鳴いていたキリギリスは、結局、今年は、鳴き声を聞かなかったし、トノサマバッタにも出会っていない。また、崖のところに這いずるように成長していたクズが、夏の終わりには、濃い紫色の花を咲かせていたのだが、今年は、秋になっても花を付けていない。ちょっと寂しい秋を迎えている。
結局、晴れ間が広がらず、どんよりした曇り空の下をひんやりした空気を押し分けて歩いていると、足元に何か蠢くものを見つけた。"うん!あっ!ケラだ!!"ケラを見たのは、何10年ぶりだろうか。秋色に染まり始めた草木、来春、またあの鮮やかに萌える新緑の季節を迎えて欲しいものである。
2009年9月24日 森みつぐ 民主党新政権が誕生して、まだ間もないが首相を始め各閣僚が精力的に動き出しているようだ。政策転換の案件に関しては、更に精力的に進み出している。その一つ、八ッ場ダムの建設中止は、地元住民の大きな抵抗を受け、問題解決に向け長引きそうな様相を呈している。
ダム建設中止となると、ダムの底に沈む村の人たちは、歓喜を上げるように思われるのだが、八ッ場ダムでは、全く反対の結果となっている。まことに異様な状況である。ダム計画から57年と言う歳月が、このような異様な状況を作り出しているのである。本当にダムが不要と言うならば、誠心誠意、地元住民に対して説明してゆく他ないだろう。
私も必要のないダムの建設には、反対である。一度失った自然を取り戻すことは、非常に困難を要するし、もし自然を回復したとしても、元の状態にはなりはしない。八ッ場ダムの問題は、今後も注視しなければならない重要案件である。
|
Copyright (C) 2009 森みつぐ /// 更新:2009年9月27日 /// |