夢惑う世界 雑記帳 随想録<澪標> 気ままにひと言
夢惑う世界4.1.2.8−24 気ままにひと言

2009年10月1日  森みつぐ

 今年も残すところ、あと3ヶ月となった。札幌での昆虫採集は、5月から9月までの5ヶ月余りである。10月1日、深まりつつある定山渓に行ってきた。秋分の日も過ぎ、太陽が低くなってきたので、渓谷の林道には、なかなか陽が射し込んで来ないので、なかなか暖まらない。草木は、大分、くたびれてきていて、落ち葉が林道を覆っていた。
 陽が当たっている暖かいところでは、まだまだ虫が蠢いている。ハエ、アブやヒメバチ。寄生蜂のヒメバチが、下草の間を縫うように飛んでいる。寄生される幼虫が、まだまだいるのだろう。笹の葉裏には、2令と思われるヒメキマダラヒカゲの幼虫が6匹、寄り添うようにして止まっているのを見つけたが、よく見かけるコチャバネセセリの幼虫は、もう、見つけることはできなかった。
 寒さに強いモンキチョウが、まだまだ翔んでいる。そして、越冬に入っていないクジャクチョウや数多くのシータテハが林道の日向に訪れていた。今年も、あと1〜2回だろうか、初雪が薄っすらと降り積もるまで、足を運ぼうと思っている。


2009年10月9日  森みつぐ

 台風が過ぎて行った。大雨、強風に備えてベランダに置いていた雑草の生えたプランタやコチャバネセセリの越冬幼虫の入った虫籠を物置に片付けたのだが、台風が沖合いから遠く離れて通過した為、私の住む札幌では、大した影響はなかったようである。
 10月に入って気温が一気に下がって来て、ストーブを焚き始めた家も多くなってきている。高い峠では、雪が降り積もっている様子が、テレビで映し出されていた。我が家でも、一週間前まで各部屋のドアは開けっ放しにしていたのだが、今は、南向きの居間と寝室以外のドアは閉めてしまった。まだ暖房はしなくても良さそうだが、室温も、この一週間で2℃ほど低下してきたので、もう一枚服を羽織らなくてはならなくなっている。
 昨日、台風が来る前に買い物をと思って、自転車に乗ってスーパーに行って来たのだが、ハンドルを握る手がかじかんでしまった。冬の訪れを告げるお尻に真っ白な綿毛を付けた雪虫もふわりふわりと宙を舞い始めている。薄手の手袋も、そろそろ用意をしなくてはならない。最高気温が12〜13℃と言うと、以前住んでいた沼津の冬の気温と同じである。


2009年10月21日  森みつぐ

 退職してから海外での昆虫採集旅行は、大体3週間程度を計画していたのだが、今回は、諸般の事情があって9日間の旅行となった。台湾には2年前に6月から7月にかけて来ているのだが、今回は、秋の台湾を楽しもうと思ってやってきた。それに加えて、今年からハチやアブにも力を入れ始めているので、台湾でのこれらの虫たちも楽しみにしていた。
 出発する前、台北の天気予報を見ていると、曇りや雨の日が続いており、まだ暫らく、こんな状況みたいであった。台北に着いた日もやはり雨が降っていたが、その日のうちに、目的地まで鉄道で移動した。次の日、目覚めると。やはり雨が降り続いていた。強い雨ではなかったので、まずは目的地まで鉄道に乗っていき、傘を差して歩いていると、強くはなくても足元がだんだん濡れてくる。30分、川沿いの林道入り口に辿り着くと、なんと川は、濁流となって流れており、大事な林道は、流れ去っていた。多分一月ほど前の台風の影響かも知れない。"今日は。天気が良くても収穫はなかったかも!"と思って、別の道を引き返した。濡れてしまった靴のまま、ぶらぶら歩いて2時間後駅に戻ると、駅前に咲いていたシロバナセンダングサの花にハナムグリを見つけた。今日は、これが一番だった。近くには、4〜5匹同じハナムグリが止まっていた。
 暫らく北東部は、天候が良くなさそうなので、次の日、台湾東部の真ん中位まで南下することにした。雨の降る北東部を離れて、列車が東部側に出ると海の上には大きく青空が広がっていた。その後、2日後も雨に降られてしまったが、何とか晴れ間が続き楽しく採集ができた。ただ、期待していたハチやアブは、こんなものなのか非常に少なかったことが残念だった。そして、また、台風が近付いてくるところだった。


2009年10月29日  森みつぐ

 海外に昆虫採集に行くと、帰国前日の夜は忙しい時間となる。日本は、生きた昆虫を持ち込めない為、採集した昆虫を一匹一匹死んでいることを確認しなくてはならない。タッパーウェアに納めた三角紙内のチョウを、一匹一匹指で押さえながら動かないか確認するのである。
 台湾からの帰国前日の夕暮れ前に、地方都市から台北市に鉄道で戻ってきた。駅近くのホテルに宿泊して、その夜、この一連の作業を終えて眠りに就いた。タッパーウェアは完全密封なので、中の昆虫が腐らないように、蓋を開けたままにしておいた。朝5時に目覚めて出発の準備をしていると、タッパーウェアに小さな蟻が群がっているのに気が付いた。ここは、台北市内で4階の部屋である。こんなところに蟻(ヒメアリの仲間)がいるなんて、全く予期してなかった。2つのタッパーウェアの中身を出して全部確認していたら、飛行機に乗り遅れてしまうので、いっぱい群がっている三角紙のヒメアリを除去して、残りは、タッパーウェア内に閉じ込めて帰国することにした。
 帰宅したときには、もう夜だったので、タッパーウェアを冷蔵庫に保管して、翌朝、退治することにした。"密航蟻め!"とタッパーウェアの蓋を開けて、中を確認すると、いっぱいヒメアリが寄り添うようにして死んでいた。やはり亜熱帯の昆虫、寒さには、大変弱かったようである。このヒメアリも、台湾産として私の標本箱の中に納まる運命である。


2009年11月5日  森みつぐ

 「札幌市の推し進めたレジ袋の有料化で、1年間に1億枚の削減効果があった」と言うニュースが報道されていた。新聞記事によると、「レジ袋の製造、加工、焼却に伴う発生量で換算すると、二酸化炭素の削減効果は4840トンで、これは樹齢50年の杉35万本が、1年間に吸収する量に匹敵する」と言う。
 確かに、マイバッグの普及によって、レジ袋の削減は、かなりの成果を上げたようである。しかし私の場合は、レジ袋をゴミ袋として利用していたので、別にゴミ袋が必要となり、二酸化炭素の削減には、何の貢献もしていない。人によっては、レジ袋が有料化になったため、レジ袋の代わりにスーパーに備えてあるダンボールをその都度使用して、使い終わると焼却ゴミとして捨てていると言う、全くゴミ袋有料化の意味を理解していない人たちも多い。
 レジ袋の激減は、確かに素晴らしいことである。ただ、これはレジ袋の削減が目的ではなくて、ゴミの削減が目的であるはずである。トータルとして、ゴミを減らすために、次なるステップに移行することを考えなくてはならないだろう。


2009年11月25日  森みつぐ

 先週、『労働審判3年前の3倍』「最高裁によると、全国の地裁に申し立てがあった労働審判は、06年877件、07年1494件、昨年2052件、今年は8月末まで2272件と昨年を上回り、9月末は2553件に膨らんだ』(読売新聞)と言う記事が載っていた。
 労働者と会社の間で起きる労働問題を、通常の訴訟よりも安価で迅速な解決が期待できる労働審判が不況の影響によるトラブル増加で労働者からの申し立てが増えている。メディアで大きく報道されているサービス残業問題、名ばかりの管理職問題など、企業側の違法行為による労働問題は、相変わらず収束する気配はない。多くの企業が有する企業倫理規定は、弱者である労働者に対して法令遵守としての盾には、全くなっていない。企業の利益を優先して、法令に抵触してでも、強者の論理で事を進めてゆくのが企業である。
 企業側に優位であった敷居の高い訴訟が、労働者側に立った労働審判は、飽くまでも企業による違法行為の抑止に繋がる手段だと私は思っている。強者の論理だけで、いつも弱者が泣き寝入りするような社会であってはならない。


2009年12月3日  森みつぐ

 民主党のマニフェストに掲げられた政策の一つ、「ガソリンの暫定税率の廃止」に伴う税収の激減が取沙汰される中、地球温暖化対策としての環境税が検討され始めている。私は、環境税は、地球温暖化について各自が真剣に考え、対策に取り組むためのきっかけになる大きな意味を持つ税だと思っていたので、既に導入されていても何だおかしくないと思っていた。
 政府の議論は、どうもピンと来ない。ガソリン暫定税率の廃止か環境税の導入かではないはずである。環境税は、地球温暖化による環境への影響を考えたとき、必要不可欠な税である。もし、ガソリン暫定税率が存続したとしても、環境税の導入とは分離して考えるべきであろう。
 一部の人が負う嗜好品のたばこ税とは違って、全家庭や企業が負うことになる環境税に対する反対は、ある程度想定されることだが地球環境を守るために、そして私たちの明るい未来のためにも、投資として各自相応の負担をすべきであろう。


2009年12月10日  森みつぐ

 新聞に、「2008年度の国内の部門別CO2排出量」が載っていた。京都議定書基礎年(1990年)からの増減率も載っていて、CO2排出量の大きい部門では、「事務所やビルなどの業務部門」41.3%アップ、「家庭部門」34.7%アップ、「自動車や鉄道などの運輸部門」8.5%アップ、「工場や農林水産業などの産業部門」13.0%ダウンとなっていた。全体では、1990年比で6.3%アップしてる。
 このように京都議定書の数値も達成できない日本が、2020年度25%削減が、本当に実現可能な数値なのだろうか。特に、各家庭に関連する「家庭部門」は大きく増加し、自動車に関係する部門でも増加している。省エネ家電へのエコポイントも、買い換えテレビや冷蔵庫も大型化して、何ら省エネに貢献しているとは思えない。またマイカーをエコカーに買い換えたとしても、高速道路料金の割引や無料化で走行距離は伸びる一方であろう。
 快適さや便利さを追求する限り、個人が排出するCO2は増える一方で減ることはほぼ無に等しい。COP15の開催地デンマークのコペンハーゲンでは、通勤などの移動時に自転車を利用する人が増えていると言う。自転車の専用道路も増え、安全面にも配慮されている。日本が、真の意味での先進国になれないのは、こう言う所からも見い出せる。

Copyright (C) 2009 森みつぐ    /// 更新:2009年12月13日 ///