夢惑う世界 雑記帳 随想録<澪標> 気ままにひと言
夢惑う世界4.1.2.8−34 気ままにひと言

2013年1月24日  森みつぐ

 3月末の定年退職を待たずに、自己都合退職する公立学校教員が増えているという。「官民の給与格差是正を目指す改正国家公務員退職手当法が昨年11月に成立し、総務省が各自治体に速やかに同様の対応を取るよう要請していた。(読売新聞より)」
 退職手当の引き下げを年度の切り替え後にすると、高い水準のまま退職となるので、2月1日施行や3月1日施行で、定年退職金を抑えようとしているのである。埼玉県の公立学校教員に始まり、愛知県や兵庫県の警察職員、佐賀県や徳島県の公立学校職員などにも広がっているようである。3月末まで働いたら損をすることが分かっているのだから、当然の行動だと思うのだが。
 「職務を全うしてほしいと思っていたので、途中退職は非常に残念」「2ヶ月も残して辞めるのは無責任のそしりを受けてもやむを得ない」精神論云々を振りかざして、問題の本質をすり替えるつもりなのだろうか。定年退職前に退職金を減額しようなんて、最初から早期退職を促しているようなものである。引き下げの方法そのものが、小賢しいのである。


2013年1月31日  森みつぐ

 「厚生労働省は31日、毎月勤労統計調査の2012年の結果(速報)を発表した。ボーナスを含む月平均の現金給与総額は、前年比0.6%減の31万4236円で2年連続の減少となり、調査を開始した1990年以降で最低となった。給与総額は98年から減少傾向が続いており・・・(読売新聞より)」
 非正規労働者の数は、右肩上がりでどんどん増え続け、今や全労働者の3分の1を超えるに至っている。所得の2極化が始まり、低所得者層となった非正規労働者にとっては、とても厳しい生活が続いている。投資家たちによるマネーゲームで、円安・株高が続いても、庶民の生活に潤いをもたらすようなことはない。
 格差社会においては、低所得者層は搾取される対象でしかなく、いつまで経っても低所得者層から抜け出すことはできないだろう。固定化されてしまうのである。給与減少、低所得者層の拡大は、デフレ脱却には、ほど遠い現実を示している。


2013年2月21日  森みつぐ

 政府は、生活困窮者を支える生活保護費のうち、食費・被服費・高熱水費などの生活扶助費を、一般の低所得世帯(年収120万円程度)との均衡を図るとして、減額を検討している。2015年度には、受給世帯の96%で受給額が減ることになる。
 毎年、生活保護費の受給者が増え続ける中で、支給総額を何とか減らそうとする政府の思惑が見え隠れする苦肉の策であろう。人間としての尊厳を保つだけの生活を維持することの出来る支給額である生活保護費は、今でも十分な額であるのだろうか。一般の低所得世帯と比べて、低所得世帯に合わすということには説得力はない。低所得世帯が、健康的で文化的な生活をしているとは限らないからである。
 問題は、生活保護費受給者への支給額ではなくて、受給者数の増加である。高齢化世帯の増加と働き盛りの若い世代の増加原因の分析と増加抑制対策に全力を注がなくてはならないのではないだろう。


2013年2月28日  森みつぐ

 「TPPに関する日米共同声明では、「すべての物品が交渉の対象とされる」と指摘したうえで、@日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに2国間貿易上のセンシティビティー(慎重に扱うべき事柄)が存在するA最終的な結果は交渉の中で決まってゆくB交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない――との3点を確認。(読売新聞より)」
 「大統領との会談により『聖域なき関税撤廃』が前提ではないことが明確になった」と。当たり前の内容を活字にしただけである。へぼな芝居を観たような気がする。日米首脳会談の共同声明は、TPP反対派に対する証文になるとは、到底思えない。「聖域なき関税撤廃」がTPPの前提ならば、最初から協議せず、全ての物品を対象と参加国が決定すればいいだけで、わざわざ交渉するということは、@ABの確認事項は、当たり前のことなのである。
 各国には、各国の文化があり、その文化は尊重されなくてはならないし、まして消滅の危機を負わせてはならない。たとえば、日本人の主食である米は、日本の食文化である。TPPに参加すれば、関税撤廃はないとしても、現在の関税税率から大幅に低減し、大きな影響を受けることから避けられないだろう。


2013年3月7日  森みつぐ

 「総務省は1日、契約社員や派遣社員など期間を定めて働く有期雇用労働者が全体の労働者の約26%にあたる約1410万人に上ると発表した。同省が1月の労働力調査(速報)で初めて調べた。有期雇用労働者は一般的に雇用が不安定で、賃金も低いことが多い。厚生労働省はこれまで約1200万人と推計していたが、実態は約200万人多かったことになる。契約期間が定められていない「無期」の雇用労働者は約3712万人だった。(読売新聞より)」
 いつからなのか、正規・非正規という呼称が、無期・有期という呼称に変わってしまった。私には、どういう意味があるのか分からないが、有期雇用(非正規雇用?)の労働者が、やはり多過ぎる。格差社会の温床となっていると思われる。市場原理主義経済においては、格差社会であることを前提として、国の経済発展を支えている。アメリカは、ヒスパニック系移民が低賃金労働者として活躍している。格差社会が拡大し続けている中国においても、同じである。地方の農民工が安い賃金労働者として国を支えている。そして日本においても、労働の調節弁として機能させられてきた派遣労働者たちが、規制緩和の元で安く短期雇用されているのである。
 私は、自民党政権が自ら招いたこの格差社会に対して、どのように有効な是正対策を執るのか、しっかり見てゆくつもりである。ただ、今のところ全くその兆候は見受けられない。それどころか、更なる格差社会に進むような政策を実行するようにも見えてくるのである。


2013年3月21日  森みつぐ

 「モノ欲しがらぬ若者」という見出しの新聞記事である。「例えばクルマだ。かつてマイカー購入はカローラなど大衆車に始まり、経済力がつくにつれ、高級車に買い替えていった。・・(省略)・・それが今は――。東京のIT(情報技術)関連企業で役員を務める新明智さん(30)は自動車運転免許を持っていない。交通の便がいい都心では、必要性は感じないからだ。・・(省略)・・豊かさを示すモノとして車を選ぶ人は少なくなった。総務省の全国消費実態調査では、30歳未満の単身会社員男性に自動車普及率が1999年の63.1%から2009年は49.6%に減った。・・(省略)・・消費を牽引してきた20〜30代がモノを買うことに関心を失ったように見える。こうした若者は「低燃費」「草食消費」とも呼ばれ、低成長時代の新しい消費者として層の厚さを増し始めている。(読売新聞より)」
 相変わらず政治は、戦後の高度成長時代のモノに溢れた経済を取り戻そうとしている。大量生産、大量消費、そして大量廃棄から政治は、何を学んだのだろうか。そして国民も何を学んだのだろうか。阪神・淡路大震災、東日本大震災から、政治も国民も何を学んだのだろうか。溢れんばかりのモノに囲まれなければ豊かさを実感できない社会は、もう卒業したはずではないか。
 心の豊かさは、モノの豊かさで満たされたりしない。低成長時代に育った若者たちのライフスタイルに、今後、政治も国民も学ぶべきことがあるように思える。高い経済成長を続けることよりも、低成長でも幸せを実感できる社会システムの構築を考えるべきであろう。


2013年3月28日  森みつぐ

 「厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は27日、2040年までの「地域別将来推計人口」を発表した。大都市圏での高齢化が一層進むと予想し、65歳以上が人口に占める高齢化率は、40年には全都道府県で30%を超えるとした。全ての都道府県で人口が減少に転じる時期は20〜25年以後で、25〜30年と予想した前回(07年公表)の推計(2035年まで)より5年早め、少子高齢化と人口減の加速を浮き彫りにした。(読売新聞より)」
 私の住み北海道では、2010年の高齢化率24.7%が2040年には40.7%となる。人口も100万人近く減ると予想している。2040年というと、今から27年後のことである。私は終末期を迎えている頃だろうが、多分、ぎりぎりの状態で生きていることだろう。もしかしたら、まだ網を持って虫さんを追いかけているかも知れない。そのとき、5人に1人が高齢者で、人口も20%近く減っているのである。
 このように予想される少子高齢化・人口減少社会の中で、今までと同じような経済成長戦略を採っていていいのだろうか。所得倍増は、バブル崩壊以前のことである。これからは、経済成長が横ばいだろうがじり貧だろうが、心の豊かさが実感できる社会を目指すべきだろう。


2013年4月4日  森みつぐ

 一週間前の記事の続編が載っていた。「国立社会保障・人口問題研究所が3月末に発表した将来推計人口で、2040年の道内の65歳以上の高齢者は170万人となり、10年に比べて34万人増加することが分かった。特に札幌市では、函館市の人口を上回る29万人増え、高齢者は68万人となる。過疎地域で先行する高齢化が今後、都市部に押し寄せ、道内の主要都市で高齢化が一気に進むことになる。(読売新聞より)」
 前回、北海道の人口は“2040年、100万人近く減る”と書いたが、これは、私のテレビの聞き違いみたいで、道内の人口は、550万人から約130万人減って419万人になるということである。札幌は、人口が20万人の減少なのに、高齢者は29万人増える。病院、介護、買い物など便利な都市部に高齢者が、過疎地から流れてくるからとのことである。
 円安が進み株価が上昇し、根拠の乏しい好況感が市場に漂っているが、一般の国民にとっては実体の伴わない経済が一人歩きしているようにしか見えない。近い将来には、急激に少子高齢化・人口減少社会が到来するというのに。


2013年4月11日  森みつぐ

 私のパソコンは、最初のWindows 98 に始まり今はWindows XP を利用している。昨日、インターネットに接続すると、マイクロソフトからのセキュリティ情報によりセキュリティプログラムを更新した。XPのこのサポートが来年の4月9日で終了するとのことである。インターネットに接続したとき、ネット攻撃やウィルスに感染しやすくなるとのことで、新しいOSに買い換えて下さいとのニュースが流れるようになった。
 “あと一年、さてどうしようか!”と考えてしまった。私の使用するパソコンの性能としては、現在使用しているパソコンで十分なのだが、どうしたものか。最新のOS、Windows 8 よりも、その前のOS,Windows 7 の機種に交換しようかな。それとも、このままWindows XP を使い続けようかな。
 私は、インターネットには常時接続していないし、怪しげなサイトを閲覧したりしていないので、インターネットに対する脅威は大きくないと思っている。そんな訳で、このままWindows XP を使い続けるかも知れない。あと一年、どうするか考えてみよう。


2013年4月25日  森みつぐ

 昆虫の標本撮影も、残すところ、あと一月分となっている。標本撮影とともに重要な作業に、画像処理がある。採集した昆虫を、展翅、展足して乾燥させて、昆虫の名前を調べる同定作業をするのだが、何せ小さな昆虫たちなので、じっくり見るには限界がある。そこで、標本の撮影をして、パソコンで綺麗に画像処理をすれば、モニターで拡大表示しながら同定作業が出来るのである。また誤って標本を破損させてしまうような危険も、ぐっと小さくなるのである。
 今まで標本撮影に使ったデジカメは、130万画素のデジカメに始まり、2007年から使用している1000万画素のデジカメを含めて4台となる。そして照明も、60W×3台×2式に始まり、2008年から現在の100W(相当の蛍光ランプ)×4台×2式にと変遷している。デジカメと照明を組み換えた撮影セット、ステップ1から現在のステップ4までの昆虫画像が存在していることになっている。今は、全てステップ4の画像にするために、優先的に画像処理と同定作業を行っているところである。
 標本撮影には目途が立った。古い画質の悪いステップ1の画像も、やっと新しい画像への置き換えに目途が立った。これからは、古いステップ2とステップ3の画像の処理である。全ての画像処理と同定作業が終わるのは、あと5年くらい先になりそうである。甲虫たち、その他の虫たち、トンボたち、チョウたちの1巡目の画像処理が終わり、今、2巡目に突入した。


2013年5月9日  森みつぐ

 円安が進み、株価が毎週毎週右肩上がりで上昇している。株にしろ、TPPにしろ、社会システムの多くが、右に倣えとばかりアメリカに追随している。それが日本におけるグローバル化の流れである。国の政策は企業を中心に目まぐるしく変わり、国民はその変化に無批判に対応しなくてはならない状況が続いている。
 格差社会が国が栄える条件となっているアメリカ、そしてそれを追随して格差社会に突入した日本、企業国家の繁栄は、貧富の格差を利用して富を得ることである。そのために、格差社会を下支えするように、国は規制を緩和することに執着する。企業と国が一体となって、使い勝手のいい労働者を大量生産しようとしている。そして、労働者は、大量消費されて、最後は廃棄される。
 物の豊かさを求めて、便利さを求めて働き続けてきた日本人、その一方、多くの日本人が心の病を患い、心の頽廃を感じてきている。これからも今まで通り走り続けて、幸せを実感できるのであろうか。ここで一度、立ち止まって、幸せについてじっくり考えてみたいものである。


2013年5月23日  森みつぐ

 “すごいな!!”・・・・昼過ぎに、80歳になる三浦雄一郎氏が、エベレストに登頂したというニュースが流れた。普通なら歩くこともおぼつかなくなる80歳でのエベレスト登頂には、ただただ頭が下がる思いだけである。努力、努力の賜物としかいいようがない。
 私はいつまで歩き続けることができるだろうかと考えてしまった。もちろん、私は登山ではなくて昆虫採集が目的であるのだが、出来る限り野山を歩いていたいのである。私も60歳に近づいてきた。後10年と考えると、少し寂しい気がしてくるので、75歳まではと考えていたが、今日のニュースで、80歳まで野山を歩き回って昆虫採集してみようという考えに変わってきた。
 ただ最近、あまりジョギングをしていない。昔から、無理して走るとときどき足がしびれるような状態になるのだが、4月中旬から軽くしびれるようになったので、あまりジョギングをしていないのである。ただ、歩くだけなら問題ないので、気にはしていない。健康な体と心を保つためには、やはり足腰は鍛えておかなくてはならないだろう。まずは70歳を目標、次は75歳、そして80歳。私は、エベレストには登らないけど。

Copyright (C) 2013 森みつぐ    /// 更新:2013年5月26日 ///