夢惑う世界 雑記帳 随想録<澪標> 気ままにひと言 |
4.1.2.8−35 気ままにひと言 |
2013年5月30日 森みつぐ もう、2年ほど前からなのだが、お風呂の水道蛇口のハンドルから水が少しずつ漏れるようになっていた。面倒臭がり屋の私、少しぐらいの水漏れには気にしないようにしていたのだが、ここに来て、やっと修理する気になってきた。以前住んでいたところでも、一度修理したことがあるので、簡単にできると思っていた。
まずは給水を止めて、いざハンドルを取り外して中を分解しようとしたら、使用されていたナットが以前のものとは形状が違っていた。“えっ!駄目じゃない!!”私は、そんなに工具は持っていないので、すぐに壁にぶち当たってしまった。私が心配していたのは、その先にあるパッキンの寸法が、以前の物と同じかどうかであったのだが、そこまで行かないうちにつまづいてしまった。
出直しである。まずは、工具を手に入れなくてはならない。修理はそれからである。工具が手に入ったとしても、パッキンの寸法が違っていたら、もう一度、出直しとなってしまう。全部、同じに作っていてくれたならば、こんなことにならなかったのに、口惜しい限りである。あと何回、給水を止めることになるのやら。
2013年6月6日 森みつぐ 冬、雪がたっぷり降ったせいか、今年は春が来るのが遅かった。5月になってもぱっとしない天気が続いていたので、今年の昆虫採集の初歩きが、ずっと遅れて5月末になってしまった。僅かだが雪の残る林道沿いの草々は、まだまだ丈が低く、例年より成長が遅れているように思えた。
鮮やかな青が美しいエゾエンゴサクやカタクリの花は、既に花期を終えていたが、しかし、いつもの通り一匹、二匹と春の音を醸し出すエゾハルゼミが啼いているのを聞くことが出来た。林道を歩いていて、越冬したチョウの姿が殆んど見かけることがなかったことに気が付いた。クジャクチョウ、キベリタテハ、シータテハ、ルリタテハなど多くのタテハが越冬するのだが、今回見たのは、クジャクチョウだけである。
昨日も歩いてきた。林道には、タンポポが咲き乱れていて、クロヒメヒラタタマムシが群がっていた。帰り道、オニシモツケの葉に黒い小さな幼虫を見つけた。3齢になったばかりと思われる体長8mmほどの幼虫である。例年だと、既に蛹になっている時期であるが、やっと活発に動き始めたところみたいである。やはり、大雪の影響だろうか。今夏も、暑い夏になりそうだが、短い夏にもなりそうである。
2013年6月13日 森みつぐ やはり気候は、大きく変わってしまったのだろうか。札幌も、もう一週間以上も好天が続き、気温が平年より高く、夏日を記録している。北海道の内陸部では、毎日のように何処かで真夏日になっている。6月に入ってから内陸部や日本海側では、真夏のような天候が続いているのである。
何十年振りの記録なんて、もう驚くようなことではなくなってしまった。季節ごとに記録更新やそれに近い記録で賑わっているのである。今日も、西日本で猛暑日を記録している。地球温暖化による気候変動は、確実に至るところで影響を及ぼしているようだ。
エネルギーの使い過ぎである。便利さを追求するあまり、エネルギーの利用には無頓着になっている。世界人口も増え過ぎた。そして、湯水の如くエネルギーを使う人たちも増え過ぎたのである。電気もガスもガソリンも使い過ぎである。その象徴が、マイカーであろう。この異常な気候も、一人ひとりの心がけ次第で正常に戻る可能性があると私は信じている。
2013年7月4日 森みつぐ 今年に入ってから、マダニが媒介する感染症での死亡者が相次いでいるというニュースが多くなっている。マダニの仲間は、札幌にも意外と数多く生息している。ただ、今のところ、北海道からの感染者の報告はないので、私は、それほど心配はしていない。
先日、昆虫採集で林道を歩いていたとき、網には、4匹ほどマダニがへばり付いていた。路傍の叢には、動物が来るのをじっと待っているマダニがうようよいるのである。ときどき、ズボンや服などにマダニがついていないかどうかを確認しながら、歩いている。採集が終わったら、バッグを含めて最終確認をしてから帰ることにしている。
その晩、お風呂で無事を確認して眠りに就いた。夜中目覚めたとき、腕に違和感があったので確認したら、脇あたりに黒い物が付いていた。マダニである。衣服かバッグに付いて来たのだろう。ピンセットで取ろうとしたが、しっかり喰らい付いていたので、毒ビンを当てて殺してから、カッターでマダニの口元をほじくるようにしながら、取り除いた。その後、2日間赤く腫れていたが、今は、少し腫れも引いてきた。札幌に戻ってきてから、3度目だろうか。もう少し気を使って、昆虫採集をしなくてはいけないようである。因みにそのマダニは、標本にしてしまった。
2013年7月10日 森みつぐ 早くも梅雨が明け、連日のように猛暑の報告が流れてくる。38℃、39℃とちょっとまともな気温でないことは確かであろう。すっかり札幌の気候に慣れてしまった私、ここ数日の30℃前後の気温でさえも、不快を感じている。
沼津に住んでいたとき、クーラーを一度も使わなかったことは、今となってはとても信じられないことである。この地球は、どうなってしまったのだろうか。地球温暖化が叫ばれ始めてから、かなりの時間を経過しているが、その対策は、殆んど進んでいないように思われる。省エネがどうのこうのと言われ続けられているが、個人の生活スタイルは、どう変わったのだろうか。電力使用量は、増加の一方ではないか。
東日本大震災時の原発事故によって、電気の無駄遣いについてはかなり見直しがされるようになったが、便利な生活スタイルの根本的な見直しは然程進んでいるようには思えない。この異常な気候も、私たちの傲慢な生き方によるものと考え、一人ひとりがより謙虚に生きるようにしなければならないだろう。
2013年7月25日 森みつぐ 自民党の圧勝で、参院選が終わった。二大政党制も、ご破算となり民主党は、もう立ち直れないほど打ちのめされてしまったようである。多くの政党が名乗りを挙げて参院選に望んだが、今選挙で消えてゆく政党もありそうだ。
戦後の高度経済成長が続いた時代は、ずっと自民党政権だった。ときどき、自民党が野党に下るときがあっても、結局、国民は、すぐに自民党を与党に迎え入れてきた。そして、今回も同じである。最後の頼みは自民党という人がなんと多いことか、今回の選挙でも実証されてしまった。
私は、自民党の経済政策には疑問を持っている。アメリカの進める経済のグローバル化には納得していない。新自由主義の経済は、自国内に貧富の格差を生み出し、そしてそれによって、低賃金で経営側にとって使い勝手のいい労働者を作り出す。それによって、また格差は拡大してゆくのである。これから国民は、政治に対する確かな目を育て選択してゆくほかないだろう。
2013年8月7日 森みつぐ 先日、ジョギングをしていたら、濃い紫色のクズの花を見つけた。本州で田舎の車道のガードレールなどにへばり付くように広がり、紫色の花をいっぱい咲かせているところを、採集地に向かって歩いていたことを思い出す。
7年前、クズの葉は、そんなに見かけることはなく、短い札幌の夏に咲く花は、たまにしか見かけることがなかった。それが、ここ3〜4年の間にクズの葉があちこちに広がり、花も見かけるようになった。明らかに札幌の夏は、変わってきている。温暖化の影響は、植物や昆虫を見ていても分かるのである。
国道沿いに設置された防護柵には、やはり本州では良く見かけるヘクソカズラが2〜3年前から巻き付いているのが見かけるようになった。ヘクソカズラの葉に、スズメガの仲間の幼虫を見かけたりするのだが、北海道には棲み付いていないようだ。札幌の気温のピークは、ちょうど今日、そして立秋である。
2013年8月14日 森みつぐ 7年前、札幌に戻ってきて定山渓で初めて、ミンミンゼミの聲を聞いた。札幌というよりも北海道で初めて聞く、ミンミンゼミの聲だった。ただ、毎年、ほんの狭い範囲に、8月中旬から下旬にかけて、1匹、多くても2匹啼いている程度だった。近くでは、道路拡幅の工事をしていて、非常に心配していたのであった。
3〜4年前から暑い夏が始まった。昨年は、北方種であるエゾハルゼミ、エゾチッチゼミ、そしてエゾゼミの仲間の啼き聲が、かなり少なくなって心配していた。でも、ミンミンゼミは、やはり南方種だからか、今までの生息地から離れた場所でも啼いていたので、そのことに対しては喜んでいた。
今年のセミは、例年通り、エゾハルゼミに始まり、今は、真駒内周辺では、コエゾゼミ、エゾゼミ、アカエゾゼミ、アブラゼミ、ツクツクホウシが盛んに啼いている。先日、親のところからの帰り道、豊平川に架かる橋を渡ると、急にセミが大きな聲で啼き始めた。“あれ!ミンミンゼミだ!!”とうとうミンミンゼミも拡散を始めたのかも知れない。まもなく真駒内周辺でも聞こえるようになるかもと期待してしまう。
2013年8月28日 森みつぐ 今年の札幌の夏も、平年より2〜3℃高い夏だったようである。ただ、札幌の夏のピークは、27℃を少し超える程度なので、30℃を超える日は、せいぜい10日もないのである。この夏の部屋の温度もピークで28℃そこそこで、翌朝には27℃になっている。4年振りに、扇風機の出番がない夏だった。
ただ、今年の夏が例年と違うところがあった。7月下旬から8月いっぱいにかけて、不安定な天気が続いたのである。7月下旬から8月上旬にかけて、梅雨末期の影響を受けて、北海道も天候不順が続いた。8月中旬以降は、早くも秋雨前線の影響で温暖前線に北からの寒気が入り、一日の中でも晴れたり雨だったりを繰り返したのである。7月下旬から8月いっぱいにかけて、天候不順と天気が良くても私の都合が悪かったりとで、結局、昆虫採集に行ったのは、たった1回だった。そして、もう秋である。
2010年の極端に暑い夏を境に、北海道も大きく気象が変動するようになってきたように思われる。明らかに、自然のままの気象変動では考えられないような、極端に変動する気象になってきているのである。さて、今年の冬は、どのようになるのだろうか。そして、来年の夏は、冬は。
2013年9月4日 森みつぐ 「東京電力福島第一原子力発電所の汚染水が漏れた問題で、政府は3日、約470億円の国費投入など汚染水対策の基本方針を決めた。汚染水問題への懸念は国内外で強まるなか、政治主導で対策を打ち出し、事態の早期収集に取り組む姿勢を示した。(読売新聞より)」
今までに経験のない重大な事故だった福島第一の原発事故、汚染水対策を含め廃炉までの諸々の課題を解決してゆくには、どんなに大きな超大企業の東電とは言え、費用や人材の確保は、並大抵のことでないだろう。最初から一企業では、どうしようもないことのように思っていた。政府の介入は、遅きに失すると言わざるを得ないところまで来ているのである。
最初から東電ばかりを責め続けてきたが、事故責任は国策として原発を推進して来た国も負うべきものだと私は思っている。そして、原発に対して何ら疑問を持たず安価な電力として使い続けてきた国民も反省すべきなのである。口は出すけど金を出さないでは、廃炉問題は立ち行かなくなってしまう。
2013年9月25日 森みつぐ 今年の夏、私の住むところから直線距離で400〜500m離れた豊平川で釣りをしていた人がヒグマを目撃した。国道から数百m離れると森林で覆われる札幌市の南区である。そして今日、真駒内公園からも1kmも離れていない豊平川川岸でヒグマが目撃された。私のジョギングコースもそこを通るのである。
昨日は、函館の方でヤマブドウを採りに山に入った人が、ヒグマに襲われるという事故が起きた。これからは、冬眠前のヒグマにとって、大量の食料を求めて動き回らなければならない大事な時期なのである。今年は、餌となるドングリも不作だという。人や車を恐れないヒグマと人間との間の出会い頭の事故は増えてゆくことだろう。
今日、ヒグマが目撃された場所では、キタキツネを見たことがあるし、エゾシカの鳴き声も聞いたこともある。ヒグマが出没しても、なんら不思議ではない。野生動物にしたら、人間の方が邪魔臭い動物なのである。
2013年10月2日 森みつぐ 「民間企業の会社員やパート従業員が2012年の1年間に得た平均給与は408万円で、前年を1万円(0.2%)下回り、2年連続で減少したことが、国税庁の調査で分かった。正規社員とアルバイトなどの非正規に分けた調査が初めて行われ、正規が468万円、非正規は168万円で格差が改めて鮮明となった。平均給与はピーク時の1997年からは59万3000円減。男女別では、男性が502万円、女性が268万円だった。(読売新聞より)」
正社員の給与が減っているのか、非正規社員が増えたから平均給与が減っているのかは、これだけでは分からないが、全体としては確かに給与は、未だに減り続けている。男女間の格差は2倍弱、正規・非正規間格差は3倍弱、この格差の上でしか、日本のグローバル化経済は成り立たないのである。
首相は、消費税率の8%への引き上げに際して、労働者の賃金を上げていく状況を作らなければならないと言っている。もし企業が賃上げに応じたとしたならば、それは正社員の賃金であろう。そして、それと同時に、非正規社員の比率を高め、コスト高に歯止めをかけようとするのは、明々白々のように思われる。
2013年10月24日 森みつぐ 今年も昆虫採集シーズンは終わり、採集品の整理を始めている。パソコンで朝から晩まで画像処理をしていたら、右目が眼精疲労になってしまったから、目を休めるためにもちょうどいい。今年の分の標本撮影もして、右目を休めている今日この頃である。
雨が雪に変わり、部屋に暖房が入る頃には、すっかり乾燥してくるので、標本の整理と標本の撮影が始まる。標本撮影は残り、アゲハチョウ、シロチョウ、そしてタテハチョウだけとなっていて、もしかすると今年いっぱいで片付くかも知れないと思っている。そうすると画像処理が残ることになるが、こちらの方は目と相談しながら片付けてゆくしかない。
まだ雪虫が飛び、部屋ではコバエが飛び交っているが、白い冬も間近である。また、長い長い冬が始まる。運動不足を感じながら、パソコンを中心とした作業がずっと続くことになる。でも、いつかは終わるだろうと思いながら、緑溢れる森林の中を歩き回ることを想像したりするのである。
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