夢惑う世界 雑記帳 随想録<澪標> 気ままにひと言
夢惑う世界4.1.2.8−40 気ままにひと言

2014年12月10日  森みつぐ

 先週、昆虫標本の撮影をしていた。撮影セットに標本を設置して、デジカメのシャッターボタンを半押ししてピントを合わし、そして全押しした。“あれっ!”反応がない。“押したはずなのにな?”もう一度シャッターボタンを半押しし、全押しした。今度はしっかり押したにも拘らず、シャッター音がしない。“とうとう寿命かな?”
 初めて使ったのが2007年3月である。あれから7年9か月経ったことになる。多分10万回近くシャッターボタンを押したことだろう。スイッチの寿命は、そんなものだろう。何回か押していると撮影できた。今回は何とか誤魔化しながら、撮影を終了することができた。“さて、今後どうしようか?”
 キャノン製の1000万画素のデジカメである。去年、標本撮影用の新しいデジカメを探してみたが、フォーカスフレームを任意に移動して、小さな虫でもピントを合わすことができるアクティブ・フレームの機能が無くなっていた。中央でピントを合わすと昆虫針の頭にピントが合ってしまうのを避ける必要があるのである。今冬は、何とか今のデジカメでいけそうだけど…。


2014年12月24日  森みつぐ

 安全と言われる日本においても、毎日のように、何処かで人が殺されている。そんな報道をテレビや新聞で見聞きしているとやはり悲しい気持ちになる。今年は、それに加え、大きな自然災害も発生して、災害の備えについて、いろいろと考える一年になったのではないだろうか。火山噴火、地震、台風、大雨など、日本は自然災害が多い国である。
 自然災害は、今では、100%自然災害であると言い切れない災害ばかりである。広島の土砂災害も、自然災害では済まされない人災に近い災害だった。そんな災害が異常気象の増加とともに、顕在化してきているのではないだろうか。大地震、火山噴火発生による危険地域など公表されているが、その危険地域に住む人たちは、最低限の備えはするけれども、なるようにしかならないと思っていることだろう。
 高齢者を狙った振り込め詐欺などは、到底許されない犯罪である。インターネットを利用した新しい犯罪も、続々と増えている。危険ドラッグの蔓延、致死率の高い感染症の蔓延、テロの脅威など、文明の発達とともに犯罪は増え、世界の距離は縮まり、あっという間に世界中に広まってしまう。今後も犯罪は、文明の発達とともに巧妙に増え続けていくことだろう。どんどん生きづらい世の中になってゆく。


2015年1月1日  森みつぐ

 1年前始まった昆虫標本のデータ収集は、やはり手こずっている。今年も3月いっぱいまでデータ収集に明け暮れることになるが捗らない。何せ、小さな甲虫たちは1箱にいっぱい詰まっているし、そしてその虫たちを一匹ずつ引っ張り出しては、体長などを測定するのと、再度図鑑などを見ながら名前の確認や雌雄の確認をするので時間が掛かってしまう。時間が掛かるのは仕方ないので、じっくりと納得しながらのデータ収集となるが、引き続き進めることになる。
 今まで甲虫たちは、表面からの写真しかとってなかったが、名前や雌雄の確認をするためには、裏面からの写真も必要なので、これからは裏面も撮ることにした。まだまだ仕事が増え続けている。
 ただ私の趣味は昆虫採集なので、山野を歩き回るのは止められない。昨年、ちょっと無精に余り採らなかったハエやハチの採集を、今年は、意識して採集しようと思っている。小さなハエやハチの標本作成は、厄介で時間が掛かるのだがやるしかない。5月からは、今年も画像処理が始まる。昆虫のデータベースは、少しずつだが前へ進んでいる。


2015年1月18日  森みつぐ

 「フランスの連続銃撃テロ事件の犠牲者を追悼する大行進について、仏内務省は11日、全国の参加者の合計が370万人に達したとの推計を発表した。同国では1944年8月にナチス・ドイツからのパリ解放を上回る市民行動となった。表現の自由への脅威や反イスラム感情を背景とした社会の分断への懸念が広がる中、結束を訴える声はパリから世界に広がった。(読売新聞より)」
 実に恐ろしい世の中になったものである。シリア、イラクやナイジェリアなどでは、日常茶飯事になってしまっている。非難されるべき事件であるが、非難するだけではこの問題の解決には何ら影響を与えたりしないだろう。宗教対立という前に、イスラム圏の多くの人たちが貧困から抜け出せないことの方が大きく関係しているのだろう。過激思想は、ここから生まれ、それに同調する人たちもどんどん増えてくる。
 日本も経済格差がどんどん広がる方向にある。ただ日本は、人を殺傷する武器が簡単には手に入れることができないから、このような大きな事件が起きないかも知れないが、過激な思想に走る若者も現れることも考えられる。日本においても現政権によって焦(きな)臭くなってきているが、絶対あってはならないことである。


2015年1月28日  森みつぐ

 去年も同じような事件があった。女子高生が、同級生の女子高生を殺して解剖しようとしたのである。この時も大変な衝撃を受けた。今回も中学の時から凶器の斧を用意して、その機会を伺っていたようである。女子大生となって、「人を殺してみたかった」がとうとう実行に移されてしまった。なんと言うことであろうか。
 多くの人が衝動的に「殺してやる!」と思ったことがあるだろうが、現実には、それを実行されることはない。命の大切さ云々よりも、こんな人を殺して自分の人生を台無しにするなんてバカバカしいと感じるからだろう。この二つの事件は、このような感情的になって起こした事件とは全く違っていた。
 「人を殺してみたかった」とは、「生きるとはどういうこと」かの裏返しなのだろうか。私は、中学生の頃だろうか、何故自分がここにいるのだろうか。日本は、地球は、何故あるのだろうか。宇宙は、何故存在するのだろうかと答の出ない命題をよく考えていたような気がする。人によっては、「人を殺してみたい」というのもあるのかも知れないが、それを実行することも、延々と引きずってゆくこともなく、「人を殺してはいけない」という倫理観が生じてくるのだと思っている。心が育たない世の中になってしまったのは、何故だろうか。


2015年2月4日  森みつぐ

 今日、久し振りに昆虫標本の撮影をした。昨年末に撮影したとき、あの調子の悪かったシャッター・ボタンが、何故か一度も失敗なく押すことができた。とうとうシャッター・ボタンの寿命かと思っていたのだが、復活していたので、次回はどうなるか待っていたら、あれから一月以上経ってしまった。
 4月になったら修理依頼しなくてはならないかなと思っていたのだが、今回撮影していても、また一度も失敗なく無事終了した。寿命ではなくて、シャッター・ボタンの接点部に絶縁被膜ができていたのかも知れない。何回も押している間に、その被膜が破れて、また電流が流れるようになったのだろう。標本撮影用のデジカメは、殆ど冬の期間しか使っていないので、絶縁被膜ができてしまった可能性がある。
 暫らくは、今使っているデジカメでいいのだが、そろそろ次のデジカメも探しておく必要があるかも知れない。アクティブ・フレームの機能が無くなってしまったので、どうしたものか、まだいい考えが浮かんで来ない。もう少し、今のデジカメに働いてもらわないといけないようである。


2015年2月11日  森みつぐ

 「農林水産省が10日発表した日本の2014年の農林水産物の輸出額は、前年比11.1%増の6117億円だった。初めて6000億円を突破し、2年連続でこれまでの最高を更新した。
 約1 年前に「和食」が国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、海外で和食ブームが広がっていることが後押しした。政府が20年の目標とする「輸出額1兆円」が視野に入ってきた。(読売新聞より)」
 TPP交渉が最終段階を迎えている最中、政府はJA全中を頂点とする農協制度を改革しようと検討している。なんとなく怪しげな匂いがしてくるように感じるのは私だけだろうか。そんな中、「和食」が無形文化遺産に登録されたことが後押ししたのか、農林水産物の輸出が好調とのことである。勿論、地域農協などの頑張りがあるのだろうが喜ばしいことである。
 ただ、これらのほとんどが海外のある程度裕福な層の嗜好品であろう。私が旅行する国は、殆どが後進国で、その上、その国の一般庶民が利用するような食堂でしか食事を摂らないので、日本の食材や料理を見たことはない。やはり、富裕層止まりであろう。海外に販路を求めるあまり、日本国内の主食の生産がないがしろになってはならない。当然、輸出相手国への配慮も必要であろう。各国、食料品は、極力、地産地消で賄えるように努力したいものである。


2015年2月25日  森みつぐ

 全国世論調査の結果を読んだ。「現在の自分の生活水準について、どのレべルだと考えているかを聞くと、「中の中」が43%で最も多く、次いで「中の下」の34%、「中の上」の14%が続き、「下」は7%、「上」は2%だった。全体の91%が自らを「中流」とみており、「1億総中流」の意識が今も受け継がれていることが分かる。
 ただ、面接方式で同様の質問を行った過去の調査結果をみると、…(中略)…調査方法が異なるため、単純な比較はできないが、この三つの調査では「中の下」と「下」を合わせた数値は、いずれも20%台だったのに対し、今回の調査では「中の下」と「下」を合わせた数値が41%と際だって高くなった。(読売新聞より)」
 格差が拡大していると言われているが、世論調査でも、その傾向は見られた。それでも今のところ、まだ「中流」だと思っている割合が91%という高率だった。ただ中流でも、じわりじわりと下降線を辿っていることが分かる。所得の実質の低下とともに、意識下においても、そう感じているようである。
 「日本の将来に対しては、「暗い」と答えた人が「どちらかといえば」を含めて57%に達しており、漠然とした不安を抱いている様子がうかがえる。(読売新聞より)」このような状態であれば、先行きに不安を感じるのは当たり前ではないだろうか。この中流階層が日本の消費を支えているのである。先行き不安の状態では、消費が増えるはずがない。賃金アップも、その年限りでは、貯蓄に回るだけであろう。


2015年3月4日  森みつぐ

 「2015年春闘では、パートや契約社員、派遣社員など、増え続ける非正規労働者の賃上げも重要なテーマだ。自動車総連は今年、直接雇用の期間従業員などの賃上げを初めて統一要求に盛り込んだ。連合は01年の春闘からパート時給の引き上げを統一要求している。総務省によると、14年の労働者数は約5240万人で、このうち非正規は1962万人と、全体の37%に達する。非正規の割合は1985年が16%、00年が26%で、拡大を続けている。(読売新聞より)」全労働者の37%が非正規労働者で、アベノミクス効果で株価が上昇して経済が活況を呈していると言われる中、非正規の割合が今も拡大しているとのことである。
 非正規労働者が増えているのに伴って、昨年の労働組合の推定組織率は18%だという。正規労働者であっても労働組合がなければ、企業から非常に厳しい待遇を甘んじて受けなくてはならないのに、まして非正規労働者にとっては、賃上げや待遇改善どころではないだろう。非正規労働者は、雇用そのものが不安定なのである。
 このような状況下で格差社会は、固定化するとともに貧困層の増加が続くことだろう。経営側と個人で対等に対峙することができない労働者にとっては、やはり労働組合と言う組織に属することが必要不可欠であろう。労働組合の組織率低下が、非正規労働者の増加を招いているのかも知れない。今年の春闘、何とか非正規労働者の待遇改善に努力して頂きたいものである。


2015年3月11日  森みつぐ

 札幌のこの冬は、暖冬であった。昨日から続いている荒れた天候は、今もまだ強風とともに横殴りの雪をもたらしている。3月中旬、平年より暖かい日が続いて徐々に積雪も少なくなってはいるが、荒れ狂う低気圧が湿った雪を毎回どさっと落としてゆく。
 地球温暖化による気温の上昇は、ここ札幌で、多分冬季は、今年のような暖冬になるのではないだろうか。特に冬の始まりと終わりに今回のような爆弾低気圧が発生しやすくなり、東北や北陸のような湿った雪を降らせるように思われるのである。今までの雪と質が違う雪国になってしまいそうである。
 三寒四温が始まっている。降雪は次第に少なくなって、雨へと変わってゆくだろう。それに伴って積もっていた雪は、一気に融けてゆく。地球温暖化がこの地にもたらすものは、何なのだろうか。雪国の札幌にとっても、大きな問題である。


2015年3月29日  森みつぐ

 「23日の東京金融市場は、株価、円相場、債券価格がそろって上昇する「トリプル高」となった。日本の景気回復への強い期待感から、株高と円高が並行して進み、日経平均株価(225種)は2万円の大台が目前に迫った。債券市場にも資金が流入する「日本買い」の展開となった。日経平均株価の終値は、前週末比194円14銭高の1万9754円36銭となり、約14年11か月ぶりに1万9700円台を回復した。(読売新聞より)」
 日経平均株価が、どんどん上昇している。大企業は、円安効果もあって大幅に景況感が良くなっているようだ。それは、春闘の賃上げにもつながっている。でも相変わらず個人消費は伸びてこない。今までも好景気が長く続いても、庶民にとってその実感が伴わないということが何度かあった。今回も慎重になっている消費者の行動は、そう変化が起きないと思われる。
 一般庶民にとっては、株価が上がっても影響はほとんどない。円安が進めば、多くの輸入品に頼る日本にとっては、少しずつ庶民の生活に負担が重くのしかかってくるだろう。政府は躍起になって企業に賃上げを要求しているが、どうなるであろうか。そんなことはお構いなしで、株価だけは上昇してゆく。株価バブルは、どんどん膨れ上がってゆき、そしていつもの通り、あるとき、弾けてしまう。


2015年4月1日  森みつぐ

 昨日の新聞に、トレイルランニングについての記事が載っていた。「森林など自然の中を走ってタイムを競う「トレイルランニング」について、環境省は、一般登山者や自然への配慮など、競技大会の主催者やランナー側が守るべきルールの指針をまとめた。競技人気の高まりによる大会の増加に伴い、ランナーと遭遇した登山者が危険を感じたり、ランナーが植物を踏み荒らしたりするなどのトラプルや苦情が目立ってきたことを受けた措置で、1日から全国の国立公園で運用を始める。(読売新聞より)」
 以前は、林道を走る四輪駆動のマイカーを見かけることがあった。土埃を舞い上げながら、林道の小動植物を見境なく踏み潰してゆく光景を見る度に辟易していた。ときには、山中の空き地で何台もの車がタイヤで掘り起こされてしまった泥道でレースをしているのを見ると悲しくなってしまった。
 それが今度は、私はテレビでしか見たことはないが、未舗装の山道や林道を走るトレイルランニングが流行っているとのことである。それも貴重な自然の中を豊かな自然の中を走ることだけを目的に走られたら、小動植物を含めた自然にとってはたまったものではないだろう。自然を楽しむのであれば、やはりゆっくりと歩かなくては何も見えて来ない。


2015年4月8日  森みつぐ

 今日、越冬している蛾の蛹が潜り込んでいる鉢を置いているテーブルに、黒い小さなゴミを見つけた。近付いて良く見ると動いている。孵化したばかりのクスサンの真っ黒い幼虫だった。全部で8匹、歩き回っていた。去年の秋、鉢の上に被せた細かい網目のケース内で産んだクスサンの卵が、見つからずに残っていたのである。
 本州だと食草は何とかなるかも知れないが、ここ札幌では、やっと雪が融け、柳の芽が綻んできたところである。食草なんか見つかりそうもない。大変残念だけど、“ごめんなさい!”である。雪が融けて福寿草の黄色い花が開きそうになっているが、クスサンの幼虫は見向きもしないだろう。
 そう言えば10日前には、クスサンと同じヤママユガの仲間のエゾヨツメの雄が鉢のケースの中で羽化していた。一番寒い部屋の中に置いていたとは言え、屋内なので早々に羽化してしまったのである。鉢のケースの中には、あと2匹の蛹が土の中に潜ったままである。こちらは、もう少し先になるかも知れない。

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