三岐鉄道 601系 2次車
クモハ601形(607)
クハ1601形(1608)

 モハ155・156の引退に伴って1988(昭和63)年2月に廃車となった西武鉄道571系を譲り受け、同年4月に601系607F(607+1608)として竣功したもので、他の601系とは種車が異なるため本図鑑では2次車と別扱いした。
 西武鉄道時代、1962(昭和37)年9月に2輌とも、501系の2M4T化に際してサハ1570・1569として竣功した。1968(昭和43)年11月に501系から抜かれ、サハ1570が電装されモハ577となり、サハ1569もサハ1577に改番されて本来の551系の中間MTになった。さらに551系からも独立し、1978(昭和53)年11月に運転台が取り付けられ、2連の571系クモハ577・クハ1578が誕生した。この571系は仲間が少なく譲渡されたのは577F1本で三岐鉄道のみである。当初、先に廃車された575Fが譲渡の対象となっていたが、西武鉄道で改造直前に577Fと差し替えられた。書類上、西武での廃車が2月9日で甲種輸送が同月14日で、改造の期間があまりに短いことになる。そのせいか、記事によっては575Fが種車となっているものもあるが577Fが正しい。
 車体形状は601系1次車とほぼ同じで、ヘッドライトが三岐タイプに交換されている。方向幕が車体埋込みとなり、ワイパーの取付位置が変わった。側面では乗務員室の拡幅ですぐ後ろの客窓が小さくなっている。妻面貫通路は広幅で扉無しとなった。また、全車グローブベンチレーターとなった。台車は甲種輸送時は空気バネのFS40であったが、はじめから近江鉄道にまわされることになっていて、竣功前に保々車両区でクモハ607がTR14A、クハ1608が小田急電鉄2400系のFS30に交換された。しかし、クハ1608は同年6月、早くもFS330に交換された。1989(平成元)年11月に、クモハがKBD107に交換された。さらに、クハ1608は1998(平成10)年9月、廃車になったクハ1606のFS342に交換された。三岐鉄道の車輌はどれも台車の交換が頻繁に行われている。客扉は、1次車同様西武701系などの中古を利用しステンレス化された。
 「鉄道の日」には電気機関車に牽引されてイベント列車としても活躍もあったが、晩年は三岐線唯一の非冷房車のため、夏季は他の2連車が検査入場しない限り保々車両区で休んでいることが多かった。しかし、冷房車である751系の導入で、2009(平成21)年2月にさよなら運転を行い廃車となり、パンタグラフなどの部品が外されて伊勢治田駅に留置されていたが、2013(平成25)年3月に解体された。
2013.3.5 更新
主要諸元
形式 車号 最大寸法(長巾高) 自重(t) 定員(席) 主電動機 出力(kW) 歯車比 台車
クモハ601 607 20000×2865×4140 37.50 149(58) MT-15 100×4 25:63 KBD107
クハ1601 1608 20000×2865×3898 30.00 160(58) FS342
車輌画像
クモハ607 甲種回送

1988.2.14

富田

クハ1608 甲種回送

1988.2.14

富田

クモハ607

2000.8.17

保々車両区

クハ1608

2000.10.14

保々車両区

クモハ607

2003.12.2

保々車両区

Copyright (C) Satoshi Nanno. All rights reserved