HPトップへ   遍路トップへ  
       
      →巡礼二日目へ
   巡礼三日目
 
遍路ころがしの焼山寺道
 
 
      第十二番 焼山寺   第十三番 大日寺   第十四番 常楽寺  
平成29年1月2日巡礼   

 

  年が明け平成29年となった、いよいよ「遍路ころがし」焼山寺道へのチャレンジである。本日の予定は焼山寺・大日寺・常楽寺・(できれば第十五番国分寺まで)を左回りに巡礼して徳島市内の宿泊先に戻る内容で、時間的にハードな行程である。さぁどうなるやら?

    徳島駅から徳島線一番列車で鴨島駅に6:10着、まずは昨年末に打ち終えた第十一番藤井寺へ向かう。焼山寺道は藤井寺境内から登るためこの行程は省略できない。東の空が白み始める中をひたすら藤井寺へ歩き、7:00に到着した。

遍路の朝は早い

 

 

   その藤井寺の本堂左手から焼山寺道は始まる。登り口には各種看板があり、「最後まで残った空海の道ウォーク←焼山寺「トイレは済ませましたか?道中にトイレはありません」「へんろ道↑」等々、これからの道中12.9Kmを想像させる内容が目をひいた。

焼山寺への道は修行の道

 

  スタートは7:04、気合を入れてGo!早速登りの連続となる。道脇には石仏や祠が点在し、この道が単なるハイキングコースではない巡礼の道であることを実感させる。やがてジョギング姿の地元の人と行き違うが、その人によれば自分よりも先に3組のお遍路さんが先に登って行ったとのこと。自分よりも早い出立の方々は前日どこに泊まったのだろう?

    その3組のお遍路さんは確かに先行が確認できた。と言うのも自分が登坂開始30分程度で全て追い越したためで、こう書くといかにもスピード感がありそうだが、今回は所持品を極力抑えた軽装作戦であることを付記する。(宿泊に関する荷物や時刻表はホテルに置いてきた)

「へんろころがし」の道標

  

 

   それでも次々と現れる急坂には息切れることもしばしば。右上写真のように特に急峻な坂は「へんろころがし」と呼ばれている。

 

    さて焼山寺道12.9Kmの間には3つの庵(いおり)が存在する。いずれも無人だが小休止にはベンチもあり有難い。右写真は1つめの長戸庵、藤井寺を出てから1時間ハイピッチで歩いたのでしばし休憩する。ちなみにここの標高は440Mで、さきの藤井寺が40Mなのでちょうど400Mほど登ったわけだ。

長戸庵にて小休止

 

    小休止を終え再び山道を進む。時折道幅が広くなる箇所はあるものの、多くは右写真のような小径が山肌に続いていく。

   相変わらず追い越しもなければすれ違う人も皆無で、自分が枯葉を踏みしめる音だけが続く道を歩いて9:25、次の柳水庵に着く。ここは前後の札所のほぼ中間地点(写真右下)で、なんとか正午頃の焼山寺到着を目論む。

山中をへばりつくように遍路道が続く

 

    柳水庵からしばらく尾根道を歩くが、次の浄蓮庵の少し手前でまた登り坂(右下写真)が延々と続くようになり、「最後まで残った空海の道」らしさを改めて実感する。その浄蓮庵(標高745M)を過ぎると長い下り坂となり左右内(そうち)の集落へ。そして左右内川(標高400M)を渡ると再び焼山寺(標高700M)への最後の登りとなる。

    それにしても最初に一気に登った後、350M下ってからさらに300M登るのはなかなかツラい。かつて旧東海道を踏破した際の「小夜の中山」(静岡県)を思い出したりした。

柳水庵での石標(焼山寺へあと6.3Km)

<参考> 焼山寺へのタイムテーブル
(冬季晴天・荷物軽装・やや健脚の場合)

鴨島駅 6:10 - 7:00 藤井寺 7:04 - 8:04 長戸庵 8:10- 9:25 柳水庵 9:30 - 10:20 浄蓮庵 10:25 - 11:17 左右内谷川 11:17 - 12:10 焼山寺
 

道はふたたび登り坂となる

 

  道がようやくなだらかになり舗装道路となるとようやく焼山寺参道となり、階段の先に山門が見えた。到着は12:10で僅かに5時間を切れなかったが、通常の所要時間は6時間(ゆっくり歩くと8時間)とのことなのでまぁ頑張ったほうなのだろう。

 

ようやく焼山寺の山門前にたどり着く

 

    「第十二番札所焼山寺(しょうさんじ)」--- 遍路にとって最初の難関と言ってもよい、修行の札所である。境内から見下ろす下界は山にはばまれて人煙稀な景観であった。

    参拝を終え納経所で朱印を頂く際にお寺のかたから「お車ですか?」と聞かれたので「鴨島駅から歩いて来ました」と答えると「健脚ですな」と言って頂けた。お寺のかたは毎日納経所でお遍路さんを迎えていて、この時間に到着する歩き遍路(順打ち)なら速いと経験的にわかるのだろう。

    ベンチに座り、徳島駅で用意してきたパンを昼食にする。

 

焼山寺境内

 

    参拝と昼食休憩で30分ほど境内に滞在する間に他の参詣者を10人程度見かけたが、いずれもクルマ利用のようだった。時折鐘を撞く音が聞こえるほかは至って静かな境内で、もうちょっと休憩していたい気もしたが、先の大日寺へのスケジュールを急ぐため道を進めることにした。

    具体的には南へ7.5Km下った「神山高校前」バス停(徳島バス)から14:28発の徳島駅前行きバスに乗り、30分程で大日寺最寄りの「一ノ宮札所前」下車という予定である。焼山寺を立ったのが12:38、バス停まで1時間50分あれば到着できるとの目論見である。

焼山寺本堂

 

   しかしながら下りも結構道がキツく、平地を7.5Km歩くのとは全く勝手が違う。バス停到着はぎりぎりかな?との思いが頭をよぎる。

    延々山道を下り杖杉庵(じょうしんあん)を通過し、ようやく舗装道路に出た。ところが何とここで道を間違えてしまった。右下写真の奥から右側へ行くべきところを左側へ行ってしまったのだ。ではなぜ道を間違えたとわかったか?それは10分以上歩いて「んっ?今まで沿道にたくさん有った道標・案内板を全く見かけなくなったぞ??」と気づいたからである。

     <教訓>
      道標・案内板・石仏等を見かけなくなったら道を間違えたかと疑え!

下り坂もけっこうきつい

 

   そんなわけで大変なタイムロス、予定のバスを逃すと次は70分も待たなければならずもう小走り状態。しかし土地勘のない道でもあり、残念ながら「神山高校前」バス停に着いたのは14:35、7分遅れで間に合わなかった…。

    仕方ないので次の15:38のバスまで待つ。次の大日寺はここから約13.5Kmあり、歩きでは納経の時間に間に合わないのでやはりバスは有難い。ようやく来たバスは自分と地元客の2名だけ。降りる際に「バスが有って良かった、ありがとう」と言ったら運転士さんからも「うん、距離あるからね。ありがとう」と言って頂けた。

ついに道を間違えてしまった

  

 

  バス停を降りると県道沿いに寺院と神社が並んでいる。左が大日寺・右が一宮神社である。一宮神社はその名の通り阿波の総鎮守であり、江戸時代までは神仏混淆としてこちらを札所として参拝したそうである。(大日寺は一宮神社の別当寺だった)

左:大日寺/右:一宮神社

 

    「第十三番札所大日寺(だいにちじ)」--- 県道を挟んで鳥居と山門が両立するのが面白い。江戸時代の庶民にとっては弘法大師様も「神様」だったのかも知れない。

    納経を済ませると16:20を過ぎていた。次の常楽寺までは距離にして2.3Kmで17時までの参拝時間には間に合うはずだが、思わず早足になる。

    さて鮎喰川を渡る橋付近で道に迷いかけ、まずい…。すると少し離れたところからオジさんが「まっすぐ!橋上がるけん、左な。」と教えてくれた。地元のかたにはお遍路さんはすぐわかるのだろう。実際ここによそ者がいればまず間違いない。(笑)

大日寺山門

 

   16:48、ようやく常楽寺の門が見えた。ギリギリセーフだった。

   「第十四番札所常楽寺(じょうらくじ)」--- 境内に入ると岩がゴツゴツ(右下写真)していて何だろう?と思ってしまうが、これは雨等の浸食により波打つような岩の形となったためで、この寺の特色となっている。納経は17時ぎりぎりだったが自分の後にも納経所に駈込んできたお遍路さんがいて、お寺の方が丁寧に応対していたのが印象的だった。

常楽寺に到着

 

   次の札所・国分寺は帰路(徳島線府中駅)の途中にあるが本日は時間切れのためパス、さぁ明日再訪だ!

 

常楽寺諸堂と「常楽の岸」

→巡礼四日目へ