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巡礼六日目 |
初のお接待を受ける |
第二十三番
薬王寺 第二十四番 最御崎寺
第二十五番 津照寺 |
平成29年12月31日巡礼 |
前日に第二十二番平等寺を打ち終え、阿波国では第二十三番薬王寺を残すのみとなった。そうなれば引続き土佐国の札所を巡礼する行程を組めば良いのだが、話はそう簡単ではない。と言うのも薬王寺から次の第二十四番最御崎寺へは距離にして約75Kmもあり、便数の少ないバス路線と札所の拝観時間を上手く調整しなければならない。
ところがそんな悩める遍路初心者に有難い味方が!右写真のJR四国特企乗車券「四国みぎした55フリーきっぷ(3日間有効)」である。室戸岬を中心にJR線・3セク・バス路線を自由周遊区間にまとめたきっぷで、その効力については追って紹介したい。
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JR四国のフリー切符を使ってみた | |
例により本日も早起き、阿南駅6:23発の単行ディーゼルカーで日和佐へ。今回の行程では巡礼が捗らない場合も考えて徳島県側の阿南に3連泊としたが、幸い前日に平等寺まで打ち終えており本日は室戸岬の最御崎寺までは確実に行けそう。しかしそうなると阿南に戻って(逆行して)翌日再度室戸岬経由で安芸方面に抜ける必要がある。再度の長距離往復は交通費の出費が・・・・いや、ここで役に立つのだ、上記のフリーきっぷが!キーポイントとなるエリアがすべて乗り降り自由だから助かることこの上なしでありがたや! さて最初の札所である薬王寺は列車の車窓からも見えてわかりやすく、日和佐駅から徒歩5分程度で着く。 |
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日和佐駅に到着、本日は曇天のようだ | |
「第二十三番札所薬王寺(やくおうじ)」---阿波国最後の札所である。毎年初詣客で賑わうことから元旦にはJR四国の臨時特急「やくおうじ号」が運転されることは地元客(と鉄ヲタ)には知られているが、12月31日の早朝とあって境内は閑散としている。 右写真は薬王寺のシンボルとも言える瑜祇塔(ゆぎとう)である。列車の車窓からもハッキリ見える大きな塔は朱色の塗装に屋根が四角・胴部分が円筒という形で、天と地の和合を説く『瑜祇経』に基づいて建立されたそうである。
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薬王寺瑜祇塔を仰ぎ見る | |
参拝を終え、納経所へ。大晦日の早朝とあって自分以外にほとんど参拝客がおらず、若い僧侶がのんびりタバコを吹かしている(苦笑)。納経帳を持った自分を見て慌ててタバコを消して“本来の”姿に戻り「(梵字)厄除薬師」と書き上げた。納経所で早朝から夕刻まで緊張感の連続では困難な点もあると思われ、まぁ良しとしたい。
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薬王寺の境内 | |
薬王寺をあとに再びJR四国・徳島線に乗る。途中の牟岐で阿佐海岸鉄道に乗り換えて終着の甲浦(かんのうら)へ。初めてこの駅を訪れたのは平成5年の夏で、当時は遍路で再訪することなど全く思いもよらなかった。 さあ、ここからはバス(高知東部交通)で次の札所・最御崎寺のある室戸岬へ。所要50分の道中である。この路線は本数が少ないので事前のダイヤ調査が不可欠である。
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室戸岬へのバス停(翌日撮影) | |
バスの乗客は自分を含め7名で、なんと途中の停留所での乗降が一切なく(50分すっ飛ばして)室戸岬着。ここで自分を含め4名降りた。これでもダイヤ上は定刻の運行で、そもそも途中での乗降を考慮していないかのようだった。 車窓は延々と太平洋が続いていたが、目視で歩き遍路を3人追い越した。この区間の「歩き」は大変な距離で、バス利用の自分が軟弱(?)に思える瞬間でもあった。歩き遍路のかた、道中ご安全に!
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土佐東街道を室戸へ(翌日撮影) | |
バス停「室戸岬」から最御崎寺へは少し戻ると参道があり、途中から石畳となり登りがきつくなる。自分の他に誰もいない。
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最御崎寺への参道 | |
「第二十四番札所最御崎寺(ほつみさきじ)」--- 修行の道場・土佐国で最初の札所である。自分が登ってきた参道には全く人がいなかったが、境内には案外参拝者がいる。どうやらクルマで来るケースが多いようだ。ご朱印を受けた際に寺のかたが「きょうは大晦日だから家にいる人が多いのかと思ったらそうでもないようだ」 と話された。
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最御崎寺境内 | |
室戸岬バス停に戻る。ここから西(高知方面)へはバスの本数が増えて概ね1時間に1本程度の設定となる。それもそのはずで、室戸の市街は岬の西側にあり明らかに建物が多い。海岸への山並みの迫り方も東半分よりは穏やかな感じであった。 バスに乗り10分程度でバス停「室戸」下車。当初はひとつ先の「室戸市役所」下車を考えていたが、車内放送で次の札所・津照寺へは「室戸」を案内していたので降りてみた。その停留所からは路地を入るも道がわかりにくく、地図とスマホのGPSを眺めていたら地元のかたが丁寧に道順を教えて下さった。本当にありがたい!
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最御崎寺境内に並ぶ石仏 | |
「第二十五番札所津照寺(しんしょうじ)」--- 狭い路地を進むと突然寺の門が現れ、そこから石段を登っていく。宿泊先を出たときは曇天だったが天候が回復、石段から振り返ると土佐の海がキラキラ輝いて見えた。
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津照寺の石段 | |
津照寺の境内は八十八の札所の中では小じんまりした印象で、階段を登り切ったところにコンクリート製の本堂が建つ。
さて時間はまだ昼時、一つ先の第二十六番金剛頂寺へ足を進めることも可能な時間だったが行程を十分にクリアしており天候も回復したため、宿泊先(阿南)へ戻る途中に室戸岬で時間を使ってみることにした。そのため明日は阿南〜室戸市街は「回送」扱いの行程となるが、そこは冒頭の特企乗車券(エリア内乗り放題)のおかげで出費ゼロであり作戦成功の図である。
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近代的な津照寺本堂 | |
バスを使い14時前に室戸岬着。遍路の旅がなければ一生のうちに来訪の機会が有ったかどうか…。大晦日だが案外旅行客で賑わっている。団体ツアー(クラブツーリズム)の大型バスもやってきて観光客が次々と降りてきた。
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室戸岬から太平洋を眺める | |
室戸岬で時間を潰してさぁ宿泊先に戻ろうとバス停のベンチで甲浦行きを待つ。するとクルマで来ていた観光客のかたが遍路の自分をねぎらうべく、お菓子を分けて下さった(右写真)。 遍路に物品を施すことは「お接待」と言われ、同行二人の四国遍路では「お大師様への功徳」と解されている。初めて「お接待」を受けた自分は驚くと共に感謝の気持ちでお礼を言わせて頂いた。全く拙い遍路の自分ではあるが、願わくばこの巡礼が回向されればと思う。
<参考>回向(えこう)
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いただいた“お接待” | |
バスで甲浦へ戻り、列車で牟岐へ。時間に余裕があったので牟岐の街をふらりと歩いてみたあと特急「むろと6号」で阿南へ戻る。持っていたフリーきっぷが特急自由席乗車OKであり、1回は特急に乗っておこうと思った次第。たった2両編成だが、大晦日の夕方とあって用務客もおらず極めてすいていた(笑)。
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牟岐から乗った「むろと6号」 |