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道を尋ねるより前に
 
 
      第三十一番 竹林寺   第三十二番 禅師峰寺   第三十三番 雪蹊寺   第三十四番 種間寺 
平成30年5月3日巡礼   

 

  

    過去2回の巡礼はいずれも年末年始、遍路の旅としてはオフピーク時の巡礼であった。しかし今回取り上げる土佐国巡礼は5月初め・ゴールデンウィークの行程、さてどんな旅になるのだろうか?

 

    四国入りには新宿~高知の夜行高速バス「ブルーメッツ号」を往復に利用してみた。1ヶ月前発売の時点で予約は取れたが、さすがにゴールデンウィークだけあって当日は満席、途中渋滞のため高知駅到着は1時間半も遅れて9時ごろに到着した。なんとか本日中に第三十四番札所の種間寺まで行きたい(結局行けた)のだが、この時は大丈夫かな?と不安だった。

 

「ブルーメッツ号」で高知入り(後方はJR高知駅)

 

   前回の遍路では第三十番札所善楽寺を打ち終えて土佐一宮(とさいっく)駅まで歩いたので、今回も土佐一宮駅(高知駅から2駅東寄り)まで列車で行き、ここからのスタートとした。そのルートが本来の遍路道に近いからとの考えもあった。

    そうは言っても平地での行程は車道脇を歩くケースも多く、この道(県道44号線)もクルマの往来がひっきりなしである。それでも反対側に目をやれば右写真のような光景もあり、高知平野を歩いているのだなとの実感を深める。

 

 

田植えを終えた水田が広がる

    やがて道は目指す札所・竹林寺のある五台山への登りとなる。

    坂を登りきると札所に着くかと思いきやなぜか植物園?のようで、いつの間にか「牧野植物園」の園内を歩いていた。ゴールデンウィークとあって家族連れを中心に賑わっている・・・。本当にこの道で正しいのかと不安になるが手元の資料を見ると「牧野植物園/午前9時~午後5時開園(遍路は時間外も通行可)とある。なるほど植物園内が遍路道となっているわけで、植物園の出口を過ぎると程なく竹林寺への石段となった。

 

五台山への登り

 

   「第三十一番札所竹林寺(ちくりんじ)」--実は平成元年に(路線バスで)一度訪れているがこの時は全くの観光目的であり、30年後に遍路として再訪できたことにある種の感慨がある。境内を歩くと5月の陽光を浴びて樹木の緑も一層鮮やかに感じる。観光地らしくお遍路さん以外にも一般の参拝客も多く、外国人のかたもいた。

 

 

  
竹林寺の参道

 

    参拝を終え山門を出て往路とは異なる石段を下る。歩き遍路用に道標・案内板は整備されていて有難いが、この道を歩いているのは自分だけだった。

 

四国唯一の五重塔が建つ

 

    次の禅師峰寺への道は変化に富む。山道を下ると下田川の川べりを歩く道となり、丘陵を越えると瀟洒な住宅街を通り抜けて遍路用の休憩所となる。休憩所を過ぎると石土池を左手に見ながらやがて禅師峰寺への小径となる。

    それにしても土佐国の5月は初夏の陽気で暑いのなんの。そう思いながら歩いていると丘陵越えの道で缶コーヒーの自販機を見つけた。なんと都心ではほとんど見なくなった「UCCコーヒー」ではないか!学生時代にはよく飲んだ記憶があり久しぶりに飲んでみた。(水分補給ありがたや)

 

自販機にUCC缶コーヒーを見つける

 

    さて禅師峰寺へのラストコースは山道の登り。そのスタートである階段わきに「マムシに注意」の立札が。今までの巡礼は冬季だったが今回はGW、実際に出くわしたらどうしよう?とビビったが幸い遭遇なく登り切った。

禅師峰寺の参道

 

    「第三十二番札所禅師峰寺(ぜんじぶじ)」--- 山門をくぐると急に参拝者が増えた。よく見ると斜め下方に駐車場があり、クルマ遍路とわかる。境内はこじんまりとしているが、土佐湾の眺めが良い。本堂・大師堂では「般若心経」を読経する遍路さんも複数いて、自分も遍路の道中であることを実感する。

大師堂へ参拝するお遍路さん

    さて次の札所への道は途中までは往路と同じ道を歩くので、何人かの遍路のかたと行き違う。歩き遍路のせいか案外若いかたが多かった。彼らを遍路に結びつけたきっかけ(縁)は何なのだろう?と考えたりする。

    道は舗装道路をひたすら西へ歩く行程だが、交差点でさてどちらかな?と少々地図を片手に立ち止まる。すると反対側からやってきた地元のかたと思われるクルマがすれ違いざまに「ここ、まっすぐ!」と助手席から身を乗り出して教えて下さった。こちらから尋ねるよりも早く、それも熱心に教えてくれる地元の方に驚きと感謝の気持ちであった。その案内通り道を進めるとやがて浦戸湾にさしかかった。

境内からの土佐湾の眺め

 

   さて高知市の南部はこの浦戸湾によって東西に分断されており、遍路も東から西へ渡らなければならない。その方法は2つあり、ひとつは浦戸大橋を渡るルートで主にクルマ遍路用。もうひとつは高知県営の渡船(所要5分・無料)に乗るルートで、自分はこちらにした。

    渡船は日中1時間間隔の運航で、無料のため乗船券売場もなく全くひっそりとしている。それでもやがて対岸から小型の船が着いたので、下船客と入替えに乗る。乗客は遍路の自分の他は僅かに地元客が2人だけで、通勤通学が無ければこれが普通なのだろう。 もちろん旅程にアクセントがつくことには間違いなく、ありがたく(此岸から彼岸へ?)渡らせて頂いた。

 

これ、れっきとした船ですヨ

 

 

    「第三十三番札所雪蹊寺(せっけいじ)」--- 船着場から西へ一本道、迷うことはない(登坂もない)。道路に面した入口前の駐車場は参拝者のクルマで満車状態、道路を走るクルマ共々歩行者は注意したい。雪蹊寺は臨済宗の寺院だがその知識が無ければ他の真言宗の札所とまったく同様の雰囲気で、他のお遍路さんも読経をしたり納経帳に朱印を頂いたりしていた。

    さて参拝を終えたのが15:50、次の札所・種間寺へは手持ちの資料に6.3Kmとあり納経の受付(17時まで)にはギリギリである。ひとたび道を間違えればほぼアウトなので緊張感を持って西へ歩き始めた。

 

雪蹊寺の境内

 

    道中は平坦な道が続き、自然と早足になる。四叉路に差し掛かったので念のため持参の地図を見ようと立ち止まると、またも通りすがりのクルマの助手席から「まっすぐ!」のアドバイス。今回も当方から道を尋ねるヒマなく教えていただき、やはり「同行二人」の遍路が立ち止まっているのは看過できないのだろう。よし、何としても種間寺に到着しよう!との気持ちが高まった。

    沿道は左右が田んぼでカエルがコロコロ鳴いている。これは昔の遍路にとっても今の時期は同じだったのだろう、と早足で歩きながら思ったりした。やがて農業用水沿いの道となり2キロ程で種間寺に着いた。

 

早足で歩いていると暑いぐらい

 

    「第三十四番札所種間寺(たねまじ)」--- 到着は16:55、時間ギリギリのため参詣よりも先に理由を告げてご朱印をお願いすると、お寺のかたもその方が助かりますとのこと。本来は札所に納経(読経も可)を済ませた証印として頂くご朱印なので順序が逆だが、17時近くの場合は便宜的に認めて頂けるケースも多いらしい。但しその場合でも趣旨を告げて了解を頂くのがマナーだろう。自分よりさらに遅く17時を過ぎて駐車場のクルマから駆け付けた遍路さんが2人いたが、この人たちはどうしたのかな・・・・??

    種間寺からは3.8Km西にある「大橋北詰」バス停から高知行きのバスをうまく捉えて宿泊先(ホテルが予約できずサウナ)へ向かった。 

 

17時前に種間寺に着いた

  

<参考> 高知駅~竹林寺・禅師峰寺・雪蹊寺・種間寺~高知駅

タイムテーブル
(初夏の陽気・荷物軽装・やや健脚の場合)

 

   高知駅 9:19 (JR土讃線) 9:26 土佐一宮駅 9:30 - 10:50 竹林寺 11:15 -12:40 禅師峰寺 13:05 -  14:40 種崎港 15:10(高知県営渡船) 15:15 長浜港 15:15 - 15:30 雪蹊寺 15:50 - 16:55 種間寺 17:20 - 18:00 大橋北詰バス停 18:05 (とさでん交通バス) 18:45 高知駅

 

高知行きのバスを待つお遍路さん

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