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   巡礼十二日目
 
守ろう「納経は参拝後」
 
 
      第三十九番 延光寺   第四十番 観自在寺  
平成31年1月1日巡礼   

 

 

    平成31年元旦。本日は土佐国(修行の道場)から伊予国(菩提の道場)へと進む。

 

    大晦日は宿毛駅近くに泊まったので本日最初の延光寺へは土佐くろしお鉄道で少し東へ戻る。特急「あしずり4号」に7分ほど乗って平田で下車した。元旦の朝とあって乗る人も降りる人もおらず、列車が去ると静かになった。僅かの距離を特急に乗ったのは普通列車が無い時間帯だったのと、昨日買ったフリー切符が特急自由席OKだったことによる。

 

 

 

 

朝の宿毛駅

 

   さて晴天・元旦のすがすがしい空気を吸って遍路道へ。平田駅からは2.5Km程度の距離だが、前の金剛福寺からは75Kmもの距離がある。(純粋な歩き遍路さんゴメンナサイ…) 写真の畦道を過ぎると小さな集落にさしかかり、その奥に延光寺はある。

   

 

 

 

延光寺への遍路道

    「第三十九番札所延光寺(えんこうじ)」--- 山門手前の駐車場への狭い道を軽自動車が行き交っている。元旦とあって地元のかたの初詣で、都会のそれに比べればまだまだのんびりした雰囲気である。 

延光寺の山門

 

    遍路を始めて3回目の正月、自分のような年末年始の遍路さんは確かに少数派だが地元の方が参拝する様子を伺えてほのぼのとした気持ちになれる。境内では鐘を突く参拝客も多かった。(強く突き過ぎる人もいたかな?)

 

 

 

  
門松の飾りが正月らしい

 

    ここから次の観自在寺へは宿毛駅からバス(例によりフリー切符OK)なので、宿毛駅まで歩く。平田駅へ戻って土佐くろしお鉄道を使う選択肢もあったが、往路と変化を持たせようと考えて宿毛駅まで歩いてみた。

    延光寺を出てしばらくは山間の径を歩くが、やがて国道56号線と合流して交通量の多さに少々滅入る。

 

 

宿毛方面への道

 

    そしてほぼ正午に宿毛駅到着、ここからバス(宇和島自動車)に乗る。このバス路線は実に20年ぶりの乗車で、当時の資料ではなんと「四万十・宇和海ゾーン」利用とある。これは「周遊きっぷ」(周遊券制度廃止後の受け皿的切符)のことで今ではこれも廃止されて存在しない。四国西南部の旅行では今回紹介したフリーきっぷの恩恵に与れたが、JR各社跨りで最繁忙期の利用制限もない周遊券のような商品が廃れて久しいことは今更ながら大変残念に思える。

    宿毛駅を出たバスは宇和島めざしてカーブも高速ですっ飛ばす。そして揺られること40分、観自在寺最寄りの停留所に着いた。停留所名は寺の名前ではなく山号の「平城札所前」なので注意したい。

 

12:22の宇和島駅前行きに乗る

 

    「第四十番札所観自在寺(かんじざいじ)」--- 伊予国で最初の札所であると共に、第一番札所霊山寺(阿波国)から最も離れた札所であるために「裏関所」とも言われている。関所寺では巡礼者が弘法大師の審判を受け、不適格者は先に進めないとの言い伝えがあるため、気を引き締めなければならない。

    観自在寺も先の延光寺と同様に地元の初詣客が絶えず訪れ、堂内で参拝している。自分も遍路として参拝すべく堂内へ入ろうとすると、入り口にある掲示が目を引いた。

 

 

観自在寺本堂

 

   その掲示は「納経は本堂・大師堂を参拝してから」との注意書きであった。この場合の「納経」はご朱印を頂くために納経帳を提出することだが、近年はご朱印ブームらしくスタンプラリーのような感覚でろくに参拝もせずにご朱印を集めまくる人が少なくないらしい。本格的に開経偈から延々と、或いは般若心経を朗々と唱えられずとも、せめて信心を以って心静かに参拝してからその証としてご朱印を頂きたいものである。

    寺院は宗教施設であり、契約社会のカネ(債権)→ご朱印(債務)のような図式で捉えてはならない。このHP上の主張ではたかが知れていても、この点は自己の権利主張に狂奔する人にはぜひ考えてほしいと思う。

   

参拝客を観音様が見守る

 

 

<参考>宿毛駅~延光寺~観自在寺~宇和島駅
タイムテーブル

(冬季晴天・宿泊用荷物携行・延光寺の前後のみ徒歩)

    宿毛駅 9:05 (特急あしずり4号) 9:12 平田駅 9:15 - 9:55 延光寺 10:20 -12:00 宿毛駅 12:22 (宇和島自動車) 13:01 観自在寺 14:11 (宇和島自動車) 15:23 宇和島駅

 

 

山門の掲額(平城山)

 
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