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   巡礼二十日目
並立の妙、一寺二霊場
 
 
      第六十八番 神恵院   第六十九番 観音寺   第七十番 本山寺  
令和2年11月2日巡礼   

 

 

  明けて11月2日(月)は雨天となった。本日は午前中のみ、三ヶ寺の巡礼である。今回特徴的なのは「第六十八番・神恵院」と「第六十九番・観音寺」が同一境内にあるため、三ヶ寺の巡礼予定は実質的に二ヶ寺であるということ。八十八ある札所でここだけの珍しい例である。

 

 さて観音寺駅から財田川を渡ると左手に琴弾山(ことひきやま)が見えてくる。ここには琴弾八幡宮と今回訪れる神恵院・観音寺がある。神社と寺院が隣接、しかも寺院のほうは同一境内に二ヶ寺とくれば神仏習合に関連する縁起が有りそうだな、と自然に思えてくる。 
 

財田川(さいだがわ)を渡ると札所だ
山門脇にある境内図 山号は同じで両霊場を併記

 

 

    「第六十八番札所神恵院(じんねいん)」--- 江戸期までは山頂の琴弾八幡宮が阿弥陀如来を祀る第六十八番札所で、神恵院はその別当寺であった。しかし明治の神仏分離令によりご本尊と共に山の中腹の観音寺境内へ移転した歴史がある。

   神恵院の諸堂は境内向かって左手にあり、コンクリート製の覆いのような外壁をくぐると本堂である。今日のような雨天ではこの覆い部分で濡れずに読経できるのでありがたい。飛び石連休の月曜日だが、熱心なお遍路さんも見受けられた。

神恵院の本堂

 

   「第六十九番札所観音寺(かんのんじ)」---神恵院に続き参拝。同じ境内でありながら伽藍は観音寺のほうが大きく、古刹らしい歴史を感じさせる。実際に国重文の本堂をはじめ多くの文化財を有している。

    なお余談だが市名・駅名は「かんおんじ」、寺号は「かんのんじ」と読むので間違えないようにしたい。

こちらは観音寺の伽藍

 

    納経は両方の寺での読経を終えてから納経所へ向かった。と言うのも納経所は神恵院・観音寺共通で、お寺のかたも両寺のご本尊名「阿弥陀如来」「大悲殿(観世音菩薩)」を一気に揮毫された。

納経所の新しい建物

 

   札所をあとに財田川沿いの道を東進する。やがて予讃線とクロスすると国道11号線に合流する。四国の幹線らしく交通量が多く、財田川を跨ぐ橋のあたりは歩行に十分注意したい。

   橋を渡り左折すると程なく本山寺である。

予讃線と交差する

 

    「第七十番札所本山寺(もとやまじ)」--- 平坦な境内に整然と伽藍が並んでいるさまは寺格を感じさせる。それもそのはずで本堂(国宝)仁王門(国重文・右写真)をはじめとして数多くの有形文化財を有しており、なかでも五重塔は四国八十八ヶ所のなかでも4ヶ寺にのみ存在するもので、今は「平成の大修理」を終えて遍路さんを迎えてくれる。

本山寺の境内へ

 

   このような素晴らしい伽藍を擁した本山寺なので時間を掛けてじっくり拝観したかったのだが、帰京の列車の時間が決まっていたので読経を終えるや納経をそそくさと済ませ傘を開く有様で情けなや。宿泊先からのスタート時間をもっと早くすれば良かったのに後の祭りとはこのことである。

五重塔

 

   やむなく滞在僅か15分で本山寺をあとにする。駅(本山駅)へは境内左裏手から真っ直ぐ10分程度で着けるが、列車は1時間に1本しか来ないため乗り遅れては大変と早足で駅に駆け付けた。すると程なく2両編成の電車がやって来てホッ。

 

 「早起きは三文の徳」
 うむ、遍路にとっては特に重要、初心に(阿波国の頃に)立ち返って次回以降の巡礼に役立てよう!

雨天の中の弘法大師像

 

 

<参考>観音寺駅~神恵院・観音寺~本山寺~本山駅
タイムテーブル
  
(秋季雨天・軽装・やや健脚の場合)

    観音寺駅 9:10 ~ 9:35 神恵院・観音寺 10:15 ~ 11:45 本山寺 12:00 ~ 12:10 本山駅

本山駅に着いた

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