すべてのはじまり(6)



三人が向かったのは、オカルト研究部のある部室。
逃げ出そうとした零の襟首を、かすみが掴んで引きずってきたのだった。
「僕、帰ってもいいでしょう」
泣き出しそうな目をして、巫子とかすみを見る零。
その表情がとてもかわいらしくて、思わず頬を染める二人。
別の意味でやばい雰囲気を感じてしまう。
そしてこの表情が、零の運命を決めてしまうことになる。
その話は、今は置いておいて……。
零の懇願(哀願?)は無視され、部室の中に連れ込まれる。
そのとき、巫子もかすみも興奮していたことはナイショ。
傍から見ると、なんとも怪しげな光景だが……。
それはさておき(零「おかないでください」)。
中に入ると零が逃げないように椅子に座らせ縛り上げてしまう(よけい怪しい)。
そして、二人である本を探し始める。
そこに書かれているのは、今の窮地を覆すものが書いてあるはず。
探すこと十数分、なんとか見つけ出すことができた。
かすみが持っていた本よりも、さらに怪しげな本。
零の目には涙が浮かんでくる。これから何をされるのか……。
これが泣かずにいられようか、いやいられない。
そんな心境の零をよそに、かすみは開いたページを読み続ける。
「この魔法陣(サークル)は私では引くことができません」
一通り読んだかすみが、巫子にそう告げる。
あからさまにがっかりした表情を見せる巫子。
「これで、万事休すってわけね」
「いえ、そうではありません。魔法陣(サークル)を引くことができないだけで、直接描けばいいんです」
かすみはそう言って、開いているページを巫子に見せる。
「時間はかなりかかりますが、この絵のとおりに手描きでサークルを描けば大丈夫です」
「時間がかかるってどれくらい?」
「わかりません。結構複雑なのでかなりかかるかと思います」
そう言われて、腕を組んで悩む巫女。だが、悩んだところで他に手立てはない。
「時間がかかってもいいから、やるわよ。他に方法はないんだから」
「わかりました。では、部長も手伝ってくださいね」
「仕方ないわね。ゼロも手伝いなさい」
椅子に縛り付けているくせに、無茶を言う巫子。かすみが静かにツッコミを入れる。
「とにかく、二人でやるわよ」
巫子の号令の元、二人は部室の一室の広いスペースに魔法陣(サークル)描き始めた。



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