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夢見るHard Winds

…あとがき…

 長い間、温め続けたお話で、リース村と丘の上の5人と彼らを取り巻く人々の姿が心の中に当たり前のように息づいています。400字詰めの原稿用紙に換算したら何と550枚分! この枚数が多いか少ないか自分でも分かりませんが、本編と番外編を2作書いたところで一応のピリオドを打ちたいと思います。
 アナログ時代から、いつ終わるかも知れない連載に付き合ってくださった皆さん、あなた方が「丘の上」の仲間達を愛してくれたからこそ完成することが出来ました! 心より感謝いたします。

 …さて、かき上げた後のネタ晴らしを少し…(あ、本文が終わってない方は、この下はご遠慮下さい…)

 まずロッドのこと、最初に「文芸クラブ」のリレー小説で書き上げて貰ったときは最後まで生きてました。それどころかもう1人、メンバーがいて…丘の上は6人だったのですね。アレクはもっと寡黙で陰気な役どころで、爽やかに明るいリードの相棒的存在の男の子がいました…何と名前は「リカルド」。まず彼が切られました、その分、アレクが格好マンに変身!! 結局、良かったのかも知れません。
 ロッドはね…やっぱりなんだかんだ言って、タウンを引きずっていた人だと思うんです。暗い過去を誰よりも鮮明に背負って…国王一家の惨殺現場にも居合わせたわけですし、いくら弟妹たちに「自分の力で生きていくこと、王政を葬り去ること」を伝えながらも、彼自身は苦悩していたのではないでしょうか? そう言う気持ちを込めて、ああいう結果にしてしまいました。余りに可哀想で番外編にも登場してきますが…結局、浮かばれなかったですね…

 ミスターカーター…まさか彼があんなに後半、出張るなんて作者も意外でした。メアリとのエピソードは書きながら即興で考えたもので…全然考えてなかったのです。とりあえず、グレイン家の使用人だった、と言う設定だけは決めてたのですが…。すっかり主役を食っちゃって…困った方です。実のところ、こういうタイプの方は実生活では苦手です(笑) この方の役どころをそのままロッドに移行すれば…彼は生きていられたのね、とも思います。どちらがベストだったのでしょう?

 リードは…最後まで動かしにくく、番外編に至っては思いあまって視点をキャシーに移してしまいました。ただ、悶々と考えている子でしたね。ふつーの男の子だなあと思います。彼は上のロッドやアレクほどはタウンの記憶がなく、下のキャシーとジミーほどは吹っ切れてない。何とも中途半端なポジションでした。イラスト化しても全然決まらないし…。若気の至りで考えた話だと言うことが丸分かり…お恥ずかしい次第です。

 Webで書こうと執筆再開した時点で仕上がっていたのは6章の途中まで。その後はだーっと1ヶ月ぐらいで一気に仕上げました。6章までとその後はとてもブランクがあります。例えば、ロッドの最後のシーン、仲間達が悲しみに暮れるシーンなどは祖父を亡くした後だったからこそ書けたと思います。ささやかな当たり前の人生経験のひとつひとつが作品に影響を与えているのですね…

 この作品で一番書きたかったのは…察しのいい皆さんが気付いてくれて嬉しいですが(良かった〜)…前向きに明るいキャラ達です。窮地に立たされようとも自分の内面から生きる力を生み出せる人間達。「生きていこうよ!!」と大声で叫べる前向きさは見習いたいです。

「小説」として見た場合は稚拙な部分が目立つと思われます。多分、私の初めて仕上げた作品のひとつになるでしょう。番外編の2作も付け足して…私の心の中で「Hard Winds」の仲間達が役目を終えた気がします。もしも、この作品に最後までお付き合い下さった方はどうぞ、ひとことでもいいですから感想を聞かせていただきたいと思います。

 本当に、長い間のお付き合いを感謝いたします。今後とも「広瀬」作品をよろしくお願いいたします。ありがとうございました!!

(2001,10,2 AM1:25)
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