2010年4月18日、根尾川のアマゴです。前日九頭竜川に行き、翌日昼からふらっと出かけて、ほっと一息の1尾です。リールはストラディックCI4。これにしてもセルテートにしても、ミッチェル使いの私の場合、やっぱり瞬間ストッパーでラインピックアップしにくいのがストレスです。で、ふと思ったのですが、首下にあるストッパーレバーをボタンにして、押している間だけストッパーがオフになり手を放せばオンに復帰する機構を作ったら、操作性がよくなるのではないでしょうか。それだとストッパーをオフにしっぱなしにできませんが、どのみちいまのレバー位置ならそういう使い方はしないし不可能でしょう。ダイワのバス用スピニングにはストッパーレバーのないモデルもあるのですから、問題ないはずです。さっそく特許をとって、シマノかダイワに売り込んで・・・あかん、こんなところに書いてしもうたわ。 (2010/4/19)

 まあ、そんなことは、どこもとっくに考えていることでしょうね。私は学生のころリールの機構を考えるのが好きで、完全平行巻き機構をいろいろ考えましたが、エリプティカルオシュレーション、エリプティックオシュレーション、タイムフェースドオシュレーション、エアロカムは思いつきましたもん(でもS字カムは思いもよらなかったナ・・・)。だいたい普通の人が思いつくくらいのことは、どこの会社でもとっくの昔に考えているものなのです。リールの基本構造なんて何十年も前から変わっていないのですから、アイデアというアイデアは出尽くしているのです。それを使うかどうかは、いま市場に出してうけるかとか、他社が特許を押さえているかとかで決まるのです。

 たぶんボディーの下にボタンを付けてラインピックアップを容易にするアイデアも、特許くらいとっている会社はあると思います。特にダイワは何年か前の投げリールにスーパーオートキャスト機構といって、おなかのボタンを押すとストッパーがオフになり、ラインローラーが手前まできて止まる(たぶん機械式のセルフセンタリングストッパーが併用されていたのでしょう)というのがありましたからね。

 1日数十投の投げリールより、1日数百投のルアーリールでこそこういう機構があっていいと思うのですが、どこかやってくれませんかねえ。現在のストッパーレバーでも、レバーのバネ力が常にオン方向にだけ働くようにしてやれば、重量もコストもほとんど変えずに、同じ効果が得られます。全部自動でやろうとするとセルフセンタリング併用とか、昔のファーストキャストになってしまいますが、ちょっと動作を助けると発想を変えればいいんじゃないかしらん。もっとも、私の場合は、ふだんミッチェルをストッパーオフで使っているために、たまに現代のリールを使ったとき不便に感じるだけなのかもしれませんけどね。

 前日の九頭竜川? もちろんボウズでした。でも、今年は2月13日に1尾釣っていますから、九頭竜川のサクラマスは打率5割ということになります(来週くらいから田植えのために水が減っちゃってシーズンは実質的に終わるのでたぶんもう行かない)。ニシムラマサヒロ氏であれサワダケンイチロウ氏であれ、九頭竜川のサクラマスを5割の確率で釣れるでしょうか? いかに私が偉大なアングラーであるかということです。去年までの19年は計算に入れんのかって? 私はそのような過去にこだわるみみっちい人間ではないのだ。

 ところで、最近パソコンのディスプレー(17インチ)が壊れて買い換えたら、解像度が上がっていたらしく、それに合わせて設定を変えたところインターネットの見え方が変わってしまいました。解像度が上がった分ちっちゃく表示される(小さくてもくっきり度はたぶん同じ)ようになったのですが、うちのサイトなど画面の左半分くらいになってしまいました。まあ、作っている人が左寄りの人なのでええかとも思ったのですが、半分が真っ白けではいかがなものかということで、こうしてみましたがどんなもんでありませうか。ただ、表紙はともかく、他のページも全部直すと、えらいこっちゃなあ。

 2010年4月10日、庄川のヤマメです。ぼちぼちもう一回くらい九頭竜川に行こうと思っていたのですが、8日に飛騨川方面に行って丸ボウズを食らったもので、また九頭竜でボウズ(行く前から決め付けることはないが99%そうやろ)を食らうのは嫌だと思い、また庄川に行ってしまいました。ところがどこもかしこもエサ釣りのおっさんばっか。支流へ逃げてやっとこれ1尾ということになってしまいました。後で聞いたら放流日だったとか。いまはヘラブナ釣りをやる年配の人でも携帯で連絡を取るから釣れる釣れないでお客の数がてきめんに変わるそうです。渓流エサ師のおっさんも同じなんでしょうな。せやけど、おっさんおっさんゆうて、自分もおっさんやがな。 (2010/4/12)

 おっさんやなんやといえば、去年うっかり坂内川のアユ解禁日に釣行してしまったとき、川に下りて驚きました。ルアー・フライの人もおっさんばかりになってきていますが、アユの人はおっさんを通り越して白髪のおじいさんばかりでした。どうなるんだ釣りの世界は・・・。

 丸ボウズを食らった8日の飛騨川(白川)では、あらためてセルテート2004を使ってみました。川が広いのでバックリバー66と組んだところ、重心の遠さや重さはあまり気になりませんでした。しかし、ロングロッドで広く探ると、巻きの遅さ(実際に遅いというより回転が軽すぎて遅く感じるのもあります)がよけいに気になりました。そう考えると10ステラにあるC2500HGS(何たる品番・・・)は的を得た企画みたいです。

 セルテートは1003に2004スプールを付けたら良さそうだなと思いますが、そう考えたらすでに持っている08ツインパワーC2000Sこそそういうリールだということにあらためて気づきました。こやつはベールアーム支持部が1度ならずも2度までも磨耗したため引退させる予定でしたが、ミッチェル308Xでやったようにボスに真鍮板を巻きつける方法で修理して、復帰させました。ベールアーム側も磨耗しているので、ガラスが顔を出しているはず。ならば真鍮板も磨耗するはずですが、308Xはいまのところ(2回くらいしか使ってないけど)大丈夫みたいなので、ツインパワーもそこそこ使えるでしょう。ダメなら今度はステンレス板でも巻きましょう。世の中にはステンレスや真鍮の薄肉パイプもあるようですし。

 ところで、セルテートなどについて人民諸君はどう思っておるのであらうかとブログ検索などしてみると、きまっているのが、ハンドルノブにベアリングが入ってないとかラインローラーのベアリングが1個しかないとか文句をいっているベアリング信者の方々です。

 ハイエンドでもないリールをつかまえて、ベアリングがすみずみまで入っていないと文句をいうのは、いちゃもんでしょう。ましてセルテートは事実上分解不可能ですから、内部優先でベアリングを入れるのはあったりまえの話((C)石原極右都知事)です。ラインローラーベアリングにしても、ラインローラーがベアリングでクルンクルン回るほど糸ヨレやラインダメージが減るって誰か証明したんですか?(思わずDAIWAの代弁をしてしまった・・・)

 そいでもって一番言いたいのは、そこまで回転部分や摩擦部分にこだわる人たちが、樹脂系ローターのベールアーム支持部について何もいわないのは、摩訶不思議なことだということです。

 で、修理したツインパワーは? 庄川で使いましたが、半日使ったらやっぱりミッチェルが恋しくなって、持ち替えてしまいました。だから上の写真もミッチェルです。つくづくヘンタイです。

 2010年4月4日、庄川のヤマメです。ツインパワーを買ってもセルテートを買っても、やっぱりミッチェルに帰ってしまう私。写真の308は一見308に見えますが、中身は408のスパイラルベベルです。このギアはちょっと前まで308プロ、その前は黒い408Aに入れていたやつで、もともとは90年代にアングリングの個人売買のページで買ったぼろんぼろんの408に入っていたものです。現在のネットオークションでもトラブルはあるようですが、現物を見られない昔の雑誌の個人売買はそれはそれは危ないものでした。電話による説明では「傷はあるけど使えますよ」というものだったのですが、届いたリールは塗装が面積にして2〜3割剥げている、ピニオンベアリングはよくギアが飛ばなかったものだというくらいガタガタに緩められてる、トリップレバーはお決まりでひん曲げられている、ローターナットもペンチか何かで回したらしく傷だらけ、ハンドルクランクも曲がってる、ストッパーの歯も1か所飛んでいると、それはそれはひどいものでした。これでたしか2万円だったはずです。最近部屋の整理をしていたらそのリールを売りつけてくれた人の住所と名前を書いたメモが出てきたので、不幸の手紙でも出してやろうかと思いましたが、やめておきました。 (2010/4/6)

 もっとも、当時新品の408は5〜6万(*)していましたから、動けば2万でもいいだろうと思ったのかもしれませんが・・・。それに、3台のリールを渡り歩かせて、十分元を取るくらい使ってますね、このギア。408のスパイラルベベルの耐久性はたいしたものです。歯面がなじんでもうギアのグリスも濁らないくらいです。ベアリングは緩んだまま使われていたせいでゴーゴーとものすごい音がしていましたが、さすがになじんでもう1台持っている70年代ものの408に近いくらいのレベルに落ち着いてきました。

 ん、これ前書いたかな? まあいいか、かれこれこのサイトも10年近いからな・・・(そういえば昔よく読んでいた中島らものエッセイ集に、前書いたことを忘れていて同じエッセイを2回書いてしまったという話が載っていました)。

 ロッドは、昨年暮れにアングリング・ファンの連載のネタをかねて、SiCニューコンセプトに改造したイーグル66です。現在発売中の記事中には、ガイドの位置決めについて、富士のカタログにのっとって仮付けした後、ロッドを曲げて極端な屈曲部がないかチェック、微調整することと書いています。

 記事的にはああ書きましたが、正直に言いますと、私、そんな丁寧なことしたことありません。たいていカタログの標準位置そのままに付けてしまいます。ガイド位置を変えるのはたいてい旧式のガイド構成をニューコンセプトにするケースなわけで、ガイド数があんなに増えて、しかもだいたい等比級数的な配置になっているに極端な屈曲部が出るようなら、そりゃブランクがおかしいだろと思うわけです。めんどくさくってやらないいいわけですけどね。

 富士のカタログどおりの位置にガイドを付けると、たいていバットガイドが元の位置より遠くなります。それも、旧式の場合バットガイドはLVSGですから、YSGになれば遠くてもいいだろうと考えて、やっぱりカタログどおりにしています。

 バットガイドといえば、12Lbくらいのナイロンを使ってバスをやっていたころ、ラインがバットに巻くのを防ごうと、バットガイドを極端にリールに近づけたことがありましたが、かえって抵抗とライン巻きが増えた印象でした。富士のカタログを見ると、投げ竿においてバットガイドは遠いほうがライントラブルが減るとありますから、逆をやっていたのかもしれません。最近はトラウト中心になって使用ラインが細くなったので、実際どうだったのかは分かりませんが、これも現在カタログどおりの位置にガイドを付けている理由です。

 もう1本、グリップを替えたHMX60(前回の扉写真のロッド)のほうですが、あっちはいまいちな結果になりました。グリップそのものはいいし軽くなったのですが、調子が変わっちゃったんです。

 グリップを替えると意外に調子が変わることがあります。一番影響が大きいのはスライドリングシートをスクリュー式にしたときで、明らかにバットが硬くなります。HMXの場合はフロントコルクと斜めにカットされたデザインの樹脂シート(米国仕様日本未発売)のパイプ部分との間にすき間があって、ブランクはそこを基点に曲がっていたようです。しかし新しく付けたシートは、コルクの部品を一つ一つ密着させて接着していますから、この部分の自由度がなくなりました。結果バットが硬くなってしまったのです。

 HMXは元々ティップのカーブとバットのカーブがアンバランスだったのですが、それなりに硬さのバランスは取れていました。それが、バットが硬くなったため、よりいっそうティップ部だけがへの字曲がりするような調子になってしまいました。ちょっと重いものを投げるとティップだけが負ける感じです。

 ガイドにせよグリップにせよ、ロッドの改造は当たるも八卦みたいなところがあって、こういうことも起きます。だからこそ、そこそこ当たった場合はお気に入りのロッドになるわけです。だから、同じ66で客観的に比べれば去年買ったテーパーアンドシェイプのほうがずっと軽くていいロッドなのに、イーグルのほうを持ち出しちゃったりするわけです。

(*)店で売られている新品という意味ではなく、販売が終了された後、中古市場で売られていた新品レベルのリールという意味です。90年代はこのくらいしていました。70年代の価格は15000円くらいでした。

 2010年3月28日、根尾川のアマゴです。魚は少しボロいですが、リールはおニューの10セルテート2004です。3万円以上の高級リールを買ったのはどれだけぶりでありませうか。仕事も減っとるのにこんな高いリール買っとってええのかというところですが、よく考えたらここ数年は数か月おきにステラやイグジストが余裕で買えるお金がシトロエンの修理のためにぶっ飛んでおったのですね。そのことを思えばセルテートの1台くらいどってこたあありません。酔狂なことをしとったものですわい。なに? いまどきミッチェル308や408を使って釣りをしているのも同じだろって? ぜんぜん違います。だってミッチェルは壊れないもん。電気系統がないんだから。(2010/3/29)

 それはさておきセルテートですが、こと2004に関しては渓流ルアーには微妙なところでした。6フィート以下の軽いロッドに組むと重さが気になります。特にこの日は谷にも入ってサイドハンドキャストなどを多用したのですが、そうしたとき特に重く感じました。スプールもちょっと遠い感じです。巻き取りもアップストリームキャストにはちょっとしんどいかなというところ。

 自重220gはカーディナル33と同じはずだから表示が違っているのかなと帰宅後体重測定してみたら、そんなことはありませんでした。むしろ、カーディナル33はスプールにラインをいっぱいに巻くと230gに達し、セルテート2004よりも重くなります。

 どうやら脚が長くて重心がロッドから離れているのが原因のようです。オーバーヘッドよりサイドハンドキャストでより気になることからもこれが理由でしょう。2000番は2500番と共通ボディーなので影響が大きいようです。フェザリング性がいまいちなのもここからきています。

 巻き取りはスプール前ツバ径42.7mm(実測)から有効径を41mmとすればハンドル1回転約62cmとなります。カーディナル33(スプール径44mm)で片側2mm控えめに巻いたら64cmです。ミッチェル408(スプール径40mm)で片側2mm控えめに巻くと62cmです。これらと比較すると、けっして遅いわけではありません。どうも、回転があまりに軽いのと、ハンドルノブが厚くてちょんとつまんで手首だけで回すのがやりにくいため、遅く感じてしまうようです。ノブに関しては慣れの面が大きいかもしれません。

 以上は、セルテートがいいとか悪いとかではなくて、このモデルの2004は軽いショートロッドと組み、すばやいリーリングが必要な渓流ルアーには向かなさそうだということです。

 おそらく1003に2004のスプールを付ければ、以上の点はすべて解決するはずです。自重が軽くなるだけでなく、脚が短くなるため重心がロッドに近づきます。1003ボディーだけでもフェザリング性はよくなるはずですし、2004スプールを付ければさらに指は楽に届くでしょう。1003はハンドルクランクが短いため、軽すぎる巻き取り感も改善されてルアーの感触が分かりやすくなるはずです。2004のスプールを付けるなら巻き上げ速度自体はけっして遅くないのですから、クランクが短くなって手首だけで回せるようになれば、実質的にスピードアップとなるでしょう。もっとも、1003を買って2004エアスプールを付けると、いきなり4万円台のリールになってしまいますが・・・。

 従来モデルのイグジストやルビアスなどで2004が渓流用というイメージだったのでこの番手を選んだのですが、2010DAIWAルアーフィッシングカタログのセルテートラインナップのページ(同社ウェブサイトにも同じものあり)には、「渓流トラウト」が載っていません。1003がライトソルトとエリアフィッシング、2000がバス、2004はライトソルトとなっています。たしかにライトソルトなら使用ロッドも長いしわざわざサイドハンドキャストもしませんから、2004でいいでしょう。シビアなフェザリング性も要求されませんからスプールが遠いのも問題にはならないでしょう。

 最初このカタログを見たときは、渓流トラウトはメーカーが無視するくらいマイナーな釣りになってしまったのかなあと思ったのですが、もしかすると(つるしの状態の)セルテートに関しては向いている番手がないから正直に書いていなかったのかもしれません。ふつうなら、無理やりにでも(?)1003か2004のどちらかに「渓流トラウトにも」と書くところを、あえてそうしなかったとしたら、良心的ですね。

 2010年3月22日、根尾川のイワナです。画像がちょっと明るすぎるのは、前日取材先でEOS10Dの露出補正を+1/2にしたのを戻し忘れたからです。とほ。明るすぎるといっても、前よく釣行に持っていっていたサイバーショットはこのくらいに写ることが多かったし、失敗というほどでもないか。EOSは、暗いのは画像処理ソフトで何とかなっても白く飛んじゃったら戻せないからという考え方で、暗めにセッティングしているのでしょうね。リールはストラディックCI4 1000F。私でもたまには近代的なリールを使いたくなるのです。
(2010/3/23)

 近代的なリールといえば、08ツインパワーのC2000Sも使わないともったいないのですが、またしてもベールアーム支持部が磨耗してしまいました。09年シーズンの初めに巻きが前寄りになったのに気づいて調べたら、ベールアームの穴とローターのボス部が減っていました。それでパーツを注文して自分で組み替えたのですが、去年5回しか使ってないのに、今シーズンはじめに見たらまた同じようにガタがきて巻き上がりも少し上に上がっているのに気づきました。仏の顔も三度まで・・・じゃなくって、三度目の正直・・・じゃねえや、二度あることは三度ある・・・ともちがうか、うーんあれだ、一度ならずも二度までもってやつで、引退です。

 シマノのリールであの部分がひどく減ったのは記憶にありませんし、アルテグラAD1000Sも08バイオ2500Sも写真のストラディックもいくつかある98モデルなども特にひどい磨耗の形跡はありません。私のツインパワーの場合はかなり初期からベール支持部から黒いザラザラした感じの磨耗粉を多く含んだグリスが出ていましたし、いまベールを耳元で開閉してみても、シャッというガラス繊維同士がこすれるような(?)音がしますが、他のリールは開閉音からして滑らかです。アフターパーツのローターの成型年月刻印が最初のローターと同じだったことからみても、続けて成型状態の悪い部品に当たったのでしょう(どんだけ不運なんや・・・)。

 ベールではありませんが、昔95ナビXT1000で、買ってきてラインをスプールに巻いただけでピニオンの後ろのボスがめちゃくちゃに減ってしまったことがありました。だからピニオン後端直受けはいけないと思ってきましたが、その後買った04ナビ1000とか08バイオ、ミッチェル・アボセットなど直受けピニオンでも減らないやつは減りませんでした。こういうガラス繊維入り材料はちょっとした成型状態の違いでガラスが浮いたりするとこういうことが起こるようです。そう考えると、いま大丈夫なリールも表面の樹脂の膜一枚でもっているだけなわけで、やっぱり繊維強化系の樹脂を摺動面に使うのはやだなあと思ってしまいます。でも、いまそんなことを言ったら、ステラしか買うリールがなくなってしまうわけですが・・・。

 さて、ストラディックCI4ですが、やっぱり川で使うならこのくらいのギア比(6:1)はいいですね。でも、ちょっと気になるのはハンドルノブです。特に渓流など軽い力ですばやく巻くときはノブを指先でつまみますが、フラットな面のない円形断面ノブはつまんで巻くことができません。アメリカ人はそんなこと気にしないからいいのかもしれませんが、よくよく考えたら国内向けカーディフも同じような形状のノブでした。あれは好評なのでしょうか。

 いつぞやも書いたように、三段腹巻きを避けるためにオシュレーションがギア比以上に速くなっていて、巻き取り感だけでなく飛距離もツインパワーより落ちる感じです。ツースピード化して対策はしてありますが、影響は消しきれていないようです。こうして設計の自由度を奪う点からみても、やっぱり10ステラでスパッとウォームシャフト平行巻きはやめたほうがよかったと思うのですが、もし10ステラがカム式平行巻きだったら、小オフセットピニオンとかピニオン後端ベアリングとか、まんまセルテート&イグジストになっちゃいます。悩ましいところだったのでしょうね。

 2010年3月13日、根尾川のアマゴです。写真は成魚放流魚(放流日は先週)でしたが、けっこう積極的にルアーを追ってきました。このほかにチェイスとバラシがあっただけでなく、放流場所とされていないところでも足元まで追ってきて食った魚(ただしこれもバラした)がいたりとシーズンインの雰囲気です。それで気をよくして(ETC車載機の元を取りがてら)あくる日庄川に行きました。しかしというか当然というか、さすがに荘川はまだ真冬であっさりボウズを食らいました。ここ何年かこの時期は根尾川や坂内川など家の近くをうろついてばかりだったので、庄川が1か月遅れなのを忘れていました。 (2010/3/15)

 荘川村でも昼間はネオプレーンウェーダーの中がぐしょぐしょになる陽気でしたが、山も川原もまだ真っ白ですからそこから浸み出す川の水はまだまだ冷たいです。ところで「しょうかわ」は、村は荘川、川は庄川です。

 ロッドは、SiCニューガイドコンセプトに換装したイーグルGT66です。ティムコカタログからの推測ですがフェンウィックの2ピース66ライトアクションは、かつてのFS64(といっても持ってないが)の流れを汲むスローテーパーでウルトラライトに近いライトアクションということのようです。

 私の持っているロッドではレガシー(日本では後に商標の関係でランカーギアとなる)の65(66)がそんな感じで、当時のカタログにも「往年のFS64を髣髴とさせるロッド」と書いてありました。レガシーの65はトップガイド8〜バットガイド30の巨大なガイドでグラスチックなしなりを出している感じでしたが、写真のイーグルはステンレスリングの軽量ガイドを使用、その分ブランクを細くしてソフトな感じを出しているようでした。スペックもルアーウェイトがレガシー65の1/8〜3/8オンスから1/16〜3/8オンスに、適合ラインも4〜10ポンドから2〜8ポンドへと変わっていますし、実際ブランクだけ見たら軟らくなっています。

 ただ、やはりトップを入れて総ガイド数6個の旧式のガイド構成だったので、キャスト時など力が逃げる感じでした。この点がニューガイドコンセプトへの改造でどうなるかという興味もあって、ガイドを替えたのですが、結論からいえば成功でした。キャストのときの力が逃げる感じがなくなり、トルキーにルアーを飛ばせるようになりました。

 力の逃げる感じがなくなったのは、ガイドが密になってラインのゆるみが減ったことのほか、単純にガイドの足縛り部が増えた分硬くなったのもあるでしょう。総ガイド数が2個増の8個になり、先のLSGガイド2個分で約2.5センチがガイド足とともにスレッドで縛られているわけですから。

 予算およびデザインためにステンレスフレームのガイドを使い、スレッドを太めのDスレッドにしたのも、ロッド自体の重さでしなるグラス的なトルク感につながったようです。スレッドを太めにしたのはLSGの首下がしっかり埋まるのが理由です。

 ブランク自体も悪くなかったようです。このロッドより前に買ったHMXの60(いずれも米国仕様)は中ほどから曲がり始める(つまりスローテーパーな)穂先に張りの強すぎるバットを組んでいるためちぐはぐなカーブを描きましたが、このイーグル66は全体がスローなためそういった違和感がありません。年式が新しい(といっても05年購入ですが)せいかジョイントの曲がりもHMX60よりはスムーズに見えます。

 結果、全体のしなりでトルクフルにルアーを投げ、軟らかすぎない穂先でアワセもきき、それでいて全体にずしっと曲がって釣り味もいいという、お気に入りのロッドになりました(SiC仕様のFS61Jにちょっと味が似ています)。

 もっとも、自分でガイドを巻いたロッドだからそう思うだけで、現在市場にあるロッドの中に入れてしまえば、単にスローテーパーでダルなだけのロッドかもしれません。そうであったとしても、世界に1本のお気に入りのロッドを手に入れられるのが、ロッドいじりの楽しさであります。

(このロッド改造は、2月売り3月売りのAF誌の連載でネタにしています。ただしガイド交換編の写真点数があまりに多かったので、ガイド編のうち取り外しだけを2月売りに入れました。あらためて考えると2月売りはグリップ交換のみにして、ガイド交換は少々きゅうくつでも3月売りにまとめるべきだったかも。日々これ反省ですなあ。興味のある人は両方買ってね)

 今月売りのAF誌の連載で使うロッドコーティング用のエポキシを混ぜている写真です。ときどきここで書いているように、私はエポキシを混ぜたときの臭いをかぐと体調を崩すため、やっかいな撮影となりました。撮影と作業を別の部屋で行い、作業は塗装作業用のマスクをして行いました。では、この写真はどうやって撮ったのか? 実はカップの中で混ぜているのは、エポキシではなくてハチミツです。樹脂で作った食品サンプルの逆パターンですね。 (2010/3/8)

 異変に気づいたのは10年くらい前でしょうか。ロッドのガイド交換をするとなぜか腹を壊すのです。これもここで書いたことがありますが、私はもともとIBS(イワイ・バスフライ・サーフェースシステム・・・じゃないって)もちなので、スレッドを巻くなど細かい作業で神経を使って調子が悪くなるのだろうと思っていました。

 ところが、あるときグリップ交換をしただけで同じ症状が出ました。グリップ交換なぞエポキシ接着剤を塗って突っ込むだけですから、神経を使うほどのものではありません。それでいろいろ記憶をたどってみて、これはエポキシだという結論に達したのでありました。実際、塗装用のマスクを使ってみたら症状は出なくなりました。また、マスクのフィルター(密閉して保管しないと空気中の雑多なものを吸って吸着力がなくなってしまう)がダメになったのを気づかずにいて症状が出たこともあるので、エポキシが原因なのは間違いないでしょう。

 どんな風になるかというと、エポキシを使った翌朝、朝食後に胃のあたりに違和感を覚えます。なんだか悪いものでも食べたように吐き気がしてきます。その不快感が徐々に下に下りていって、腹と背中の筋肉(?)が痛み出し、トイレにかけ込むことになります。さらに頭痛が1日か2日続きます。ひどいときは顔に吹き出物が出てきます。

 一時期ロッドの改造に凝って締め切った部屋で(ほこりを嫌うのと温度を安定させたいため)エポキシを使いまくったせいだろうと思うのですが、90年代に勤めていた会社でラッカー系の塗料をマスクもなしに大量に扱ったり他の部署(金型洗浄や組み立て)で使われるシンナーが気化したのを恒常的に吸ったりしていたのも化学物質過敏症(でしょ、たぶん)になった原因かもしれません。

 ダメなのはエポキシだけじゃなくって、磯釣りスペシャルの記事で磯用スパイクシューズのサンプル6足を部屋に置いていたら翌朝エポキシと同じ症状に見舞われたこともありました。新品の靴から出る溶剤臭のせいでしょう。液体蚊取りも明らかにダメで、夏など大変です。先月買った日産製フランス車(ミッションのみ)も新車の臭い(=接着剤の残り香)が怖いので窓を開けて乗っています。

 こんな体になってしまったもののまだ助かっているのは、なぜか花粉症だけは(いまのところ)大丈夫なことでしょうか。

 さて、そんな体に鞭打って決行したフェンウィック・イーグルのガイド巻き替えですが、撮影と同時進行だったため、失敗もいくつかありました。

 まず、スレッドの糸端を抜く際、3回4回と失敗が続きました。5回目くらいにようやく気づいたのは、1000m800円の超安物ナイロン1号の引き抜きループが抜く瞬間に切れていたのでした。そこでサンライン海平1号にしたら問題なく抜けました。同じボビン巻きの糸でもメーカー品は違うんですね・・・。

 作業が全部終わってリールを付けたら、バットガイドとリールシートが5度くらいずれていました。とほほです。たぶん実害はないのでそのままにしようかと思いましたが、気にしだすと気になる人なので、結局バットだけまたはがして巻き直しました。

 さらにおとといそのイーグルを持って庄川に釣行したのですが、釣りながら気づくと、なぜかラインの先端から1.5mくらいのところ数か所に根ズレしたような傷が付いていました。おかしいなと思いましたが、帰宅後気づいたのはトップガイドFSTのブリッジ端がちょっと浮き気味で角になっていたことでした(不良品?)。ルアーを水面からピックアップした瞬間に穂先にラインが絡み、絡みに気づくまでの一瞬キュッと巻いたときにラインが傷ついていたのです。他のロッドのFSTはこの部分が低いかロウ付けのロウで肉盛状になっていてラインが傷むほどの絡みになっていなかったようです。

 この部分はUFMやテーパーアンドシェイプのロッドのようにスレッドがブリッジの際までくるように巻き直すはめになりました(トップガイドを外さずスレッドをカッターで取り除くのがどんだけ怖いか・・・)。で、昨日1日で作業は終わるはずだったのですが、なぜか2回目のコートが元側に偏って失敗。もう巻き直すのはいやだったのでG誌のロッドビルディング連載を参考にペーパーで整形、再コートすることにしました。ところが、削りすぎて毛羽立ちが出てしまいました。またまたG誌を見たらライターであぶるといいと書いてありました。なるほどこういう手があったのかとあぶったら、コーティングが薄くなっていたせいか、一瞬着火(おいおい)してスレッドが一部出てしまいました。

 エポキシが染みればまた元の色になるだろうと最終コート、現在フィニッシングモーター回転中ですが、こういうケースでは色は元に戻らないのですね。われながらグズグズです。なんやかやで、イーグルのガイド巻き替えに行ったエポキシコートの回数は、実に合計8回にもなりました。

 もっとも、それだけ手間をかけても(手間をかけるから?)、ロッドをいじくるのは面白いんですね。だから、マスクをはめてでもやっちゃうんです。

 2010年2月28日、朽木渓流魚センターのニジマスです。週末のひどい雨で川はどこも絶望的・・・じゃあエリア行くかってことで、遊んできました。ひどい冷え込みで、そのせいか朝方釣れたのは小さいイワナばかりでした。最近、管釣りロケで決まって寒波に見舞われますが、プライベートまでとはどういうことなのでありませうか。おかげで小さいイワナばかり釣れているうちにフラシの中の魚がリミットの10尾に達してしまい、昼ごろ釣れたこのヒトを含む大きいニジマスはリリースすることになってしまいました。な、なに、フラシ !? (2010/3/2)

 キャッチアンドリリース主義者が、宗旨替えかって? そういうわけではありませんが、管理釣り場の魚はもともと食用に養殖されたものですし、リリース後再生産につながるわけでもありません。かつての保古の湖(いまはワカサギ釣り場)のように広い水域で野生化する可能性もありません。まして朽木渓流魚センターのように大量放流で成り立っているところで持ち帰るのは、むしろ魚が循環して好ましいのではないかと思います。

 これをきっかけに自然渓流でも・・・ということはありません。漁協の放流でごまかしているだけで実質絶滅状態ではないかという渓流魚を、いまだやらずぶったくり方式で釣っている人たちと一緒になってぶんどりあう気はありません。将来、環境が劇的に改善されて川に魚があふれ、釣り人の意識も変わって根こそぎオジサンがいなくなれば、常識的な範囲でいただくことはあるかもしれませんが・・・。

 日本でキャッチアンドリリースが定着しているのは、エリアトラウト、バス、ヘラブナの3つくらいでしょう。全部、非自然魚です。この3魚種を捕って食っちゃえとはいいませんが、その一方ほとんどの自然魚でやりたい放題とは、おかしな国です。

 この日、フラシの中の魚が10尾になったとたん集中力が一気になくなったのには、自分でも驚きました。完全に魚捕りモードになっていたのです。そもそもリミット10尾まできっちりキープしてくるあたり、浅ましいです。釣りは狩猟本能に訴えるものだから、その人の本性をあぶりだしてしまうのでしょう。

 自然の川でもそうなるんじゃないかって? 川の場合は、持ってくる代わりに写真を撮ってきますから、それはないでしょう。この日もフラシ(レンタル)を返した後の2時間は、こうして写真を撮ってきました。写真を撮るとちょっぴり満足です。朽木に行ったのは場所を選べばこういう写真が撮れそうだからというのもありました。コンクリートの池や桟橋からの釣り場では不可能ですからね。

 写真に写っているスプーンはバイトの6gです。こういうサイズを管理釣り場で投げるのはあまりほめられたことではありませんが、小さいスプーンやミノーに飽きたので最後に投げてみたら、意外によく釣れました。イワナやアマゴの反応もよく、どのくらいのスピードでどんな泳ぎをさせると反応がいいかを観察できました。魚がめったに追ってこない自然の川ではできないことです。

 カーディナル33を管理釣り場で使うとストッパーの音で魚が釣れないという俗説がありますが、ストッパーをかけてても釣れた魚はいました。でも、自分自身がうるさいので通常はオフにして、ランディングのときだけかけるミッチェル式で使いました。ただ、この日、ネットを手にしたときストッパーを入れるのを忘れていてリールが逆転、ラインが絡んで逃げられた魚がいたということは、口が裂けてもいえません。

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