2010年6月3日、魚野川のニジマスです。この釣行の直前、にわかにベイトリールで投げたくなりました。で、持参したのが2500Cと写真のバンタム・クロナーク100でした。最初は雰囲気で2500Cを使ったのですが、ブロックを新品に換えていった遠心ブレーキが効きすぎていまいち飛びません。さらに、ハンドル1回転40cmの巻き上げ速度では渓流でなくてもしんどい・・・。で、クロナークに選手交代です。あらためて使ってみると、むちゃくちゃ飛ぶわ巻き上げも速いわで、こと重いスプーンに限るならスピニングにひけを取らない感じでした。408や33をツインパワーやセルテートと比べたとき、フィーリング面はともかく実用面で困るほどの差はありませんが、ベイトは飛距離や巻き取りスピードが効いてきますから、なかなか雰囲気だけでは選べませんね。 (2010/6/21)

 そうはいっても、写真のクロナークも93年くらいのモデルですから、17年も前のなんですね。月日の経つのは早いものです。これはいわゆる赤メタの輸出版で、写真のリールはスプールを国内向けのものに替えていますから、キャスト性能は赤メタそのもののはずです。

 17年前のモデルといっても、ほぼ完成の域に達しているものですから、重めのスプーンなどならひょっとするとスピニングより飛んでいるのではというくらいブッ飛びます。同じ日に使った前の前の表紙写真のヤマメと一緒に写っているスピニングタックルより飛んでいた感じです。ただ、あのスピニングタックルは、ルビアスのラインが不足気味だったので、万全の状態の比較ではありませんが・・・。

 ベイトを川で使ったのはほぼ初めてですが、巻き取りの感度がいいのには感心しました。回転・往復部分の慣性が小さいため、スプーンの動きがハンドルによく伝わってきます。これはスピニングより優れている部分でしょう。もうひとつ間違いないのは、投げていて楽しいことです。

 SVSはクリアのブロックを3個オンの状態です。本当はブロック2個にしてメカニカルブレーキ(キャスコン)を締めたほうが飛びます。遠心力はエム・アール・オメガの二乗(文字化けするので・・・)なので、スプーンのように飛速の速いものを投げると飛び始めにブレーキが効きすぎるきらいがあります。だから、遠心ブレーキを弱めにしてスピードに関係ないメカニカルブレーキを締めたほうが初速を殺さず遠投できるわけです。高校生諸君のために書いておくと、エムは質量、アールは回転半径、オメガは角速度ですぞ。

 しかし、当然のことながら、メカニカルブレーキを締めると巻き取りまで重くなってしまいます。それではせっかくの巻き取り感度が台無しですから、遠心優先でセットしました。こういう点を考えても、2500Cのように調整できない遠心ブレーキのリールは苦しいですね。

 そんな風にけっこういけそうなベイトタックルですが、これはあくまで重いスプーンを投げているときの話です。軽いフローティングミノーを投げたいときなどは、やっぱりスピニングにかないません。先週末写真のロッドにメタニウムXTを付けて庄川の某ダムBWへ行ったのですが、目の前で小魚が水面を跳んで逃げ、後ろからヤマメらしき魚が背中を出して追うのに遭遇しました。すかさず7.5gのスプーンを70mmのフローティングミノーにしたら・・・自爆しました。お前が下手なんやといわれればそれまでですが、純粋に魚を釣ることだけ考えたらスピニングです。

 そうはわかっていても、なんだか投げたくなるのがベイトリールの不思議なところです。一時トラウトのベイトが流行りかけたものの、やっぱり多数派にはならなかったみたいです。障害を乗り越えてあっちの世界に行くかこっちにとどまるかは、50:50なんでしょうね。

 2010年6月6日、石徹白C&R区間峠川のイワナです。リールは308の皮をかぶった408。もう一台の408はグリーン基調のイーグルに似合わないので・・・。この308(408?)を使って今年、フッキングミスを多発してしまいました。ストッパーをオフにして使うミッチェル流でですが、最近理由がわかりました。ハンドルノブにシマノ98モデルがピニオン口部に使っていたジュラコンブッシュを入れて遊びをなくしていたためだったのです。ハンドルの回転につれて、指とハンドルノブの角度は変わりますが、ノブに遊びがないとこの角度変化が吸収できないため、自然にノブを緩く握るようになります。だからとっさのフッキングでノブを放してしまったのです。で、写真のリールは、いじっていないノブに戻してあります。こうするとノブをしっかり握ったままリーリングできます。なにごとも遊びは必要だということですね。 (2010/6/12)

 遊びが必要といえば、石徹白フィッシャーズホリデーで「408のローターにガタがあるが、これを止めるには?」という質問を受けました。前オーナーがベアリングを緩めていれば別ですが、308や408はベアリングユニットと本体の間にある程度ガタがあります。セットスクリュー81278に若干磨耗が進むのも理由ですが、ムリにガタを止める(どこぞの油屋に聞くとそう言われかねないような気がする・・・)と、ローターの傾きをベアリングだけで受けることになるので、かえってよくないのではないかと思います。スラスト方向はベアリング、対角方向(傾き)はメインシャフトとベアリングで半々みたいな感じで受けているわけで、やっぱり適度な遊びは必要だということです。

 昨年の石徹白フィッシャーズホリデーは出展者のほうが一般参加者より多そうな有様でしたが、今年は盛況でした。フライが斜陽といわれているのにけっこうなことだと思いましたが、理由がわかりました。帰りに前を走っていた車が浜松ナンバーだったのです。これは明らかに休日高速1000円効果ですね。

 高速料金といえば、28日から部分的に無料になり、それ以外は普通車は上限2000円になります。当初は6月からの予定でしたが、鳩山辞任でずれ込んでしまいました。ついでに言うと、当初7月からはリッター20キロ以上走る“エコカー”は上限1000円になるはずだったので、カタログ燃費21キロのルノー(ミッション部のみ)に乗る私はそっちがどうなったのかが気にかかるところです。

 鳩山首相も発言が軽かったかもしれませんが、たとえば全国の知事だって米軍基地を受け入れましょうなんて所はひとつもない(大阪の橋下徹はそう言ったが大都市にくるわけがないことを見越した発言という見方もある)わけで、そうしておいて鳩山はブレた、決断できない、嘘をついたと、国民もマスコミも勝手なもんです。

 で、社民が抜けて、鳩山首相が辞めて、菅内閣になったと思ったら、今度は亀ちゃんが辞めちゃいました。郵政改革法案先送りに反発してです。郵政法案先送りは支持率が高いうちに選挙をやりたい参院民主の意向ですが、国会の仕事である法律を作ることより選挙の日程が大事とはどういうことかと思います。そもそも国会を2週間伸ばしているうちに落ちるような支持率なら、そんなもんで議席が決まってはいかんでしょうに。菅よおまえもかというところです。

 政治ついでに、これも民主党の目玉ばら撒き政策で、6月から子供手当ての支給が始まりました。私は子供がいないので詳しいことはわかりませんが、こんな金をばら撒くよりも以前教育再生会議でノーベル賞学者が言ったように塾を禁止したほうが家計は助かるんじゃないでしょうか。近所の受験生のいる家では、夜中の11時に親が車で塾から子供を連れて帰ってきます。私のような世代から見たら、夜中の11時に子供が外にいること自体異常なことです。これだけ長い時間やっているのなら、授業料だって昔のそろばん学校や習字学校の比ではないでしょう。

 家計のみならず子供の体や心への影響を考えたっていいわけがありません。教育産業は親の不安をあおって利益を上げているのです。一連のゆとり教育批判だって彼らがかかわっていないでしょうか。子供手当てをいくらばら撒いても、彼らがもっていくだけです。こんな業界を野放しにしていいのでしょうか。

 大人は過労死するくらい働かされ、子供は深夜休日も塾通い・・・この国はいつかパンクしますよ(毎年交通事故死者の6倍の人が自殺してるんだからもうしてるのか)。なにごとにも適度な遊びは必要・・・ということで、無理やり前半とつなげて今回のオチとします。

 2010年6月3日、魚野川のヤマメです。増水気味で砂利の川原がなく、一応リールはネットのフレームに乗せていますが、危ない撮影です。気がついたら07年暮れの購入以来ルビアス2506で初めて釣った魚です。サイズ的に使用回数が少なかったのもありますが、やはりベール反転不良が使う気をなくさせていた面が強いですね。少々の反転レバーやベールパイプの変形では直りきらず、最近ベール取り付けカム(シマノ語)のベール反転レバーが当たるところに0.3mmの真鍮版を2枚貼り、それだけでは反転レバーが反転レバーカバーを押してしまうので、ベールアーム側にも同様の処理をしてベール開放角を抑えました。これでようやくちゃんとしたリールになりました。だって、ベールが反転しないベール反転機構なんて、かけても冷えないエアコンとか、踏んでも効かないブレーキとか、スイッチを押しても開かないパワーウインドーと同じですからね。 (2010/6/4)

 ルビアスのベール反転不良はこの個体だけではなかったようです。さらには、以前見たプレッソ1003もベールを開いてローターを手でゆっくり回す(リール検査の一項目です)と、ベールが閉じきりませんでした。プレッソはルビアスベースですが、同社の最高級磯リールISO-Z競技(ノーマルISO-Zはマニュアルリターン専用ですが競技はオートリターン付き)も同様の検査をすると、やっぱりベールが閉じきりませんでした。トップメーカーの製品でこのようなことが起きるとは、本来考えられないことです。

 ところで、現在発売中のアングリング・ファン連載の取材で、ルアービルダーS氏と雑談中、「ダイワに取材するとみんな釣りや自社製品が好きな熱い人ばかりなのに、どうしてぶっちぎりのトップメーカーじゃないんだろう」と私が言うと、S氏はこう言いました。

 「そこ(釣り好きが多いこと)があかんのと違うか」

 うーむと、思わずうなってしまいました。私がいい例ですが、釣り人という人種は自分が一番正しいという思い込みというか、こだわりというか、独善というか、唯我独尊なところがあるものです。昔はこれを釣り天狗といいました。「スピニングのベールは手で閉じるものだ。ハンドルで閉じるのは乱暴な使い方だ」なんてのもまさにそうなのですが、一連のベール反転不良をみて、もしかするとダイワにも「ベールは手で閉じるのが正しい」という人がいるのではないかと思ってしまいました。個人の釣り人がそう言うのは勝手ですが、メーカーの人がそれでは困ります。

 まってくもって勝手な想像で、失礼極まりないのですが、こんなことを考えたのには理由があります。ちょっとケースは違いますが、自分も似たようなことをしでかしたことがあるからです。

 私はシマノ在職中、初代ナビ1000の立ち上がりにかかわりました。今風にいえば89ナビ1000です。上がってきた試作品の部品や完成リールを強度・耐久テストするのですが、その中に落下テストというのがありました。コンクリートの地面にリールをまっさかさまに落とすのです。当時の私は、「リールは大切に使うものだ。落とすなんてとんでもない。くだらないテストだ」と思っていました。それで、落下テストは規格の高さからだけさらっとやって、合格にしてしまいました。人を乗せる自転車部品メーカーだけあって、テストは規格までではなく必ず破壊するまでやれと言われていたのですが、セオリーを無視したのです。

 はたして、89ナビ発売後、お尻が割れてオシュレーションスライダーが飛び出した1000番が続々とサービス課に返ってくるようになりました。あわててテストをやり直してみると、何台かに1台は規格の高さでも壊れることがわかりました。さらに、規格よりほんのちょっと高いところから落とすと全部のリールが壊れました。規格ギリギリだったのです。

 その後89ナビ1000は金型を直して対策しましたが、個人の釣り人としての考えなど仕事に持ち込んではいけないのだとつくづく思ったものです。

 ルビアスなどのベール反転不良の原因が20年前の私と同じ理由かどうかはわかりません。あくまで私の勝手な想像です。しかし、ベールが反転しないベール反転機構などというものが一流メーカーから出てしまうのは本当に考えられないことなので、こんなことを想像してしまったのです。

 そうそう、もし89ナビ1000でお尻が破けた人がいても、私にクレームを送ってこないでくださいね。20年も経てば、たいていのことは時効ですから。

 2010年5月16日、坂内川のアマゴです。朝、例によって揖斐川の21号下流でボウズをくらった後・・・って、最近このパターンばっかやがや。近いからって行っちゃうんですが、揖斐川も人だらけで、私のような小心者はふちっこでこっそり投げて帰っちゃうんですね。昔は堺を夜2時に出てきて朝マズメに釣ったなんてこともあったわけで、現在クルマで10分のところに住んでいるのなら、もうちょっと早く起きて一番乗りすればいいようなもんですが、人と競争してまで魚釣りたくないし、今の揖斐川を見ているとそんな気にもならんのね。ダムや堰堤の影響がじわっと出てきたのでしょうけれど、21号の下流もほとんど砂地になっちゃって汚い泥底も増えています。昔はアユがわらわらと足下を通過していったし、大きなウグイやニゴイがあちこちで跳ねていましたが、今そんな姿はありません。死の川という雰囲気です。 (2010/5/25)

 なわけで、またまた坂内川へ行きました。日が上がってしまうと、距離的にここくらいしかないわけでして。かといって坂内川(本流)は横山ダムBWから坂内村中心辺りにあるイビデンダムの放水口までの1キロくらいしか釣り場がありません。新天地かと思った徳山ダムはどうやら釣り禁止らしいし・・・(と、がっかりしている浅ましい釣り人としての私がいる)。

 なわけで、この日は初めて坂内川支流の谷に入ってみました。けっこういい感じだなと適当なところに入ってルアーを投げてみると、アマゴがわらわらっとついてきました。おおええなあ、と200mくらい釣り上りました。さすがにどピーカンの日中だから(下手だから?)ヒットにはいたらなかったものの、魚はけっこういる感じでした。

 いったん上がってあゆ茶屋N橋のオッチャンのところに行き、ふと思いついて、「この辺はヤマビルいるの?」と聞いたら、坂内村のあたりはちょうど境界線だそうで、南向きの斜面やそこから流れる谷にはいるものの、北向きの斜面や谷にはいないのだそうです。坂内川をもっとさかのぼって川上のダムのあたりまで行くと、まったくいないのだそうです。で、私がこの日釣っていた谷も、知らぬが仏で、ヤマビルがいるのだということでした。ただ、やっぱり境界線というべきか、本格的に動き出すのは梅雨時以降だそうで、この日はセーフでした。

 谷に入るのも悪くないなあと思ったものの、魚がさらに活発になるこれからの季節に釣りに入るのは・・・微妙、いや、正直言って、よう入りません。ヤマビルごときが怖くて渓流釣りができるかという人もいそうですが、あんなもん好きな人はおらんやろ・・・(その点、飛騨地方はいいですね。寒いせいかヤマビルがいないからです。愛知の釣り人もそう言っていましたし、前ビーパルで取材に行った高山の民宿経営者も「飛騨にはおらん」と言っていました)。

 私はこういうくねくね系の生き物がダメで、イモムシ毛虫もいけません。さすがにミミズはフナなどを釣るときのエサにしましたし、子供のころ爬虫・両生類や魚を飼うのが好きで(そういえば当時飼っていたイモリのうちの1匹がいまも生きているのは、とんでもなくすごいことなのであらうか・・・)、それらのエサにしたので大丈夫どころかおいしそうにすら見えるのですが、中学生くらいで初めて海釣りをしたときに見たジャリメはこの世のものとは思えませんでした。だってさ、あいつら牙があるんですよ・・・。ミミズにそんなもんありませんからね。

 海なし県の岐阜県人から見たら、あのウミケムシなるものも、この世のものとは思えませんでした。いま思い出してもぞっとします。そうは言っても、川釣りで使うサシ(サバ虫)なんかハエのウジなわけで、こっちは子供のころ平気でハリに刺していましたから、慣れなんでしょうけど。

 ヤマビルといえば、うちは大垣の西の外れですが、ここから北へ1〜2キロ行ったあたりの市橋という地区では、戦後すぐぐらいの時期には、雨の後通学路にヤマビルが出たそうです。山のふもとですが、少なくとも山間地ではありません。元々そのくらいが自然な姿だったのかもしれません。

 私が子供のころ、ヤマビルではありませんが、田んぼや用水路にチスイビルといって、緑色に白い縦縞の入ったヒルがいたものです。私は食いつかれたことはありませんでしたが、田植えをしていると足に食いつかれたそうです。小学校の帰りに、あぜ道でチスイビルが大きなテッポウミミズ(ドバミミズ)に吸い付いて2匹が絡み合いながら用水路に転げ落ちていくのを見て、うわあすげえなあと思った記憶があります。

 メダカが絶滅しそうだといいますが、あれはブラックバスが食ったからじゃなくって、現在の田んぼが必要なとき以外水を引かなくなったからです。農機具を乗り入れるために土壌を堅く締める必要があるからなのですが、そのために魚の繁殖場所としての機能がなくなってしまったのですね。昔ながらの田んぼに戻せば、メダカのみならず、フナやコイも、ナマズもドジョウも、どんどん増えるのです。昔は大水の後田んぼに入り込んだナマズの頭をノコギリで食らわして捕ったといいます。

 でも、そうすると、たぶんチスイビルなんかも一緒に復活してくるんでしょうね。

 生態系だエコだと現在はファッションのようにいいますが(そういえば元バス雑誌編集長でいまエコ雑誌副編の某氏がTBSラジオのディグに出て「エコはファッション」と言ってました)、本当の生態系保護とはヤマビルやチスイビルみたいなものまでひっくるめて引き受ける覚悟があってこそのものなのかもしれません。

 ヤマビルごときでびびっちゃう私のような者は、だから、生態系だのエコだのとは、よう言わんのです。

 長くなりついでにこの地方の話ですが、醒ヶ井の地蔵川という川で、地域ぐるみで保護していたハリヨにいつの間にか別の魚が混じり、全部交雑種になっていたというニュースがありました。で、学者先生の指導の下、交雑種を全部駆除して純血種に入れ替える活動が始まったのだそうです。

 ハリヨがブラックバスやブルーギルに変わっていたのならともかく、交雑種でしょ。ハリヨの血も混じっているのなら、そこにいたハリヨの子孫だともいえます。生態系なるものは、その魚を皆殺しにしてまで守らないといけないものなのでしょうか。

 やっぱ私は、生態系とかエコってよう言いません。

 2010年5月15日、坂内川のアマゴです。朝、例によって揖斐川の21号下流でボウズをくらった後、シラメでも釣れないかなと、徳山ダムのBWに行ってルアーを投げていました。どピーカンですし、すでに日が上がっているので、何の反応もなくクルマに戻ると、私のフランス車(MTミッション部のみ)のワイパーにこんなものが挟んでありました。その後湖岸で会った地元の人に聞くと、徳山ダムの職員らしき見回りの2人組が警告の紙をワイパーに挟みつつ、クルマのナンバープレートを写真に撮っていったと言います。なんだか悪いことをしたみたいで気分が悪くなってしまいました。 (2010/5/17)

 ワイパーに挟まれていた警告の紙では「水産動物(全魚種)の採捕が禁止」されているところがはっきり分からなかったので、後日その紙にあった岐阜県農政部水産課に電話して聞いてみました。すると、才谷合流点(BWからクルマですぐのコンクリートの橋のところ)より上流の才谷も含む谷全部、および西谷の黒谷合流点より上流の黒谷も含む谷全部が禁止区域だとのこと。私が釣っていたのは一応セーフでした(ただし「ダム湖に関しては徳山ダムの管理下なのでこっちでは分からない」といかにもお役所的な返事だったので、パーフェクトにセーフだったのかどうかは不明・・・)。

 才谷合流点から上流が禁漁区だといっても、それを示す看板はありませんでした。才谷合流点に、「平成22年3月31日まで」つまり期限切れのものが立っていただけです。一般の人に知らせる努力を怠ったまま、大の大人が2人がかりで警告の紙を挟んで回っているとは、なんとも非効率的な話です。こっちも注禁のステッカーを貼られたみたいで気分が悪いですし、知らずに“密漁者”になってしまう人もいるかもしれません。釣りをしようと思っている人が必ず通るであろう、最後のパーキングにでも徳山周辺の釣りについての看板を立てれば済むことでしょう。そうすれば、少なくとも私のように良識的な(自分で言うか)釣り人は、禁漁区に入らないはずです。

 もっとも、看板を立てて済むかというと、そうはいかないであろうことも事実。坂内村(揖斐川上流漁協)の監視員によると、坂内川の谷に入るアマゴ釣りの人で、ちゃんと入漁証を持っている人はほとんどいないそうです。どこの川もそんなものでしょう。そもそも徳山地区が禁漁になったきっかけは、漁協や村がなくなったのをいいことにバックナンバー16の下から3つ目のようなことをする馬鹿者が続出したからです。先ほどの農政部水産課によると、クルマのナンバープレートを撮影していったのも、クルマで何日も泊り込んで違法な漁法(定置漁法とかいっていた)をやっていた輩がいたのが理由だということです。こういう人たちにとって禁漁の看板など、何の意味もないでしょう。どっちもどっちというところでしょうか。

 さて、この日はこの後、坂内川に行って写真のアマゴを釣り、あゆ茶屋N橋のオッチャンに例の警告書を見せて「こんなもん挟まれてまったがや。気分わりいなあ」と話していたところ、面白い話を聞きました。最近、徳山ダムの職員が、投網で坂内川の魚を捕っていくというのです。なんでも、ダム建設で減少した在来魚を補うため、徳山ダムまで持っていって放すのだそうです。

 お役人の考えることは分かりません。

 (後でネット上にあった揖斐川上流漁協の漁場案内を見ると、徳山ダムより上流は全部禁漁区となっていました。だからやっぱりダム湖を含めて全部ダメなのかもしれません。しかし、そもそも揖斐川上流漁協は徳山地区の漁業権を放棄しているので、その漁協が「禁漁」と言うのも変な話です。まあ、どっち道、釣るところがほとんどないからどうでもいいけどね。なになに、揖斐川上流漁協の年券を買っているお前が、なぜ漁場案内を見ていないのかって? だって、昼間っから酔っ払ってるあゆ茶屋N橋のオッチャンが腕章しかくれんかったんやもん・・・)

 2010年5月12日、揖斐川のアマゴです。朝、揖斐川の21号下流や高速下流などへ行ったものの例によってサツキマスは気配もなし。で、揖斐川上流へアマゴを釣りに行きました。こういうときは当然タックルを2セット持っていきます。上流へ移動後、クルマのトランクにサツキマス用に使っていたトラウター78MLを入れ、写真のジャパントラウト53の入った竿袋をひょいと取り出しました。すると、ペキッと音がして、トラウターがカタンと動きました。一瞬何が起こったのかわからなかったのですが、ふと気づくと、ジャパントラウトの竿袋にトラウターに付いていたスプーンが引っかかっています。恐る恐るスプーンに付いたラインをたどっていくと、トラウターの穂先が先端10cmくらいのところで折れていました。どへ。 (2010/5/14)

 雑誌のメンテナンス記事で、「ロッドは袋に入れて運んだほうが安全」と書いたことがありますが、つくづくそれを実感しました。自室から車までは袋に入れていましたが、ポイント移動はジョイントを抜くだけでトランクや後部座席に置いていました。せめてルアーだけでも外しておいた方がいいですね。またしても紺屋の白袴です。トラウター78MLは10年くらい前に買った竿ですが、4万ちょっとしたはずで、私の持っているロッドの中では(去年買ったテーパーアンドシェイプを除くと)もっとも高価なものです。高い授業料だなあ。

 76くらいのスピニングロッドは意外に持っていません。ミッチェルトラウティア73MLだけです。これに対し、56は上の53も同クラスとして入れると8本、60は9本、66は8本、70は5本あります。偏ってますねえ。

 ミッチェルトラウティアは悪いロッドではありませんが、ダイワにせよシマノにせよアブにせよ、こういう風にリールを作っている会社の名前が付いていると、別のメーカーのリールを付けるのになんとなく抵抗があります。気にしなければいいだけですが、変なところで潔癖症なのですな。

 トラウター78MLを修理するとなると、定価の半額くらいのはずなので、2万ちょっとかかります。ただ、バックナンバー18の一番上の通りのロッドで、いまひとつ直してまで使おうという気になりません。軽くて飛距離が出るのは確かですが、キンキンしていて“竿”という感じがあまりしません。ダメになったグリップを富士のパイプに替えていて、何のロッドかわかんなくなっちゃってるのもいまいちなところ。それ以前に部品がないか。

 70のロッドで代用できないこともありませんが、いずれも古いもので旧式のガイド構成だし、高級品でもないので重いです。66より下ならまだいいのですが、70以上の長さとなると特に07ルビアスとかストラディックCI4などの軽いリールと組んだとき、持ち重りがしてしまいます。

 現在はチタンフレームガイドのロッドでも3万前後からありますから、その中なら選ぶか・・・。ただ、そうしたものはまず間違いなく中国製でしょう。中国製がいいとか悪いとかではなくて、やっぱり人件費の安いところで作った物を選ぶのは、回りまわって日本の国の産業をダメにしているのではないかと思うようになったからです。それに、日本のものづくりの現場だって末端に行けば奴隷労働みたいなところがありますが、中国の現状はきっとそれ以上でしょう。フェアトレードじゃありませんが、そういうところで作った物を安い安いとありがたがってはいけないのではないかと思うのです。

 さて、どうしましょうか。

 2010年5月5日、坂内川のアマゴです。朝一揖斐川のサツキマスポイントに行ったものの。暗いうちからずらりと並ぶ釣り人に恐れをなして人のいないところでちょろっと投げた後、上流に行ってお茶を濁していました。連休中雨も降っていないわ、どピーカンだわであきまへん。何とかちびアマゴを釣って川を歩いていると、妙に石がつるつる滑ります。雨が降っていないから水垢が厚いのかなと思いつつウェーダーを見たら・・・フェルトがあらへんがや! ここで釣りは強制終了です。あのまま釣っていれば尺アマゴや40cmのイワナが釣れたかもしれないのに・・・って、まあ、日が暮れるまでやってもおんなじだったでしょうけど。 (2010/5/6)

 このとき履いていたピュアリスト・ゴアテックスは、ベリピタの間に砂が入ってオス側がかなりつぶれていました。半月くらい前にフェルトソールだけを新しくして、今シーズンいっぱいくらい何とかもたないかなと使っていたのですが、やっぱりダメでした。3年か4年前に磯の雑誌のメンテナンス記事で磯シューズのベリピタについてダイワさんちに電話したとき、砂や小石が入るとオス側がつぶれるのでときどきはがして掃除すると聞いて記事に書いたのに、自分のウェーダーはほったらかしだったとは、まさしく紺屋の白袴です。

 写真からも分かるように私のよく行く坂内川は砂がとても多い川で、こういうのは最悪です。砂が入ると縁のほうの突起がつぶれ、それが原因で口が開き、さらに砂が浸入という悪循環を繰り返すようです。それと、どうも、いままでベリピタを貼るとき、どうせ体重がかかるからいいだろうと簡単に押さえるだけにしていたのも悪かったみたい。やっぱり縁っこをギュっギュっと指で圧着しないとあかんみたいですね。渓流や砂浜で使っている人はまめに掃除して、しっかりくっつけましょう。

 修理に出そうかと思ったのですが、その間ネオプレーンを履いて釣りをしなければなりません。これからの季節それは地獄です。どの道修理に出したところでベリピタ部もしくはシューズ部が交換になるわけですから、いっそフェルトを接着してしまって、その後のことはフェルトが減ってから考えることにしました。

 でも、ベリピタのフェルトはなかなか入手困難で、この日流したフェルトも、半月前に大垣、穂積、岐阜と釣具店を4軒も回って最後の1個をやっと手に入れたほどなので、同じものは買えそうにありません。ところが、困ったなあと部屋をガサガサしたら、なぜかピュアリスト用のフェルトが出てきました。

 あれ? 何でこんなものがあるんだろうと記憶をたどると、理由が分かりました。話は昨年9月にさかのぼります。その前月の8月中ごろ、私は、アラスカ取材(釣り?)を前にしてベリピタがダメになったネオウェーダーを修理に出しておりました。で、9月になって出発3日前、店に修理状況を聞くと、「あ! メーカーからの見積もりを連絡し忘れてました。ウェーダーは修理待ちの状態のままです」という信じられない返事です(出発3日前に問い合わせるわしもわしだが)。

 結局頭にきたので他の店で同じウェーダーを買ってアラスカに行ったのですが、修理に出したほうのウェーダーは、靴底修理のほか穴が12か所見つかって、1か所修理するのに3000円(2か所目からは1500円だったっけ)かかるとかで、スクラップとなりました。で、お詫びにともらったのが、ネオウェーダー用の予備フェルトソールと(なぜか)がまかつのポロシャツと菓子折りでした。

 ようやくここで話は元に戻るのですが、つまりこのときもらったネオウェーダー用のはずの予備フェルトソールが、店の間違いでピュアリスト用だったというわけです(どこまでトホホな店なんや)。

 まあ、何はともあれ、修理用のフェルトが出てきたので、接着することにしたのですが、問題は接着剤です。フェルト用ボンドというのが釣具店にありますが、あれはフェルト対フェルト用のはず。しかしベリピタのオス側はおそらくナイロン系の樹脂でしょう。普通の接着剤はナイロンにはききません。ボンドG17も同じでしょうし、アクアシールも用途の中にナイロンは入っていません。

 もっとも、ナイロン素材は接着できなくても、形状がカギ状なのでアクアシールくらいの強度があればくっついていそうですが、あれは穴の補修用なので容量が少なく、靴底2面分となるとかなりの出費になりそうです。で、結局、セメダインのスーパーXクリアを使うことにしました。弾力がありますし、ナイロンも接着できると書いてあります。価格は、業務用の135ml入りで1200円くらいです。

 結果は? まだ養生中なので分かりませんが、次の釣行でフェルトが取れて私が川の藻屑と消えていなければ、ええということではないでしょうか。

 2010年3月20日、根尾川のアマゴです。リールはペンの716Z。240gと重い割には使っていて違和感はありませんでした。脚が短くて重心がロッドに近いのが好バランスを生んでいるようです。脚が短くてコンパクトなのに加え、ウォームギアの場合ドライブギアやその支持部、ハンドルなどがメインシャフトより上にくるため、より重心がロッドに近くなるのでしょう。そういえば確かシマノの投げ用大型スピニングにウォームシャフトをボディー上側にして重心をロッドに近くしたのがあったような。なるへそなるへそ。 (2010/4/26)

 前回の扉写真が4月18日で、今回が3月20日と日にちが逆流するときは、たいていボウズを食らったときです。24日は今月はじめに行って惨敗した飛騨川水系白川に再度挑戦してきました。しかし、支流に入って何とかアマゴを1尾(しかし写真を撮るとき脱走)釣ったものの、本流は丸ボウズでした。

 白川は2007年2月にアングリング・ファンの取材で行ってきれいな川だなと思い、そのうち行こうと思っていたのですが、ずるずる機会を逃して今年初めて行きました。でも、瀬ありトロ場ありで大石も多く、いかにも魚がいそうなのですが、ダメですねえ。07年は2月解禁で成魚放流狙いだったのですが、釣りをしたアイビーライン榎さんに放流魚は4月5月に成長しているのかと聞いたら、そういう魚もいるだろうけれど釣りになるほどではないということでした。白川は今年から成魚放流をやめて、解禁を4月にずらしましたが、エサ釣りオヤジに根絶やしにされるのが単に2ヶ月ずれただけだったのでしょうか。

 それにしても、あの規模の川で、砂で埋まったポイントも多い根尾川に比べればずっと魚の隠れ家になりそうな岩も多いのに、魚が全部消えるものなのかなと思えてしまいます。私の想像を超えて昨今のエサ釣り仕掛けの根こそぎ力(ゼロ釣法は人の釣った後から歩いても釣れるとこないだ根尾川で会ったエサ屋さんが言っていました)がすさまじいのか、カワウに追われて大場所の底にだけひそんでいるのか、私がポイントを知らないだけなのか、はたまた川自体に魚の生息に必要な何かが欠けているのか・・・。

 根尾川にしても、上の写真は本流ではなくて某谷で釣った魚なのですが、釣りきられるなら規模の小さい谷のほうが先にやられそうなのに、谷は魚いますもんね。根尾川本流はフライをかじった20年くらい前にちょっと通いましたが、へたくそで魚は釣れなかったもののアマゴはいまよりずっとたくさんいた感じでした。小さいくせにパーマークの見えるメダカみたいなやつとか新子のアマゴが、薄墨橋上流の淵なんかにいっぱいいた記憶があります。でもいまそういう姿はほとんど見ることがありません。温泉開発で悪い水が流れ込んでいるからだという説もありますが、こっちも本流は何かが変わってしまったみたいです。

 白川は、こんなことならまた揖斐川水系か庄川にでも行ったほうがずっとよかったなと思ったものの、こういうのも自分で体験しないと納得できませんから、まあええでしょう。ひとつだけ行ってよかったのは、加子母でてんぷらうどんを食べたこと。07年の取材は朝から腹を壊していて昼飯が食べられず、二人の釣り人が食べていたてんぷらうどんがおいしそうだったのが心残りだったからです。




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